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35歳以上になるとニートじゃなくなる?ニートの定義、ひきこもり・無職・失業者・アルバイト・専業主婦などの扱い


 前々から気になっていたのですが、ニートの定義がよくわかりません。人によって違うようで、それはさすがに誤用では?という用法も見かけますが、定義自体がないのではとも思いました。が、厚生労働省がきちんと定義していたようです。

 ただ、定義に従うと、35歳以上になるとニートじゃなくなるという不思議な現象が起きてしまい、問題がありそうでした。(2012/10/7)

2017/12/11追記:ニートに対する政府と日本人の偏見


●ニートはNEETというイギリスの用語が元ネタ

2012/10/7:本来のニートはNEETであり、イギリスで作られた用語だそうです。Wikipediaによれば、「Not in Education, Employment or Training」の頭文字をとってNEETとのこと。

 Educationは教育、Employmentは(労働者の)雇用、Trainingは訓練でそれがNotということですから、教育、労働、職業訓練のいずれにも参加していない状態を指します。
元は、1999年にイギリスの政府機関・社会的排除防止局が作成した調査報告書『BRIDGING THE GAP』の中にある一文「Bridging the Gap:New Opportunities for 16-18 years olds not in education, employment or training」(日本語訳「ギャップを埋める:教育、雇用、職業訓練に参加していない 16〜18歳の若者に対する新しい機会」)の"Not in Education, Employment or Training"という部分の頭文字を採り、"NEET"と略したものが始まりである。そのためイギリスにおける“ニート”とは、教育、雇用、職業訓練のいずれにも参加していない、義務教育修了後の16〜18歳(もしくは19歳)までの者と定義されている。なお、BBCニュースの報道によると、2005年時点で"NEET"に該当する若者がイギリス全土に15万人いると推計されており、これは、16〜18歳(19歳)人口のおよそ9〜10%に相当する数字だという。

●イギリスのNEETは働く意志のある人も含む

 パッと見て日本のニートと異なるのは年齢の範囲でしょう。おそらく日本人で16〜18歳の若者という限定した範囲を指して使っている人はほとんどいないと思われます。

 また、Wikipediaにはなかったものの、新聞の1面を飾った「新卒ニート3万人」ってホント? メディアによる「調査結果」の意味づけにご用心(要登録 日経ビジネスオンライン 2012年9月14日 上西充子)では、以下のように書いています。
日本版「ニート」と英国のNEETの概念との大きな違いは、失業者を含んでいるか否かだ(ほかに年齢幅などの違いもある)。英国のNEETは、若年失業者を含んでいる。しかし日本版「ニート」では若年失業者は除かれている。

 ネガティブなイメージの強い日本のニートは、働く意志がないとみなされる場合が多く、働く意志のある失業者と区別されることは多いと思います。


●複数あったニートの定義

 ただ、最初にいろんな使い方を見かけるといったことを書いたように、仕事を持っていない人を広範にひっくるめてすべてニートと言っている人もいます。そういう個人的な使い方までは網羅できませんが、Wikipediaでの主な定義を見てみます。

<厚生労働省の定義 若年無業者(ニート)>
 15〜34歳の年齢層の非労働力人口の中から学生と専業主婦を除き、求職活動に至っていない者。総務省の労働力調査の『特定調査票集計』の中の「詳細集計」がベース。

<内閣府の定義>
 各種学校(高等学校、大学、専門学校の他、予備校も含まれる)に通学しておらず、独身であり、ふだん収入になる仕事をしていない、15歳以上35歳未満の個人。総務省が実施している『就業構造基本調査』がベース。
 厚生労働省と差異は無いが、決定的に違うのは家事手伝いの女性を含めている点。同研究調査の企画分析委員長にして東京大学社会科学研究所の助教授(いずれも当時の肩書き)である玄田有史が、家事手伝いとニートに差異はないと判断したため。
 二重基準を指摘されたため、現在は使われていない。


●無職・専業主婦はニート?

