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デマを拡散するのは悪意ではなく善意!地震や新型コロナウイルスで発生


 デマに関する話をまとめ。<デマを拡散するのは悪意ではなく善意!地震や新型コロナウイルスで発生>、<わざと?「日本人は騙されやすい」と主張のブログが悪質デマ拡散>、<訂正が拡散せずデマだけが拡散するのは「おもしろさ」の違い?>などをまとめています。

2022/09/29まとめ:
●2ちゃんねるまとめサイトが東日本大震災・原発事故で悪質なデマ


●デマを拡散するのは悪意ではなく善意!地震や新型コロナウイルスで発生

2020/08/09:デマを拡散している人の多くは、悪意ではなく善意によって拡散しています。良いことをしていると思ってやっているんですね。もともと書いていたのは地震に関する話でしたが、それ以外の話題でも基本はいっしょで、新型コロナウイルスに関しても同様の指摘が出ていました。

<新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで「トイレットペーパーがなくなる」というデマが広がり、実際に店頭からなくなる騒ぎになった。なぜデマやうわさが生まれ、人は踊らされるのか。立命館大のサトウタツヤ教授(社会心理学)は「うわさやデマは、重要で曖昧な情報について『善意』から生じる」と指摘する。
 サトウ教授によると、うわさやデマは人を陥れる意図からではなく「こうしたらよい」という善意から生じるという。トイレットペーパーについては、家族や友人らに「あの店で売っていた」などと伝えたことが、結果として買い占め騒動につながった>
(新型コロナ デマ・うわさは「善意」から 立命館大・サトウ教授が指摘 /京都 毎日新聞2020年5月11日 地方版より)


●原発事故の年に白血病が7倍の報告…完全な捏造だったのに拡散

2022/08/30追記:<ツイッターデマ、ネットデマはなぜ起きるのか?>というタイトルで書いていた話をここにまとめます。これはもともとそれ以前に書いた<東日本大震災、原発事故の悪質なデマ、流言>(同じページの後半にまとめ)という投稿で収まり切らなかった分をまとめたもの。このため、「なぜデマが起きるのか?」以外の話もあります。

2012/1/25:白血病患者数が前年7倍と急増 このデマはなぜ広がったのか(J-CAST 2011/11/30 20:09)というデマの事例。発信源となった書き込みの内容は、「国公立医師会病院」の統計で、2011年4~10月に白血病と診断された患者数が前年の約7倍にも膨れあがったことが判明したというものでした。ただ、解釈違いですら無く、まるっきり嘘だったようです。

<そして、患者の6割以上が急性白血病で、統計開始の1978年以来、例のない高い比率だとした。また、患者の8割が東北、関東在住で、福島、茨城、栃木、東京の順で多いとした。このことについて、原発事故との因果関係は不明だが、それが分かり次第、日本医師会の原中勝征会長が発表するという具合になっている。
日本医師会では、サイト上の原中会長名のお知らせで29日、「このような発表を行った事実はありません」と関わりを否定した。そもそも、医師会病院は国公立ではなく、統計データも確認できず信憑性もないというのだ。
医師会の広報情報課によると、調査した結果、2ちゃんねるの書き込みが発信源とみられるデマだと分かった>

 2ちゃんねるのスレでは、「いよいよ来たか」「関東は、オワッタ」などと真に受けたような書き込みはあったとのこと。ただ、ネット上を検索しても記事の痕跡がなかったとして、「デマだろ」「ここの住人は釣られないゾ」との指摘も出ていました。

 ところが、間違った情報を拡散する人は、こういう指摘は重視しないんですよね。2ちゃんねるまとめサイトなんかは意図的に指摘を削除することすらあります。今回の場合、ブログやツイッターで、ソースの問題点には触れず、記事形式の書き込みを紹介するケースが相次いでデマが拡散していきました。

<「子供を被曝から守ろう!」と訴えるコミュニティ掲示板でも2011年11月23日、この書き込みを紹介したほか、また別のブログでも24 日、統計データが見当たらないものの「火の無いところに煙は立たず」と書き込みに触れた。ツイッターでも、書き込みをコピペして、つぶやく人がいた。(中略)
神戸市内の小児科医というブロガーは、白血病患者がいきなり前年の7倍に増えれば、専門医不足の病院はパンクすると指摘した。また、直近の4~10月の統計データを調べるには、ありえないほど早いペースの作業が必要になるとしている>

