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尖閣諸島問題も要注意!中国の外交政策のうまさと買収できる国カンボジア


 以前も書きましたが、その国を嫌うことと、その国の力を低く見ることは全く違います。

 国力を見くびることはどこの国に対しても良いことではありませんが、嫌いな国であるならなおさら気をつけなくちゃいけません。

 まあ、これが行き過ぎてむやみやたらと警戒してビクビクすることにもなるわけで、今日話をする中国にも箸の倒れたのにも驚くような中国脅威論が存在します。


 そういうわけで程度問題ですが、中国がしたたかでずる賢く侮(あなど)ることのできない国であるということは認めねばなりません。

 特に外交の巧さはやはり驚異的であり、反則技は別としても外交を苦手とする日本としては学ぶべきところがあると思います。

 私のストックしていた中だと、今年7月のカンボジアの首都プノンペンで開かれれたASEAN地域フォーラムの話がそういうところが見えるかなと思いましたので、ここで使ってみます。

【オピニオン】日本、南シナ海の領有権問題に積極介入
Ian Storey
2012年 7月 10日 15:57 JST
ウォール・ストリート・ジャーナル

 カンボジアの首都プノンペンで今週開かれれるASEAN地域フォーラムで、玄葉光一郎外相は最近の情勢に関して強い懸念を示し、領海権の主張を明確にして外交的解決を急ぐことを関係各国に要請する意向である。こうした介入はベトナムのような東南アジアの国々には歓迎されるだろうが、日中間の摩擦をほぼ間違いなく激化させるだろう。

 日本は中国との間に領土問題を抱えているが、それとは別の、直接的な領有権がない領土問題で日本政府が中国を敵に回すことには大きな意味がある。以前から南シナ海の情勢を注視してきた日本政府が、より積極的なアプローチの必要性を感じるようになったのは2008年に緊張が高まり始めてからのことだった。

 日本はそこに2つの大きな懸念を抱えている。1つ目は時間の経過とともに低レベルの緊張がより大規模な紛争へと発展し、海上輸送を妨げるのではないかというもの。南シナ海のシーレーン(海上輸送路)は日本製品を重要な市場である東南アジアや欧州へ輸出するのに使われるほか、輸入原油の90%が通過するため、経済安全保障上の問題となる。

http://jp.wsj.com/World/node_475515

 途中ですけど、おもしろいなと思った話。

 よく戦争が経済的効果をもたらす話がされますが、平和もまた違うところで金を生んでいるわけですね。


 そして、次の部分は尖閣諸島問題の危機が高まっている今、着目されるであろう話です。
 2つ目の懸念は、中国が恫喝によって南シナ海の支配権を確立すると、日本との領土問題がある東シナ海でも同じ戦術を使ってくる可能性があるというものだ。領有権とその領海における「歴史的権利」を主張するための疑わしい理由を、中国に丸めこまれたり強要されたりした結果、東南アジア諸国が受け入れるようなことになると、1982年に採択された国連海洋法条約のような既存の法的規範の実効性が損なわれてしまうだろう。中国が同じ理由を主張してきた場合、東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐる日本側の主張の説得力にも悪影響を及ぼしかねない。

(中略)

 日本はその海上保安庁と東南アジアのそれに類する組織との協力関係を強化することを約束した。南シナ海で領土問題を抱える国々は一般的に、その領有権を誇示するのに海軍の艦艇ではなく、沿岸警備隊を使ってきたので、この協力には重要な意味がある。

(中略)

 日本はASEANのみの議論や交渉に完全に満足しているわけではない。ASEANの努力に対しては強い支持を表明し続けている日本だが、その危機対応能力のなさに苛立ちも募らせている。日本としてはASEANが一致団結することを望み、加盟国が圧倒的に優位な立場にある中国と個別に取引することに反対している。

 そこで日本政府は、この地域のいくつかの国々との2国間協力を模索していくことになる。日本が1番積極的に支援してきたのが、軍事力に乏しいことでASEANという環で最弱部分と不安視されているフィリピンだ。日本は現在、フィリピンの沿岸警備隊の防衛能力の向上に力を入れ、その海上監視能力を強化するために巡視船10隻の供与にも基本合意している。

 両国は軍事的な連携も強化し始めている。定期的な対話はすでに始まっており、今年、海上自衛隊の艦船はフィリピンを訪問し、合同演習に参加したほか人道支援も行った。日本はフィリピンの他にも、ベトナムと防衛協力関係を深めることに合意しており、シンガポール、マレーシア、インドネシアとの交渉にも参加している。

 日本以外の大国が南シナ海の領土問題に干渉してくることに中国が反対するのは自由だが、日本による干渉は中国自身の瀬戸際政策が招いたものである。今週、プノンペンで開催されるASEAN地域フォーラムの結果、対立の火花が散るようなことになったとしても、東南アジア諸国にとって有利な結論が出るように働きかけるという日本政府の決意は固いようだ。

 ほとんど日本では話題にならなかった話ですが、こういった日本の積極的な外交は評価されるべきでしょう。

 しかし、政権が持続できない長期的視野に欠ける日本の外交は、中国の巧みな外交の相手ではありません。ASEAN地域フォーラムの結果は、日本や中国の対立国(中国の対立国であってASEANではないことがポイント)の完敗となりました。

緊迫続く南シナ海問題、外交巧者・中国に一人勝ち許す
カンボジアを抱き込む中国に対し、クリントン長官が巻き返し図る
小谷 哲男  日経ビジネスオンライン
2012年7月20日(金)


 ASEANと中国は2002年に「南シナ海行動宣言」に署名した。領有権紛争の平和的解決と、未占有の島における新たな建築物構築や居住を自制する、と各国が約束したものだ。しかし、この宣言に法的拘束力を持たせるための「行動規範」の策定は、この10年間、具体的な進展がない。

