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日本は技術者の年収安すぎ…だから海外流出・外資系企業への転職が増加する


 "日本人技術者、海外企業の引き抜き 韓国サムスンへの転職者の話"(2012/10/25)という投稿に東芝の話を冒頭に追記して、"日本は技術者の年収安すぎ…だから海外流出・外資系企業への転職が増加する"(2017/08/02)にしました。


●迷走東芝を見限り、原子力事業部門などの技術者が外資系へ転職

2017/08/02:「優秀で割安」シャープ・東芝の技術者が、続々外資に流出中(磯山 友幸) | 現代ビジネス | 講談社(2017.8.2)によると、経営危機に直面する東芝から、有能な技術者が次々と流出しているそうです。先行きの見えない原子力事業部門などを中心に、会社を見限る動きが強まっているのだそうです。

 転職支援会社のコンサルタントは、「今まで、市場に出て来なかったようなピカピカの技術者が転職活動しています」としていました。しかし、「かなりの割合で外資系企業に転職している」ということで、日本企業はあまり対象となっていないようです。

 もともと外資系企業は、日本の独特な採用慣行に苦戦していました。日本では、研究室とコネのある企業にそのまま就職するケースが多いためです。で、このところの日本の製造業の“崩壊”によって、転職を希望する技術者が一気に「労働市場」に現れ始めたというチャンスになっていました。


●日本は技術者の年収安すぎ…だから海外流出・外資系転職が増加する

 さて、なぜ日本企業ではなく、外資系企業に行ってしまうのか?という話ですが、これは日本企業が従業員を大事にしていないためです。米国が本社の大手IT企業の人事担当役員は、ズバリ「日本の技術者の報酬が安すぎる」と指摘していました。

「大学院の修士課程を終え、日本の製造業の現場で10年前後の経験を積んだ即戦力が1000万円ですから。海外の常識からすれば、考えられない水準です」

 東芝から外資系企業に転職した中堅技術者の場合、年収は東芝よりも3割近くも増えたといいます。

 日本企業にも一応言い分があります。終身雇用が暗黙の了解事項のため、30歳台の給与は市場価値に比べて低く抑えられているものの、その代わり、市場価値が落ちた50歳台になっても高給が保証されるのだというものです。

 ところが、日本では既に終身雇用が崩壊気味。日本を代表する製造業の経営危機が相次ぎ、そもそも会社が残っているか危うい状態ですからね。

 そのような危機的な状態になって、自分の将来をよーく考えてみると、技術者の待遇が日本では過度に低いことに気づいてしまった…というわけです。


●人件費をケチる日本が悪い!本当に流出が嫌なら、技術者を大切にすべき

 これについて、はてなブックマークは、技術者にとって良いことではないか?というむしろ望ましいとする反応が人気になっていました。

“日本を再建するには、大手企業を全部外国に売っぱらえばいいような気がしてきた。”(uchya_x 2017/08/02)
“「最も現場で仕事をしている中堅」が救われるならいい話だ。日本にとっても、外資であれ日本経済に寄与してくれるなら、死に体の大企業より、よほど良いだろうし”(estragon 2017/08/02)
“日本が人件費をケチりすぎ”(D_Amon 2017/08/02)
“イイハナシダナー”(ad2217 2017/08/02)
“技術を金で買わない経営者。これは当然の流れだよね。”(morototo 2017/08/02)

 記事では、"東芝など日本の代表的な企業が経営危機に陥ると、「日本の技術を流出させるな」といった議論が盛り上がる"と書いていました。でも、そもそも技術流出を防ぎたいのなら、技術者を大切にすべきなのです。それが一番の流出対策なのに、全然やっていないんですね。


●政府が技術流出を防ぐはずの東芝から技術者流出

 なお、"「優秀で割安」シャープ・東芝の技術者が、続々外資に流出中"というタイトルだったものの、本文にはたぶんシャープというワードはなかったと思われます。おそらく編集が勝手につけたタイトルなのでしょう。

 このシャープに関しては、産業革新機構案こそ技術流出?ホンハイがシャープ買収で危機の嘘という話を書いています。このとき使った記事によると、産業革新機構が買収した場合の方が技術者流出=技術流出が増えるだろうとのことでした。

