アメリカのEBTカードというのが気になって、その周辺を含めて調べ物です。
まず、
Wikipedia。
フードスタンプ
フードスタンプ(Food Stamp)とは、アメリカ合衆国で低所得者向けに行われている食料費補助対策。公的扶助の1つ。現在の正式名称は「補助的栄養支援プログラム」(SNAP)。
概要
形態は、通貨と同様に使用できるバウチャー、金券の一種。一般のスーパーマーケットでも使用できる。対象は食料品であり、タバコやビールなどの嗜好品は対象外となる。このため、嗜好品を購入しようとする者が、フードスタンプを売買する例が報告されており問題視されている。
換金、売買などの詐欺が横行し、問題になっている。
いきなりですが、フードスタンプの欠点が出ています。
順番的には先に利点を……が良かったんですけど、大きなメリットとして食品にしか使えないことが挙げられています。使途を限定できるんですね。
で、ぜいたく品は買えない……はずなのですが、実際には換金・現金化しようとする人がいるようです。効率は落ちますが、自力でもやろうと思えばできるかもしれません。
また、規模が比較的小さいので大したことなさげですけど、
軽減税率の問題と同様にある商品を食品に含めるか否かで揉めたり、利権絡みでといった心配もあります。
続き。
需給状況
所管省庁は農務省であるが、基準の設定や運用は、州毎に任されていることから受給資格はまちまちである。概ね、4人家族で月収入2,500ドルを下回ると対象者となることが多く、最大1人あたり月100ドル相当のスタンプ(スーパーマーケットなどで使用可能なデビットカードの形式が多い)が支給される。ある程度の自給自足が行われる地方では、受給対象となる収入でも十分に生活が維持できるとされ、フードスタンプの存在を知らない、制度を知っていても受給しない者も多数存在しているとされる。米国農務省の2012年8月31日の発表によれば、受給者数が4667万0373人に達したと報じられている。
歴史
1964年、ジョンソン大統領が貧困対策の一つとして制度化した。当初は、さほど重要視されず1980年代の一時期には予算の削減も行われたが、1990年代以降、政争のテーマとしてしばしば取り上げられるようになった。貧困対策として手っ取り早く、かつ、目に見えるものであったためである。需給者資格は、選挙の機会を通じて拡大するようになった。
2000年代に入ると対象枠の拡大とともに所得格差が進行したこともあり、受給者層が拡大。2004年度に約2,200万人であった2007年度には約2,800万人へと拡大し、2010年3月にはアメリカ合衆国農務省の統計によると、4,000万人を超えた。2012年には4600万人とされ、一説には5000万人とも言われている。2008年、ブッシュ大統領は肥大化するフードスタンプ制度について異議を唱え、受給資格を拡大する農業法案に対して拒否権を発動したが、選挙間近という状況もあり、下院議会は大統領拒否権を覆す大差で法案を可決した。また不況を背景に、2008年度以降も需給対象者が拡大することは、ほぼ確実である。
2012年アメリカ合衆国大統領選挙において、制度の拡大を提唱しているバラク・オバマ陣営と、縮小を主張している共和党側で争点の1つになっている。
メリットで検索したのもので下記のもの。
インテリジェンス辞書(略)
フードスタンプによって食料を購入する場合は,名前や住所の提示は必要とされていない。このことがフードスタンプの転売の原因になっているとして批判されることがある。このため,運営コストの低減とともに虚偽利用を防止するためクレジットカード化が進められている。
このカード化が先に書いたEBTカードじゃないかと。
日本でクレジットカードの現金化が問題になったように、これが虚偽利用防止の切り札となるかは疑問です。
しかし、私がEBTカードに一番興味を示した理由はその前の「運営コストの低減」です。これはいいなぁ!