 それから、似た概念ですとか、分類の迷うものについて。

<無職>

 無職=ニートという用法を結構見かけますが、無職には様々な状態があり、それによって違います。以下のそれぞれの状態を参考にしてください。

<専業主婦>

 主婦をニートだと言っている例も見たことがありますが、前述のどちらの定義においても専業主婦は除かれています。



●失業者・バイト・フリーターの扱い


<失業者>
"定義上、失業者は労働力人口の「失業者数」に分類されており、そのうち常用雇用(定義では正社員や派遣労働者)での就労を希望する無業者であれば、具体的な求職活動に至っていない場合でも「ニート」には分類しないこととしている"

 したがって、就職したいという気持ちがあればニートではありません。具体的な求職活動は問わないそうですから、答え方次第ですね。しかし、厚生労働省の定義をよく見直すと"求職活動に至っていない者"とありますので、この基準だと希望だけではニートと分類されそうです。

 内閣府調査では求職型・非求職型(無業者のうち、就業希望を表明しながら、求職活動や開業の準備をしていない個人)・非希望型に分けていますので、こちらの基準かもしれません。Wikipedia内で整理されていませんね。前述の通り、現在は厚生労働省の定義が正とされますので、"求職活動に至っていない"人はやはりニート分類とされそうです。


<アルバイト、フリーター>
"アルバイトまたはパートタイマーでの就労を希望する者の場合には扱いが少々異なる。アルバイトやパートでの雇用形態で就労を希望する無業者のうち、求職活動に至っていない者であれば「ニート」、これらの雇用形態での就労を希望して具体的な求職活動に至っている者であれば「フリーター」に分類している。この差異の理由については明らかではない"

 ということで、バイトをしていたり、探していたりすればニートではありません。が、普通の仕事と区別されていて、バイトやパートをやろうと思っている段階の人はニートとされるようです。

 ですから、「とりあえず、バイトを始めようかなと考えています」の状態ではまだニートであり、具体的に何か行動していないといけません。こちらは厚生労働省の定義とは矛盾しなそうです。


●ひきこもりとの区別

<ひきこもり>
"厚生労働省の定義では、いわゆる引きこもりを若年無業者(ニート)の「就業希望を有しない者」(2009年の調査でおよそ33万人)に含めており、実質的に引きこもりを「ニート」として扱っている。ところが、2010年に内閣府が行った初の引きこもり全国実態調査(15〜39歳対象)では、引きこもりに該当する者は69.6万人いると推計されることが発表され、この数と「就業希望を有する」ニートの数およそ30万人を合わせれば、単純計算でニートの推計は実に100万人にも及ぶ。これは厚労省の定義や上記の分類とは明らかに矛盾したものであり、厚労省研究班班長として「引きこもり」新ガイドラインを作成した齊藤万比古は異論を唱えている"

 こちらも混乱が見られるようですが、現在は厚生労働省の定義が正ですので、ひきこもりはニートの中に含まれると思われます。

 なお、あるひきこもりの研究者によればひきこもりもまた多種多様であり、一緒くたにして捉えるのは間違っているという話です。それはもっともなことだなとは思いますが、今回は深入りしません。


●35歳以上になるとニートじゃなくなる?

<35歳以上 中年ニート>
"ニートの定義は前述の通り15歳~34歳であり、定義上では35歳以上はニートと見なされない。しかし、実際には、35〜49歳の中年層の無業者は増加傾向で、そのうちの非求職型+非希望型の人は、2002年において48.6万人いるとされ、「青少年の就労に関する研究調査」においては中年ニートと呼ばれている。ニートは若年者だけの問題と思われがちだが、中年ニートの状況も深刻である。"

 現在の定義だと35歳まで粘ると、ニートでなくなることになります。しかし、呼び名として「中年ニート」というものを与えられていますので、ニートでないというのは半分嘘のような微妙な感じです。


