水に『よい言葉』をかけると美しい雪花状の結晶ができて、『悪い言葉』をかけると汚い結晶ができる…という話を書いた書籍『水からの伝言』。ニセ科学ですらオカルトなのですが、道徳教材として採用されて問題となったことがあるそうです。これを広めていた教師集団は、他のニセ科学も拡散しており、困ったことになっていました。
2009/8/22:
●よい言葉で結晶がきれいに…オカルト道徳教材『水からの伝言』の嘘
●「美しい結晶」「汚い結晶」は主観 波動測定器を販売するための宣伝本?
●ゲーム脳など…『水からの伝言』だけじゃない疑似科学道徳教材5つ
2018/04/06:
●『水からの伝言』など3つの疑似科学を学校で拡散の教師集団がいる
●よい言葉で結晶がきれいに…オカルト道徳教材『水からの伝言』の嘘
2009/8/22:『水からの伝言』という本があるそうで、これに関する話がおもしろかったです。
水からの伝言-Wikipediaによると、この本は「著者らが開発した方法で撮影した『雪花状の氷』の美しい写真を収録」しています。ただ、紹介しているのではなく、結晶に良い・悪いがあるとされていました。
作者の江本勝さんらは「結晶を作る際に『ありがとう』や『平和』など『よい言葉』をかけると美しい雪花状の結晶ができて、『ばかやろう』や『戦争」など『悪い言葉』をかけると汚い結晶ができるという物語」を本に書いているとのこと。言葉のかけ方は「紙に言葉を書いて、水から見えるように水をいれた瓶の内側に貼る」、「水の入った瓶に向かって声をかける」、「音楽を聴かせる」などで、これは結晶成長時ではなく、凍らせる前の水に対してだそうです。
本に載っている写真は「小さな霜」であり、「雪や霜と同様に『気相成長』でできたもの、つまり種となる氷に周辺の水蒸気がくっついてできたもの」だとのこと。「結晶の形は中谷宇吉郎が研究した雪の結晶形の成長条件に従って、雪花状に成長するかどうかは温度と水蒸気量で決まる」ことがわかっていると主張されていました。
作者は「『水からの伝言』を『ファンタジー』『ポエム』である、即ち科学ではなく物語であるとしている」としている一方で、「いずれは証明されるものとして語られており、事実でないことには触れられない」という卑怯な逃げ道を用意。ただ、これが道徳教材に広く使われてしまい、「疑似科学以前のオカルト」であるため問題視されたといいます。私は全然知りませんでした。
●「美しい結晶」「汚い結晶」は主観 波動測定器を販売するための宣伝本?
このWikipediaの記述だけで思うところとしては、以下のような疑問が湧きましたが、あまりにも荒唐無稽なので、あまり真面目に考えても仕方ないのかもしれません。
1.そもそも「よい言葉」、「悪い言葉」とはどう定義するのか?主観的で客観性はないのではないか?
2.同様に「美しい結晶」、「汚い結晶」というのも主観によるのではないか?
3.「水が見る」、「水が聞く」という現象は一般的に知られていないのが、そういう現象があるとすればそれを知覚する器官はどのように説明するのか?
Wikipediaの文末の外部リンクをいくつか読みましたが、
「水からの伝言」を信じないでください(田崎晴明)が非常に親切、丁寧かつわかり易く書いてありました。
また、
「水からの伝言」を教育現場に持ち込んではならないと考えるわけ( 2005.11.28 阪大サイバーメディアセンター 菊池誠)では、「結晶形の良し悪し(美醜)を言葉の良し悪しと関連づけることは、『人を見かけで判断してはならない』という道徳と矛盾するように思います」など多数の例を挙げて、この教材を使った道徳教育を批判しています。
他に
やっかいな「水からの伝言」 世界一の誤解 市民のための環境学ガイド(安井至)においては、「(本の中で)波動測定器、波動転写器なるものによる商業的価値を高めるための意図が隠されている」と指摘されていて、どうやらその商品の宣伝的な意味合いが強そうでここらへんは「ゲーム脳」(関連:
ゲーム脳なんてない)と同様のようです。
●ゲーム脳など…『水からの伝言』だけじゃない疑似科学道徳教材5つ
そうえいば先の
「水からの伝言」を教育現場に持ち込んではならないと考えるわけ(2005.11.28 阪大サイバーメディアセンター 菊池誠)では、「水からの伝言」の他に「授業に取り入れられてしまいそうなその他のニセ科学」というものを5つ取り上げていて、ここに「ゲーム脳」もありました。それらを引用しておきます。
・ ゲーム脳の恐怖
・ 脳内革命
・ 100匹目の猿
・ EM菌
・ 奇跡の詩人
ここらへんも今後調べてみたいなと思いつつ、今日はここで終わりにします。
●『水からの伝言』など3つの疑似科学を学校で拡散の教師集団がいる
2018/04/06:最後に出てきた疑似科学道徳教材5つ。古い投稿なので、修正したいのですけど、その後、他の4つのニセ科学道徳教材についても書いています。
ゲーム脳なんてない…α波・β波を理解していない森昭雄教授、
脳内革命、100匹目の猿、
EM菌、奇跡の詩人という投稿です。
また、『水からの伝言』と似た感じで音楽で良い効果があるというのでは、
モーツァルト効果はない クラシック音楽で幼児のIQ上昇は迷信をやっています。他にも、クラシック音楽を聞かせると食べ物がおいしくできる…みたいな話もありますよね。
それから、ニセ科学道徳教材5つのうち水からの伝言・ゲーム脳・EM菌という3つを拡散していた教師グループTOSSというのがあり、
EM菌を持ち込んだTOSSと向山洋一氏 ゲーム脳・江戸しぐさ・水からの伝言もで書いています。TOSSは他にも疑似科学系のものをやりまくっていて、困った人たちです。
【本文中でリンクした投稿】
■
EM菌を持ち込んだTOSSと向山洋一氏 ゲーム脳・江戸しぐさ・水からの伝言も ■
モーツァルト効果はない クラシック音楽で幼児のIQ上昇は迷信 ■
ゲーム脳なんてない…α波・β波を理解していない森昭雄教授 ■
脳内革命、100匹目の猿 ■
EM菌、奇跡の詩人【関連投稿】
■
植物が意識を持っているという話 ■
スティーブ・ジョブズ、すい臓がん、スピリチュアル、マクロバイオティック ■
脳内革命、100匹目の猿 ■
Oリングテストの普及度とやり方 ~一人で、二人で~ ■
科学・疑似科学についての投稿まとめ
Appendix
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