●トヨタは自動車会社ではなくて金融業の会社?利益の3割が金融事業
2012/10/15:ソニーが金融業をやるなど多角化していることには批判があります。赤字のソニーは金融業のお陰でいくらか助かったという話も書いたことがあるのですが、一般的には「本業がダメなくせに」とこれまたネガティブ。ただ、これは多角化したから良くなっているという話であり、私は悪いことではないはないと思うんですけどね。(2021/09/02追記:その後、ソニーでは本業含めて全般に復活しています)
今回読んだ
主力企業、金融が収益源 今期見通し、トヨタは利益の3割 本業との相乗効果が鮮明(要登録 日経新聞2012/9/6付)という記事は、「金融業が本業を助けている」よりさらに一歩進んだ見方かもしれません。「主力企業の間で金融事業が収益の柱に育っている」というのです。
<イオンなど小売り大手では2012年度の営業利益に占める金融事業の比率が10%を超え、トヨタ自動車も約3割を稼ぐ見通し。円高や世界景気の変調で業績の先行きに不透明感が強まる中で、本業を補う安定収益源として金融の重みが一段と増している。
金融事業を展開する主力企業40社では11年度の営業利益に占める金融の比率が27%に達した。07年度は7%にとどまっていた。自社製品の販売促進など本業を補う狙いで戦略的に強化してきた成果が表れている>
●多角化で金融業が大成功 トヨタ、イオン、ソニー、ホンダ、セブン&アイ、楽天
たくさんの企業が紹介されていましたので、まとめてみましょう。いずれもかなりうまくいっていることがわかるという事例でした。ソニーの場合は、「稼ぎ頭」であり、一番頼りになる事業が金融業のようです。
<イオン> 前期比約3割増、電子マネー「WAON(ワオン)」の利用拡大がけん引。
<セブン&アイ・ホールディングス> コンビニエンスストア店舗に設置するATMの利用者が増加。
<トヨタ自動車> 自動車ローンが好調、東日本大震災などで生産が低迷した12年3月期に営業利益の8割超が金融。本業が回復する13年3月期も約3割の見通し。
<ホンダ> 前期は震災の影響があったとはいえホンダの同比率は7割強
<楽天> インターネット金融部門の営業利益は前年同期の約2倍。けん引役は楽天カードと銀行。通期では営業利益全体の2割以上になる可能性。
<ソニー> 本業との関連性は薄いが、着実に収益が拡大。前期は薄型テレビなど本業の赤字を一部埋める。4~6月期の連結営業利益が62億円にとどまる中、金融は275億円と、稼ぎ頭。
トヨタ、ホンダは自動車ローンというわかりやすいもので、日産も好調なようです。これは本業と大いに関係があります。イオン、セブン、ソニーはいずれも銀行へ異業種参入していますが、記事の内容を見ると、「銀行だけ」の話ではない感じですね。銀行以外も含めた金融業で稼いでいるのだと思われます。
●誰がやってもうまく行かなかったイーバンク、楽天銀行になって大変身
楽天も楽天銀行がありますが、こちらの経緯はちょっと特殊。ここは当初異業種参入ではなく、新たに誕生したイーバンク銀行というネット専業銀行でした。しかし、イーバンクはずっとうまく収益を上げられず、投資元も次々と変わる始末で成功しなかったんですよね。確か一時はヤフーも出資していた記憶があります。
ところが、楽天が買い取ってから急変。ポイントでネット通販という本業との相乗効果を狙ったサービスを始めます。ネット専業銀行が成果を上げるにはやはりこういったアドバンテージがないとなと思っていましたし、逆に言えば今度はうまく行きそうな感じがしました。記事を読むとやはりうまく行っていそうです。
イーバンクと同時期に始めたジャパンネット銀行は、一時イーバンクにも出資していた記憶があるYahoo!との連携で急伸し、イーバンクと差が開きました。しかし、最近は手数料関係を改悪したりしていますので、経営がやばいんじゃないだろうかと危ぶんでいます。
ジャパンネット銀行の
Wikipedia読むと、株式会社三井住友銀行 59.70%、ヤフー株式会社 10.45%、日本生命保険相互会社 10.41%ですね。ジャパンネット銀行が三井住友銀行の子会社だったとは知りませんでした。
"口座数は日本初のネット銀行として当初はトップを保っていたが、2005年(平成17年)に[3]イーバンク銀行(現・楽天銀行)に追い越されている"ということで、イーバンク時代に既に負けていたみたいです。あと、
財務ハイライト・決算情報というのを見てみると、そこに載っている5年間は普通に黒字です。それでも、利益の割合が悪いのかな?何でこんなに改悪しているんでしょう?
