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集合知は他人の意見を知ることで低下する 大企業病もこれで説明できる?


 「集合知」というのは、どうも複数の概念をまとめて呼んでいるみたいですね。辞書系の説明も混乱しており、正直よくわかりませんでした。

 そこらへんはお手上げだったのですが、非常におもしろいと思ったのが、「集合知」においては、他人の意見を知ることで精度が低下する という事実。普通逆だと考えちゃうんじゃないかと思います。集合して良くなるのですから、互いに話し合った方が良さそうなものです。でも、逆なんですね。

 ここらへんの知見で「大企業病」を説明できるのではないか?と私は連想したのですけど、うまいこと説明できず(2012/9/26)。ただ、その後追加した"グーグルベンチャーの思考法も「匿名」で「独立」を重視"、"大企業の問題点も見えていたグーグルベンチャーの思考法"の中で、似たようなものが見えましたので、大企業が苦しむ理由とは関係はありそうです。(2017/07/09)


●集合知とは?Collective IntelligenceとWisdom of Crowdsは同じなのか?

2012/9/26:調べてみるとまず言葉の定義で引っかかり、なかなかにややっこしかったのですが、はてなキーワードでは集合知を以下のように説明しています。
集合知(Collective Intelligence)とは、多くの人による大量の情報の寄せ集めの集計のこと。


2005年以降のWeb 2.0ブームとともに注目されている。

集合知を利用したサービスの代表的な例に、検索エンジンやソーシャルブックマークがある。

Webの普及により、知識の自動的な集約によって集合知を作り出すことができるようになってきている。

よく混同される言葉に群衆の叡智があるが、これは英語のWisdom of Crowdsの和訳で、元々は別の言葉である。

 実は今回使いたいのは"Wisdom of Crowds"であり、「集合知」ではなく「群衆の叡智」が適訳のようです。しかし困ったことに、こちらの言葉は全く浸透していません。

 では、はてなキーワードの"Wisdom of Crowds"の方の説明はと探すと、"集合知。集団知。集団の知恵"とあり、「集合知」は最初に引用した「違うよ」というページにリンクしています。

 じゃあ、他の二つは?と見ると、なんと二つとも今の"Wisdom of Crowds"のページに戻れと書いてあります。冗談みたいな堂々巡りで全く役に立ちません。

 一方、Wikipediaの場合は、「集団的知性」の項目の中に「集合知」の説明があります。
集合知には、collective intelligence, collective knowledge, wisdom of crowdsなどの異なる英語が対応する。経営学の一分野である知識管理論からのアプローチには、洞口治夫(Horaguchi Haruo)『集合知の経営-日本企業の知識管理戦略-』がある。

 さらに"collective knowledge"も加わって、異なる複数の概念が一つの訳語に当てられている実情がわかりました。…こちらもが、"wisdom of crowds"の説明としては頼りになりません。結局、よくわからないということになってしまいました。


●"Wisdom of the crowd"は「集団の精度」というイメージ

 以上のように、これらの下調べはあまり役に立ちませんでした。もともと紹介したかった今回のメイン記事というのは、意見共有で「集団の知恵」が低下:研究結果(ワイアード)というもの。

 こちらでも"Wisdom of the crowd"を「集合知」と訳しており、簡単に以下のように説明していました。

"多数の個人の推測から、驚くほど正確な平均回答が導き出される統計的現象を指す。個人的バイアスが互いを相殺する結果だ"

 もう少し詳しい説明になっているところを引用すると、以下のような感じです。
集合知は、数量で表わせるような問題の推測において最もよく発揮されるため、集団の知恵というより、「集団の精度」と表現するのが適切かもしれない。この現象は何十年も前から文献に記されてきた。古くは1907年、イギリスの人類学者フランシス・ゴルトンが、見本市の来場者たちは雄牛の体重を言い当てられるという話を取り上げている。そして、経済学者James Surowiecki氏による2004年のベストセラー『The Wisdom of Crowds』[邦訳は「みんなの意見」は案外正しい』(角川書店刊)]によって、集合知という現象は広く知られるようになった。

●集合知は他人の意見を知ることで低下する

 定義の部分でひっかかりまくりましたが、ここからやっと本題である"スイスのチューリッヒ工科大学の数学者Jan Lorenz氏と、同社会学者のHeiko Rahut氏はこのほど、集合知に関する最新研究"の話に入ります。以下のような研究成果が出たのです。

