アップルは別に技術的には優れている会社ではなく、熱心なアップル信者はむしろそういったところを含めたアップルらしさと捉えているようです。で、iPhoneでは、カメラを使うと写真が紫になったり、ボディがやたらと傷つきやすくなっていたりという問題が出ていました。ともに旧モデルでは起きなかったものです。
これに対する回答がまたアップルらしくて、「そういうものだから正常です、気にすんな」というもの。他の企業だったら叩かれそうなものなのですけど、アップルだと許されちゃうんでしょうね。
…という話を書いていたのですが、そのアップルが謝罪したという話を冒頭に追記。旧機種の稼働速度を意図的に下げて使いづらくしていたんだそうです。
2018/01/05:
●アップルが謝罪、iPhone旧機種の稼働速度をわざと低下させていた件で
●稼働速度は下げたが「寿命を意図的に縮るようなことはしていない」
2020/03/31:
●アップルの陰謀?古いiPhoneのパフォーマンスを落としていた理由
2012/10/8:
●iPhone5のカメラのパープルフリンジ・紫色のフレア問題が話題に
●写真が紫色になってしまう!でも「仕様で正常」とアップルが回答
●他にも問題が発生…アルミニウムボディの傷つきやすさも問題に
●アップル「傷を嫌がるユーザーはケースを付けて使うから問題ない」
●むしろアップルすごい!傲慢さが許されるのはアップルが強いから
●アップルが謝罪、iPhone旧機種の稼働速度をわざと低下させていた件で
2018/01/05:
エプソンが詐欺、インク残っているのに残量1%で交換…は誤解か?で追記した話は、エプソンが製品の寿命を計画的に短くしているとして、フランスの検察当局が消費者保護法に基づき調査を進めているという話でした。
また、ここで出てきた消費者団体HOPは、エプソン以外にもキヤノンやブラザー工業も糾弾していました。しかも、それだけじゃなくて、実を言うと、アップルの名前も出ていたのですよ。これはもちろんプリンターの話ではありません。
消費者団体HOPは2017年12月27日、米アップルが「iPhone(アイフォーン)」旧機種の稼働速度を意図的に下げていたことについても、申し立てをしていました。こちらはプリンター各社と異なり、企業側も事実と認めていることみたいですね。
アップルは2018年12月28日、自社製品の寿命を意図的に縮るようなことはしていないとしながらも、旧機種の稼働速度を意図的に下げていたことについて謝罪し、一部端末を対象に割引価格でのバッテリー交換を提供すると発表したそうです。つまり、事実なんです。びっくりしますわ。
●稼働速度は下げたが「寿命を意図的に縮るようなことはしていない」
「自社製品の寿命を意図的に縮るようなことはしていない」とよくわからない言い訳をしていたのは、エプソンに訴えられる可能性があるとされていたのと同じ、フランスの法律の関係です。
フランスでは2015年、意図的に製品の寿命を短くして消費者に買い替えを強制することを禁止する法律が可決されているのです。こうした行為があった企業に対しては年間売上高の5%に当たる罰金、会社幹部には最長2年の禁錮刑が科されてしまいます。
(
意図的に買い替えを強制か、エプソンを調査 仏検察:AFPBB News(2017年12月29日 10:41)より)。
なので、アップルは旧機種の稼働速度を意図的に下げて使いづらくしていたのは事実だけど、旧機種の寿命を短くしていたわけではないと慌てて言い訳したんですね。どっちにしたってクソなんですけど。
ただ、稼働速度を意図的に下げて使いづらくしていたというのは、結局、買い替えを促そうってことですよね。旧機種が遅いと、「やっぱり古いからだよね、新しいのだったらもっと早いだろうな」と思いますもの。
エプソンの方は実を言うと証拠がはっきりしておらず、真実かどうかわかりません。それより本当に使いづらくしていたアップルの方がずっと問題がある気がするのは、私の気のせいでしょうか?
