不自然な自殺判定の話をまとめ。<エクストリーム自殺 不自然な判定が日本で自殺が多い理由の一つに?>。<数か所の刺し傷で凶器未発見なのに、警察が自殺の可能性と発表>、<司法解剖の前に自殺が決定、死因は別の理由…徳島自衛官変死事件>、<腕を縛られて頭部がない遺体を見て警察「自殺の可能性がある」>などをまとめています。
2017/07/27追加:
●ビルから投げ落として殺害の疑いで「痕跡ないから自殺の可能性」
2017/08/04追加:
●腕を縛られて頭部がない遺体を見て警察「自殺の可能性がある」
●エクストリーム自殺 不自然な判定が日本で自殺が多い理由の一つに?
2017/07/27:もともとこのページは2012年に書いていたもの。当時はそういう言葉は知らなかったのですが、「エクストリーム自殺」という言葉があります。これは、到底自殺することが不可能と思われる状況であったにも関わらず、警察が「自殺」と判定することを皮肉って呼んでいる感じです。
当時こうしたエクストリーム自殺と言われかねないような事件のニュースを読んだときに、日本で自殺が多い理由の一つって警察の怠慢もあるんじゃないかと考えてしまいました。
実際の統計でどういう扱いになっているかもわかりませんし、冷静に考えてみれば大きな割合を占めていることもないとは思うんですけどね。とりあえず、こうした不自然に「自殺」と判断されたような事件が日本ではたいびたび起きており、少し集めてみることにしました。
●数か所の刺し傷で凶器未発見なのに、警察が自殺の可能性と発表
2012/12/29:当時、この話を書くきっかけとなった事件は、<千葉・勝浦、車内に男性遺体>というタイトルで報じられていた以下のような事件でした。胸や腹に数か所の刺し傷があって、しかも凶器未発見。それで自殺なわけないだろう!と思ったんですよ。自殺した人が凶器を隠すのは難しいですからね。
<24日朝、千葉県勝浦市で40代くらいの男性が車の中で死亡しているのが見つかりました。男性は胸などに刺し傷がありましたが、警察は、現場の目撃情報などから自殺の可能性もあるとみて調べています。
24日午前8時50分ごろ、勝浦市川津の市道でマラソンをしていた男性から「車の中で血を流している人がいる」と110番通報がありました。警察官が駆けつけたところ、40代くらいの男性が車の中で大量に血を流していて、病院で死亡が確認されました。
警察によりますと、
男性は胸や腹に数か所の刺し傷があり、胸の傷の1か所は心臓近くに達していました。
近くから刃物などは見つかっていないということですが、警察は、男性が1人で車を運転して現場に来たところが目撃されていることや、争った形跡がないことなどから、自殺の可能性もあるとみて調べています。(24日19:36)>
リンク切れで孫引き
http://hicbc.com/news/index.asp?cl=j&id=5216080
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news/1356350425/●エクストリーム自殺まとめサイトもある…検証するとデマだらけ?
こういう話って結構あるよなと検索すると、
未解決事件・失踪/行方不明事件・印象に残った事件というページがありました。日本で発生、及び海外における日本人の未解決事件・失踪/行方不明事件の一覧・まとめ・リスト・データベースだといいます。
<警察に自殺・事故と認定された事件検証
2ちゃんねるのコピペにある「警察が自殺(事故)と判断した事件」の中に、
実際に事件性を疑わせるものがあるか検証してみた。
当時の新聞記事を調べ、事件の詳細とコピペの内容とを比較、
疑わしいとする様態が、実際はどうだったかを探った>
ただ、元ネタとなっている2ちゃんねるのコピペは、デマの多い2ちゃんねるらしく、だいぶ勘違いがあるようですね。たとえば、「神戸、ヤクザ - 自分で自分の首をはねて自殺した。首はみつかっていない」というものは、以下の記事を指すのでは?と編集者は推測していました。
<組長の首なし遺体、自殺と断定--大阪府警
1996.10.02 毎日新聞大阪朝刊より引用
大阪府堺市の大和川で今年8月、元暴力団****の***会長(58)の頭部のない死体が見つかった事件で
大阪府警捜査4課は1日、死体の状況などから自殺と断定した。
発見現場の上流約200メートルの橋の欄干にロープが結び付けられており付着していた体の組織が
DNA鑑定で同会長のものと一致。首にロープを巻き橋から飛び降りたため、頭部が切断されたらしい>
ロープが長すぎると加速度がつくのでそうなりそうな気はしますが、勢いの良い首吊り自殺ってことですかね?時間経って落っこちちゃったってのはないのかな? どちらにしろロープが残っていて、そこに体の一部が残っていたなら不自然な判断ではないと思います。
