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帝国陸軍の靴を作ったリーガル(日本製靴)は、伝統の100年企業


 靴に関する話をまとめ。<帝国陸軍の靴を作ったリーガル(日本製靴)は、伝統の100年企業>、<格安靴・ヒラキ、靴需要低迷の中で復活した理由は靴じゃなかった>などをまとめています。

2023/02/12追記:
●ウェブ販売7割でもコスト激高の紙のカタログをやめないのはバカ?
2023/04/05追記:
●大ヒット商品を看板にするな!「売れているときにやめる」ことが重要 【NEW】

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●帝国陸軍の靴を作ったリーガル(日本製靴)は、伝統の100年企業

2021/05/14:私は全然リーガルという名前を知らなかったのですが、ビジネスシューズで有名な会社だったみたいですね。大昔の社名は日本製靴株式会社(にほんせいか)。 当初は軍隊向けの靴を作っていただという話も、別の靴会社の記事で読みました。リーガルコーポレーション - Wikipediaでも、そこらへんの話が見えます。

<1870年(明治3年)に日本初の製靴会社「伊勢勝造靴場」を設立した実業家・西村勝三(西村茂樹の弟)が中心となり、1902年(明治35年)1月21日、東京府東京市京橋区鎗屋町(現在の東京都中央区銀座)に「日本製靴株式会社」を設立、これを創業とする>
<(引用者注:1903年)5月には軍靴の生産・販売を開始し、帝国陸軍を顧客に下士官兵用の官給品たる編上靴や長靴(乗馬ブーツ)を主に製造・納入>
<1945年(昭和20年)、第二次世界大戦敗戦により同年10月より民需に転換、戦前より続くグッドイヤー・ウェルト製法の紳士靴をメインに生産・販売する。一方で、かつて軍需に携わっていた経験から自衛隊向けの半長靴(戦闘靴)の製造・納入も行っている>

 伝統ある会社ですが、戦後はアメリカの技術由来みたいな説明もあります。1961年11月にアメリカのブラウン社との技術提携により「リーガル」ブランドの靴製造を始めたとのこと。1990年にこのブラウン社より「リーガル」の商標権を取得、現社名である「株式会社リーガルコーポレーション」に変更しています。

 同じ年には、ジャスダックにも店頭登録。ジャスダックは成長・ベンチャー企業(新興企業)向けの市場なので、伝統企業が上場って変な感じですけどね。「ベンチャー企業(新興企業)」ではないものの、成長企業ということなのでしょう。リーガルに限らず、ジャスダック自体が今は歴史が長くなったせいで、高齢化が指摘されている市場です。


●「伝統と歴史」に甘えて失敗した…武川雄二社長が語る理由とは?

 …といった感じで、リーガルはすごそうな会社でした。ただ、私が知ったのは、リーガル、社員の約2割が希望退職 コロナ前から構造的問題:日経ビジネス電子版という記事だったんですよね。全社員の約2割強に当たる95人という100人規模の希望退職と、国内に4拠点ある靴生産工場のうち1つの閉鎖が決まる…という大ピンチになっています。

 リーガルの武川 雄二社長は、コロナ禍の外出自粛や在宅勤務の広がりによって、主力のビジネスシューズの需要が減り、工場の稼働率が低下し、生産体制を縮小・集約することにしたと説明。ただし、記事タイトルになっているように、新型コロナウイルス問題が起きる前から構造的問題があったことを認めています。

 私が武川 雄二社長の話の中で強く興味を持ったところは、<長きにわたり支持を得てきた「伝統と歴史」に甘えていた部分もあったのではないか>としていたことでした。うちではしつこくやっている「伝統を守ることが良いとは限らない」「伝統を変える企業の方が良い企業」といった話と関係しそうだと思ったためです。

 まず、武川 雄二社長がいう構造的問題というのは、新型コロナウイルスより前からビジネスシューズ需要が落ちていたということ。そして、この変化を甘く見ていて、対策が遅れたということ。クールビズや多様化・ジェンダー意識の高まりで、スーツスタイルが減少、特に若者向けが弱かった…という説明でした。ここらへんが「伝統と歴史」に甘えていた…の意味するところなのでしょう。