●トヨタの利益の8割が金融 ものづくりがダメで負け組になると批判
すっかり話が逸れて楽天銀行とジャパンネット銀行の話になっていました。私がこの金融業でおもしろいと思うのが、トヨタやホンダやソニーといった製造業が成功していることです。私が「ものづくり」という言葉に反発を覚えるというのもあるんですが、別にこれでもいいと思うんですよね……と思ったら、まさにその「ものづくり」が第一という視点で批判している記事があったようです。こちらだと金融が3割ではなく8割となっていました。
<以前に本コラムでも指摘したが、トヨタと日産の勢いの差は歴然としている。2011年3月期の連結決算の営業利益額では、トヨタは日産に負けた。09年3月期にリーマンショックの影響でトヨタが赤字に陥った時を除き、通年でトヨタの営業利益が日産を下回ったのは初めてだ。
詳細を見ると、トヨタの売上高は0・2%増の18兆9936億円、営業利益は約3・2倍の4682億 円。これに対して日産の売上高は16・7%増の8兆7730億円、営業利益は72・5%増の5374億円。トヨタの売り上げの半分にも満たない日産に利益額で負けるということは、いかにトヨタが低収益に悩んでいるかが分かる。営業利益率も日産が6・1%なのに対してトヨタは2・5%しかない。
さらに深刻な問題もある。トヨタはリストラが遅れて過剰設備と過剰人員を抱えているため、
もの造りで利益が出ない収益構造になっているのだ。自動車産業は「シルバーストーン曲線」に見られるように、稼働率が高まれば高まるほど大きな収益が期待できるが、その逆に稼働率が落ちると、とてつもない大赤字に陥る。
トヨタはいま、営業利益の76・5%をローンなどの金融事業で稼いでいる。まだ高い格付けを活用して市場で有利な条件で資金を調達し、それをリースやローンの原資に回している構図だ。ちなみに日産の営業利益に占める金融事業の比率は約18・7%。このデータからは日産の方が本業で稼いでいる、と言える。
倒産した米ゼネラル・モーターズ(GM)もかつて過剰設備に悩み、本業はさっぱりだったが 、収益の9割以上を「虎の子」の金融子会社で稼ぎ、どうにか生き延びていた。トヨタの収益構造は、かつてのGMとそっくりになっている>
ソース(引用者注:リンク切れ、元は現代ビジネスの雑誌か?)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110630-00000001-gendaibiz-bus_all
http://logsoku.com/thread/toki.2ch.net/bizplus/1309637050/ 記事では、トヨタの経営ははっきり言って、「青息吐息」であり、このままでは自動車産業界の「負け組」に入るかもしれないと書いていました。この話があった2ちゃんねるのレスをちょっと見ていると賛同が多いですね。過剰設備と過剰人員は確かに私も問題だと思いますが、ものづくり第一という思想はどうかと思うんですけど…。
というのは、以前、
ドル箱がオワコンに…会社には寿命はないが、事業には寿命があるというのを以前書いていたため。事業を変化させた方が良いという話です。創業の事業にしがみつく方が没落パターンとしては多いのかもしれません。私としては得意なところを伸ばせば良いと思いますし、年によって浮き沈みあるんですから、様々な事業がお互いに助け合えば良いと思っています。
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