●英語社内公用語化の方向性で、楽天創業メンバーの役員「会社辞めます」
2013/1/10:ネットでの楽天叩きには辟易しているのですけど、
「会社辞めます」 楽天、英語公用語の衝撃(日経新聞 2013/1/9 3:30 編集委員 大西康之)という記事は、タイトルが気になって思わず読んでしまいました。タイトルの巧さですね、日経新聞はやるなぁ!
2009年のある日、楽天の創業メンバーで常務執行役員の杉原章郎(43)さんは、「俺、会社を辞めようと思うんですけど…」と、三木谷浩史(47)に社長打ち明けました。原因は英語だといいます。タイトルになっていますので、これは「英語公用語」の関係でしょう。ネットでボロクソに叩かれたあの「英語公用語」です。
最初に書いておきますけど、私は別に英語社内公用語はやる会社があって良いと思います。この英語社内公用語批判はどうも「みんな同じ」の悪平等主義者的な主張が多いんですけど、別にすべての会社が真似する必要はないんですよ。楽天が「英語のできない社員がいらない」って言うのなら、英語を社内公用語にしていない会社にとってはチャンスだとも考えられます。
●「みんな同じ」にとらわれる日本人 評価基準は会社によって違って良い
大体にして、外資系企業や外資系に買収された会社が社内公用語を英語にしたって、誰も文句は言わないでしょう? 楽天も海外の会社だと思えば、どうってことないです。楽天はグローバル展開を目指していますし、社内公用語化の前から英語圏の外国人上司がいて、英語を話せた方がスムーズな現場もありました。他の会社と状況が違います。
適材適所でいいじゃないですか。楽天が英語もできる人材を評価するならそれでいいし、それは問わないという会社もあって良いです。プロサッカーチームはサッカーのうまい選手が欲しいですけど、別に野球がうまいかどうかは関係ありません。それぞれの会社がどんな能力を評価するかの問題です。
三鷹光器 中村義一会長1 ~ユニークな入社試験~で出てきましたけど、三鷹光器は他社と異なる採用方法をとっていて、普通なら喜ぶ明るくてきぱきした人を落とします。それに文句をつけることもないでしょう。どうも「みんな同じじゃなきゃいけない」という観念に囚われすぎている気がします。
●一番英語が嫌いな杉原章郎役員に対し、三木谷浩史社長が驚きの発言
脱線が長くなりましたが、記事の続き。楽天市場の立ち上げから、かれこれ12年、ずっと三木谷社長のそばにいる杉原さんは、いつしか三木谷が次に何をするか、読めるようになっていたとのこと。グローバル化を目指し、「社内公用語は英語」と言い出すと、言われる前から想像していたといいます。
ただし、杉原のさん英語嫌いは筋金入り。大学受験も数学と小論文で受けられる慶応大学の総合政策学部を選択。1年後に英語公用語宣言の予想が当たると、「やっぱりな。これから俺はどうするんだよ」と暗澹(あんたん)たる気持ちになりました。
ところが、そんな最も英語が嫌いな杉原さんに、「英語化推進の担当役員はお前だからな」とさらりと言い渡します。杉原さんは開いた口がふさがらなかったとのこと。「社員のみんなにつらい思いをさせるプロジェクトだから、担当の役員は痛みの分かるヤツの方がいい。そういう考え方をする人なんですよ」という言い分です。非情だと思う人もいるでしょうが、これはこれで理にかなった考え方でしょう。
●楽天社内を調査すると不満だらけ「不公平」「必要な部門だけでやればよい」
で、杉原章郎さんはどうしたかなぁ?と読むと、<退路を断たれた杉原は、やけくそで英語の勉強を始めた。食わず嫌いとはこのことだろう。400点台だった杉原の英語能力テスト「TOEIC」のスコアは800点台に上がった>と書かれていました。えっ、英語ができるようになってんじゃん!
そして、これ、杉原章郎さんは英語社内公用語化で実際には辞めなかったってことなんでしょうね。私はてっきり辞めたのだと思って読んでいたのですが、そういや最初の肩書きでも「当時」みたいなことを書いておらず、現役という書き方だったので、予想できたかもしれません。英語公用語化で辞めたって方がおもしろかったんですが…。
ただ、楽天嫌いの人にも朗報があります。社内公用語を英語化するという、日本企業としては珍しい試みに興味を持った米ハーバード・ビジネス・スクールの准教授、ツェダル・ニーリーが楽天社内を調査したところ、三木谷社長にとって衝撃的な結果が上がってきていたといいます。
「本業で会社に貢献しているのに、英語ができないだけで処遇が悪くなるのは不公平だ」「英語が必要な部門だけでやればよい。業務に支障が出る」といった反対の声です。楽天を愛し、懸命に働く社員の多くが「英語化」に強いストレスを感じていたいいます。予想できないものではないと思うんですけどね。
●「英語ができない社員はいらない」…ではなかった!三木谷社長の対応
しかし、結局これも記事では良い話に持って行っているので、イマイチおもしろくないかもしれません。<「できるやつ」を登用した方がはるかに手っ取り早いが、三木谷は遠回りでも、全体の底上げを選ぶ>という書き方をしていました。
三木谷社長はてっきり「できない社員はいらない」って言うんだと思っていましたけど、このできない社員にわざわざ"マンツーマンのカウンセリングを付け、各自に適した学習法を指導"をして、TOEICの点数を上げてしまったようです。「鳴かぬなら鳴かせてみよう ホトトギス」みたいな感じでしょうか。
記事は以上のような内容。楽天を笑おうと思って読んだ方には肩透かしでしょうけど、私も意外な内容で驚きました。作者の大西康之さんはこのやり方ができるのは、「成長期」であることとしています。その上で組織が巨大化した場合も難しくなるので、楽天ももうできなくなるのでは?といった書き方はしていました。ただ、やっぱりアンチ楽天にとっては物足りない内容でしたでしょうね。
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