●アップルの陰謀?古いiPhoneのパフォーマンスを落としていた理由
2020/03/31:今さらですけど、稼働速度を下げていた原因についての補足情報があったので追記。
アップル、旧型iPhoneのパフォーマンス低下には理由があると主張 | Business Insider Japan(Dec. 21, 2017, 01:00 PM Tech Insider)という記事です。
まず、前述の通り、パフォーマンスを落としていたのは事実。iPhoneのプロセッサーが使用する電力を制限し、この電力制限にともなって、プロセッサーのパフォーマンスが制限される場合があるそうです。
ただし、アップルが言うには、旧型iPhoneのパフォーマンスを低下させることが目的ではないとの説明。電力制限が目的であり、その電力制限は電源がオフになる現象を防ぐために追加された新しい機能だということでした。突然の電源オフは実際多発していた時期があり、そのバグの修正のため…といった説明みたいですね。
<我々の目的は、顧客に最高の体験を提供することにある。それにはトータルなパフォーマンスとデバイスの寿命をできるだけ長くすることが含まれる。リチウムイオンバッテリーは、低温環境、電池残量が少ない時、あるいは電池が古くなっている状態では、ピーク電流の供給能力が低下する。その場合、電子部品を保護するために突然、電源がオフになることがある。
昨年、我々はこうした状況で突然、電源がオフになる現象を防止するため、ピーク電流を円滑化する機能をiPhone 6、iPhone 6S、iPhone SE向けにリリースした。この機能は現在、iOS 11.2を搭載したiPhone 7向けにもリリースした。そして将来的に他の製品にも搭載していく予定だ>
●iPhone5のカメラのパープルフリンジ・紫色のフレア問題が話題に
2012/10/8:アップルのバッシングがしたいわけじゃないのと、アップルに関してはもっと書きたいことがあるのでさらっとやりますが、iPhone5は様々な問題を抱えているようです。
iPhone 5:「パープルフリンジ」問題など 2012年10月2日 WIRED.jp TEXT BY CHRISTINA BONNINGTON
(略)iPhone 5を空に向けて、明るい午後の日光と雲の写真をInstagram用に撮影すると、なんてことだ! できた画像は、太陽の強い光のあたりが不気味な紫色になっている。
これはパープルフリンジという現象だ。紫外線や赤外線の迷光、画像処理の問題、反射防止のレンズコーティング、露光過多などさまざまな原因が考えられる。
iPhone 5の場合、アップルが赤外線カットフィルターを外したため、「iPhone 4S」よりもレンズフレアがひどくなっていると指摘されている。
また、iPhone 5の新しいサファイアレンズのせいである可能性もあり、「PetaPixel」のカメラ好きたちはこれを問題にしている。しかし、宝石のサファイアから連想されるような色は、サファイアガラス(人工的に巨大結晶に成長させたサファイア)をレンズにする過程で取り除かれているはずだ。
iPhone 5はこれまでのiPhoneよりもパープルフリンジ問題をうまく解決しているとするテスト結果もある。しかし、例えば「PCMag」の調査によると、複数の主要スマートフォン(iPhone 5、iPhone 4S、「iPhone 4」、サムスンの「Galaxy S III」、HTCの「One S」)のうち、この手のレンズフレアの問題はiPhone 5がいちばんひどく出ているという。
http://wired.jp/2012/10/02/iphone-5-problems/
●写真が紫色になってしまう!でも「仕様で正常」とアップルが回答
何と主要スマートフォンで最低の出来だそうな。しかも、これに対するアップルの回答がすごくて笑いました。
米アップル、iPhone5のカメラ紫色問題は「仕様」であると回答 2012年10月2日 07:44
CNETは1日(現地時間)、iPhone 5のカメラを使用して明るい光源を写した際、紫色のハロが発生する問題は「仕様(正常)」であるとする、アップルサポートの公式回答を掲載しています。この情報はGIZMODEの英語版が伝えたもの。
AnandTechなどの報告によると、明るい光源をフレーム内に収めて紫のハロを発生させてしまった場合、光源をフレームに収めなくても紫のハロが継続するという話がありましたが、これも仕様という判断なのかもしれません。
アップルの回答では「撮影の際には、明るい光源から遠ざけたカメラアングルを推奨する」としており、修理や交換などの対応は行わないようです。
iPhone 4の時には発生していなかった問題だけにやや残念のような気がしてなりませんが、仕様として対応することになったようです。