 また、東芝、やっぱり国が救済 実質的に韓国SKハイニックスが買収か?で書いているように、政府はシャープを買ったホンハイを異常なほど敵視しており、技術流出阻止を建前にして、ホンハイの東芝買収を防ごうとしています。

 その裏で、当の東芝から技術者がどんどんと流出しているのですから、アホくさい話です。


●韓国サムスン、日本人技術者を引き抜き

2017/08/02:ここで台湾や韓国の企業の話が出てきました。上記の記事では一切触れていなかったものの、日本人技術者は韓国、中国、台湾の外資系企業にかなり行っていると思われます。

 このページでもともと書いていたのは、"日本人技術者、海外企業の引き抜き 韓国サムスンへの転職者の話"という韓国サムスンの話でした。サムスンは今勢いないんですけどね。以降はその話をどうぞ。

2012/10/25:あれ?そんなのずっと前からやっていたんじゃないの?と不思議に思ったのですが、今はさらに深刻化しているという記事が、2012年4月にありました。
韓国サムスンが日本人技術者引き抜き加速、人材戦略弱い国内勢 2012年 04月 23日 11:46 JST

[東京 23日 ロイター] 韓国サムスングループが日本人技術者の引き抜き攻勢を強めている。巨額の赤字に苦しむ国内電機各社による事業縮小と人員削減。開発環境や処遇が悪化すれば優秀な技術者が自ら会社を離れても不思議はない。(中略)

「ここ半年、人事担当役員が直接、コンタクトしてくる」――。某大手ヘッドハンターがサムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)などサムスングループによる日本人技術者引き抜きの様子を打ち明ける。これまでは日本に常駐するヘッドハンティング専門部隊が打診してきたが、最近は給与を即決できる役員からの「一本釣り」も多いと語る。(中略)

ある技術者に提示されたサムスンの処遇はこうだ。役職は取締役。年収は6000万―1億円で、契約期間は3―5年。年収とは別に、転職に伴う契約金が数千万円支払われる。専属秘書と運転手付きの車が支給されるほか、30坪超の家具付きマンションが無償貸与される。日本への帰省費用、家族の韓国への招待等も会社が実費負担する。

ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)やパナソニックの技術者らによると、部署や職種、残業の有無などによって多少違いはあるものの、両社の40代技術系社員の年収は800万―900万円前後。人員削減にとどまらず、業績悪化に伴う一律賃金カットも優秀な人材ほど士気が下がるという。所属部署の縮小が決まったある国内メーカー技術者は「将来が不安。好きな研究が続けられてグローバルな製品に採用されるチャンスがあるなら、条件次第では韓国勢への転職もありうる」と漏らす。
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE83M01520120423

 なお、記事では、"サムスンでは、すでに年収アップを狙う転職者も現れている"ことも指摘。海外企業ではこのように転職はよくあるものです。


●君が日本の技術者ならサムスンに移籍しますか?

 もう一つ、似た話題の記事が日経新聞にありました。
君が日本の技術者ならサムスンに移籍しますか
現代世界の歩き方(15) 東工大講義録から 2012/9/3 3:30

 東京工業大学で4月から始めた講座「現代世界の歩き方」は今回が最終講義です。そこで今日は韓国サムスングループ企業に転職した日本人技術者Mさんの決断と行動について、皆さんの意見や考え方を聞き、議論したいと思います。(中略)

 Mさんは10年ほど前、日本のある精密機器メーカーで次世代ディスプレーとして注目されていた有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの研究に携わっていました。ところが会社は一向に事業化を決断しようとしません。ちょうど自身の将来に疑問を持ち始めていた頃、韓国のサムスンSDIの社長、副社長、専務が訪ねてきたのです。(中略)切々としたサムスン側の協力要請に心が揺れます。決して好待遇ではありませんでしたが、韓国では外国人技術者の所得税を5年免除する制度もありました。一技術者として生きる道を優先し、韓国での技術指導を決断したのです。