●司法解剖の前に自殺が決定、死因は別の理由…徳島自衛官変死事件
一方で、不自然さが残ると言えると感じたのは、例えば、以下のようなケース。1999年12月25日、広島県から徳島県内の実家へ帰省中の海上自衛官が行方不明になり、2日後に阿南市の河川敷で遺体が発見された
徳島自衛官変死事件 - Wikipediaなんかは、確かにわかる…という内容でした。
<1999年12月25日、江田島第1術科学校勤務の海上自衛官(当時33歳)は徳島県内の実家に帰省中で、この日は交際相手とドライブに出かけていた。交際相手の家に寄って送り届けたあと、消息を絶った。失踪直後、徳島県警は路上に放置された自衛官の車を発見したが、事件とは考えず実家に連絡したのみであった。2日後の12月27日、自衛官の遺体が阿南市郊外の福井川河川敷で発見された。
県警は事件を自殺と断定、捜査を打ち切った。しかしマスコミや遺族の調査などで不審点が発見され、遺族は事件への疑念から殺人事件として2000年8月18日県警に捜査申入れ後、2001年6月27日に徳島地検に、2003年2月21日に県警に告訴。県警は2度の再捜査を行うが、同年11月19日、県警は殺害された疑いがないと再度判断。遺族は2004年10月8日、徳島検察審査会に審査を申し立てたが、翌2005年4月20日に不起訴相当と議決する。
その後も、遺族は調査を続けている>
現場状況と不審点
・自衛官の車の屋根に傷が付いていた。警察側は「事故後、レッカーで移動する際に出来た傷」としているが、レッカー移動でこのような傷が付くことはまずないとされる。
・遺体発見位置は、自衛官が飛び降りたとされる橋梁から4.2m離れており、橋からジャンプした場合にこれだけ遠くへ飛ぶ可能性は少ない。この橋梁には85cmもの欄干が存在したことから、事実上助走をつけ、走り幅跳びのように飛ぶことは不可能であり、また立ち幅跳びのジャンプ距離は世界大会出場選手でも3.5m程度である。
・飛び降りた橋梁の欄干からは、自衛官の指紋が発見されておらず、前述した欄干の高さから、手を使わず乗り越えられるほど低くはなかった。
・車を停車した位置から橋まで、自衛官の足跡が発見されていない。
・徳島大学の司法解剖で、
死因は転落前に受けた胸部大動脈の損傷によるものと考えられた。当初警察発表では、帰宅途中、事故によりエアバッグが作動したため大動脈損傷を生じたとのことであった。しかし、事故発生場所は自衛官の実家へ帰宅する方角と逆方向にあたり、また
警察が発表した衝突事故の現場から遺体発見現場までは8kmの距離があり、エアバッグが作動するほど損傷した車を、しかも長時間運転しなければ遺体発見現場に到達できないこと、エアバッグが作動しただけで大動脈損傷という大怪我を負うのかなど、この発表に対しては問題点が多く指摘されている。その他、遺族が依頼した医師の説明により、橋梁から落ちた際、自衛官は背中からではなく、尻から地面に付いたという見解もある。
・警察発表による自殺の原因は「事故を起こし、車が壊れた腹立たしさから」というものである。
・
司法解剖の結果が判明する以前に、県警から自衛隊に、自殺と断定されたとの連絡が入った。・現場から発見された、本人が着用していたと思われる上着に円状の圧痕があったのを遺族が目撃。しかし、警察が回収して鑑定後、遺族に返却された際には圧痕が消えており、証拠品の取り扱いに問題がなかったか疑問視されるほか、警察側はその後
「そのような圧痕はそもそもなかった」と、事実を覆す発表をしている。
・現場付近では、たびたび暴走族による暴力行為が目撃されていた。
事件発生当日も、自衛官の車とよく似た白いセダン車を、鉄パイプのような棒を振り回して追いかける暴走族が目撃されている。再捜査の段階で現場付近を車で通行した人物、トラック運転手の目撃証言があった。「その暴走族のメンバーの一人が、徳島県警本部に勤務する人物の息子」といった噂があった。この噂に基づき、この事件に関係していると2ちゃんねるに噂を書き込まれた元衆議院議員が選挙妨害であるとして名誉毀損で刑事告訴を検討した。
ただ、「立ち幅跳びのジャンプ距離は世界大会出場選手でも3.5m程度」のところは、ちょっとよくわからないです。立ち幅跳びって自殺するほどの高さから飛び降りるものじゃないですよね? まっすぐ落ちるんじゃないので、もう少し距離は伸ばせるはずです。
言葉で書くと説明が面倒ですけど、真上にジャンプすると飛距離は当然ゼロです。ですから、距離を出すにはある程度角度をつけて飛びます。角度をつけて飛んで最高点に達した後、今度はまた角度をつけて落ちていき、地面に着いたところが3.5mです。