ただ、システム導入時には莫大なお金がかかるでしょうね。
また、「運営コストの低減」はアメリカの前のやり方と比較して……であり、日本との比較は不明です。
私としては可能性を感じるのですが……。
以下は
アメリカに増え続ける、フードスタンプって?より。
最近フードスタンプを支給されるようになった人によく見られる傾向だが、ドーソンは、この制度を悪用する人が多いと指摘する一方で、自分自身はそれにはあてはまらないと主張する。彼いわく、「補助を受け取るためにわざと結婚しない人」がいるのに対し、自分自身は結婚しているし、教会に通っており、家も所有している。フードスタンプを利用して「ステーキを買い込む人」もいるが、自分自身は政府のお金でコーヒーや炭酸飲料といった贅沢品は買わないようにしているという。彼はそれを「倫理的に間違っているような気がする」からだと説明する。
ドーソンは、月に1度、フードスタンプが新たに支給されるタイミングで、真夜中の買い物客が急増することに最近気づいた。政策アナリストなら、こうした人々を見て、飢餓が広まっている証拠だと考えるが、彼の目に映るのは単に怠惰(たいだ)な人々だ。彼は、「働いていないのにそんな時間に起きているなんて、毎日何をしているのだろうか」と疑問に感じるのだ。
やはり悪用が多いということ。
でも、役には立っています。
「以前は、政府の補助を受けている人は怠け者に違いないと思っていた。でも今はフードスタンプによって、子供たちを食べさせてやれるという安心感を得られるようになったんだ」
サンディ・バーンスタイン(66)は不況により、貧困者への同情の念を抱くようになった。保険事業で成功を重ねてきたバーンスタインは昨年、退職後の悠々自適な生活を始めたばかりだった。しかし、金融危機で保有していた証券口座の資産額が急落。人生を考え直したくなった彼女は、全米退職者協会(AARP)とオハイオ州セカンド・ハーベスト・フードバンク協会が行っている、福祉プログラムのボランティアに志願した。
貧困者というのは、とにかくがむしゃらに補助金を勝ち取ろうとするものだと思っていた彼女は、なかには懸命に説得しないと補助を申請しようとしない人もいることを知って驚いた。
「ここに来ると、博識で饒舌、身なりも立派な普通の人に会います。一緒にランチに出かけてもおかしくないぐらいです」
次は
貧困層のフードスタンプに群がる米国外食産業 景気後退の足音に身構える米国民(要登録 日経ビジネスオンライン 2011年10月3日 加藤靖子)。
連邦政府が支給するフードスタンプ(低所得者層向けの食料配給カード)の受給者は、ここ一年で12%増、2年前に比べると30%も増えている。貧困ラインの生活を強いられた国民は、社会保障によってようやく生活成り立たせているような状況だ。現在フードスタンプは、スーパーマーケットなどで野菜や飲み物、パンといった調理前の食品に利用できるようになっている。しかし、利用者の急拡大が起こったことにより、マクドナルドやピザ屋など、ファーストフード店舗もプログラム参入を狙う動きを見せる。お金に困窮する低所得者が持つフードスタンプ市場は、今やシェア争いが繰り広げられる成長分野なのだ。
さっきは大したことないかも……と書きましたけど、考えてみれば景気が悪くなればなるほどフードスタンプの重要性は増すわけです。(景気悪化で通常の購買量が減る、かつフードスタンプ支給は増えるのでその購買量が増える)
やはり企業としては狙わないはずがないでしょうね。
EBTカードについては
KUMAの、見た・感じたアメリカ(11 月 10, 2010 at 8:19)から。
低所得家庭を対象にフードスタンプ ( 食料券 )を交付する連邦政府のプログラムで、実務は州政府が行っている。
2008年10月には、「補助栄養援助プログラム」( Supplemental Nutrition Assistance Program : SNAP )に名前が変更されている。
2009年6月、紙製のクーポン券から「EBT」( Electronic Benefit Transfes )と呼ばれる磁気カードが登場、政府が受給者用に用意した専用の口座から代金が引き落とされる仕組みになった。