 最初に結論がその人の中で決まっていたり、第一印象を優先したりするため、こういう情報は否定されても信じられません。証拠がないことについて、「白血病急増の情報をつかんだ人が記事形式でリークした可能性がある」などと言っていた人もいた模様。どんどんと都合の良い推測を重ねてしまいます。

 なお、これは記事もちょっと悪く、「政府への不信感があるため」といったまとめでした。デマが流れたことを正当化しかねないものですし、一部、実際にこれに同調する人が出ています。これはそもそも議論のすり替えであり、白血病急増のデマを流したことが、その主張で解決するわけではありません。


●わざと?「日本人は騙されやすい」と主張のブログが悪質デマ拡散

 もうひとつ紹介するのは、「関東の幼児80%は40歳まで生きられない」 どうしてこんな原発怪情報が拡散するのか (J-CAST)という記事です。こちらでもデマが流れる理由に関する考察がありますが、先程より良いものだと思います。先ほどと同じJ-CASTの記事ですが、外部の意見が入ったおかげでしょう。

<問題とされたのは、2011年10月11日朝、「重要」と題して掲載された文章で、冒頭に「友人の、知人の文科省勤務の方からの内通です」と断った上で、「3.11から今までに関東内に住んでいた幼児の80%が40歳まで生きられないデータが東大から発表されたとか。骨折れやすく、虚弱体質及びLDになりやすくなる等です」などとつづっている。東大が発表したとされる具体的な内容は示されておらず、東京電力福島第1原子力発電所から出た放射性物質と骨折、虚弱体質、ひいては学習障害(LD)とどのように関連するかについても明らかではない。
 だが、この書き込みは「お腹の赤ちゃんもか…」といった「一言」とともに、ツイッターを通じて急速に拡散していった。
 ブログに書かれていた内容がショッキングなだけに、根拠が示されていないことを疑問視する声も続出。コメント欄にも、発表の信ぴょう性について指摘する声が相次いだ。これに対して、ブログの持ち主は、「東大が発表したと言うよりは、東大の研究結果がそうだったと言う事で、発表はしていません。東大が研究結果を文部科学省へ伝えた内容を、文部科学省の方から横流しで聞いた。と言うだけなので、勿論ソースはありません」とトーンダウン。その後、「軽率な事をしてしまったと、大変反省しております」などとして、ブログの文章は削除された>

 削除されたブログの文章には「日本人には、著しくメディア・リテラシーが欠如していると思うの。メディア・リテラシーって、つまり、色々な情報をもとに、物事の真意を見ぬく能力」という主張も含まれていたそうです。記事では"情報の「根拠を確認する」「原典にあたる」ことの難しさを逆説的に裏付けた形だ"としていますが、わざと嘘の情報をネットで流す実験をしたようにも捉えられるので、嫌な気分になりました。


●訂正が拡散せずデマだけが拡散するのは「おもしろさ」の違い?

 さて、問題の「なぜデマが拡散するのか?」という話。ITジャーナリストの井上トシユキさんの分析が記事では紹介されていました。大手マスコミにしても、雑誌にしても、フリー記者にしても酷いものはたくさんあるのですが、確率的に考えると素人側の分が悪いんですよね。そこらへんが指摘されていました。

「記者であれば、ある程度教育を受けている上、誤報を出した際は(1)訂正記事を出して上司に怒られる(2)名誉毀損で訴えられるというように『痛い目にあう』のに対して、ネットの匿名ユーザーは、基本的には痛い目にあったことがない。リスクを背負っていない」
「『情報をうのみにしてはいけない。出典を確認しないといけない』といった基本的なことを言い続けるしかない。下手に厳密に対策を打とうとすると、『ネット実名制』のような、別の弊害がある動きが出てくるでしょう」

 深刻なのは記事冒頭で"「怪情報」は拡散を続けている"とあったこと。間違った情報の伝播が止まらない場合があることです。私もこうやって文章を書いて読んでいただいていますが、ネットでは実生活では見てもらえない人に見てもらうことができます。このように誰でも情報発信ができるというのはネットの大きな強みなのですが、一方でこういった弊害も引き起こします。

