ええ、なぜこんな衝撃的なニュースを知らなかったんだろうと自分でも不思議でしたが、113番目の元素の発見がほぼ確実になったそうです。
まだ、新しいの出てくるんですね。
新元素113番、日本の発見確実に 合成に3回成功
理研、命名権獲得へ前進
日経新聞 2012/9/27 0:16
理化学研究所は26日、元素の周期表で113番となる新元素の発見が確実になったと発表した。合成に3回成功し、新元素の認定に重要な証拠となる、別の元素に変化していく様子を詳しく観察した。国際学会から認定されれば元素の命名権が得られ、日本発の元素が初めて周期表に載ることになる。
(中略)
新元素は2004年に理研の森田浩介准主任研究員らが人工的に作り出した。05年に再び合成したが、データ数が少ないなどの理由で、国際学会は「発見」とまだ認めていない。
研究チームは加速器で原子番号30の亜鉛原子を同83のビスマス原子に衝突させて作った新元素が、放射線を出しながら瞬時に別の元素に「崩壊」する現象を詳しく捉えた。崩壊を6回繰り返し、既知の元素に変わった。
従来は4回までしか崩壊を観察できなかった。今回の成果は、新元素発見の十分なデータとなるという。日本に命名権が与えられれば初めてで、記者会見した理研の野依良治理事長は「科学技術立国として、日本発の名がついた元素を世界中の人が知っている周期表に載せたい」と話した。
ただ113番の元素については、理研とほぼ同じ時期に米国とロシアの共同研究チームも別の手法で発見したと主張している。国際学会の部会はどちらに命名権を認定するか話し合いを始めており、早ければ年内にも結論が出る見通し。
これまで周期表に載っている元素はすべて欧米の研究機関が発見、命名している。国や研究者にちなんだ名がつけられている例が多い。森田准主任研究員は「ジャポニウムや日本を代表する物理学者の仁科芳雄博士にちなんだニシナニウムなどを検討している」と話した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2604F_W2A920C1CR8000/ 2004年ですから、随分昔です。恥ずかしながら、全く知りませんでした。
ここらへんの古い話はあとで紹介しますが、とりあえず、新しい記事を5つほど読んだのでその中からもう少し。
ああ、そうか、欠番があった……と言うか、存在は予見されているけど、証明はされていないというものか。
うーん、そういえば、そんな話もあったかも。
新元素確定:電力不足乗り越え証拠つかむ…理研チーム
毎日新聞 2012年09月27日 00時12分(最終更新 09月27日 03時21分)
(略)
道のりは決して平たんではなかった。自然界に存在しない「超重元素」を人工的に作る実験を計画したのは20年以上前。原子を加速するための加速器を整備し、03年から113番目の元素を見つけるための実験を始めた。04年と05年に一つずつ見つけたが、その後は成果が途切れた。
チームリーダーの森田浩介・准主任研究員(55)は「(見つけたと)自信はあったが、これで結果が出なかったら打ち止めにしないといけないと覚悟していた」。追い打ちをかけたのが原発事故による電力不足。加速器を使った実験は膨大な電気を使うため、他チームが森田チームの実験を優先するなど協力した。
そんな中、朗報が飛び込んだ。今年8月18日、データ解析担当の大学院生が「それらしい兆候がある」と慌てて電話をかけてきた。「これまで発見した2個とは違うルートでの発見。死ぬほどうれしかった。今でも震えが来ます」
(略)
http://mainichi.jp/select/news/20120927k0000m040119000c.html さて、歴史の話。
現在のWikipediaの113番元素項目名ですが、ウンウントリウムとなっています。
こちらは聞き覚えがあり、元素表見て「変な名前」と思ったことがありました。
ややこしいんですが、未確定で別名が多数です。既に4つ出てきています。
・ウンウントリウム
・エカタリウム(タリウムの下の意味)
・ジャポニウム(日本の命名候補)
・ニシナニウム(日本の命名候補)
次はズバリ歴史という項目。
歴史
2003年8月、ドブナ原子核共同研究所とローレンスリバモア国立研究所による合同研究チームがアメリシウムとカルシウムからウンウンペンチウム(引用者注:115番元素)の元素合成に成功し、翌2004年2月、そのα崩壊の過程で0.48秒間観測したと発表したのが最初だが、未確定であり命名権は得られていない。
2004年9月28日、理化学研究所の森田浩介博士らのグループが、線形加速器リニアックを用いて亜鉛とビスマス(引用者注:83番元素)からウンウントリウムの元素合成に成功したと発表した。
この実験は80日間にわたって、2.5 × 1012個/秒(1秒間に2.5兆個)の亜鉛原子核をビスマス原子核に約1.7 × 1019回(1700京回)照射したもので、生成したウンウントリウムの原子核は344マイクロ秒(百万分の344秒)でα崩壊し、レントゲニウムとなった(同年7月23日の実験によって検出)。
2006年6月には更に、、ドブナ原子核共同研究所とローレンスリバモア国立研究所による合同研究チームが、ネプツニウムとカルシウムからの合成に成功したと発表している。
2009年にはドブナ原子核共同研究所やオークリッジ国立研究所などによるバークリウムとカルシウムからウンウンセプチウム(引用者注:117番元素)を元素合成する共同研究において、その崩壊過程で検出されている。
ウンウントリウムという名前についてですが、こちらのWikipediaでは説明されていませんでした。
別のWikipediaによれば系統名としており、要するに113という意味の仮の名前のようです。
原子番号 系統名の要素 系統名 元素記号 日本語名の要素 日本語名
113 un+un+trium Ununtrium Uut ウン+ウン+トリウム ウンウントリウム115 un+un+pentium Ununpentium Uup ウン+ウン+ペンチウム ウンウンペンチウム
117 un+un+septium Ununseptium Uus ウン+ウン+セプチウム ウンウンセプチウム
118 un+un+octium Ununoctium Uuo ウン+ウン+オクチウム ウンウンオクチウム
