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企業の離職率を知るにはどうすれば良いか?離職率の調べ方を知り、ブラック企業を見分ける


 離職率の高さは就職時や辞めるときの就職環境が大きい 若者自身の問題というのは俗流若者論か?と同じ記事を使って、引き続き離職率の話です。

 また、以前書いたブラック企業の特徴・基準ランキングとも関係ありそうです。
第6回 離職率を隠す企業の事情とは?
上西充子 日経ビジネスオンライン 2012年10月5日(金)

 労働相談を中心に、若者の「働くこと」に関する様々な問題に取り組むNPO法人POSSEの事務局長・川村遼平氏によれば、「ブラック企業」とは「長期雇用を匂わせるにもかかわらず、労務管理や雇用条件などが原因で多くの人にとって長年勤めることができない企業や法人」を指す(川村遼平「相談活動から見たブラック企業」『労働法律旬報』No.1759+60 2012年1月合併号)。具体的には、長時間労働や過剰なノルマによって心の病気になるまで働かせる「使い切り型」、たくさん採用し、「使える人材」だけを残して他は辞めさせていく「選別型」、パワハラ上司を会社が放置しているといった「職場統治不全型」に分けられるという(今野晴貴・川村遼平『ブラック企業に負けない』旬報社、2011年)。

 そういう話をすると「若いうちは時間を忘れて仕事に没頭するぐらいじゃないと、一人前には育たないものだよ」といった声を、企業の人事の方から伺うこともある。

 しかし労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏によれば、従来は「見返り型滅私奉公」であったものが「見返りのない滅私奉公」となったのがここ十数年来の「ブラック企業」現象であるという(濱口桂一郎「日本型ブラック企業を発生させるメカニズム」『オルタ』2012年7-8月号)。企業内で働いている方々にも、実は共有されている懸念であるとは言えないだろうか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121001/237468/?P=5

 「使い切り型」や「選別型」は明らかに離職率が高まりますし、「職場統治不全型」にしても辞める人を増やすでしょう。

 ブラック企業の特徴・基準ランキングでも「離職率が高い」は堂々のトップでした。

 しかし、こういった企業はどう見分ければ良いのでしょう?たとえ気になったとしても、企業説明会などで直接聞いてみるというわけにもいきません。
 そこで頼りになるのが東洋経済新報社の『就職四季報』と『就職四季報女子版』だ。入社後3年以内の離職率(「3年後離職率」)が、1年前のデータから最新のデータへの変化と共に記載されている。




 あら、そんなこと書いているんですね。

 ただし、注意点もいくつかあります。
 『就職四季報』の場合は、「3年後離職率」は男女あわせた数値であることに注意したい。会社によっては男性と女性の離職率に大きな差がある会社もある。『就職四季報』には「3年後新卒定着率」が男女別に記されてあるので、そちらも併せて確認したほうが良い。

 離職率は業界によって大きく異なる。また同じ業界の中でも離職率が突出して高い企業と、めずらしく低い企業があったりする。2008年卒の大卒3年離職率が30%という本記事冒頭のグラフの結果は、あくまで全体の平均であるにすぎない。(中略)

 企業ホームページや民間就職支援サイトの新卒採用情報は、所詮は「学生に見せたい情報」でしかない。それだけで分かった気にならず、『就職四季報』や『就職四季報女子版』を読んだり、大学図書館の新聞データベースで企業名を打ち込んで記事を読んだり、ビジネス誌の記事を読んだり、企業ホームページのIR情報(投資家向け情報)を読んだりと、客観的な情報を読み込むことが重要だ。

 さらに困っちゃうのは、"『就職四季報』や『就職四季報女子版』の「3年後離職率」と「3年後新卒定着率」は「NA」(無回答)が多い"ということです。

 銀行にいたっては、"ほとんどが「NA」"、"そもそも回答自体に同意していないから"都市銀行は『就職四季報』にほとんど登場していないといった有様です。


 ただ、この「NA」はある程度予想できます。

 皆さんもおそらくそう思われるでしょうが、"「NA」とは「情報が得られない」ではなく、「要注意」と読むべき"です。

 "もし離職率が低いなら、それは会社の信頼度を増すことにつながり"、隠すことは不利になるからです。

 そう考えると、"2008年卒の大卒3年離職率が30%"というのも、やや低く出ている可能性がありそうです。


 その他、離職率を見極めるためのアドバイスはまだまだあります。
 また、『就職四季報』には男女別従業員数、平均年齢、平均勤続年数や、採用実績人数なども記されている。会社の設立年度や合併・分社化などの動向を確認した上で、当該企業の従業員の平均年齢、平均勤続年数を同業他社や他業種と比べてみれば、その企業が定着率の高い企業か否かはある程度わかる。