自殺のケースのようにここに地面がなかった場合、いきなり鉛直方向に変化して落ちていくかというとそうはならずやはり前へと進むのですから、さらに落下地点までの距離が伸びるでしょう。重力による加速やら空気抵抗やら考えると面倒くさくなってきますが、とりあえず3.5mあたりの不審点の指摘の仕方もちょっと変です。
一方、この記述に関係なく不自然なのは、何でジャンプするような自殺の仕方をしたか?でしょうね。大体にして警察では「死因は転落前に受けた胸部大動脈の損傷」と見ているんですから、そんな状態で8km運転した上に、元気にジャンプして自殺するというのがおかしすぎます。そういう前提なら、誰かが遺体を橋の上から投げ飛ばしたと考えた方がよほどいいでしょう。
…と言うか、死因が「エアバッグが作動したため大動脈損傷を生じた」と見ているのに、「自殺」ってそもそもどういうことなんでしょうね? 上記のやり方で飛び降りたけど、飛び降りている最中に大動脈損傷が原因で死亡って解釈でしょうか?私にはさっぱり理解できませんでした。
といった感じで、不自然な自殺も自殺として計上されているのでは?とちょっと思ってしまったわけです。日本は警察の検挙率が高いと言われています。他殺の可能性のあるものを自殺にしてしまえば、仕事は早く終わりますし、未解決事件が発生しないので検挙率は上がる方向性です。そういった不純な動機で上記のようなことになっていないと良いんですけど…。
●ビルから投げ落として殺害の罪に問われるも、裁判官は「痕跡ないから自殺の可能性」
2017/07/27:警察官が…ではなく、裁判官が…という話なのですが、不自然な自殺に関わるニュースがありました。"女性転落死「自殺の可能性否定できず」殺人については無罪に"(NHK 7月24日 21時23分)という記事です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170724/k10011072481000.html
この裁判は、おととし交際相手の女性に暴行を加え、その後ビルの5階から投げ落として殺害したとして、殺人などの罪に問われた暴力団員に関するものです。
24日の判決で、神戸地方裁判所姫路支部の裁判長は「女性の遺体が見つかった場所がビルの外壁に近いことや女性が被告の体をつかんだような痕跡がないことから女性が自殺した可能性が否定できない」として、殺人などについては無罪としました。そのうえで、暴行についてのみ成立を認め、懲役1年4か月を言い渡したそうです。
これはまとめサイトで知った話なのですが、そこでは、エクストリーム自殺という声が出ていました。その他、「投げ飛ばして殺せば自殺と判定される悪い先例を作った」「遺書が存在しないのに」といった反応もありました。たとえ自殺だとしても、自殺に追い込んだのは暴力団員ですしね。
それから、「被告の体をつかんだような痕跡がない」については、暴行されて意識がなかっただけではないか?という推測がありました。仮に意識があったとしても、恐怖などで動けなかったり弱っていたりした場合、やはり痕跡は残らなかっただろうと考えられます。
私がこの「痕跡」の話を読んで思い出したのが、男性による女性の強姦事件です。強姦事件においては、女性にたとえ同意する意志がなかったとしても、恐怖などの理由ではっきりと拒否できないケースが多いことがわかっています。しかし、裁判などにおいては、女性が明確に拒否していない場合、女性に問題があったとみなされることも多いのです。
たぶん今回の話がそのような強姦事件でしたら、まとめサイトの人々は徹底して女性の方を叩き、男性に味方したものと思われます。
でも、今回の自殺のケースのように、抵抗したくても抵抗できなかったと考えられるケースが多々あるということを知っておいてほしいです。
●腕を縛られて頭部がない遺体を見て警察「自殺の可能性がある」
2017/08/04:最近追記したばっかりなのですが、また不可解なニュースを見つけてしまったので。
腕くくられた首のない男性遺体 警備艇が発見 毎日新聞2017年8月3日 12時53分(最終更新 8月3日 13時21分)という記事です。遺体が発見されたのは、大阪市住之江区南港南7の沖合約1.8キロの海上で、警備艇で移動中の大阪府警の署員が見つけました。
記事タイトルの通り、発見された遺体には頭部がなく、両腕が体の後ろで、着ていた長袖シャツの袖を伸ばしてくくられた状態だったのですけど、なぜか府警は事件と
自殺の両面で調べていると書かれていました。いや、自殺はないでしょ?
「くくる」というのは、ひもや縄などでまとめてしばることを言います。なので、自殺であるのなら、自分で自分の両腕を背中で縛った上に、になおかつその格好で自殺した…というの不自然な話に。普通に考えるのなら、誰か別の人が縛ったという方が自然な話。めちゃくちゃですわ…。
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