「集団は最初のうちは『賢い』が、他者の推測を知らされると、意見の多様性が狭まり、それによって(集合知が)低下する」
「穏やかな社会的影響であっても、集合知効果に悪影響が及ぶ」

 ただ、そもそもこの独立性というのは、もともとの集合知の定義であるようです。モジログ(群集がいつも賢いとは限らない 「Wisdom of Crowds」の成立条件 2006.01.14)では、以下のように書いていました。
James Suroweickiの『The Wisdom of Crowds』によれば、「Wisdom of Crowds」(群集の英知、集団の知恵)が成立するための条件は、以下の4つであるという。

(1) diversity of opinion (意見が多様なこと)
(2) independence of members from one another (メンバーが互いに独立していること)
(3) decentralization (中心を持たないこと)
(4) a good method for aggregating opinions (正しい方法で意見を集約すること)

 これの二番目"メンバーが互いに独立していること"に当たるのでしょうが、他の項目も独立性に関わってきそうな内容です。


●独立性がないと正解から遠ざかるのは、多様性の低下などが理由

 独立性がもともとの定義でしたので、定義を満たしていないものを集合知が低下したいうのは厳密には間違いかもしれませんが、独立性が損なわれることで正解から遠のくことが実験ではっきり確かめられたというのは十分におもしろいです。

 実験の様子は以下の通りでした。
被験者はチューリッヒ工科大学の学生144人で、研究チームは彼らを小さく仕切った個室に入れ、「スイスの人口密度、イタリアとの国境線の長さ、チューリッヒに入ってくる移民の数、および2006年の犯罪件数」を尋ねた(質問は全部で5回行なわれ、それぞれ、正答に近い場合は報酬が提供された)。

テストが進むにつれて、自力で答えを考えた被験者のほうが、平均回答の精度が高くなり、集合知の傾向を示した。反対に、他者の答えに影響された被験者は、回答の精度がかえって低くなった。

 続けて、これに対する分析です。
研究チームは、精度の低下は3つの効果によるものとみている。1つ目は、彼らの言う「社会的影響」だ。これによって、人々の意見に多様性が乏しくなった。2つ目の効果は、「範囲の縮小」だ。数学的に言うと、正しい答えが推測範囲の境界的な位置に集まったことを意味する。そして、これらすべての要素に拍車をかけたのが「自信の効果」、すなわち、被験者たちが自分の推測により確信を深めたことだ。

「社会的影響が作用すると、真実は、より中心から遠ざかる」と、研究チームは記している。この問題は、市場や政治にも当てはまるとチームは考えている。市場も政治も、集団的評価に左右されるシステムだ。

「世論調査やマスメディアは、情報のフィードバックを大きく促進し、そのことが、事実に対するわれわれの判断を狭い範囲に絞り込む」と研究チームは記している。集団知は有益なものだが、使い方を誤ると、「間違っている可能性がある考えに対する過信」を引き起こすという。

●大企業病もこれで説明できる?

 政治に関しては、衆愚政治・ポピュリズムといったところを思い浮かべましたが、ちょっと今回の例とは違うかもしれません。

 というのも、Wikipediaを見ると、衆愚政治で"有権者の大半が知的訓練を仮に受けていても適切なリーダーシップが欠けていたり、判断力が乏しい人間に参政権が与えられている状況"としています。

 リーダーシップの重要性は先ほどの定義の「中心を持たないこと」とは矛盾しそうで、集合知という考え方とは結びつかなそうです。

 難しいですね、この集合知。本をちゃんと読まないで生兵法だと勘違いしちゃいそうです。そういう中途半端な理解の状態なですが、大企業病なんかはうまく説明できないかな?と思いつきました。