●差別用語のようになっているニート

 以上ですが、Wikipediaでもニートという言葉の使われ方の問題が指摘されていました。
偏見・差別

本田由紀や後藤和智らは、「ニート」という語が大きな誤解を招き、偏見や差別が助長され、それによりニートの状態にある者の社会参加が困難になったと主張する。前述の通り玄田有史によってアルファベットの"NEET"が“ニート”と言い換えられただけではなく、玄田がイギリスのそれとは異なる「教育を受けておらず、労働や職業訓練もしていない“15歳”から34歳の若者”」と定義したことや、玄田以外の学識経験者や教育関係者らの持論(「働く意欲のない若者が増えている」など)に基づいたマスメディアの報道などが寄与したと指摘し、「ニートという語を使用すべきではない」と強く訴えている。

スラング

ニートという言葉は、半ばスラング、レッテル貼り的に用いられることが多い言葉であり、それぞれの定義の違いにより食い違いが発生することがままあり、無職やフリーター、外出を必要としない職業(為替取引、アフェリエイト等)にも用いられることがあるが、英語本来の定義からは離れる。

マスメディアの報道姿勢

ニートという語が使用されるようになって以降、テレビ・新聞などのマスメディア上では一種のニートバッシングがなされていることに対し、懐疑的な見方をするテレビ視聴者も少なくはなく、放送倫理・番組向上機構(BPO)などには、差別や偏見の助長を懸念する旨の意見が寄せられている。寄せられた指摘の中には、「たとえ自らの意志で就労を拒否したとしても、それを他人が攻撃する資格も権利もない」という意見もあった。また、いわゆる「やらせ」の疑義も持たれている。

●働かざる者は恨まれやすい

 「たとえ自らの意志で就労を拒否したとしても、それを他人が攻撃する資格も権利もない」は立派ですけど、結局働かなくて済む大金持ちに対する妬みといっしょで、収入を得る活動をせずに生きていける人ってのは反感をもたれやすいというのはある程度仕方ないでしょうね。

 また、経済的な貢献をほとんどしていない、逆に社会に負担をかけているというのも、反感を買う要素かもしれません。「憎むな」というのは難しい要求のような気がしますが、「ニート」って言うな! (光文社新書)のレビューを紹介しておきます。
出版社/著者からの内容紹介

なぜこの誤った概念がかくも支配力を持つようになったのか

「ニート」とは、働かず、就学もせず、求職行動もとっていない若者を指す言葉で、日本では二〇〇四年頃より使われ始め、その急増が国を揺るがす危機のように叫ばれている。様々な機関が「ニート」の「人間性」を叩き直そうと「支援」の手を差し伸べており、多額の予算が動いている。
このような状況下において、本書では、まず、日本での「ニート問題」の論じられ方に疑問を覚える本田由紀氏が、「ニート」という言葉自体の不適切さを量と質の両面から明らかにする。
また、『いじめの社会理論』の著者である内藤朝雄氏は、「ニート」が大衆の憎悪と不安の標的とされていることを挙げ、憎悪のメカニズムと、「教育」的指導の持つ危険な欲望について解説する。
さらに、ブログ上で「俗流若者論批判」を精力的に展開し注目を浴びている後藤和智氏が、「ニート」を巡る言説を詳しく検証する。


旧世代に対する啓蒙の書 2006/1/17

「ニート」なる言葉が言霊が幸わう国である日本で一人歩きをしていることに対する三者三様の批判となっています。マーケティング言説として徘徊したACやら負け犬やらパラサイトシングル、最近だと下流社会と同様に消費されているだけで、実態をなんら伴っていないということを鋭く批判しています。

そのような空虚な言葉が独り歩きすることで逆に有益な対策がとれないということを対案とともに指摘しているのが本田氏の部、そのような空虚な言説が安直に受容されてしまう(ゲーム脳、虚構と現実の区別がつかないといったまさに俗流若者論そのもの)文脈の分析を施しているのが内藤氏の部、そしてマスコミ、言論人の間での「ニート」の消費のされ方を具体的に指摘しているのが後藤氏の部となっています。空気に流されてなんとなく受容することなく目をひらく書としてお勧めします。