 ただ、これを受けたリーガルの方針というのは、わかりづらかったところ。ファンの方々から会社に激励のメールも多く頂いたとした上で、「弊社に求められる価値、必要とされるものを知り、弊社しか作れない商品をプロ意識と自信を持って提供して喜んでいただくことを最優先に」というのは、正しい方向性なの?と思ってしまいました。

 ここらへんの方針は具体的な話がないために不明。「ビジネスシューズにこだわらずに良いものを!」などなら良いんですけどね。そうじゃなくて、少ない需要に対応するという話だと問題。少ない需要に応える小さな会社というのも良い会社ではあるのですが、リーガルの今の規模からすると、どうしてもさらに落ちぶれるという方向性になってしまいます…。


●格安靴・ヒラキ、靴需要低迷の中で復活した理由は靴じゃなかった

2022/12/24追記:リーガルじゃありませんけど、靴関連でヒット商品「売れているときにやめる」 格安靴・ヒラキの伊原会長:日経ビジネス電子版(2021.10.20 神田 啓晴)という記事をブックマークしていたので、とりあえずここに追記。ヒラキは、格安靴の製造・販売で知られる会社だそうです。

<コロナ禍にあって靴のニーズが減退する中でも、靴以外の製品の企画・開発に注力していたことが奏功し、業績は堅調だ。日経ビジネスは『安さだけじゃない靴のヒラキ、「まとめ買い」促す仕掛け』で、カタログ通販を主力とするヒラキが顧客のニーズをつかんでいる理由に迫った。今回は伊原英二会長のロングインタビューを掲載する>

 タイトルになっていた「売れているときにやめる」が気になりましたが、まず無料部分で読めたのは、靴ではなく衣料の話。ヒラキは多角化しているみたいで、まずうまくいったのは靴ではなく衣料だったようです。私は多角化の大切さを事あるたびに強調しており、このテーマとも合う内容となっていました。

・伊原英二・ヒラキ会長
「(引用者注:新型コロナウイルス問題により、主力製品の靴のニーズが落ち込む中で、衣料品や日用品の需要伸長がそれをカバーしたことについて、)カタログ通販の売り上げ構成比でいえば、コロナ前までは靴商品の売り上げが55%でそれ以外が45%くらいでしたが、その割合が逆転しました。巣ごもり消費で家財道具や衣料が伸びたんです。もし靴以外の商品に力を注いでいなかったら、単純に靴の売り上げが落ちただけ、という事態に陥っていたでしょうね」

 会長が社員にいつも言っているのは、「顧客ニーズに徹底的に寄り添えない会社というのはいつか淘汰されるよ」ということだそう。このせいか、衣料については、流行を追わずに「部屋着」や自宅周辺に出かけるときに着る程度の「ワンマイルウエア」を軸に企画・開発。日用品も、生活必需品や安価な便利グッズを中心にしているそうです。 


●カタログ通販をやめないヒラキ、こだわりかと思いきや否定的見解

2023/01/07追記:ネット通販全盛の現代にあって、ヒラキはカタログ通販を堅持していることも、インタビューアーは指摘。「ネット通販がもてはやされているが、あえて紙の通販にこだわっている」といった話だと思ったら違いました。伊原英二・ヒラキ会長は「先行きはそんなに明るいものではない」とむしろ否定的です。

 また、「カタログ通販とネット通販って根本的に違う」という話もしていました。私は紙のカタログの方が見せ方がうまく見やすく、ネット通販は不親切でまだまだ工夫が足りない…と思っていたのですが、そいう部分の話ではありません。そもそも客の行動様式が全く違うという話。ほとんど別ジャンルかもしれません。

・伊原英二・ヒラキ会長
<ネット通販は購入行動の前に目的がある。例えば、「こんなデザインのスニーカーが買いたい」と思って、通販サイトで検索をかけたらいろんな会社のスニーカーが出てきてその中の1つを選ぶ、というような流れですよね。いわゆる単品商売。
 一方でカタログ通販は、冊子を1ページずつめくりながら、5点、10点とまとめ買いしていただくわけです。我々のカタログ通販は税込みで6050円以上注文をいただければ、送料は無料になります。私くらいの年代の顧客であれば、どうにかして送料を無料にしようとまとめ買いするでしょう。
 でも、私の子供の世代になると購買行動も異なります。送料を払うことをいとわずに3000円程度の注文に抑えようとする。無理にまとめ買いしようとしないんです。若年層が今後もカタログ通販の売り方についてきてくれるのか、加えてそんな人たちにとって必要な商品をラインアップできているのか。色々と懸念はあります>


●ウェブ販売7割でもコスト激高の紙のカタログをやめないのはバカ?

