移住促進で地方活性化!とは言うものの、住居があっても、食べるものがないと暮らしていけません。結局、仕事があることが一番大事なのです。ただ、考えたことがなかったのが、やる気ない人用の安いけど楽な仕事というのも都会ならあるので、都会の方がそういう人も暮らしていきやすいという見方でした。あと、田舎の方が都会より友達を作りづらいのかも…という話も意外で、いっしょに紹介しています。
2018/09/06:
●就業経験に乏しいニートや引きこもりを農家に…政府案に失笑
2019/04/21:
●TOKIO山口「農業とか面倒くさい」に共感…「本物の農家だ!」
●「農家が辛い」が事実なら農業を他人に勧めるべきではないのでは?
2020/12/15:
●「若者を農業に就かせれば、ニート問題は解決」と言った議員は?
●移住だけではムリ…地方活性化は仕事がないと成功しない
2018/02/23:地域活性化で移住を促進!というのがありますが、そもそも地方には仕事がないという問題があり、一番重要なところを見落としていると感じます。住居だけあっても食べるものがないと暮らしていけませんからね。「保育園に預けられないなら田舎行け」なんてのもの同じような誤解による主張です。
そういう記事はないかな?と検索すると、出てきたのは
35歳から地方移住ってどう?彼氏の田舎へのIターンで知った現実 | 女子SPA!(2017.08.13)<TEXT/タケダマコ>という記事。仕事がないって話は多くなかったのですけど、「いかんせん、仕事が少ない!」とは言っていました。
これはより好みしているわけではなく、「何でもやりますよというスタンス」だったのにも関わらずという話。「パートやアルバイト一つとっても1日5時間程度の仕事しかなかったりします」と、田舎で定職を見つけることの大変さを痛感していました。
●地方には特に楽な仕事がないのが問題?
このように仕事がないことにより地方が廃れるというのは前々から考えていたものの、予想外だったのが、
安いお店の客はクレーム多く民度低い?低い家賃で滞納率も高く?でも紹介したシェアハウス失敗エピソードです。
向こうで書いたように、このシェアハウスは家賃1万円~と破格に設定したものの失敗。家賃を安くしたことにより、むしろ猛烈にお金がない人たちを集めてしまった感じ。勉強会を開いて自分なりに育成もしたものの、そもそも向上心あふれる人や勉強熱心な人だったら1万円の家賃も払えないような貧困層になってないだろうと予想されていました。
で、予想外だったのが、東京だとこうした「底辺」とこの人が呼ぶ人々でも、わりとお金を稼ぐ術があったという見方です。底辺のネットワークで楽なバイトや治験を紹介してもらったり紹介したりとなんとかしようと思えばなんとかなるシステムが東京にはあったというのです。
("シェアハウスを解散するにあたってのエントリ | ギークハウス越路"2018/2/21より)
http://geek-koshiji.com/2018/02/21/post-332/
●サービス業の多様化が加速度的に過疎化を促進
これを読んで過去に書いた投稿を思い出し、全体に修正して再投稿したのが、
地域活性化を促進するとされるITの発展、実は地方の過疎化の原因だったでした。
ここではタイトルにしたIT以外に、サービス業についての指摘も印象的だったのです。サービス産業は、需要者が供給者の存在するところに行く必要があります。なので、人が集まれば集まるほど多様なサービス産業が成立するということになる、つまり、都会ほど多くのサービス業のお店ができることになります。
例えば、高級フランス料理店のように食べる人が多くないものは、よほど人口が多い地域でないと採算が取れないなど、「集積の利益」が強く作用するため、田舎では成り立ちません。
そして、このように人口が多い地域ほどサービス産業が立地するということが、また雇用機会を生んで人を集めるということで、さらに都市への集中と地方の過疎化を進めます。加速度的に過疎化を進行させるのです。
で、今回の話は安いけど楽な仕事みたいなのも、結局、都会にあって、地方にはないんじゃないの?という話。贅沢しない暮らしであっても、都会の方が成り立ちやすいのかもしれないという意外な話でした。
●地方は「年収が安い代わりに楽な仕事」を用意する方が現実的
シェアハウスの人は、「一人あたりのGDP400万+平均消費120万で移住者一人につき500万超の効果、移住者誘致だ!」なんて絵空事を言うより、「お金ないしあんまり働きたくないので地方でのんびり生活したい」層を誘致するほうがよっぽど現実的ではないかとしていました。
そして、そのためにはアドバルーン監視のようなゆるいバイトだけを集めた求人サイトやシェアハウスに楽な仕事が定期的に斡旋される仕組みがあるといいものの、これって自治体の協力が不可欠だと主張しています。
これについて、「なんで楽な仕事を求めるシェアハウスの住民のために自治体が税金使って協力するべきなの?」という否定的な反応が出ていました。「自治体やそこに住む人にどんなメリットがあるかしっかり説明できてないと、協力は得られないっていうあたりまえの話」と一刀両断です。
ただし、そもそも地方ではその地域へ人を呼ぶことを欲しているのですから、人が来た時点でメリットになります。「ツライ仕事があるので来てください」で皆が来たがらない地方へ人が来るわけがないので、何らかの魅力を出す必要があります。
シェアハウスの人の主張としては、そういう魅力の出し方として、「平均以上のレベルの年収の仕事」を用意するのよりは、「年収が安い代わりに楽な仕事」を用意する方が可能性あるでしょ?ということだと思われます。
実を言うと、私はそもそも行政がそういうことをやるのは難しいという考え方ですけどね。これは、
国が民間企業に介入して失敗、下町ボブスレー・東芝・銀行などなどで書いています。
●田舎の方が都会より友達を作りづらい?