 こちらも定義に困る言葉なんですけど、Wikipediaの説明は以下です。
大企業病(だいきぎょうびょう)とは、主に大企業にて見られる企業体質で、組織が大きくなることにより経営者と従業員の意思疎通が不十分となり、結果として、組織内部に官僚主義、セクショナリズム、事なかれ主義、縦割り主義などが蔓延し、組織の非活性をもたらす。社員は不要な仕事を作り出し、細分化された仕事をこなすようになり、企業全体が高コスト体質となって株主にも影響を来たす様になると、やがては倒産に至る。 大企業においては分社化とアウトソーシング、グループ会社同士の社員の派遣などが流行り、余剰資金のプールが多いが、売り上げに見越した利益を追従するまでには行かなく、資金が枯渇してくる企業が多い。財務諸表を見ても実質的な利益を株主は追従できなくなっているのが日本企業特有の問題でもある。また、欧米と異なり、日本の労働基準法による解雇制限があることから社員をすぐさま解雇できないなどの矛盾点を残す。俗にいう”親方日の丸”である。

 あれ?これはむしろバラバラですよという説明ですね。こっちもあんまり当てはまりませんでした。

 私が想像していたのは他人の意見を聞いちゃうことで無難な製品・サービスに留まってしまい、いわゆる"尖った"製品、個性ある製品が生まれなくなるといったものでした。こういった傾向は昨今の日本企業の問題点としてよく言われています。

 Googleはグーグルプラスの開発体制がそうじゃないと批判されたものの、結構好き勝手に自分の好きなものをする時間があり、多様性を維持しています。アップルは秘密主義を批判されますが他の情報を入れないという点は利点かもしれませんし、他社のやるような市場調査はしないと言います。

 こちらは他人の影響で多くの人が無難な方に流れるのは阻止できそうですが、独立性のみで、集合具合はイマイチですね。また、Googleの例もよく考えると、結局集合じゃないような気がします。うーん、さっぱりわからない。やっぱりちゃんと本を読んでみないとダメだったでしょうか?



●グーグルベンチャーの思考法も「匿名」で「独立」を重視

2017/07/09:読み返してみるとえらくまとまりのない投稿でしたが、ブレインストーミングは満足感だけで意味はない 集合知と矛盾?でやった話で、独立性の重要性に関わる話がありましたので追加。

 グーグルベンチャーでは、スプリントと呼ばれる問題解決策を行っています。この中では、スケッチというものがあります。例えば、スマホサイトみたいなものの場合、トップページをどんなふうにすべきかを、3コマ漫画みたいな流れでスケッチを描くのです。

 そして、ここで重要になっていのが、「独立性」でした。スケッチは『匿名』にしておくことが肝要で、"匿名だと批評しやすく、最高のアイデアを選びやすい"と説明されていました。これで社会的な影響を排除することができるでしょう。

 また、"全員が「個別」に取り組むということ"というのも強調していました。集団ではダメなのです。ここの部分をピックアップしたのが、ブレインストーミングは満足感だけで意味はない 集合知と矛盾?の投稿の方でした。
(ブレストは「やった感」以外に意味がない理由 | SPRINT 最速仕事術 | ダイヤモンド・オンライン 2017年6月21日 ジェイク・ナップ より)


●大企業の問題点も見えていたグーグルベンチャーの思考法

 さらにおもしろいのが、この"スプリントの意思決定はコンセンサス方式ではない"ということ。最終決断は、決定者のみで行うのです。これは私がうまくまとめられなかった大企業の問題点では?に関わるものです。

 スプリントの開発者であるジェイクさんいわく、 「トンがったアイデアも、コンセンサス方式だと、まるっとしたかたちにしてしまい、みんなで『それがいいね』と納得して決めてしまう。だが大胆なソリューションを作ろうとするとこれでは成功できない」とのこと。

 多くのチームはむしろ「コンセンサス」を好む傾向にあり、独裁的な決定は嫌がることも経験的にはわかっているそうですが、優れたアイデアを生み出す場面ではむしろマイナスに働いてしまうようでした。

 ここらへんを見ると、大企業になってしまうとなかなか画期的なものが生まれてこなくなる…というのが、説明できそうな感じです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■ブレインストーミングは満足感だけで意味はない 集合知と矛盾?

【その他関連投稿】
  ■日本のベンチャー・起業環境への海外の評価、実は良い
  ■自分に自信がない人は珍しくない 入社4年目は実に40%以上
  ■イノベーションは模倣・真似から生まれる ~アップルが好例~
  ■棲み分けの具体例
  ■感情労働とは?「決められた感情」で人に接することを求められる仕事
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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