書き出しを見て「えー、そうなの、信じられない?」と思った記事です。
2012年11月7日
日本の学生、大学、企業を骨抜きにした
就職活動における「負のスパイラル」の正体
辻太一朗 [大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会(DSS)代表]
みなさんは就職活動の際、大学の「成績証明書」を企業に提出されたでしょうか?
恐らくされていない方が大半なのではないかと思います。今の就職活動も同じで、特に文系に言えることですが、一部を除くほとんどの企業で大学の成績を採用の参考にはしていません。なぜなら、成績が学生の能力を表す信頼できる指標となっていないため、企業側も学校の成績では学生を評価することができないという現状があるからです。
つまり、この成績を採用の参考にできない状態が、今の就職活動と大学教育のねじれを生んでいるのです。
http://diamond.jp/articles/-/27491 しかし、「特に文系」という但し書きがあります。
文系だとちょっとわかるかなぁ?と思ってしまいました。
もともと文系の教科って、具体的な仕事との結びつきを想定しづらいものが多いです。
すべて……というわけではありませんし、偏見なのかもしれませんが、そんなイメージがあります。
とりあえず、作者は
"現在、多くの企業の採用活動では
大学の成績を参考にしないので、市販のテストや、エントリーシートで足切りをして、その後は面接で合否を判断します"
と断言していました。
そして、このうち最後の「面接」が作者が「今の就職活動と大学教育のねじれ」と呼んだ問題点のようです。
面接は少ない企業で3回程度、多い企業では10回以上の企業もあります。
(中略)
企業は面接で人物像を判断する必要があるため、具体的なエピソードや、例を話すように学生に求めます。学生は、具体的なエピソードを話しやすいサークル活動やアルバイト等の課外活動の経験を話すことになります。
面接の会話内容で合否が決定するので、学生側もそれに対応するために様々な課外活動に力をいれます。留学経験者や学生起業家、世界一周旅行者などを面接の会場では多く見かけます。
また、就職活動で希望の企業から内定を得るためには「勉強より課外活動が大事」という話は、入学したらすぐにサークルの先輩が教えてくれます。
(中略)
ある大学の学生によると、先輩に「どんな授業をとったらいいですか?」聞くと、「楽に単位がとれる授業がいいよ。あとは課外活動やったほうが就活に有利だよ」という答えが返ってきたそうです。
(中略)
このように、大学生は、楽に単位をくれる授業を選択して、できるだけ課外活動に力を入れるようになります。学生にとっては、授業よりも課外活動に力を入れている方が楽しいし、就職活動を考えるとその方が有利になります。
さらに大学の先生側もこれに迎合すると作者は言います。
大学の場合、高校以下と比べて学生の選択が大きいため、受講者がいなくなってしまうからです。
まさに負のスパイラルですが、ここらへんは必修科目を増やすことでもある程度対応できそうですけどね。
私の通った学科は必修科目やそれに準ずる選択必修がかなり多く、専門科目での選択の幅はそれほど大きくありませんでした。
さて、会社側ですが「成績証明書」を重視しないものの、自社の実施するテスト等で合否を判断することがあるそうです。
しかし、それは学生の学習内容に応じたものではありませんので、"いつから選考を始めても同じ"ということになってしまいます。
4年生でも3年生でも場合によっては2年生で選考しても、結局は自社の面接等で判断する必要があるからです。そうなると、企業はいい人材を採用するためには、早くから多くの人と会う方にメリットがあります。
また面接で判断する比重が大きいので、詳しい話、具体的な話を学生に聞くようになります。そうなれば学生はさらに勉強しなくなり、課外活動によって面接に対応できるエピソードを作ることに力を入れるようになります。
これは、学生・大学・企業がそれぞれの状況に合わせて最もメリットがある行動をすることが、結局は他者に影響し、自分の首を絞めるような行動になっているスパイラルの構造です。
私はこれを就活と教育の「負のスパイラル」と呼んでいます。
このスパイラルを繰り返していくことにより、日本の大学生の学力はどんどん下がります。ただでさえ日本の経済が停滞し、大学進学率上昇に伴い大学生の希少価値は低くなりつつあります。国内に限らず、アジア各国でも大学生の数は急上昇しています。
そんな中で諸外国の学生は目の色を変えて勉強しているにもかかわらず、日本の学生は授業に出てもスマートフォンをいじっている状態です。こうして海外と日本の知的能力差はますます広がっていきます。
実際、
世界大学ランキング2012-2013 東大はアジア1位で27位(3つ上昇)では、アジアの大学が軒並み上がる中、日本では東大以外悪化している状態でした。
作者はこの負のスパイラルが解消しない原因として、
・当事者は自らの置かれた状況に対応して、短期的にはメリットのある行動をしている。
・現在の選択肢は「当事者がなんとなく楽で幸せ」な状態である。(特に学生と先生)
を挙げていました。
負のスパイラルの解消は極めて困難であるようです。
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