話がそれるのですけど、最初の女子SPA!では、予想外の田舎のデメリットがあったので紹介。これも普通は、地方より都会の方がダメだと思われているもの。なんと友達ができづらいと言っていたのです。
「(引用者注:地元出身の)旦那の友だちはほとんど男性だし、何かイベントごとでもない限りは新しい知り合いができないので、できるだけ近所でマルシェのイベントやマクロビのワークショップがあったら参加するようにしています」
ただ、ここでITが活躍。新しく出会った人たちに向けて、自分を知ってもらうようにとSNSで料理をアップすることで、「最近になってようやくですよ、料理のSNSで主婦の友だちが増えて来たのは」とのことでした。
●就業経験に乏しいニートや引きこもりを農家に…政府案に失笑
2018/09/06:農林水産省が2019年度から、ニートや引きこもりなど就業経験に乏しい生活困窮者の農業分野への就労を進める事業について、施設整備や研修などの費用を補助することを決めたそうです。
おそらく農水省がそう説明しているのでしょう。「農業は作物の収穫などを通して達成感を得られやすく、作業を通して周囲とのコミュニケーションを取りやすいといったメリットがある」とも説明されていました。
(<生活困窮者>ニートや引きこもりの就農支援に補助 農水省 9/1(土) 12:27配信 毎日新聞より)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180901-00000036-mai-soci
ところが、この政府の案がまとめサイトでは失笑されていました。そもそも仕事が嫌で引きこもっている人たちが多いのに、農業のようなきつい仕事は向かないだろうといったニュアンスの反応が多いです。
ニートについて書いた投稿も結構あるので、そっちに追加しても良いと思った話なのですけど、「楽な仕事ほど必要」との繋がりでこちらに追記。ニートや引きこもりの人たちも、給料は高くなくて良いので、むしろ簡単な仕事が必要なのでしょう。
●TOKIO山口「農業とか面倒くさい」に共感…「本物の農家だ!」
2019/04/21:DASH村で農家顔負けの活躍をしていた山口達也さんは、女子高生への強制わいせつ容疑でTOKIOをクビになっています。この事件の際には、「DASH村とか、農業とか面倒くさい。正直だりぃよ」と愚痴を吐いていたとも同時に報じられていました。
事件の報道では、強制わいせつ容疑よりこの発言の方が驚いたという反応があったのですけど、これは強制わいせつを軽視したもの。性犯罪くらい…という見方は未だに多いですね。性犯罪がなくならないのもわかる気がします。ただ、ここで書きたかったのはそういう話ではなく、農業のつらさを知っている人ならではの本音に「本物の農家だ」と称賛する意見が数多く寄せられていたということでした。
"山口達也完全に農家ですわ。農業って完全に機械化できない部分があるから愚痴る気持ちは痛いほどわかる"
"山口達也元メンバーの言う通りですよ。農業は面倒くさいしダルい。儲かんないんだから"
(
「農業とか面倒くさい」 元TOKIO・山口達也の愚痴に「完全に農家」と共感の声 (2018年5月9日) しらべぇより)
●「農家が辛い」が事実なら農業を他人に勧めるべきではないのでは?
そもそも多くの仕事が辛いもの…と言うのならわかるんですけど、「農家はマジ辛い」をあまり強調してしまうと、また農家のなり手不足につながってしまいます。まあ、事実なら仕方ないんですけどね。ただ、そうした場合、農家が不人気なのは当然ということで、むしろそんな仕事をやらせようというのが無茶だということに。勧めてはいけない仕事だということになります。
また、「農業とか面倒くさい。正直だりぃよ」が事実であり、農家が辛いものであるというのであれば、一つ前で書いた、ニートにそのめちゃくちゃきつい農家を政府がやらせようってひどくない?って話にもなるので、今回こちらに追記しました。
あお、蛇足になりますけど、上記のTOKIOの神格化的な反応も無理があるものだということも一応指摘。本物の農家のように多くの仕事をしておらずテレビの前だけ演じていた場合でも愚痴を吐くことはありますから、愚痴を言ったから本物という考えに根拠はありません。この発言だけじゃTOKIOのすごさを全然証明できないように思えます。
●「若者を農業に就かせれば、ニート問題は解決」と言った議員は?
2020/12/15:再び「就業経験に乏しいニートや引きこもりを農家に」という政府案の件。これは過去にも何度も出ている案だったみたいですね。2015.10.23にも
「中年ニートに農業体験させよ」 国の就労支援に「負け組どもが嫉妬で働かせようとするな」と反発の声も | キャリコネニュースという記事が出ていました。
このとき言い出していたのは農林水産省ではなく、厚労省。ちなみに当時の大臣は自民党で安倍晋三さんとも近い塩崎恭久議員でした。厚労省の生活困窮者自立支援室は、日経新聞に対し「(農作業で自然と触れ合うことは)心身の健康に良いことが別の事業などから判明している」とコメントしています。
記事ではさらに過去の話もあります。自民党でやはり安倍晋三さんに近い稲田朋美議員は、第一次安倍内閣が成立する直前の2006年8月に開催されたシンポジウムで、「若者に農業に就かせる『徴農』を実施すれば、ニート問題は解決する。そういった思い切った施策を盛り込むべきだ」と発言していたそうです。
また、記事では、中国共産党の毛沢東時代の「下放」や人民への大量虐殺を行ったポルポト政権下のカンボジアなど独裁国家での「徴農制度」を連想するとして、批判的な意見も根強い…といった話も紹介されていました。そういう意味では普遍的で、よくある発想とは言えそうです。あまり発想が似ていて嬉しいような顔ぶれではありませんけどね。
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