 (中略)ところが、Mさんが所属していた部門とサムスン電子の部門との統合を契機に、2008年末に退社し、帰国しました。しかし、Mさんは「日本のライバルであるサムスンに技術指導をした」という理由でいくつもの日本企業の採用面接に落ち、再就職の道を閉ざされてしまいます。現在は台湾の大手電子機器メーカーの顧問として、中小型有機ELの量産技術開発に取り組んでいます。サムスンに負けないビジネスを育てたいとも決意を語っているのです。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO45514050Z20C12A8000000/

 当時は好待遇じゃなかったそうな。授業ではこの生き方について賛否を問いましたが、意外なことに"「賛成」に挙げてくれた学生がざっと全体の90%以上"でした。
 学生A この人は、日本では冷遇されていたところへ、韓国サムスンからの勧誘を受けて動いたわけです。日本で働く以前の問題として、自分の技術者としての能力を世界レベルの会社で技術を生かしていくことが重要だと思います。日本の技術をどうするといったナショナリズムの問題もあるかもしれませんが、技術者であるなら、よりよいものを世の中に作っていくことは当然のこと。それが日本で実現できないのであれば、海外に行ったとしてもやむを得ないと思います。

 学生C 基本的にはこの技術者の考えに共感できるんですけれども、ひとつ僕の意見を言うと、力のある者はどんな環境でもその力を発揮できる環境に行くべきだということだと思います。今回、特に共感できているのは、記事中にある「この技術者の研究を評価しなかった日本メーカーの判断が『技術流出』を招いた面がある」という指摘の部分です。
 今回、サムスンだったから言われるのだろうけど、国内企業に転職したら、日立製作所やパナソニックだったらそんなに言われなかったんじゃないか。たとえばA社では研究ができないからB社へ移ったとしても、それは当たり前なのかなと思うんですよ。大学でもありますよね。日本の大学からヘッドハンティングされて米国の大学に行くってパターンです。
 もう一つ気になったのは、この技術者が日本企業に再就職しようとした時に「出戻り技術者の雇用を禁止」という部分がありますが、これは日本企業にとってはもったいないんじゃないかな。意地の張り合いみたいで無駄だと思いました。

●戦力外通告された技術者を叩く学生も

 しかし、この後は反対意見も出てきます。
 学生D 先ほど、(賛成でも反対でもない)「それ以外」に手を挙げました。よくよく意見を聞いていたら、僕の考えはやっぱり「反対」でしたので手を挙げました。どちらかというと反対というのは、「サムスンに行くから」とか「国内技術の流出になるから」とか言う前に、技術者の姿勢としてほとんどの技術者がそうなんですけど、整っている環境で仕事をもらって研究を続けるという姿勢では、仕事をさせられているのだからどこにいても変わりがないのではないか。
 そうではなくて、「サムスンに引き抜かれるくらいの人材なんだから俺のいうことを聞け」ぐらいのことを会社に言える人にならないと、技術者が道具として使われ続ける状態は変わらないと思うんです。逆に弱気になり過ぎているんじゃないかと感じました。


 ありがとう。この技術者は引き抜かれたわけですね。ということは、引き抜かれていくのではなくて、「俺がサムスンに引き抜かれてもいいのか」と日本の企業の中で戦う方がよいということかな。米国企業などでよくあるよね。「ヘッドハンティングがありました。これだけの報酬を提示されたんだけど、どうでしょうか」と上司に言うわけですね。すると、会社が慌てて、「それ以上出すから移るのは待ってくれ」と言ってくることがあります。会社にそう言わせるわけだな。

