葬儀費用・葬式費用の相場はどれくらい?というのをやったことがあるので、
葬儀を明朗会計にしたら、「激安価格」になった 葬儀会館チェーン、ティアの冨安徳久社長に聞く(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年9月5日 佐々木明子)が気になりました。
引用元の記事にあるように、ティアというのは葬儀会館チェーンだそうです。
冨安徳久社長は"学生時代、破格のアルバイト代につられて体験した葬儀の仕事"で、"ある遺族が先輩に「本当にありがとう」と何度も頭を下げている様子を見"ました。
そして、"こんなにも人から感謝される仕事があるだろうかと感銘を受け、この業界に"入ったそうです。
しかし、葬儀費用が仮に適正価格でないとすれば、この「破格のアルバイト代」もまた不適正なものであったのかもしれません。
冨安社長は15年前、ブラックボックス化が常識だった(今も?)葬儀の値段を「明瞭会計」にしました。
ドライアイス、お花代、祭壇は種類ごと、すべてに価格を表示してみました。
すると、なぜか"ティアのトータルの葬儀代は業界平均の半額近くと、激安価格になって"しまったそうです。
冨安徳久社長の話をそのまんま受け入れて良いかはわかりませんけど、これは安くしようと思って安くしたわけではなく、自然とこうなったという主張です。
脱談合の希望社、公共工事の利益を返還で書いた希望社も、「適正な利益」という言葉を使って同じようなことを言っていました。元が高すぎると言うのです。
「だってね、どこのデパートに行ったって値段が書いていない商品なんてないでしょう? この業界だけ値札がある商品が1つもないんですから」
確かにそうだ。消費者の中には、身内が生きている間に葬儀や値段を考えるなんて不謹慎だという思いがある。そこに業界側もつけ込んで、価格をブラックボックス化し、「言い値」で執り行ってきた。親族が亡くなって、悲しみに打ちひしがれている時に葬儀社が来て、「早く決めてください」ということになれば、遺族は葬儀社の言いなりになるしかないだろう。業界の悪いイメージはそんなところからも広がっていった。
「だから私はそれを払拭し明確にしたかった。ガラス張りにしたかったんです」
明朗会計にした結果、ティアのトータルの葬儀代は業界平均の半額近くと、激安価格になっていた。
「どうしてこんなに安くできたんですか?」
「違うんですよ。原価を計算して、さらに自分たちも適正な利益が得られるように考えて価格を打ち出しますよね。これくらいが適正な価格かなと。それを業界の価格と比べたら激安に映っただけで、要はこれまでの業界の価格が適正ではなかったということなんです」
そもそも葬儀価格は、これまで利用者が比較することができなかったし、葬儀価格を値切るのもなんだか嫌だろう。
「利用者からは、『これしかお金を出せなかったのに、ここまでしてくださるとは』とか『安くしてもらってありがとう』と、本当に感謝されます」
同じ内容ですが、インタビュー部分では以下。面倒な方は読み飛ばしてOKです。
冨安:例えば、祭壇なら100万円っていう値段を誰が決めたかと言うと、葬儀屋が決めているだけ。お客様はほかとの比較もできないわけです。つまり、適正な価格でやっていたわけではない業界だったんですね。
原価を計算して、適正な利潤を得られる価格を打ち出して、初めてそれが適正価格になるんです。うちが15年前にそれをやって業界の価格と比べたら、激安価格に映っただけなんです。だから、僕は激安価格でやっているつもりは全くないんですよ。
お客様からは当初、「そんな安い金額でやれるわけない」って言われましたし、同業者も「あんな安い金額でやるのは嘘ですよ」って触れ回っていました。だけど、現実にうちを選んでいただいた方から、「こんな金額で、ここまでやってくれるの?」って言われるほど、1件ずつ丁寧に対応してきたらクチコミで広がっていったというのが現実です。
紹介する部分は以上で十分かな?と思いましたけど、価格が高くなるのは業界的な構造だと思わせる話もありましたので、そちらも引用します。
冨安: この業界ってすごく特異的なところがあって、93~94%ぐらいがいわゆる葬儀屋さんって言う“家内工業的”な経営母体でやっているんです。社員が50人以上いるようなところが、確か4%ぐらいしかない。
(中略)
冨安:今、日本全体の1%のシェアを持っている葬儀社はありません。年間115万人が亡くなっていますが、1万1500件やっているところはない。ある市や町の中で50%とか70%のシェアを持っている葬儀社はあります。
しかし、そういう葬儀社はその市や町から越境することはせずに、そこの地域内で圧倒的な自分たちの葬儀ビジネスをやっているんです。そんな地域では葬儀をするのに比較対象がありません。だからティアが出て行かなければいけないんですね。
比較のないところに、消費者がいいことなんてあるわけがありません。
なるほどね、これは確かに特殊な世界です。
言うまでもなく、独占の起きている業界では価格が高止まりしやすいです。
しかし、一般的に事業を独占する場合は、定義からしてたくさんの企業があるという状態では起こりません。
電力業界では家庭向けを地方ごとに独占していますが、飽くまで特殊な例です。普通は多くの企業があれば競争が起こります。
でも、葬儀業界では異なるようです。
社員が少ないから拡大しないのか、拡大しないから社員が少なくて良いのかわかりませんけど、結果的にかなり細かく地域独占(あるいは寡占?)する形になっているようです。
電力業界の独占パターンをより細かく、暗黙的にやってしまっているんですね。
先のブラックボックス化や死というものの特別視する感覚の方の影響が大きい気もしますが、こういった地域独占も葬儀費用が高い一因になっているようです。
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