医師不足や同志社による医大や医学部の新設検討の話をまとめ。<日本の医師不足は嘘・医学部新設は逆効果と医師会が主張、同志社に反対>、<現在日本で医師不足が起きていないという理解は一般的なのか?>、<同志社の悲願である医学部新設、その後どうなったのか?>などをまとめています。
2023/07/24:
一部見直し
●同志社が医学部新設の方針、医師不足や偏在を解決する?
2012/12/21:
同志社が医大新設を検討 79年以来、認可は不透明 被災地含む自治体から打診(2012/11/30 21:43 日経新聞)という記事がありました。医大って最近全く新設されていなかったんですね。この記事を読むまで知りませんでした。
記事によると、学校法人同志社が医科大学を設置する方針を発表。政府は医大や医学部の新設を認めていないのですが、東日本大震災の被災地を含む地方自治体から打診があることなどを受け、学内にチームを発足して検討しているそうです。
これが実現すれば、「医師不足や偏在が深刻な東日本地域の自治体と連携した大学への設置認可の可能性が高い」と主張。地方で深刻化する医師不足や高齢化の進展を見越して新設を求める意見があるそうです。一方、人口減で将来は医師数が過剰になるとの予測から反対する声も根強いとされていました。
●日本の医師不足は嘘・医学部新設は逆効果と医師会が主張、同志社に反対
上記の記事を読むだけでもちょっと反対の声が出ているのがわかります。ただ、
同志社の医学部計画に反対声明 京都府医師会 朝日新聞 2012年12月11日23時40分によると、京都医師会がこれとは全然違う、ものすごい勢いでこの新設を非難したようです。
京都府医師会は、「新設には断固反対していく」との声明を発表。森洋一会長は、同志社側が医師不足の解消を掲げていることについて、「(既存の)医学部定員枠の増大で十分、
対応できている」と反論しました。
また、新設によって学生や教員を取り合う市場原理が持ち込まれると、医学生の質が低下したり既存大学の経営が圧迫されたりする、とも訴えています。そのうえで「現代の医療状況などを顧みておらず、良識の府の見識にも関わる」などと同志社側を痛烈に批判したそうです。めったに見ない激しい批判ですね。
さらにKBS京都の記事によると、医学部新設によって学生の質の低下や教員不足につながり、
逆に医師不足や医師の偏在を助長させるともおっしゃっていたそうです。
(同志社大学医学部開設に 医師会が反対 日時: 2012年12月11日 20:00より)
リンク切れ http://www.kbs-kyoto.co.jp/contents/news/2012/12/post-8838.htm
●現在日本で医師不足が起きていないという理解は一般的なのか?
医師が足りているからいらないというだけでなく、医学部を増やすとむしろ医師不足が起こるんだそうです。あら、不思議。これは先程の「人口減で将来は医師数が過剰になるとの予測から」とも違う反対意見ですね。ただ、正直わかりづらい説だと感じてしまいました。
「医師不足は起きておらず対応できている」の時点で本当なのかな?とちょっと信じられない話。
朝日新聞の方へのはてなブックマークの反応を見ても、信じきれない様子でした。
mikawa_1964 <「現代の医療状況などを顧みておらず、良識の府の見識にも関わる」とは手厳しい。/医師不足についても「(既存の)医学部定員枠の増大で十分、対応できている」と断言ですか…>
yu76 <医者不足で医者の過重労働が問題になるけれど、医師会は医学部新設に反対…以前から、なんでだろう?と思う現象>
●医師会は開業医の利益団体なので大学病院は敵視してる説
2つ目のコメントは、不思議だというもの。確かに妙な話ですね。事実かどうかは不明ですが、はてなブックマークでは、解説的なものもありました。
charliecgo <これは京都の医師会の意見というより、(全国の)医師会共通の意見。/よく間違えられるが、医師会は医師全員の利益団体ではなく、開業医の利益団体。/大学病院ができると開業医の経営を圧迫するから>
Wikipediaの日本医師会を見ると、ズバリ「日本医師会への批判」というものがあります。
<日本医師会は診療報酬にしか興味がない圧力団体である、との批判が強い。『誰も書かなかった日本医師会』にも、過去に日本医師会を牛耳っていた会長武見太郎が著者に対して「会員の3分の1は欲張り村の村長だ」とコメントしたとの記述も見られる。また、その医療政策についても、開業医の利益を優先し勤務医をないがしろにしているとの批判もあった。
日本医師会の最高意思決定機関は代議員会だが、その代議員の選挙が都道府県医師会に委託されている為、階層的組織である現況のもと、必然的に長年会務に携わった比較的高齢の会員のみで構成され、若手の会員からは甚だしく年齢構成が偏っているとの批判がある。一方で若い医師は非常に業務に多忙であり、ボランティアに限りなく近い医師会業務を嫌う会員が大半である>
●京都医師会と日本医師会は無関係、日本医師会の見解は?
ただし、
医師不足の項目によれば、日本医師会自体は主張を変えているということです。
<日本医師会も2007年2月になって「医療提供体制の国際比較」を発表し、「日医は偏在が医師不足の主たる原因であると言ってきたが、それに加え、絶対数も十分ではないことがわかった」として、それまでの方針を転換>
で、京都医師会は日本医師会と違うの?というと、実は下部組織でもなんでもなく、基本的には独立した公益法人なんだそうです。変化は見られるとのことですが…。
<行政と同様、通知等が上意下達されてきた為、一般的には日本医師会の下部組織と理解されている47の都道府県医師会、更には約920の郡市区医師会と大学医師会等がある。しかし、いずれも独立した公益法人であり、夫々地域医療の主な担い手として、行政等と協議しつつ医師会病院、老人保健施設、看護師養成学校、健診センター、検査センター、訪問看護ステーション、地域産業保健センターなどの医療・介護・福祉・教育施設を持ち、活発に事業を展開している。近年、インターネットの登場により、従来、都道府県医師会を経由しないと届かなかった日本医師会からの情報の一部が直接、郡市区医師会にも届くようになり、上意下達的体質にも変化の兆しが見られる>
(
Wikipediaより)
はてなブックマークで引用していなかった感想では、以下のようなものも残っていました。基本的には、既得権益を持っている側の言い分ですよね。
pomoqumo <「学生や教員を取り合う市場原理が持ち込まれると、医学生の質が低下したり既存大学の経営が圧迫されたりする」そのまんま,既得権益保護主義の弁>
ただ、同志社の方は京都にこだわる気はないようなことも言っていますし、受け入れてもらえるところに行けばいいんじゃないかと思います。
●同志社の悲願である医学部新設、その後どうなったのか?
2019/11/22:その後どうしたのかな?と思って検索。私は京都以外なら…と書いていましたし、実際に他の地域の自治体と連携していたのですが、京都にある大学というだけで、除外された模様です。
医学部 - Wikipediaでは、以下のように書いていました。
<近年の医師不足の背景から、私立大学に医学部の設置を検討する動きが出てきており、同志社大学が複数の地方自治体と連携して、医学部設置を目指す動きを2012年に表明していた。しかし、2013年、文部科学省は、東日本大震災復興支援として、東北地方に所在する大学一校にのみ、新設を認める方針を取ったことから、同志社大学は医学部設置を断念した。その後の審査で、文部科学省の審査会は、医学部を新設する大学として、東北薬科大学を選定し、2016年度に東北医科薬科大学医学部が設置された>
ただ、上記の上を見ると、<2017年現在、最も歴史の浅い医学部は国際医療福祉大学医学部で2017年(平成29年)開設である>ともありました。また認められたところがあるものの、同志社はダメって感じみたいですね。
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