何だか難しくてよくわからない話ですけど。
先にWikipedia。私はてっきり絶対零度(0K、0ケルビン)より低い温度は存在しないと思っていたんですけど、Wikipediaではそうじゃないようなことを匂わせていました。
うーん、学校では何て習ったかなぁ?
この統計力学での負温度は、今回とは違うかもしれませんけど、そちらも見てみます。
負温度とは、統計力学において熱平衡状態で絶対温度が負となっていること、またその際の温度を指す。マイナスゼロとも。
正の温度との関係
カノニカル分布で考えると、このような系はエネルギーの低い状態よりもエネルギーの高い状態の方により高い確率でなるので、通常の正の温度の系(エネルギーの高い状態よりもエネルギーの低い状態の方をより高い確率でなる)と触れていると、負の温度の系から正の温度の系に熱が流れていく。
また、絶対温度Tが±∞においては、どのようなエネルギーの状態も等確率で出現するが、Tが負の側から0に近づいていけばいくほど、系はほぼ確実に最もエネルギーの高い状態を取るようになっていくので、負の温度領域においては温度の絶対値を下げるために外部から熱を流入させる必要がある。
つまり負の温度というのはいかなる正の温度よりも高い温度であり、その絶対値が小さくなればなるほど系はより高温となっていく。
実現できる物理系
負の温度の平衡分布が実現するとすれば、「最もエネルギーの高い状態」が最も高確率で実現されなければならない。
しかし、いくらでも分子運動が激しい状態を考えうる気体・液体や、いくらでも多くの数の光子、フォノンなどが存在する状態を考えうる電磁場、格子振動などの系ではそもそも「最もエネルギーの高い状態」を考えることができない(無理にカノニカル分布の式に負の温度を代入しても、分配関数が発散してしまうのは目に見えている)。したがって、負の温度というのはこれらの系で実現することはできない。
一方、有限の大きさをもつスピン系など、系が取りうる状態の数そのものが限られている場合においては、このような平衡分布を考えても特に問題はない。
レーザー発振において用いられる「反転分布」は、本来負の温度の平衡状態が実現できない系において、系を励起しているだけなので、系は非平衡状態であり、本項目で述べた本当の負の温度とは異なるものと考えられる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A0%E6%B8%A9%E5%BA%A6 さっぱり意味がわかからなくて、全然省略できませんでした。意味がわからないとどこがポイントかわからないのです。
今回の発見もよくわからないですけど、メインディッシュですのでどうぞ。
2013年1月7日 SJNニュース 再生可能エネルギー最新情報
マックス・プランク研究所ら、絶対零度より低温の気体を実証。熱効率100%超の内燃機関が実現可能に?
マックス・プランク研究所とルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンの研究チームが、絶対零度を下回る温度(マイナスのケルビン温度)を持つ原子ガスを作製したと報告している。ケルビン温度がマイナスとなる物質を利用することで、熱効率が100%を超える内燃機関が実現する可能性がある。また、原子ガスの挙動に、宇宙の加速膨張の原因と考えられているダークエネルギーに類似した性質があるため、天文学的な面からも関心が持たれているという。2013年1月4日付け Science に論文が掲載されている。
http://sustainablejapan.net/?p=3407 エネルギー情報のサイトであり、ここではそちらの興味が深いようです。
最初に
常識的には、物質の温度が絶対零度(約-273℃)より低くなることはあり得ないと信じられてきた。
という書き方ですから、私の理解は普通だったんでしょうか?しかし、今回の実験はその常識をぶち破りました。
今回の実験では、気体中の分子のエネルギー準位の分布を表す「ボルツマン分布」が通常の気体(プラスのケルビン温度を持つ気体)とは逆になるように条件を整えることによって、マイナスのケルビン温度を持つ原子ガスを実現したとしている。
さっき出た「カノニカル分布」とは違う分布が出てきちゃいました。勘弁してください。
ただ、このサイトではわかりやすく説明してくれています。やっぱり難しいですけど。
ボルツマン分布を分かりやすく説明すると、起伏のある場所にたくさんのビー玉を置いた状態に例えることができる。日常の世界では、ほとんどのビー玉が、くぼんだ谷間の部分に溜まって動かなくなる(図2左)。ビー玉は位置エネルギーも運動エネルギーも最小の値をとるため、すべてのビー玉の状態を合計すると高エネルギー状態よりも低エネルギー状態になりやすい。これはケルビン温度がプラスとなる通常の系でのボルツマン分布に相当する。
系の温度が無限大になる場合、ボルツマン分布は、ビー玉が起伏に関係なく一様に散らばっている状態に例えられる(図2中央)。これは、すべてのエネルギー状態が同じ確率で存在することを意味している。
ケルビン温度がマイナスとなる系は、盛り上がった丘の上にほとんどのビー玉が集まって動いている状態に例えられる(図2右)。丘の高さは位置エネルギーの上限に相当する。また、ビー玉の運動エネルギーも最大化する。系全体のエネルギー状態は、低エネルギーよりも高エネルギー状態になりやすく、ボルツマン分布が反転していることになる。
どうやって今回はそういう状態にしたのかと言うと?
実験では、最初に原子10万個程度を真空チャンバ内で冷却して、プラス十億分の数ケルビンまで温度を下げ、この極低温の原子ガスをレーザービームを用いた光学トラップで捕獲する。超高真空条件下であるため、原子は周囲環境から熱的に完全に遮断される。レーザービームによって光格子の状態が作りだされ、原子は格子サイトの位置に規則的に配列する。この格子中でも、原子はトンネル効果によってサイト間を移動することができるが、原子の運動エネルギーには上限がある。また、運動エネルギー以外で温度と関係している原子間相互作用や位置エネルギーについても、今回の系では制限が設けられる。こうして与えられた全エネルギーの上限境界に原子を持っていくことで、マイナス十億分の数ケルビンという温度が実現される。
「マイナス十億分の数ケルビン」ですから、すっごい僅かですね。むしろそんなんよく測れるなという領域。
あと、おもしろかったところ。
・今回作られたマイナスのケルビン温度を持つ原子ガスでも、プラスのケルビン温度を持つ通常の気体と同様に安定した状態を保てることが確認されている。
・運動する粒子においてマイナスのケルビン温度が実現された初めての例であるという。
・マイナスのケルビン温度を持つ物質を利用することで、熱効率が100%を超える内燃機関が実現する可能性がある。一見するとエネルギー保存則に反する現象のようであるが、実際にはエネルギー保存則を破るものではないという。
ただ、まあ、何度も言うようにさっぱりわからないので、全部間違いでしたと言われても信じてしまう話です。
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