 学生E 自分はこの技術者の考え方は共感できません。もともとこの記事自体がこの人のことを一面的にしかとらえていないのではないかと思います。10年くらい前、2000年代の初め頃というのは、有機ELそのものがどれくらいの技術なのか、評価が不明瞭だったと思います。記事では有機ELを事業化できなかった経営陣を批判しているようですが、当時としては、「事業化しても100%大丈夫だ」と判断できた人はどれくらいいたのだろうか。難しかったと思います。これをもって冷遇されたと言い切って良いモノなのだろうか。まずこの点が、ハッキリ言って気持ちが悪いです。
 この人の考え方についてですけれども、自分自身以外のことがわかっていないのではないでしょうか。技術者は使い捨てられているといった表現がありましたが、私にはこの会社には「使い捨てられてしまうだけの技術者がいた」と読むことができます。先ほどの方と同じ意見です。
 サムスンSDIでは守秘義務に違反しないよう技術開発に取り組んだとありましたが、日本企業で研究開発の環境を与えられ、お金をかけて育ててもらった技術者がライバル企業に転じたとなると、育てた企業はどう思うでしょう。再就職活動をしたとしても、他社に転職してしまう恐れを感じていたら、果たして採用するでしょうか。投資を回収できないと判断すれば、会社は選んでくれないと思います。リスクが大き過ぎると会社は判断するのではないかと、個人的には思っています。このため、私はこの技術者の選択に共感できないのです。

 気持ち悪いって言っちゃうのが、気持ち悪いわ。思わず笑っちゃいました。

 上司を説得するというのも能力のうちというのは確かに一理あると思います。ただ、こういう日本企業の風土は日本企業で働く国内外の外国人からも言われており、結局海外の人も上司を変えることはできていないようです。人を説得するというのは難しいですね。

 また、企業方針を変えるというのは、もともとなかなかたいへんです。リスク・責任を負うのは上部であり、決定権が強いのも上部です。理想論としてはわかりますが、現実的には難しいようです。

 スポーツ選手と技術者をいっしょにしちゃいけませんが、使って貰えないスポーツ選手が移籍したときに同じ感想を抱きますかね? いわば有機EL技術はレギュラー外しの宣告がされたということであり、チーム内でアピールし続ける以外に、スタメンで使ってくれるところに行くという選択肢が出てくるのは自然です。それで選手を叩くってのは間違いでしょう。


●日本企業はそもそも技術者の流出に脅威に感じていないの?

 記事では、技術者が韓国企業に移ったことが企業にとって打撃だったのか・影響なかったのか?台湾企業に採用された場合どうだったのか?といったところが不明でした。

 企業としては自社で活躍させずとも飼い殺しにするだけで、他社の成長を抑えるという考え方もできると思います。

 マイクロソフトが優秀な企業を買収してダメにするのが得意なんて揶揄されたこともありましたが、それでも確実にライバルは潰せていたわけで効果がなかったとまでは言えません。

 三国志時代の曹操は人材マニアとして知られていますが、他国への良い人材を使わせないという効果もあったと思われます。

 まあ、余裕のない今の日本企業には辛いでしょうけどね。


●東工大の学生も

 さて、最初は賛成が多かった学生たちですが、反対意見を聞いて心が揺らいだのか、この後次々と寝返っていきます。ここらへんの軽さはちょっと心配になるなぁ…。

 この調子で会社の役員たちも説得できりゃ、簡単なんですけどねー。どっちかと言うと言いくるめられてしまう方なのでしょう。前述の説得しろ!と言っていた学生の主張が理想論だということがわかります。

 意見を変えられるというのもすごく大切なことであり、結論ありきで意固地になる馬鹿よりはずっと良いです。ただ、どちらにしても考えが浅いという点では同様で、もうちょっと深く考えてくれればなぁと思います。私には考えを変更するにきっかけになった意見に、全然説得力を感じませんでした。
 学生G 私は最初、「賛成」の立場で手を挙げていました。この技術者のような生き方もあるんだなと考えていたからです。でも、私ならこうした生き方はしないと思います。なぜかというと、先ほどの方の話にもありましたが、終身雇用を前提にした会社の考え方、出戻り技術者の再就職を拒むやり方は私にもわかるからです。日本企業は守秘義務の問題、転職のリスクを考えるからです。多くの日本人はひとつの会社で働いていくんでしょうけれど、この技術者のように冒険心があって、自分の技術を生かしたいと考える人は、ハイリスク・ハイリターンな道を選択し、それはそれで良いと思うんですけれど、そういう風に個人の考え方を基に議論を進めていくと、世の中、特に日本では技術の流出が起きてしまうんだと思います。
 それに関して、私はものすごく危機感を持っています。技術流出を防ぐためには、やっぱり日本の国としての法律改正、例えば出戻り技術者の再就職を拒んではならないとか、国の施策がないとだめなんじゃないかなと思います。