メディア・リテラシーの勉強にもなりますね 2006/3/3

 非常に理性的に現在のヒステリックな「ニート」批判を読み解いており、感心します。同時に、生半可な知識で「ニート」について仲間内で論評していた自分が恥ずかしくなりました。

 これは、たまたまニートに関してですが、人間は物事を気分や思い込みで捕らえがちであり、マスコミがそれを煽り、亡霊のような言説が真実と異なる原因をバッシングするという構図は中世の魔女狩りの例を出すまでもなく、行われてきたのでしょう。

 ホロコーストとまでは行かないまでも、「ニート」「ひきこもり」批判の風潮を上手に利用され、全体主義的な「徴兵制」「強制的集団活動(強制収容所的)」などの基本的人権をないがしろにした政策が実行されないよう、国民一人一人が気をつけるべきでしょう。

 「若年層のことだから」「自分はサラリーマンでニートとは関係ないから」と思わないで下さい。個人の自由を許さない不寛容な思想は、一度力を持つと歯止めがかからなくなることは、歴史が証明していることです。




 本田由紀さんは"若年失業者の増加を「雇用システム」の問題であるとして指摘している"としていたそうです。確かに大部分の失業者の増加はこちらが主体であり、若者自身の問題とは言えません。これを見失ってしまうと、社会の問題点を解決せぬまま放置することに繋がり、指摘する価値があります。

 ただ、この若年失業者は先に見た通りニートには含まれないはずです。おそらくこの本で書いているニートはお役所定義のニートではなく、巷に流布しているニートが主体なんだと思われます。


●ニートに対する政府と日本人の偏見

2017/12/11追記:厚生労働省が若年無業者(ニート)の定義を作っているのは、求職活動も行っていない人たちを把握しておく必要があるためでしょう。しかし、このような人たちは若者に限りません。「35歳以上になるとニートじゃなくなる」というのは、国の想定の甘さを示しています。

 厚生労働省の定義では、ひきこもりはニートの中に含まれており、かなり近い概念でした。なので、この若者のことしか考えていないせいで問題が起きているというのは、そのままひきこもり問題においても言えます。この話は、この投稿の後に引きこもりの65%が40歳以上の調査 若者特有の問題という大誤解でやっていました。

 もう一つ、ニートを「憎むな」と言ってもなかなか難しい…ということに関しては、日本人は妬みや足の引っ張り合いが好き説 アメリカ人と比較研究した結果は? フリーライダー(ただ乗り)に関する実験という投稿を補足的に紹介。

 フリーライダーの概念はいろいろあってややこしいのですけど、その一つの実験において、日本人がアメリカ人以上にフリーライダーを嫌うという結果になっていました。なので、働かずに暮らしている人に対しても、日本人の憎しみは他の国の人以上に大きい可能性があります。


【本文中でリンクした投稿】
  ■引きこもりの65%が40歳以上の調査 若者特有の問題という大誤解
  ■日本人は妬みや足の引っ張り合いが好き説 アメリカ人と比較研究した結果は? フリーライダー(ただ乗り)に関する実験

【関連投稿】
  ■引きこもり・不登校の恐ろしさ 脱出しても社会に仕事はほとんどない
  ■離職率の高さは就職時や辞めたいと思ったときの就職環境が大きい 若者自身の問題というのは俗流若者論か?
  ■新人は仕事ができないことを学生も会社も認識せよ
  ■子供を養う必要があるのは何歳まで?ニートを追い出した親に批判集中
  ■引きこもりがいる家庭での家族の対応 基本は何もしないで見守るだけ?
  ■引きこもり・ニート支援サービス「レンタルお姉さん」に批判
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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