(中略)
今までお店で見て来たEBT所持者を見ている限り、本当に働けなくて、生活が苦しいのでもらっている、と言える人ばかりではないのでは?と思わざるを得ない。
州にもよるが、上限1人あたり$130もらえるとして、本当に生きて行く為だけの食品を買っているのだろうか?新発売のお菓子や、別に栄養にもならない食べ物を買っている。
身なりも結構良い人もいるし、明らかにこの補助の為に結婚せず、同居して子供を生んでパートナーと暮らしている人も多い。
フルタイムで働くともらえなくなるので、その範囲でしか働きたくなくて、怠け者の人も多そうに見える。
不満の多い内容です。
最後、内容が充実していた
衝撃の生活保護ビデオ:チャプター「It's Free Swipe Yo EBT」 | live & direct from the USA。
充実しすぎていて引用が多くなりすぎそうで、後に回しました。
主目的はミュージックビデオの紹介です。
(略)
EBT(Electronic Benefit Transfer)とは生活保護費が振り込まれるデビットカードのことで、「要するに『福祉で暮らす未婚の母』讃歌じゃないの!」と、この曲は多くの見識ある黒人女性の怒りを買った。
ビデオにはチャプターを筆頭に、数人のフーチーママ(*)が子どもたちを連れてゾロゾロと買い物に出掛けるシーンがある。EBTでジャンクフード三昧だ。(中略)結婚する気など全くなさそうな浮かれたブラザーたちと、とんでもなくヒワイなダンスを繰り広げる。どの男が赤ん坊の父親なのか定かではない。そんなことはどーでもいいのだ、すでに子持ちでEBTを受け取っている女性がさらに子どもを生むと、その分、受給額が増えるのだから。
*フーチーママ Hoochie Mama =ゲットーファッションの派手な女性
「黒人女性はバンバン子どもを産んでは福祉にタカっている」ー これはアメリカでは定石の低所得者非難だが、チャプターはそれに真っ向からチャレンジしているように見える。「とにかく、これが現実なのよ」と。歌詞にはWIC、Section 8など他の低所得者支援策の名も引用され、「これが納税者の収めた税金の行き先です」のアナウンスが挟まれている。
先月、ニューヨークで12人の子どもを持つシングルマザーが、ギャングの銃撃戦に巻き込まれて亡くなる事件があった。この件をブログに書くと、読者さんから「一体どうやって12人もの子どもを育てていたのか」という質問があった。その答えが「It’s Free Swipe Yo EBT」だったのだ。
しかし、独り身で12人も生むのは"さすがに問題"であるものの、黒人/ラティーノ社会には"一方的には責められない社会背景"があると言います。
男性が「結婚したがらない」し、「稼げない」のだ。稼げない理由は、「高校中退で就職不可能」「単に働く気なし」「ヤク中/アル中」「刑務所の中」「行方不明」「死亡」と様々。そんな最小限の養育費すら払えない男は相手にせず、まともな男を見つけろと言っても、ゲットーにはそんな男ばかりで、まともな男の絶対数が足りない。そもそも女性自身も低学歴で就職が難しく、そこに子どもが出来てしまっては、もうお手上げ。あとは福祉街道まっしぐらとなる。そして、そんなライフスタイルを称賛はせずとも「仕方ない」と受け入れる土壌が、ゲットーにはある。
この(中略)ビデオへの反応が知りたく、夫に観せてみた。(中略)フーチーママも、EBTマザーも見慣れている夫だが(中略)正に「開いた口が塞がらない」状態。(中略)
これこそチャプターの狙いなのだと思う。黒人自身は見慣れてしまった、しかし実は異常な事態を、黒人社会に改めて突き付けてみたかったのだ。
ワンステップ踏む分、現金化はハードルが上がります。ですから、現金支給よりは良いんじゃないか?という期待をちょっとしています。
しかし、フードスタンプにすればめでたしめでたしといった単純な問題でもなさそうですので、そこらへんはフードスタンプ推進派の人も心得ておきましょう。
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