 戻ってくるときの話なんですから、「出戻り技術者の再就職を拒んではならない」って全然流出防げてなくありません?
 学生N 僕はこの技術者の生き方には反対です。最初は賛成の気持ちもありましたが、今は違います。技術者としての実力を発揮することは確かに重要だと思いましたが、それには責任も伴うのではないだろうか。自分の生み出した技術に対する責任です。守秘義務を守ったとしていますが、元の会社での研究ノウハウを流出させているわけです。お金のためなら技術を売るのかと批判されても仕方がないと思います。
 対策として、日本も所得税を下げるといった施策もあるでしょうけれど、収拾がつかなくなってしまいます。経済のグローバル化とか言われていますが、ナショナリズムの戦いになってしまっていることが、この問題の背景にあるのではないでしょうか。国際化で技術者を海外から雇ってきて技術力を高めることもできるでしょうし、日本人技術者がもっと海外に出て、世界の枠組みの中で技術を育てていく手法も大切なのではないでしょうか。真のナショナリズムというか、全体的に技術を底上げしていく取り組みが重要なのではないかと思います。

 上記は前半と後半で繋がりおかしくないです? 「国際化で技術者を海外から雇ってきて技術力を高める」って、「お金のためなら技術を売る」人を前提としていますよね。

 また、記事の方は待遇は良くなかったって書いていましたので、「お金のためなら技術を売る」でもありませんでした。


●学生たちの意見を聞くと、むしろ日本から出たくなるのがわかる

 池上彰さんのまとめ。
 かつて企業は、優秀な人材を米ハーバード大学やスタンフォード大学などへMBA(経営学修士)を取らせるために留学させたんですね。ところが、帰国後に外資系金融機関などへ相次ぎ転職していくような事態になったわけです。会社のお金で教育していたのにです。そこで、社員から帰国後5年以内には転職しないという誓約書を取ったり、転職する場合には学費を全額返還してもらったりといったことを求めるようにもなってきています。

 これは不幸な関係なんだろうと思います。会社はなぜMBAを取らせるのか。本来ならMBAを生かせる仕事を任せればよいのだろうと思いますが、必ずしも活用し切れていません。単なるハク付けの場合が多いのです。だから社員は会社を飛び出していくわけです。終身雇用制度が崩れた今、自己実現を求めていくのは当たり前なのだと思います。企業は技術者をきちんと処遇しないと、退職していってしまうことにようやく気付いたのです。(中略)

 皆さんは、イチローの決断をどう受け止めたでしょうか。日本で活躍した後、シアトル・マリナーズで活躍して一番になりました。しかし彼は、一度はメジャーリーグで一番のチームで勝負したいと考え、ニューヨーク・ヤンキースへ移ったのです。

 劇的だったのは、移籍直後の最初の試合がマリナーズ戦だったわけですね。しかもマリナーズの本拠地球場だったんです。日本だったらどうでしょう。阪神甲子園球場での阪神対巨人戦に、巨人へ移籍したばかりの元阪神選手が出場したとしましょう。観客はどのように迎えるでしょうか。拍手で迎えるでしょうか?それともブーイングとなるのでしょうか。イチローはマリナーズのファンからスタンディング・オベーションで迎えてもらいました。声援、祝福を送ったわけですね。私は「こういう風土の国は強いなあ」と感じました。

 翻って日本の産業界。韓国のサムスンへ移籍した技術者が帰国して迎え入れる時、日本の企業はどのような受け入れ方をするでしょう。「ライバル企業ではどうだったんだい」「よく頑張ったね」と、皆で受け入れてくれるような企業であってほしい。またはライバル企業へ祝福して送り出してくれるような会社であれば、再び戻った時に「また頑張ろう」と思ってくれるかもしれません。個人と企業、社会の「幸せな関係」とはどうあるべきなのかを考えてほしいと思います。この「幸せな関係」を築けない企業は、グローバル化の中で衰退していってしまうのだと思います。

