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世代間格差なんて問題ない 厚生労働白書が断言


 世代間格差を強調するというのは、ちょっと危険なところではあります。

 たとえば、今日紹介する最初の記事では、"最近のお年寄りは恵まれているけど、若者は大変だ……などと言いたて、いたずらにお互いの溝を深めるのはけっしていいことじゃない"としています。それは確かにその通りです。

 しかし、だからと言って目をそらしている……というのも、また良いこととは言えません。

 記事でも上記の後、"でも、これらからわかるように、日本はお年寄りと若者の“恵まれ度”の違い「世代間格差」がとても大きな国だ"と続けています。

 こういった世代間格差について問題ないとしているものも出ているのですが、まず世代間格差の存在を問題視している記事をどうぞ。

2012年11月2日
世代間格差大国・日本で若者の財布が狙われている!
消費税20%、年金保険料25%を抜き取られる未来
西川敦子 [フリーライター] ダイヤモンド・オンライン

明治大学政治経済学部 教授
加藤久和先生の話

――国に払う「社会保障費(しゃかいほしょうひ)」と、年金、医療、介護などを通して自分が受け取る利益の差を見てみると、上の世代ほど有利。日経新聞の調べによると、お年寄り世代は20歳未満の「将来世代」に比べ、1億2000万円以上も得。

(中略)

 アメリカの経済学者、アゥアバアックとコトリフは、世界17ヵ国を対象に社会保障、公共事業、教育などについて、人々が負担する額と得られる恩恵の差を調べた。世代ごとの違いを見てみると、もっともアンバランスだったのは日本。不均衡率(世代間のアンバランスさの割合)は169.3%で、アメリカ(51.1%)の3倍以上にも及んでいた。

 このままほうっておけば、将来、格差はますます大きくなるだろう。というのも、世代間格差を生んでいる犯人は、人口構造の変化だからだ――。(中略)

 日本の社会保障は、お年寄りが受ける福祉の負担を現役世代が担う仕組みだ。「世代間の助け合いシステム」って呼ばれているよ。

 昔は若者の数が多かったから、それでもちゃんとやっていけた。1948年には、12.5人の現役世代が1人のお年寄りを支える「胴上げ型」の社会だったんだ。ところが2010年には、2.8人で1人のお年寄りを支える「騎馬戦型」社会に。さらに今後、若者の人口が減っていけば、2050年頃にはなんと1人で1人を支える「肩車社会」が到来すると言われている。

(中略)

 実際、前にも出てきたアゥアバアックとコトリフらの研究をもとに、「世代間格差が大きくなればなるほど、経済成長率が低下する」と指摘する学者もいる。同時に、経済成長率が下がり、人々の収入が減れば、若者にとってはますますお年寄りを支えるのが苦しくなるわけだ。そう考えると、「世代間格差と経済成長率」は「卵とニワトリ」の関係――つまり、どちらかが悪化するともう一方も悪化する、根深い関係といえるね。

 いずれにしても、このまま世代間格差が広がれば、若者の暮らしはますます苦しくなってしまう。そうなれば、結婚したり、子どもを作ったりすることもあきらめる人が増えるだろう。

 その結果、ますます少子高齢化が進み、お年寄りを少人数で支えなければいけなくなる。そして世代間格差が一層広がる……という負のスパイラル(物事がどんどん悪くなること)に陥ってしまう。

http://diamond.jp/articles/-/27274

 一方、世代間格差は決して不公平などではないという意見もあります。

 同じダイヤモンド・オンラインの連載で、出口治明さんのものです。

2012年10月16日
たった2週間で昨年1年分を上回る売り上げ
前評判の高い「厚生労働白書」を読んでみよう
出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役社長]

 10月11日の読売新聞(朝刊)に、面白い記事が載っていた。「東京・西新宿の書店で、異例のブックフェアが開かれている。一般になじみの薄い2012年版厚生労働白書をテーマとしたフェアで、この2週間で白書は昨年1年分を上回る部数が売れたそうだ」(中略)

 年金については、世間では一般に、世代間における給付と負担の関係が著しく不公平であるかのように喧伝されている。白書は、この問題にどのように答えているのか。

 例えば、1950年生まれの人の保険料負担額は1300万円、年金給付額は5200万円で、負担給付比率が3.9倍であるのに対して、2000年生まれの人は、7700万円の負担、1億7600万円の給付となり、その比率は2.3倍である。一見、高齢者が得をしているように見えるが、まず、白書は「高齢世代は、現役時代に(年金が少ない)親を私的に扶養しながら、自分たちの保険料を納め、社会をつくってきた。これに対して、若者世代は、扶養のための経済的負担が軽減されている」と説明している。

