朝日新聞と日経新聞のランキングを記録している関係で目についたのですが、朝日新聞は
「東電社員年収、来年度46万円アップ 値上げ申請の中」
という記事を書いていて、日経新聞は
「東電、一般社員も年俸制 人件費さらに100億円削減」
という記事を書いていました。
先に見た朝日新聞はタイトルを見ただけで中身は見なかったんですが、日経新聞の見出しを見ると不思議になって来ます。
朝日新聞の記事に戻って、両方読んでみることにしました。
2012年5月31日15時2分
東電社員年収、来年度46万円アップ 値上げ申請の中
東京電力は、2013年度から社員1人あたりの年収を今年度より46万円増やして571万円にする。全社員を対象にした「年俸制」導入にともなうもので、1千人以上の大企業平均より28万円高くなる。家庭向け電気料金の値上げの算定にも年収アップは織り込んでおり、利用者から反発が出る可能性がある。
東電は福島第一原発事故の後、社員の給料や賞与をカットし、年収を平均700万円前後から20~25%減らした。家庭向け電気料金の値上げ申請では、12~14年度の社員の年収を平均556万円にしている。これは社員1千人以上の大企業の平均543万円に近い。
ところが、12年度は夏の賞与を支給せずに平均525万円に抑えるかわりに、13年度からは平均570万円台に回復させるという。
(略)
http://www.asahi.com/national/update/0531/TKY201205310227.html 無料で読めるのはここまでです。
これだけだとわかりづらいんですけど、
東電ボーナス批判対策で年棒制、社員の厚遇変わらずで書いた通り、年棒制にはボーナスを批判されるからわからなくしようという意図が見られ、実質的には少なめのボーナスの復活といった感じだと思われます。
ただ、今度は普通の給料の数字が跳ね上がるので、そこだけ見た人の心象は余計悪くなりそうですね。
とりあえず、ここでは日経新聞の「人件費さらに100億円削減」は見えてきません。「さらに」なのですから、ボーナス分を復活してしまってはそれがもっと難しくなるということです。
では、日経新聞でどう書いているか見てみます。
東電、一般社員も年俸制 人件費さらに100億円削減
役職者の年功部分なくす
2012/10/25 0:31
(略)従来、年俸制の適用は管理職のみだった。年間約3500億円に圧縮していた人件費を新制度導入に伴いさらに約100億円削り、経営合理化を加速する。
役割給はチームリーダーと呼ぶ(引用者注:一般社員の中の)上級職に導入する。基本給は役割給と個人の業績に応じて毎年査定する成果反映部分で構成。勤続年数などに基づく年功的な給与をなくす。対象者は4万人弱の社員のうち3千人規模になるとみられる。上級職以外の社員は役割給を導入せず、年齢や経験に応じて決まる年功的な「職能給」を残す。ただ上限を設け、上級職に昇格しなければ頭打ちとする。
従来は役職にかかわらず職能給が増えていく仕組みで、年功序列の性格が強かった。新制度では40歳の社員間で約180万円だった年収の差が約350万円に広がる見込み。
東電は昨年から一般社員で約20%、管理職で約25%の年収カットを実施中。家庭向け電気料金の引き上げを国に申請した際には、料金に転嫁する原価として、カット後の年収を前提に年間3488億円の人件費を計上。経済産業省などの査定で、当初想定から101億円の削減を求められた。この水準を目指しながら人件費にメリハリをつける。努力に報いやすくして、11年度の2倍のペースで進む人材流出にも歯止めをかけたい考えだ。
東電の社員の年収は11年度に平均約570万円だった。だが、55歳の平均でみると大学卒で約1020万円、高校卒でも約770万円となっており、年齢の高い社員に手厚かった。
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO47634920U2A021C1TJ2000/ あらら、中身を見ても朝日新聞の報道との差は埋まりませんでした。全然わかりません。
とりあえず、退職の多いらしい若手は引き上げるくらいにするけど、負担の一番大きい年寄りの引き下げで全体には下がるという論理のようです。
時事ドットコムもどうぞ。
新人事制度、実力主義を徹底へ=来春導入、労組に提案-東電(2012/10/24-17:53)
(略)
労組に提案した新人事制度は、一般社員の等級を従来の5段階から4段階に変更。年齢ではなく実績や能力に応じて昇格させる。管理職になる年齢は従来は早くても40歳前後だったが、新制度の下では30代半ばでの昇格も可能になる。
給与面では今年12月に年俸制をスタートさせ、賞与を廃止。中高年層の平均年収を抑える一方、若手社員では引き上げて、若手を中心に増加している退職者の抑制を図る。(中略)
東電は今春に策定した総合特別事業計画で、一般社員の給与を福島第1原発事故前より2割削減した水準に据え置く方針を明記している。現在、東電は経営改革に取り組んでいるが、待遇が悪化する状況で社員の労働意欲を維持するには「改革を積極的に進める社員を処遇することが大事だ」(内藤義博副社長)と判断し、人事制度の刷新を図ることにした。
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2012102400769 「2割削減した水準に据え置く」とありますね。
他の記事も読みましたが、みな(というほど記事は多くありませんでしたが)日経新聞や時事ドットコムのような調子でした。朝日新聞だけ違いますね。
結局、よくわかりませんでした。謎です。
関連
■
東電ボーナス批判対策で年棒制、社員の厚遇変わらず ■
東京電力の夏と冬のボーナスの支給額 ~大王製紙、オリンパス、JALの場合は?~ ■
東電が倒産しない一方で、電気料金値上げで倒産する企業が出る ■
慈善型CSRをやめて本当の社会貢献を ~エーザイの無料薬と東電の尾瀬国立公園の違い~ ■
その他の企業などについて書いた記事
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|