119 un+un+ennium Ununennium Uue ウン+ウン+エンニウム ウンウンエンニウム
120 un+bi+nilium Unbinilium Ubn ウン+ビ+ニリウム ウンビニリウム
121 un+bi+unium Unbiunium Ubu ウン+ビ+ウニウム ウンビウニウム
130 un+tri+nilium Untrinilium Utn ウン+トリ+ニリウム ウントリニリウム
140 un+quad+nilium Unquadnilium Uqn ウン+クアド+ニリウム ウンクアドニリウム
150 un+pent+nilium Unpentnilium Upn ウン+ペント+ニリウム ウンペントニリウム
160 un+hex+nilium Unhexnilium Uhn ウン+ヘキス+ニリウム ウンヘキスニリウム
170 un+sept+nilium Unseptnilium Usn ウン+セプト+ニリウム ウンセプトニリウム
180 un+oct+nilium Unoctnilium Uon ウン+オクト+ニリウム ウンオクトニリウム
190 un+en+nilium Unennilium Uen ウン+エン+ニリウム ウンエンニリウム
200 bi+nil+nilium Binilnilium Bnn ビ+ニル+ニリウム ビニルニリウム
201 bi+nil+unium Binilunium Bnu ビ+ニル+ウニウム ビニルウニウム
202 bi+nil+bium Binilbium Bnb ビ+ニル+ビウム ビニルビウム
300 tri+nil+nilium Trinilnilium Tnn トリ+ニル+ニリウム トリニルニリウム
400 quad+nil+nilium Quadnilnilium Qnn クアド+ニル+ニリウム クアドニルニリウム
500 pent+nil+nilium Pentnilnilium Pnn ペント+ニル+ニリウム ペントニルニリウム
900 en+nil+nilium Ennilnilium Enn エン+ニル+ニリウム エンニルニリウム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E7%B4%A0%E3%81%AE%E7%B3%BB%E7%B5%B1%E5%90%8D 先のWikipediaの名前の説明は以下でした。
命名
2011年1月に発表された、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書では、113番元素の認定は見送られている。
理化学研究所のチームは2005年4月2日には2個目の生成に成功しているが、2012年の1月に至っても命名はまだされていない。ドイツで発見されたレントゲニウムは3個目の生成後に命名権を得ているため、命名権を獲得するには、あと何回かの生成を成功させる必要がある。ただし、原子核同士を融合させるための装置を動かすのに数百万円から数十億円かかる。
日本で発見された初めての元素として認定される可能性があり、認定されれば命名権が発生するため、新元素の名称として、「ジャポニウム(予定元素記号Jp)」、「リケニウム(理研に因む、Rk)」が候補である。Jp が採用されれば初めて周期表に J が出現する。また書籍によっては「ニッポニウム (Nm)」も候補として検討されていたという。
また、増えて呼び名が6つです。
・ウンウントリウム(系統名、113)
・エカタリウム(タリウムの下の意味)
・ジャポニウム(日本の命名候補)
・ニシナニウム(日本の命名候補)
・リケニウム(日本の命名候補、脱落?)
・ニッポニウム(日本の命名候補、脱落)
報道ではジャポニウムばかりでしたので、既成事実化してこれで決まりかもしれません。
なお、脱落したニッポニウムにはこんな逸話もあります。
1908年(明治40年)、小川正孝は43番元素を発見、ニッポニウム (nipponium, Np) と命名したと発表したが、後に43番元素が地球上には存在しないことが判明するとこれは取り消され、元素記号として使用する予定だった Np もネプツニウムに使用された。現在ではこの時発見されたのはレニウムであると考えられている。当時、X線分光装置が手に入らず、正しい測量ができなかったため、誤って43番元素で原子量およそ100の元素として発表した。レニウムが発見されたのちに小川正孝自身で、発見した元素の正しい測量が行われた形跡がある。研究体制さえしっかりしていればレニウムは、ニッポニウムだったかもしれない。ちなみに43番元素は人工的に作られたテクネチウムである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0 また、未発見元素は実はまだ多量にあるようです。
原子
番号 元素
記号 IUPAC名 周期/族 電子配置 電子殻
113 Uut ウンウントリウム 7, p1 [Rn]5f146d107s27p1 2, 8, 18, 32, 32, 18, 3
115 Uup ウンウンペンチウム 7, p3 [Rn]5f146d107s27p3 2, 8, 18, 32, 32, 18, 5
117 Uus ウンウンセプチウム 7, p5 [Rn]5f146d107s27p5 2, 8, 18, 32, 32, 18, 7
118 Uuo ウンウンオクチウム 7, p6 [Rn]5f146d107s27p6 2, 8, 18, 32, 32, 18, 8
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AA%E7%99%BA%E8%A6%8B%E5%85%83%E7%B4%A0%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7 周期表に普通載っている118番までで見つかっていないのは上記だけですが、これ以降は全部未発見。
何と218番までありますから、上記を除いてあと100個……私たちが生きているうちにあと何個見つかるんでしょうね?
(見直していて気づいたんですが、その前の系統名の説明ではもっと大きい数字まで命名法を決めてあるので無限にあるってことかも)
追加
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