 それは、ASEAN加盟国の考えがバラバラで、中国につけいる隙を与えているからだ。南シナ海問題に関して、フィリピンとベトナムは、中国と激しく対立している。マレーシアとブルネイは、領有権を主張してはいるものの、中国との摩擦は少ない。さらに、南シナ海における領有権を主張していないインドネシア、シンガポール、タイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスは中国の対立がない。

 加えて中国は、後に述べるように経済的影響力を行使して、ASEAN加盟国が南シナ海問題で中国に対抗するのを阻んでいる。中国とASEANとの貿易総額は3600億ドル(約28兆円)に及ぶ。

 今年4月、フィリピンと中国の対立が激化した。フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあると主張するスカボロ礁で、中国漁船が不法操業をした。フィリピン当局がこれを取り締まったため、フィリピンと中国の艦船が2カ月わたってにらみ合う事態となった。これに対し中国はフィリピンからのバナナの輸入やフィリピンへの渡航を禁止するなど経済的な圧力をかけた。

 ベトナムと中国との応酬も激化した。ベトナムが6月、南沙・西沙諸島を領土とする海洋法を制定した。これに対して中国は、ベトナムが同国のEEZ内と主張する区域で、天然ガス・石油鉱区の探査を国際入札にかけると発表した。さらに、南沙、西沙、中沙の3諸島を海南省の「三沙市」に格上げした。

 今回のASEAN外相会議では、フィリピンとベトナムが排他的経済水域の尊重を共同声明に盛り込むよう求めた。だが、議長国のカンボジアがこれを拒否。共同声明の発表が見送られる前代未聞の事態に陥った(引用者注:45年にわたるASEANの歴史の中で初めて、共同声明が見送られた)。中国によるASEANへの“内政干渉”がこのような事態を招いたのである。そもそも、会議場となったプノンペンの平和宮殿は、中国の政府開発援助(ODA)を受けて建設したものである。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120718/234585/?mlp&rt=nocnt

 上記では省略してありますが、中国は議長国カンボジアに手土産として経済援助を多数行なっていました。
 日本の玄葉光一郎外相と米国のヒラリー・クリントン国務長官は歩調を合わせて、「行動規範」の策定協議を開始するよう、中国に対して繰り返し促した。しかし、ASEANの分断に成功した中国がこれに応じるはずはなかった。

 もちろん、アメリカもこのような状況を黙って見ているわけではない。クリントン米国務長官はカンボジアのフン・セン首相との会談し、投資や貿易を拡大する方針を伝えた。さらに、初の米・ASEANビジネスフォーラムも開催し、双方の政財界が集まって経済協力を議論した。

 アメリカがてこ入れするのはカンボジアだけではない。クリントン長官はプノンペン入りする直前に、20社以上の米企業関係者を引き連れラオスとベトナムを訪れた。そして、メコン川下流域開発に力を入れることを表明した。アメリカは、民主化に進展が見られることから、ミャンマーに対する経済制裁を緩和。経済的な関係の構築を急いでいる。

(中略)

 (引用者注:日本は)アメリカとともに経済的なてこ入れを強化する必要がある。中国は官民一体となってASEAN各国と経済的関係を強化している。たとえば、カンボジアに対するここ10年の投資総額は約89億ドルに及ぶ。これに対して、日本からの投資は5億ドルにすぎない。日本は2007年にカンボジアと投資協定を結び、その額を増やしている。けれども、中国の存在感の大きさにはかなわない。

 日本も官民を挙げて、ASEAN諸国との経済関係の強化に乗り出すべきである。カンボジアやラオスは、人件費が高騰する中国やタイからの生産移転先としても有望だ。それを支える法制度も比較的整っている。

 貢ぎ物の金額で競り負けた格好で、中国は日本&アメリカより上手(うわて)でした。


 これはタイトルで「買収できる国カンボジア」としたように、カンボジア特有の問題と見る人もいるかもしれません。

 ただ、先進国以外ではこういう国が多いでしょうし、他の国にもある程度通用すると見ておいた方が良いです。(中国は今のように大国になる前からアフリカ支援に積極的であるなど、大局的見地で物事を見れます)

 尖閣諸島問題にも通じると思いますが、多くの国を味方に引き入れるということはたいへん重要なことです。

 こういった長期的視点を持った外交は、日本も学ぶべきところがあります。


(11/25追記:
2012年11月23日0時51分 朝日新聞
中国の旅券に南シナ海地図 フィリピン・ベトナムが抗議

 【ハノイ=佐々木学】フィリピン、ベトナム両政府は22日、両国などと領有権をめぐり対立している南シナ海の地図を中国が自国のパスポートに印刷していることが分かったとして、中国側に抗議したことを明らかにした。地図には中国が主張する領海線が書き示されているという。

 フィリピン政府は「受け入れがたい主権の侵害」として、マニラの中国大使館に抗議文を送付。ベトナム政府も同様に中国側に抗議し、地図の削除を求めたという。
http://www.asahi.com/international/update/1123/TKY201211220969.html)


 追加
  ■親日の代表国台湾との尖閣諸島問題 日本と中国の関係にも多大な影響が

 関連
  ■中国人も予想外の反日デモ 一般人・知識人とごく一部の人との温度差
  ■中国の反日デモは官製デモ?尖閣諸島問題の政治的手段、ガス抜き、覇権争いなど、反日デモの多面性
  ■中国の反日デモの本質 現状への不満・鬱憤と政府・共産党への批判
  ■韓国、日本と中国の尖閣諸島問題に興味津々 漁夫の利か影響なしかマイナスか
  ■尖閣諸島上陸の香港活動家が過去に中国国旗を焼いていたと判明し、気まずい中国人たち
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