 ナショナリズムがどうのと言い出して精神論で縛るという発想がちらほらあったんですけど、まあ、嫌な会社は出ていかれます。仕方ありません。

 あれかな?学生のうちから社畜的な発想なのか、ムラ社会的な同調圧力なのでしょうか?ちょっと怖いですし、そういう思想はむしろ技術者流出の起爆剤となり得ます。


 どうも韓国が絡むと考えが変なところに行きますが、韓国じゃなくても引き抜きは常識です。引き抜かれない努力と、人を集める努力…そういう方向性の方が良いと思います。

 新人から育て上げたコストは馬鹿になりませんよ? それがわかっているのなら、出ていく社員に文句つけている場合じゃないと思うんですけどね。


●サムスン行った技術者は途中で捨てられる!?

 この下書きは9月でしたが、急がなくてもと投稿していなかったら以下のような記事を見つけました。記事の中身はタイトル以外の内容も多いです。
サムスンから技術だけ盗まれ“用なし”クビ日本人が急増中!?
2012.10.22 ビジネスジャーナル 江田晃一/経済ジャーナリスト

「人材の質が3ランクくらい一気に上がった」。都内ベンチャー企業の社長はこう語る。(中略)「昨年まではなかなか人が採れなかった」が、年初以降、「完全な買い手市場」といい、自然と笑みもこぼれる。気になるのは応募してくる層。「ルネサスやエルピーダメモリ出身の30代半ばまでが多い。会社に切られたというより、会社を見切った人が多い」と指摘する。

 ルネサスなどからの流出組が駆け込むのは、ベンチャー企業だけでない。ルネサスの競合である米フリースケール・セミコンダクタは、今秋までに、年初に比べて自動車向け半導体の技術者を3倍に増やした。「市場には人があふれているからね」と同社関係者はささやく。(中略)

 前出のベンチャー企業社長によると、もうひとつ大きな変化があるという。

 サムスンなど韓国企業に在籍する日本人からの応募が、急に増え始めたというのだ。社長は「履歴書を見ると、日本の一流電機メーカーに在籍した後、サムスンに転職したケースがほとんど。韓国企業に引っ張られたが『用なし』になったのでしょう」と推測する。つまり、サムスンが技術を盗むために引き抜いたが、盗み終えたため、彼らを雇用していく積極的理由がなくなったというわけだ。

 彼らは数カ月の猶予を与えられ、その間に職探しに奔走しているという。このベンチャー企業とは別の半導体設計会社の幹部も、「韓国からの『逆輸入』技術者が採用に応募してきた」と語っており、出戻り組は増えているようだ。(中略)

 ルネサス、エルピーダが沈みゆく船であることは間違いない。一方、ぬるま湯である日本の半導体メーカーから出て生き残るには覚悟が必要だが、人材紹介会社の社員は「今のタイミングで飛び出すことは正解だろう」と語る。残るも地獄、飛び出すのも地獄ならば、新天地を求めるのは当然。
http://biz-journal.jp/2012/10/post_881.html

 「サムスン行ったら途中で捨てられるよ」というネガティブキャンペーンを張るというのが皆さんのお好みなのかな?と思いますが、海外ではそれが普通です。そもそも終身雇用に強く魅力を感じていないから、彼らも外資系に行ったのでしょう。あまりそこは問題ではないような?
(2017/08/02:追加した東芝の話では、日本企業も今は終身雇用は難しいというもので、そもそも倒産危機になっています)

 とりあえず、この例のようにベンチャーが受け皿になってくれれば、日本としては一番ですけどね。海外には技術流出していないわけですし、新しい会社が伸びないと国全体も伸びないので、新興企業に人が行くのは私的には大歓迎です。日本が世界の最先端となって、引き抜きなんてしなくてもみんな来たがるような状況になってくれたらいいなぁと夢想しています。


【本文中でリンクした投稿】
  ■東芝、やっぱり国が救済 実質的に韓国SKハイニックスが買収か?/a>
  ■
産業革新機構案こそ技術流出?ホンハイがシャープ買収で危機の嘘

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