 これに続けて、「生活水準や経済規模を考えれば、高齢世代の負担は実質的に必ずしも低い負担ではなかったのではないか」「社会資本の蓄積の享受という側面もあり」「前の世代が計算上、負担が少ないからといって、当時の生活状況や社会インフラも含めて、前の世代になりたいと思っている若者世代は、少ないのではないだろうか」と結論付けている。傾聴に値する指摘といえよう。

http://diamond.jp/articles/-/26333


 出口治明さんは世代的には明らかに逃げ切り世代ですが、以前はむしろお年寄りも負担しなきゃと言っていた記憶がありました。

 その他でもあまり変な主張は記憶になかったのですが、この部分は強烈な違和感を覚えました。


 上記の「高齢世代は、現役時代に(年金が少ない)親を私的に扶養しながら、自分たちの保険料を納め、社会をつくってきた。これに対して、若者世代は、扶養のための経済的負担が軽減されている」は、親の扶養という私的なものと、保険料という公的なものをいっしょにしています。

 親の扶養に関しては具体的な数字自体が一切出ていませんが、出ていたとしてもこれらをいっしょにして良いものか?と思います。

 個人の私的な負担はその人によってかなり違います。


 また、最初の記事ではこういう話がありました。

 すでに増えつつあるのが、若い世代における「貯金ゼロ世帯」だ。

 今年の4月、金融広報中央委員会が発表した2011年の「家計の金融動向に関する世論調査」を見ると、30代の2人以上の世帯で「貯蓄がない」と答えた世帯はなんと31.7%。過去最悪の割合だ。しかも、前年の24.3%から7.4%も増えている。

 さらに「国民経済計算」(SNA)という公的な統計で家計貯蓄率を見ると、1980年に17%あった2010年にはたった2.5%。日本人の貯蓄が限りなくゼロとなる日がまもなく到来するに違いない。
 
 こういったデータから見ても、現在の若い世代における負担感は相当だと思われます。

 親の扶養を考慮するならこちらも考えておくべきでしょう。


 また、「前の世代が計算上、負担が少ないからといって、当時の生活状況や社会インフラも含めて、前の世代になりたいと思っている若者世代は、少ないのではないだろうか」にいたっては、酷い話のすり替えです。

 実際、私は「前の世代になりたい」とは思いませんし、技術の発達した現代社会が好きですが、それと世代間格差が大きくて良いかは全く別の話です。

 これは本当酷いですよ。この世代間格差を別のもっとわかりやすく辛いことに置き換えてみると、その酷さがわかるでしょう。

 この論理が通用するなら、大抵の現代社会の問題は解決する必要がないことになります。


 同じ出口治明さんの記事でも、次の話はまともです。
 白書は、「社会保障は、民間の保険商品が『支払い損』とはいえない側面があると同様、社会保険も単純に『支払い損』とはいえない」と述べ、そのリスクヘッジ機能を強調している。その上で、公的年金を「民間では、ほとんど保障できない『終身』で、かつ『老後生活の実質価値の保障』が確保されている保険である」と位置付けている。全く同感である。そうであれば、一定以上の資産を持つ、あるいは所得を得ている高齢者は、自ら生活の実質価値を保障している訳であるから、マイナンバー制を確立し、各自の資産や所得を把握した上で、公的年金を給付しないことが、将来の方向としては、理に適うのではないか。

 老人にもっと負担を……というのは、最初の記事でも話がありましたので、そちらを。

 このスパイラルから脱出するには、いったいどうすればいいんだろう?

「世代間の助け合い」もいいけれど、今、「世代間の分かち合い」こそ必要とされているのではないか、と私は思う。

 たしかに、お年寄りにしてみれば若い時から大変な苦労をしてこの社会を作ってきた、という自負があるのかもしれない。自分たちも親世代を支えてきたのだから、今度は自分たちが支えられる番だ、という思いもあるだろう。でも、そのために若者に負担をかけすぎてしまい、社会がこわれてしまったら元も子もない。若者側も、人生の先輩をないがしろにし、見捨てるのは本意ではないはず。だからこそ、対立したり、依存したりするのではなく、お互いに痛みを分かち合うべきなんじゃないかな。

 まだ続くんですが、"お年寄りにしてみれば若い時から大変な苦労をしてこの社会を作ってきた、という自負"については、出来上がったのが今な社会なわけで、悪いですが「良い社会を作った」とは言い難いと思います。