2023/02/12追記:前回書いたように、ネット通販全盛の現代にあって、ヒラキはカタログ通販を堅持しているのですが、「あえて紙の通販にこだわっている」という感じではなく不安がある模様。しかも、ネガティブな話はこれだけではありません。カタログはコストもかさむので本当はやめたいようでした。

・伊原英二・ヒラキ会長
<紙のカタログはEC(電子商取引)サイトに比べて、誌面レイアウトから印刷、発送までコストがかさむことも難点です>
<実際、コストが一番重いのはカタログです。年に1回以上購入歴のあるお客さんを当社では「有効顧客」としています。それが現状では80万人以上いる。どうしても費用はそれなりにかかりますよね>

 今は受注の7割がウェブ経由、3割がアナログで電話、FAX、はがき、みたいな構成比だとのこと。こうなると、紙のカタログは早くやめてしまった方がいいじゃん!と思うでしょう。ところが、実情はもっと複雑なのです。なぜか?と言うと、<カタログを見ながら、注文はネットでするというお客さんもいる>ためです。

 実際、うちの母はこのパターンが結構あります。母自身は全くネットを使えないのですが、私が頼まれて代わりに注文…という形です。この需要があるため、ヒラキも「じゃあ、紙のカタログをやめよう」とは簡単には決められないとのこと。前回書いたように、紙のカタログの方が見せ方がうまく、紙の方が見やすいとも私は思います。母世代なら特にそうでしょう。

 なお、<カタログを見ながら、注文はネットでする>の話ですが、母の使っている別の通販なんかではネット限定の割引やネット通販限定で販売するデザインなどもあり、ネットを使う理由に。そして、こうしたキャンペーン自体が紙からネットへの将来的な移行を模索する動きだと思われ、紙のカタログ通販会社の苦悩が見えるところです。


●大ヒット商品を看板にするな!「売れているときにやめる」ことが重要

2023/04/05追記:上記の記事からは今回が最後。20年2月に発売された税抜き価格が499円のバレエシューズ「ふわりっと」がヒットしています。この靴はマイナーチェンジしつつ、カタログの表紙を飾る看板商品です。送料の方が高いというほど安く、利益度外視の商品で、これとセットでのまとめ買いを狙っているといいます。

 ところが、おもしろいのが、伊原英二・ヒラキ会長が、<でも、これを来年以降も看板商品とすることは「許さん」と現場には伝えています>と言っていること。以下のような説明であり、簡単に言うと「売れているうちの次のヒット商品を作るのが大事」という話。他の成功企業で見えるやり方とも共通していると感じました。

・伊原英二・ヒラキ会長
<社内の抵抗感は強いみたいですけど、商品は「売れているときにやめる」ことが重要です。ふわりっとが売れているのは悪いことではないけれど、こればっかりプッシュしていてはダメ。例えば、10年ほど前にムートン調のブーツとかボアブーツが女性の間で大流行したでしょう。うちでも何百万足と売れました。ふわりっとの比じゃないですよ。でも、流行って巡り巡るものですから。
 今も「ふわりっと」はつま先のデザインなど、細かい部分に手を入れて売り続けていますが、そろそろ次を考えないといけません。顧客のニーズが変化するスピードは、我々が想像するよりもずっと速い。長年積み上げてきた強みが災いに転ずることも珍しくないでしょう。だから、商売には常に危機感を持って臨んでいます。
 失敗した商品だってありますよ。何がヒットするのかは正直予想できない。もちろんヒットさせるつもりで商品は作っているけど、売れる・売れないは正直なところ、運の要素もある。
 だからこそ「負けた」ときは後始末が大事です。長期在庫にせず、財務的には負担になる値下げをしてでも売り切る努力をしないといかん、ということですね。そうしないと、カタログ通販の要でもある「商品の鮮度」は落ちてしまうし、新たな再出発がいつまでたってもできないままです>

ブランド: REGAL(リーガル) [リーガル] メンズ ビジネスシューズ 811R AL




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