●コピペ「パソコン詳しいですか?」工学系と情報系と文系の回答の違い
2012/12/8追記:文系への偏見的なところがありますが、以下のようなコピペがある…と知りました。後述する「ダニング-クルーガー効果」と「平均以下効果」の両方を同時に見ることができる、なかなかわかりやすい話だと思います。
「パソコン詳しいですか?」
工学系「(寄せ集めで自作PC作ったくらいだし…)いえ、そこまでは…」
情報系「(周りの奴のほうが詳しいしな…)まぁ、人並みには…」
文系「(パソコン?毎日YouTube見てるしな…)あぁ、詳しいっすよ」
●ダニング-クルーガー効果 自信家はむしろ愚かであることが多い
2012/10/31:飽くまで個人的な経験と感覚なのですが、ブログのコメント欄(現在は閉鎖)では上から目線の人や、自分は何でも知っているぞというスタンスの人の方が、幼稚な主張であることが多かったです。また、有名人や政治家でも「自分はすごいぞ」という言動をする方が、論理性のまるでない主張をして一人悦に入るところが見られます。
そういった私のイメージが思い込みじゃなくてある程度一般的な傾向なのかも……と思ったのが、
アメリカ人は先進30カ国で数学25位、科学21位、ただし自信は1位(2011年06月17日 13:14 らばQ)という記事の話。Education.comと言うサイトのコラムでは、アメリカにおける教育について、以下のようにまとめていたそうです。
<国際ランキングでは数学が25位、科学が21位。2002年に落ちこぼれの子を出さない誓約を立てながら、8年後の実情はミシシッピで14%、ニューヨークで30%、そしてカリフォルニアで24%のみが数学を習得している。また、全国では24~34%の子供だけがその学年レベルの読みを習得している。驚くことに、数学のレベルの低さとは別に、他国と比べてアメリカの生徒が数学に1番自信を持っているとの結果が出ている>
これについて、「アメリカの子供はいわゆるダニング・クルーガー効果"Dunning-Krugereffect"によって、自信が1位になっているのかも」という反応が現地で出ていたとのこと。ここのコメントによる説明によれば、ダニング・クルーガー効果とは「無能な人ほど自分の能力を過大視するという心理学。認識の偏り」のこと。知能の低い人間ほど自分をかなり知能を高く見積もる、あるいはその逆の認識をするケースが往々にしてあるそうです。
●すごい人ほど謙虚?知識を得れば得るほどむしろ無知に気づく…
これを受けて「アメリカは問題あり!」とする反応が多くなっていましたが、ポジティブさがプラスになることもあるといった指摘もありました。場合によりけりであり、世の中では自信を持つことが大事という主張がむしろ多いように、これが良い助けとなる場面も存在します。過ぎたるは及ばざるが如しで、極端に自信がないこともまた問題となるでしょう。
また、ダニング・クルーガー効果がすべてのケース・すべての人で現れるわけでもないことに注意。これらを踏まえた上で、別のところの説明も見てみましょうか。
ダニング・クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)によると、これは、コーネル大学の2人の研究者の実験による理論として1999年に発表されたもので、「知識の少ない人間が、もっと知識の多い人々より自分の方が物事をよく知っていると思い込む」現象のこと。実験に当たって彼らが立てた仮説は以下の4つで、結果的にそれらがほぼ証明されたといいます。
1. 無能な人々は、自分のスキルのレベルを過大評価する傾向がある。
2. 無能な人々は、他者が持っているスキルを正しく認識できない。
3. 無能な人々は、自分の無能さがどれほどのものかを認識できない。
4. こうした人々も、本質的にスキルが向上するような訓練を施されれば、それまでのスキル不足に気づき、それを認めることができる。
「それまでのスキル不足に気づき、それを認めることができる」とありますが、能力がない人ほど自分の間違いを認めることができないというのは、最初に書いたコメント欄、有名人だけでなく、職場の人や知り合いを見ていても感じます。間違いを認めないだけでなく、無根拠なくせに強い言葉で攻撃的に主張することもありますから困りますね。
●ダニング・クルーガー効果の逆パターンである「平均以下効果」
もう一つ
それほど自信のない人のほうが、より成功する?(by creiajp on 7月 12, 2012 • 12:30 未来の人事を見てみよう)というブログ投稿を読みました。こちらは、ダニング・クルーガー効果以外の話が出ています。しかし、内容的には似た傾向の話だったんですよね。おもしろいです。
最初に紹介されていたのは、Worse-Than-Average Effect (もしくはBelow-Average Effect) 。ここでは、「平均以下効果」と訳されています。もし自分が何かが得意だったとき、同様に他の人にとってもそれが得意だと思いこむ傾向があるとのこと。できる人ほど「これくらいみんなできる」と勘違いしやすいんですね。
http://www.spring.org.uk/2012/06/the-worse-than-average-effect-when-youre-better-than-you-think.php
この勘違いは謙虚で良いようにも思えるのですが、問題も引き起こしてしまいます。できる人ほど「これくらいみんなできる」と勘違いしやすいため、得意分野で難しいタスクにぶち当たってしまったときに、他の人ならできるのに…と考えて、自分の能力を過小評価してしまうそうです。
チェスやギャグ、ジャグリングやプログラミングといった、ステレオタイプ的に難しいとされる能力について過小評価する傾向があるとも書かれていました。自分がある程度できるものは、自分でもできたんだから誰でも追いつけるはずで、自分はそれほど大したことないはずだ、という思い込みです。
平均以下効果はダニング・クルーガー効果の"逆パターン"ともされていました。確かにそんな感じ。本当はよくできているのにも関わらず、そうではないと思う方ですね。なお、"それほど複雑ではない簡単な内容については、先のダニング・クルーガー効果のほうが当てはまる確率が高い"そうです。
ということは、高度な分野においてはダニング・クルーガー効果はあまり現れず、平均以下効果の方が現れやすいということでしょうか。「ステレオタイプ的に難しいとされる能力について過小評価する傾向がある」ってのがそういう話でしたね。むしろ難しい分野で勘違いが起きてしまうようです。
●自信のない人の方がむしろ成功?ソクラテスの「無知の知」も連想
こちらではもう一つ、別の記事も見ています。こちらは「それほど自信のない人のほうが、より成功する」という話でした。先のクルーガーの「平均以下効果」が発揮されているような自信のない人のほうが、自信満々の人よりも成功する要因は、以下の3点にあるとされていました。
1.低い自信はネガティブなフィードバックへの傾聴を促し、自分自身に対して批判的になれる
2.低い自信はさらなる勤労・勉強と、さらなる準備に向けたモチベーションを起こさせる
3.低い自信は傲慢になったり勘違いしたりといった傾向を減らしてくれる
炎上状態だったということで賛同はされていないのかもしれませんが、実際にできる人の方が謙虚であることが多いとなると、可能性としては十分ありそうですね。私は「無知の知」という言葉も思い出しました。
Wikipediaでは、以下のような説明。適度に謙虚でかつ貪欲にという姿勢が大切なのかもしれません。
<他人の無知を指摘することは簡単であるが言うまでもなく人間は世界の全てを知る事は出来ない。ギリシアの哲学者ソクラテスは当時、知恵者と評判の人物との対話を通して、自分の知識が完全ではない事に気がついている、言い換えれば無知である事を知っている点において、知恵者と自認する相手より僅かに優れていると考えた。また知らない事を知っていると考えるよりも、知らない事は知らないと考える方が優れている、とも考えた。
なお、論語にも「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」という類似した言及がある>
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