 問題先送りで利益を先食いするということはあり得るわけで、先代社長がおいしいところを持ち逃げして、次の社長になってから隠されていた問題が表面化したようなものです。

 続き。
 たとえば、お年寄りの中にも、裕福な人、元気に働いている人は大勢いるよね。そんな人たちも含めて一律に年金を給付し、医療費の負担を軽くするのはどうなんだろう?力のある人にはちゃんと負担してもらい、本当に必要としている人にこそ必要な支援を届けるべきじゃないだろうか。

 具体的には、老後の基礎的な生活を保障する「基礎年金」を、消費税としてみんなに払ってもらう。年齢の区別なく集められるから、世代間格差を広げずにすむはずだ。また、一定の収入のあるお年寄りについては、年金の給付額をカットしたり、若い世代と同じように、医療費の自己負担割合を3割に増やしたり――といった負担をお願いすることも考えられる。

 同じことは生活保護についても言えるよ。今、生活保護を受給している人の50%以上は60歳以上の高齢者層だ。そして、その財源となる税金の多くは、おもに現役で働いている人たちが支払っている。裕福なお年寄りにもより多く税金を支払ってもらうようにすれば、若者の負担感も減るはずだよね。

「お年寄りだから支える」「若者だから頑張って負担してもらう」といった、おおざっぱな制度ではなく、よりきめ細かく、効率的な制度を作ること。そして、年金や医療の問題だけでなく、若者の働き方にも目を向け、世代間格差をなくしていく努力が必要だ。

 生まれた時期による「損得」だけに目を奪われていては、世代間格差の問題を解決することはできない。見つめるべきなのは、その原因となっているこの国のあらゆる制度、古くなって使い物にならなくなったシステムだ。僕ら大人は、「人口減少」「少子高齢化」という“都合の悪い現実”から目をそらさず、新しい仕組みを作り直していくべきだと思う。

 生活保護の話が出ていますが、問題なのは老人世代でも財政状況に大きな差があることです。

 老人世代でも余裕がある人と、生活保護レベルまで困窮する人で激しい差が出ているのです。

 ここらへんごちゃ混ぜにしてしまうと話が噛み合わなくなるので、ご注意ください。


 なお、出口治明さんは以下のような指摘も。

(略)「政府は貧しい人たちに対する援助を減らすべきだ」という見解について、「そう思わない」と答えた人の割合は42.5%と、アメリカ(65.4%)を含めた先進諸国の中で最も低い水準となっており、「どちらともいえない」と答えた人の割合がこれまた38.9%と、先進諸国の中では群を抜いて最高位を占めている。

 これらを社会の弱者に対する視線が弱まっているのではないかと危惧するのは、深読みのしすぎだろうか。何れにせよ、私たちは、市民の所得や貧困問題について、もっと真摯に向き合うべきではないかと考える。

 男女間賃金格差(男女間のフルタイム労働者の賃金の中央値の格差を、男性の賃金水準で割った値)は、32.0であって、韓国(39.8)を除く先進諸国の中では、最も高い。これも、決して褒められた話ではあるまい。因みに、OECD諸国の平均は18.3であった。

(中略)

 新聞で、「『保育園で子どもたちの声がうるさい』という住民のクレームが役所に寄せられ、対応に苦慮している」という記事を読んだが(10月14日朝日新聞朝刊)、これはまさに少子高齢化社会の病理現象の1つではないか。子どもがうるさいのは、ごく自然な当たり前の現象である。それを十分に考慮することなく、目先の対応として、ペアガラス「開かずの窓」や園庭使用制限に走る。そういった閉じ込められた空間で、私たちの将来を担う次の世代の子どもたちが果たして伸び伸びと育つだろうか。

 クレームを寄せた住民が働けなくなったときに支えるのは誰であろうか。こういった、社会的なつながりを欠いた(と筆者には思われる)一部の市民のわがまま(エゴ)を、役所は本当に聞く必要があるのだろうか。役所は毅然として、保育園の窓を全て開け、園庭で子どもたちを自由に遊ばせてほしい。夜になれば、子どもたちは大人より早く眠るのだ。

 筆者もとうに還暦を迎えたが、高齢者の生きる意味は、次の世代を健全に育てることにあり、沈む船からボートを降ろす時は、「子ども・女性・男性・高齢者の順」という古今東西の真理を片時も忘れることなく、人生を全うしたいと考えている。繰り返しになるが、次の世代を担う子どもたちを、健やかに育てるという視点こそが、国の社会保障政策の立案に際しては、全てを差し置いて最優先されるべき事柄なのだ。

 ここらへんはある程度わかる部分が多いのですが、そうなると先の話で世代間格差など問題ないなどと言う話にならないはずなので不思議です。

 何しろ格差拡大の流れで最も被害を受けるのは、今の子供たちを始めとした未来世代なのですから……。


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