http://ggsoku.com/2012/10/apple-iphone-purple-camera/
●他にも問題が発生…アルミニウムボディの傷つきやすさも問題に
こちら以外にもう一つ結構な問題だなと思ったのが、アルミのボディについてです。先ほどのワイアードでもこの話は出ていました。
iPhone 5が各自の家に届き始めるとすぐに、箱から出した直後なのに、そのスマートな新しい機体に傷があることに気づく者が出てきた。またある者は、背面がガラスプレートから酸化皮膜処理されたアルミニウムに変更されたことで、特にブラックモデルにおいて醜い傷がつきやすくなったことに気がついた。
筆者もまた、iPhone 5を使ってわずか数日にして、45度に面取された縁の部分にいくつか傷ができたことに気がついた。
IHS社のアナリスト、ケヴィン・ケラーによると、アップルはiPhone 5で初めて「MacBook」や「iPad」で使われているのと同じアルミニウムのユニボディ構造をiPhoneに採用した。CNCマシンを使って、1枚のアルミニウムをくりぬいていく方法だ。(中略)
iPhone 5のアルミニウムは、仕上げに酸化皮膜処理がされているが、これは基本的に腐食と染料で着色する加工であり、その上からさらに保護仕上げのようなものはされていない。
傷つきやすさはiPadやMacbookではそれほど問題になっていないが、iPhoneは鍵と一緒にポケットにしまわれたりする。
●アップル「傷を嫌がるユーザーはケースを付けて使うから問題ない」
そして、こちらもアップルは似たような回答をしています。すごいなぁ、アップルは。
2012年09月26日 12時39分 更新 「iPhone 5のキズはアルミ製品としてはノーマル」──フィル・シラー氏がユーザーに回答
iPhone 5、特に黒いiPhone 5のふちの部分が削れて地色が見えてしまうことが一部購入者の間で話題になっているが、Appleのフィル・シラー上級副社長によると、これはアルミ製品としては正常なことのようだ。[佐藤由紀子,ITmedia]
「アルミ製品は使っているうちにキズが付いたり削れたりするもので、その結果、地の銀色が見える。それは正常なことだ」──。黒いiPhone 5を使っているユーザーから「ふちの部分がかけてしまったが何か対処法はあるか」とメールで尋ねられ、米Appleの上級副社長、フィル・シラー氏がこう答えた。米ブログメディアの9TO5Macが9月25日(現地時間)、そのメールの画像とともに伝えた。(中略)
シラー氏にメールを送ったユーザーは「対応する計画はあるか?」と聞いているが、シラー氏はそれには答えていないので、今のところキズについては気にしないか、すぐにカバーを装着するしかないようだ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1209/26/news060.html
最初のワイアードでは"「傷を嫌がるユーザーはケースを付けて使うから、これはそれほど大きな問題にはならないだろう」とケラー氏は述べている"ともありました。何かあんまりな回答のような気もします。
●むしろアップルすごい!傲慢さが許されるのはアップルが強いから
確かに顧客が無理難題を押し付けているのであれば、オフィシャルがこういった対応をすることもある程度仕方ないところではあると思います。
ただ、どちらの問題も今までできていたことができなくなっている…というケースであり、ユーザーとしては改悪されたという印象を持ってしまうのも致し方ないでしょう。顧客としても当然の感想だと思います。
こういった傲慢さはアップルらしいとは思いますし、技術的に劣るところもむしろアップル信者の方はアップルらしさだと前向きに捉え、それを覚悟できていない新参が悪いといった様子の方もいました。
まあ、そういう一見さんお断り・お客にうるさく注文をつける頑固親父のラーメン屋みたいなものというのはあっても良いわけで、その点はとやかく言わなくてもいいんじゃないかと思います。(個人的にはそういうお店は苦手ですが)
ただ、私が気になるのは、そういった姿勢が許されていたアップルの魅力に陰りが見えた点です。アップルは斬新な製品を提供し続けてきたからこそ、前述のようなわがまますらも受け入れられていたのであって、それが失われてしまったとすると話が違ってきます。
iPhone5発売前の情報から私はそういった点が気になっていて、一度書こうかなと思っていたのですが、他に書くことあるし、アップル関連の話題でもこういうおもしろニュースが入ってきてしまうのでなかなか書けていませんでした。
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