 また、「ツイッターでは、結果的に誤報は訂正される」説にも懐疑的でした。「結果的に誤報になった情報は、フック(つかみ)があるからこそ拡散するのに対して、いわゆる『訂正ツイート』は、フックがないので大して拡散しない」といいます。

 ひどいデマがめちゃくちゃ大人気で拡散してしまうのは、言い方は悪く不謹慎ですが「おもしろい」ためでしょう。ひどい内容なので知らせたくなるのです。一方、デマを訂正する情報はそれほどおもしろくないためにあまり拡散されないという困ったことになるようです。非常に重要な指摘だと思いました。


●東日本大震災でコスモ石油のデマ「有害物質が雨と一緒に降る」

2012/11/29:災害時におけるツイッターの書き込みやグーグルの検索傾向を調査し、今後の防災に役立てる「東日本大震災ビッグデータワークショップ -Project 311-」の報告会が2012年10月28日に東京大学で開催されました。東日本大震災では救助活動や物資支援などにソーシャルメディアの情報が使われた一方で、不正確な情報もネット上に多く出回りまっています。こうした不正確な情報は、防災や支援活動を阻害します。

 例えば、コスモ石油のデマなんかがそういったデマ。千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所で火災が発生した際、「有害物質が雨と一緒に降る」といったものが流れました。ツイッターや携帯メール、SNS(交流サイト)の「mixi」などで拡散しています。
(デマはどう広がり終息したのか 震災時のツイートを解析(ブロガー 藤代 裕之 2012/11/8 7:00 日経新聞)より)


●地震時のTwitter拡散希望デマの研究、「デマツイート」の発生元を特定

 Project 311では、グーグルの検索傾向、NHK総合テレビの震災発生から24時間分の放送音声、震災後1週間分のツイート、震災後の鉄道運行情報データなどを活用し、デマがどのように書き込まれ、どう拡散していったのかを調査。いわゆるビッグデータを調べました。

 その結果、3月11日の18時43分に行われたデマ発生元のツイートを突き止めました。「【拡散希望】千葉市近辺に在住の方! コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し、雨などといっしょに降るので外出の際は傘かカッパなどを持ち歩き、身体が雨に接触しないようにして下さい!!!」という内容です。

 また、「デマツイート」には傾向があることもわかりました。まず、デマ発生元からツイートが行われた後、ヘッダを付けて本文を少し書き換えた改変タイプのものが発生。リツイート(RT)数を見るとオリジナルは1700RTでしたが、「mixiから」と付けられたものは3400RT、「工場勤務の方から」と付けられたものも3400RTだったといいます。

 一般的に、噂が伝搬するときは「伝言ゲーム」のように内容が次々に改変されながら広がっていくとされています。ただ、簡単に引用できるというツイッターの特徴からか、オリジナルの内容を残しながら広がっていく傾向があり、違いが見られました。


●なぜ?デマツイート拡散の一方でデマ否定ツイートは拡散されず

 実は早い段階からデマを否定するツイートがあったことも判明。発生元ツイート以前の18時1分には「千葉県の方へ、コスモ石油の火災で有毒なガスは発生しません。風評によって惑わされないで下さい」というツイートや、18時32分には「チバテレビによるとコスモ石油の火災による有毒ガスは無いそうです」というツイートがありました。

 さらに、19時29分にはNHKオンラインのサイトにリンクするURLをつけて「コスモ石油の千葉製油所の火災により有毒ガスが発生する恐れはないそうです」とツイートしたものもある。しかし、このNHKのURLを付けたツイートはたった7RTしかありませんでした。一方で、デマツイートの大半には、NHKに限らずURLが付いていなかったという、むしろ明らかに怪しいものでした。

 <ツイッターデマ、ネットデマはなぜ起きるのか?>(同じページの前半にまとめ)での分析に従えば、デマの方が魅力があるため、正しい情報は拡散しないと言えそうです。否定情報はこのままではおもしろみがなく、人に伝えたいと思わないのです。

 この傾向は、この後でもわかります。当時のNHKでは「有毒ガスの恐れなし」と繰り返し放送していたものの、デマ拡散を抑止することはできませんでした。同時間帯に、ツイッター上でもNHKの報道を引用してデマだと知らせるツイートも散見されたものの、広がっていないのです。


●デマを終息させた朝日新聞と浦安市の良かったところは?