 さらに、従業員数と入社人数の比率を過去何年かにさかのぼって調べてみれば、「同業他社や他業種と比べて従業員規模に比した入社人数が多すぎないか? …ということは早期離職が多いのか?」といった推測もできる。

 あるいは、景気変動に応じて採用数が大きく変動し、社内の年齢構成にアンバランスが生じているような企業なのか、景気が悪くても継続して新入社員を採用することに努力している企業なのかも推測できる。

 企業が「都合が悪い情報は出したくない」と考えているならなおさら、就職を考えている学生はみずから、情報の入手に努めた方がいい。

 よく考えてくれていますね。

 これは本当良いシリーズだなと思いましたが、今回でこの連載は終わりだそうです。


(13/4/5追記:いただいたメールでは"就職四季報に載っているのは、日本を代表する大企業・有名企業だけ"とありました。そして、"フツーの学生"などには全く役に立たないとありました。確かにおっしゃる通りですね。
 じゃあ、どうするの?というと、正直思いつきません。企業が小さくなればなるほど1社あたりのニーズが少なくなり、情報提供者も減るので情報は少なくなります。ネットのブラック企業認定も「一見優良会社に見えてしまう有名企業」を対象としているものであり、圧倒的に数の多い中小企業までは網羅できません。
 こう考えるとわからなくて当然な感じですが、就活あるいはブラック企業に関する話は興味を持って読みつづけているので、何か良いものがあればまた紹介いたします。

4/8追記:と書いたその日にちょうど見つけた記事を元に、ハローワーク求人から非ブラック企業認定「若者応援企業宣言」を書きました。

5/27追記:東洋経済新報社の就職四季報編集部の方が上記の記述をご覧になったようで、メールをいただきました。役に立つ内容だと思われますので、長いですけど引用します。

1."就職四季報に載っているのは、日本を代表する大企業・有名企業だけ"について。

"結果的に大企業が多く載っているのは確かですが、フツーの学生が思っている大企業・有名企業とは、トヨタ、パナソニック級の会社かと思います。就職四季報総合版をパラパラとめくっても、アルバック、太平洋工業、ジヤトコ…まだまだありますが、こうした会社をフツーの学生が知っているとは思えませんが、いかがでしょうか。
また、受ける会社についてピンポイントで調べるのも大事ですが、自分にとって重要な指標は何かを見つけることが重要です。
「どうせ企業の自己申告だからあてにならない」と考える人が多いことにも最近気づいたところですが、企業というのはそういい加減な数字を書いてくるものではありません。他社への提出書類は何重にもハンコが押され、チェックされています。有価証券報告書に虚偽の記載をしたら法律違反ですから、それと整合性のとれない数値は書けません。就職四季報のように一般に市販していれば、社員が見る可能性もあります(だからこそ非開示という企業も多い)"

 前半部に関しては、「中小企業の従業者は69%」というデータがあったことを私から付け足しておきます。

2.記事からの引用中で"『就職四季報』には「3年後新卒定着率」が男女別に記されてある"について、メールで「女子版では?」と指摘があったことについて。

"女子版ではなく、総合版にも男女別の新卒定着率が載っています"

 "離職率の裏返しが定着率"ですので、"100%-定着率=離職率"で離職率も求められますとのことです。

3.就職四季報 中堅・中小企業版も出している。

"まだまだ非開示の会社も多いですし、そもそも300万社ともいわれる日本の会社をすべて調査・掲載はできませんが、若者応援企業よりも多くの会社を掲載しておりますので、ご参考になれば幸いです"

 タイトルで大体わかりますけど、若者応援企業についてはハローワーク求人から非ブラック企業認定「若者応援企業宣言」を参照してください)


 追加
  ■就活で「成績証明書」は重視されない 面接と課外活動重視で学力低下する日本の大学生
  ■ハローワーク求人から非ブラック企業認定「若者応援企業宣言」

 関連
  ■離職率の高さは就職時や辞めるときの就職環境が大きい 若者自身の問題というのは俗流若者論か?
  ■ブラック企業の特徴・基準ランキング
  ■大学卒の就職率、9割の統計と6割の統計がある理由
  ■就活の内定辞退の方法 人事との対決FAQなど
  ■内定辞退メールは禁忌、引き止めという名の嫌がらせも
  ■その他の仕事について書いた記事



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