別件を調べていて気になって調べたものです。
一般的には無抵抗主義=非暴力主義とされていないように見受けられます。
たとえば、辞書ではこんな感じです。
でも、何だか妙ちくりんな説明です。
だって、無抵抗主義=「非暴力的手段によって
抵抗する主義」ですもの。この時点で自己矛盾をはらんでいます。
「そういう定義ですから」と言われてしまえばそれまでなんですけど、正直わかりにくいです。
それよりわかりやすいのは、Wikipediaの説明です。
"よく誤解されているが「無抵抗主義」ではない"は俗な解釈なのかもしれませんが、素人にとってはこっちの方が理解できると思います。
不服従、最初の説明だとプラス非協力もあり、そのような抵抗をしていながら「無抵抗」などと言われてしまうと、わけがわかりません。
Wikipediaと同じ解釈であるものとして、下記がありました。
(11/12追記:引用元である翻訳blogの三十郎さんからメールをいただきました。ありがとうございます。
>ブログが「ウィキペディアと同じ」なのは当然です。ウィキの方が私の記事を見て書いたものだから。)
このブログが優れているのは、この誤解に至った経緯も類推できることです。
三省堂のニューセンチュリー和英辞典で「無抵抗」を引くと、訳語はnonresistanceとなっている。これは正しいが、続いて挙げられている次の例文は間違っている。
インドはマハトマ・ガンジーの無抵抗主義による諸政策に導かれてついに英国の支配から独立した。
India led by Mahatma Gandhi's policies of passive resistance, finally gained its independence from the British rule.
policies of passive resistanceは「無抵抗主義による諸政策」ではない。
passive resistanceを訳するならば「受動的抵抗」である。「無抵抗」などという訳は、どこをどうひねっても出てこないはずだ。
「resistance」はレジスタンスで抵抗です。
問題の「passive」の方は「受動的な」の他に「抵抗しない」というのがあります。後者を取ると、「抵抗しない抵抗」というわけのわからないものになり、現在巷にあふれているのはそのような解釈でしょう。
しかし、やはり抵抗であるので無抵抗と訳すのは妙であり、前者の「受動的な」の方を取るべきだと思われます。
(11/12追記:同じく引用元である翻訳blogの三十郎さんからメールです。
>passiveの訳語に「無抵抗」がある? それは辞書が間違っています。)
英辞郎では「passive resistance」を「消極的抵抗」ともしており、これらが適訳でしょう。
http://eow.alc.co.jp/search?q=passive+resistance 同ブログの続きの記事によれば「passive resistance」はガンジー自身が実際に初期に使った言葉(ただし、途中から訳語として不適切とみなしたのか、ヒンディー語の「サティヤーグラハ」〈真理の把持〉をそのまま)であるそうで、これによる誤訳の可能性が強そうです。
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