 ここまで読むと、既存マスコミはネット上だと無力なように見えます。ところが、沈静化の立役者も実は既存マスコミのネット情報でした。

 デマの終息に大きな影響を果たしたのは、朝日新聞が12日16時13分にウェブサイトにアップした記事『コスモ石油が否定 「火災で有害物質降る」のメール連鎖』だったことがわかっています。また、千葉県浦安市のアカウントから12日15時31分に発信されたツイートも効果がありました。2万3000もRTされています。

 浦安市のツイートや朝日新聞の記事に共通していた重要な特徴は、デマが広がっていることを踏まえた上で千葉県やコスモ石油に問い合わせて否定しているところ。NHKでは「有毒ガスの恐れなし」とだけ述べていました。この小さな違いが、大きな違いとなっていたのです。

 こういう話題でおもしろいと言っちゃ不謹慎ですが、これはすごい発見だと思いました。先ほどの理論に従えば、単なる安全情報だと「ふーん」で終わるものの、誤情報が広まっていることを知らせた上で否定すると話題性がが高まり、「拡散したい」という欲求が増すと言えそうです。


●デマ拡大はむしろ善意が引き起こす、研究で指摘

 とりあえず、今回の調査で、正確な情報を発信すればすぐにデマは終息する、と考えるのは早計なことがわかりました。情報を受け取る側の疑問や不安といった気持ちと発信する情報がマッチしなければ相手に届かないし、相手も受け取らないのです。このような視点は、企業がソーシャルメディアでマーケティングを行う際にも参考になるのではないかとされていました。

 また、作者が興味深かったとしていたのが、東京工業大学の高安美佐子准教授の研究室チームの発表。デマツイートを分析した結果、「歯がゆい」「いたたまれない」「もどかしい」というキーワードも出現しており、デマが蔓延(まんえん)しやすい状況は、特定のキーワードが頻出するとしたら予測できるのではないかとしていました。これにより「デマ注意報」のようなアラートが出せる可能性があります。

 また、同研究室は、キーワードからは「善意の心配がデマを拡散させている可能性が高い」とも指摘。作者も、初期段階ではデマを疑いながらRTしているケースが少なくないことを認識しており、むしろ善意によるからこそ拡散のパワーが大きく、止めにくくなると考えていました。

 先ほどのデマの指摘ツイートが広がったのは、おもしろさが増したという説明だけでなく、善意から拡散しようという欲求が増えたとも説明できるでしょう。


●効率的な防災や支援活動を阻害していた「善意」

 「デマ拡大は善意が引き起こす」というのは、ショッキングな話じゃないかと思います。何しろ良かれと思いながら、「効率的な防災や支援活動」を阻害しているわけです。意図したものと全く正反対の結果になっています。

 ですから、もちろん「デマ拡大は善意が引き起こす」というのは、「善意だからデマ拡散しても仕方ないよ」と肯定化するものじゃありませんよ。善意を持った人にこう言うのは辛いですが、むしろ批判的なものです。

 今回の話で思い出したのが、いわゆる暴力的なゲームでその熱中度を比較した場合、悪者が残虐な行いをするゲームより、正義が悪を成敗するゲームの方がずっと夢中になりやすいという話。大義名分があると正義感が後押しして、遠慮なく暴力を振るうことができるんでしょうね。

 デマによって迷惑をかけたり、種類によっては生活を脅かしたりで、自殺に追い込むことすら可能性としてはあり得ます。底の浅い善意と安い正義感で情報を流す前に、情報の真偽をよく考えてみる必要があります。

 私自身もその実行は難しいと思いますが、偽の情報だった場合に脅かされる人のことまで考えるというのが本当の善意でしょう。「良いことに見えること」のためなら「悪いこと」をして良いということはあり得ません。


●2ちゃんねるまとめサイトが東日本大震災・原発事故で悪質なデマ

2012/1/24:ここから<東日本大震災、原発事故の悪質なデマ、流言>というタイトルで書いていた話をまとめ。ただ、デマの話の前に、ご褒美消費の次は「社会貢献消費」!?U-35女子は「婚活消費」に走る!?3.11で変化した“女の物欲”とは (ダイヤモンド・オンライン)であった、東日本大震災で変わったことについての話です。

 この記事ではアンケート結果について、<震災により日本人の価値観は大きく変わったのだろう。「人生短いんだから、自分のプライベートをもっと大事にしなきゃ」。そう男性たちが考え始めた>と分析していました。 また、女性については「社会貢献行動」、34歳以下は婚活に意識が向かったとのことです。

 ダイヤモンドの調査じゃありませんが、私も震災で変わった生活習慣・価値観に関するアンケートにいくつか参加。ただ、私には「変わった」とチェックを付ける項目はなかったんですよね。とはいえ、私も何も変わらなかったわけではなく、「変わった」と言える部分はありました。それがデマ関係たっだのです。

 東日本大震災では、被災地におけるいい話が伝わる一方で、デマが多数発生。さらに、思いやりのない行動や震災をダシにした主張も見られて、ショックを受けてしまいました。これによって日本人の思考・行動についてのイメージが変わってしまったのですが、アンケートはそういう趣旨の項目はありませんでした。
(関連:国難で野党は与党の足を引っ張らず協力しろ!震災時の自民党は?)

 今回はそういうデマや、デマと言うと意図的なものを含むのでそこまでではなかったかもしれない流言の類の記事が溜まっていたので、まとめて紹介するというもの。例えば、福島第一原発事故による放射能汚染関連で 一番酷くて、明らかに意図したデマだと思ったのは、米袋の“産地偽装”の話です。

<(引用者注:10月)19日のテレビ番組で放送された、福島県の農家が米を廃棄する映像の中で、農家がJAあまくさの米袋に米を詰めるシーンがあり、2ちゃんねるとそのまとめサイトが「福島の農家がJAあまくさ(熊本)の米袋に産地偽装しているのが堂々と流れる」などとテレビ映像のキャプチャーとともに掲載していた。JAあまくさは「言われなき中傷」「JAテレビ放送の内容とはかけ離れ、悪意的ネット配信に対し、大変遺憾に感じ強く抗議します」としている。
 19日午前に放送された「とくダネ!」(フジテレビ系)で、東京電力・福島第1原子力発電所事故の影響で福島県の農家が米を廃棄せざるを得ない事情をレポートした際、映像中に米をJAあまくさの袋に詰めるシーンがあった。米を廃棄するために、JAあまくさの使用済みの米袋に詰めたもので、使用済みの袋である印として袋には×印がついているのもはっきり映っていた。こうした使用済み米袋は、各地のホームセンターなどで販売されているものだ>
(“産地偽装”は「言われなき中傷」 2chまとめサイトなどにJAグループ熊本が強く抗議より)

 記事によると、「福島県でなぜ熊本県産米の袋が使われているのか」という質問も多数寄せられているとおり、その理由は以下のようなものでした。

<熊本県産米を全国に向けて販売しており、販売先で仮に使用済みの紙袋を使用する場合は、農産物検査証明の表示を除去、または抹消することになっている」と説明。違反すると法に基づき罰則が科せられる。JAグループ熊本は「販売先に対し使用済み紙袋に×印を付けるよう指導している>

 「なぜ地元の袋を使わない?」と言っている人もいましたが、「使用済み」ですから各地に売られて分散しているのでしょう。それをわざわざ輸送して産地に戻すというのは、割に合わないですよね。

 記事であったまとめサイトというのはハムスター速報(通称:ハム速)というまとめサイトの大御所です。私も何度も見たことがあり、悪い印象はなかったのですけど、これは本当に酷いと思いました。…と言うのも、元の2ちゃんねるの時点では、この「産地偽装」という主張が勘違いであることを指摘する書き込みがいくつかあったと言われているためです。

 基本的にまとめサイトは編集を行なっており、元ネタの2ちゃんねるをそのまま写すわけではありません。つまり、どうも「デマの指摘」をわざわざ消して公開したと考えられます。これが本当なら相当悪質であり、本来ならもっと騒ぎになっていないといけないでしょう。

(2022/09/29追記:なお、その後いくつかまとめサイトが問題になり、前述のような悪質なデマ問題のあったハムスター速報などの存続が危ぶまれる状態になりました。すると、なぜか自民党の片山さつき議員「ハム速を守ろう!」と訴え。右派に近いサイトであったために、擁護していたのかもしれません)


 次は白血病の話。こういう病気・健康に関わるものは事故を引き起こした東電や国はもちろん悪いんですけど、だからと言って嘘をついて扇動する理由にはなりません。ある若者の死が“原発事故の犠牲者”としてネットで広がり、否定されるまで(2011年11月29日 20時27分 ITmedia)で報じられているデマなんかは、亡くなった人を利用して騒ぎにしてやろうというもので、こんな人は命の大切さなんかこれっぽっちも考えていないでしょう。

 発端となったのは2011年11月26日に発売されたブラックバス釣り雑誌「Rod and Reel」(出版:地球丸)の1月号に掲載された、釣り師・阿部洋人さん(享年24歳)の追悼記事です。この時点では、「放射能」問題とは関係ありませんでした。しかし、ネットでデマが広まります。

<28日午前、2ちゃんねるに「福島原発30km圏内で野宿し池や川で釣った魚を食べていた阿部洋人さんが急性リンパ白血病で亡くなる」というスレッドが立った。この中で、ある個人ブログの「[食べて応援」で、またも死者!」「つり雑誌に連載に持ち、野宿しながら釣った魚を食べて記事にしていた阿部さんが、急性リンパ白血病で亡くなった。福島県の祖父の田舎を釣りで応援すると言って、30キロ圏内で野宿し、池や川で釣った魚を食べていた」というブログ記事にリンクが張られた。
 2chまとめサイトはこのスレとブログ記事を引用する形で、「まだたまに安全厨いるけど、あいつらってどういう思考回路してるんだろうか」といったレスを強調表示しながら抽出して編集し、記事として公開。このまとめ記事を著名人がTwitterでツイートするなどし、広まった>

 2011年11月28日夜になって、同誌の編集部ブログが、阿部さんについて「誤った憶測が飛び交っている」として、記事について説明する文章を公開。「阿部さんは福島原発の30キロ圏内で野宿もしていなければ、釣り上げた魚を食べてもいません」「そもそも彼のおじいさまは、福島県在住ではありません」とネットで出回った内容を否定し、記事に「反原発」といった意図はないとしました。

<阿部さんの友人を名乗る人は、阿部さんが急性リンパ性白血病で亡くなったことは事実だが、福島は「通過しただけ」とTwitterで説明。「反原発を訴えるのは勝手ですが、友達の死を捏造してまでやるヤツが腹立たしいです」とツイートした。
 こうした説明を受け、「[食べて応援」で、またも死者!」という記事を公開していた個人ブログはその後、「事実であるとの確認が取れませんでした」と記事を削除した。一方でまとめブログの記事は公開され続けており、こうしたニュースソースの検証がないまとめ記事を安易にツイートするTwitterユーザーの姿勢への批判的な見方もある>


 これ以外にも、東日本大震災の津波関連のものも。これは、これはすごい。神社が、大津波の浸水域に沿って見事に建てられ、警告していた事を示すドキュメンタリーというものですが、途中でうんざりして最後まで見ませんでした。コメント欄見てみると、やはり批判が出ています。これもデマと言って差し支えないでしょうね。

 コメントでは「神社は大抵はその土地にある少し高い山に建てられることが多い」の他、歴史的な変遷を見るべきといったものが多数。あと、そもそも被害にあっている神社がたくさんあり、どれが警告したものか、していないものかわかりません。

 ブログの写真はよく当たっていた地域を拡大したものですが、それですらいくつも津波に飲み込まれています。「神社が、大津波の浸水域に沿って見事に建てられ、警告していた」はデマと言って良い状況。また、これが悪質なのは、新たに津波が発生したときに被害に遭う人を増やす情報でもあるためです。

 デマである神社のある位置への避難を信じてしまった場合、それによって津波の被害にあうことがあり得るんですよね。神社の位置を警告だというのであれば、今回はむしろ外れだったという証拠。何でそれで「すごい」という結論になったのかわかりません。オオカミ少年津波警報を問題視することの問題点といっしょで信じるとむしろ被害者を増やす情報だと思われます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■オオカミ少年津波警報を問題視することの問題点
  ■国難で野党は与党の足を引っ張らず協力しろ!震災時の自民党は?

【関連投稿】
  ■フェイスブックとツイッターはなぜ流行った?日本・アメリカ・ブラジルの場合
  ■ネット・コンピュータ・ハイテクについての投稿まとめ

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