中国では2009年に三峡ダムという巨大なダムができました。私はこのニュースを見て真っ先に思ったのが、これが当時よく報じられていた中国お得意の欠陥工事だったらどうしよう?というものです。ダムの決壊が起こると、溜めていた水はいわゆる鉄砲水となって、下流域を襲います。これは巨大なダムで起きてしまうと、大惨事という言葉じゃ言い表しきれないような事態になります。
2023/06/08:
一部見直し
●ダムは殺人兵器、中国三峡ダム決壊なら数千万人の犠牲者
2017/07/05:三峡ダムについての
中国「三峡ダム」危機--最悪の場合、上海の都市機能が麻痺する | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト(2017年7月3日(月)06時52分 譚璐美(作家))という記事を見つけたので冒頭に追記。ただし、
はてなブックマークでは、以下のような指摘があり、偏りある内容かもしれませんが、私が当初書いていた殺人兵器としてのダムについて触れている記事ではあります。
<これ、日本版限定記事の模様。Newsweek日本版、時々「中韓大崩壊」の類の信頼性不詳の記事が出るので真に受けると危ないかも。ダムの水文学的影響も三峡ダムが未曾有の規模なのも事実なんだけど、どの程度かは判らん>(el-condor 2017/07/03)
記事によると、"万一、ダムが決壊するようなことがあれば、長江流域の広大な土地が洪水に見舞われ、穀倉地帯は壊滅して、数千万人の犠牲者が出る"という恐ろしいことになります。また、"長江の河口部にある上海では都市機能が完全に麻痺し、市民の飲み水すら枯渇してしまう"ともされていました。
本来、ダムってすごく危険なんですよ。はてなブックマークでも“国防上、ミサイル一発で中国が詰むので、なんであんな自殺兵器を造ったんだと言われていたのに、ミサイルなくても自殺できるのか・・・。”(sharia 2017/07/03)という反応がありました。
●中国で起きている最近の地震・地すべりの多さもダムのせいか?
上記の話は記事の終わり頃であり、もともとはダムが地震を起こしているという話。"最近の中国の研究では、地震発生の原因のひとつは「三峡ダム」の巨大な水圧ではないかとの指摘がある"とのこと。"ダムの貯水池にためた水の重圧と、地面から地下に沁みこんだ水が断層に達することで、断層がずれやすくなったという分析"なんだそうな。はてなブックマークによれば、過去の別のダムでも指摘されていたものみたいです。
“既にアスワンハイダムで巨大ダムによる環境への影響についての示唆が十分に出た後にこれをやったのだから愚行という他ないが、わが国も決定した巨大建設はなかなか止まらなかったしあまり他国のことを言えない”(timetrain 2017/07/03)
そして、三峡ダム自身が起こす地震によって、三峡ダムが決壊するのでは?というのが先の決壊の話でした。また、三峡ダムの場合、"長江上流から流れて来る砂礫で、ダムがほぼ機能不全に陥り"、水が流れず、貯水できない状態だという問題もあるようです。
●日本では既に老朽化したダムが人を殺していた 東日本大震災で被害
ところで、上記のはてなブックマークのコメントでは「日本は中国のことを言えない」という話が出ていました。実を言うと、最初に投稿したときは日本の話で、<公共事業による建設は作って終わりではない 老朽化したダムは殺人兵器、東日本大震災でも死者>というタイトルでした。日本では既にダムが人を殺した実績があるのです。最後にまた別の日本の話を追記していますが、とりあえず、しばらく最初に書いていた2013年のときの話をどうぞ。
2013/1/14:ダムの老朽化というのはこのように危険なものであり、作って終わりということではありません。ですから、公共事業をやるときは私はその後のことも考えなくてはいけないと思っています。そして、今回初めて知って驚いたのですけど、実際に東日本大震災では老朽化したダムが人命を奪っていたようです。これはもっと報道されていなくてはなりません。
<福島県の内陸部に位置する須賀川市。藤沼ダムはその山間部につくられた農業用ダムだった。東日本大震災で震度6弱の揺れに見舞われ、ダムの堤が完全に崩落した。貯水していた150万トンもの水が一気に流出し、鉄砲水となって下流部を襲ったのである。
これにより、下流部の集落に住む8人の方が犠牲となった。また、22戸の家屋が流失や全壊し、63戸が床上や床下の浸水被害にあった。ダムの崩壊で犠牲者が出るという、世界的にも稀な惨事となった。>
(トンネルだけではない「インフラ事故」の恐怖 リスクを貯め込むダムや“ため池”の真実(2012年12月25日 相川俊英 ダイヤモンド・オンライン)より)
http://diamond.jp/articles/-/29832 この藤沼ダムは、堤の高さ約19メートル(堤高15メートル以上がダム)、長さ約133メートルのごく小規模な農業用ダム。それでも死者が8人も出たんですね。また、どんどん作れば良いって問題じゃないという公共工事全体の話を思い起こさせるのは、<築63年になる老朽化したダムだった>ということです。
<藤沼ダムはなぜ崩落したのか。福島県の調査報告書によると、主因は「過去に経験したことのない強い揺れが長時間(100秒間)継続した」こと。さらに、「砂の混じった土で造られた堤体上部の盛り土の強度が低下していた」ことも要因とされた。
築63年に及ぶ藤沼ダムは、戦前に工事着手されたもので、当時の設計基準は今よりも緩く、土の成分に関する基準も存在しなかった。つまり、「耐震」という概念そのものがなかった時代の産物で、もともと脆い構造物だったのである。
藤沼ダムは完成後、二度(1978年度と84年度から96年度まで)に渡って漏水防止の補修工事を施された。堤の上からボーリングしてセメントミルクを注入するなどの漏水対策である。それでも、古い時代に造られた老朽化したダムである。激しい揺れに耐え切れず、崩落してしまったのである>
●日本にたくさんある大量殺人兵器
しかも、崩落したのは、この藤沼ダムだけではありません。福島県内には農業用ダムとため池(堤高15メートル未満)が合計で3730ヵ所ありました。このうち、750ヵ所が大震災で堤の一部が崩れるなどの被害に。の多くが古いフィル型のダムやため池です。前述の藤沼ダムと2つのため池の合わせて3ヵ所では全壊しています。
<このため、福島県は農業用ダムやため池の耐震性調査と補強などを進めているが、なかには江戸時代に造られた古いため池もあり、全体数も膨大である。費用と時間がかかり、調査と改修は困難を極めている>
"もちろん、これは福島県だけの問題ではなく、全国の自治体に共通する難題である"と相川俊英さんは言います。全国でこれを考えるとなると気が遠くなりますが、ため池の場合、全国で約21万ヵ所もあるそうです。
秦野市の先進行政は公共事業のお手本 安倍晋三首相も自民党も国土強靭化計画の参考にで書いたように危険が差し迫ったものの対処は当然やるのですけど、新設や更新をするといった際にはその設備の必要性をよく考えなくてはいけません。
ただでさえ、公共事業では当初予算をオーバーするのが普通なのに、その後に係る費用まで隠されているとなると、最初の計画の数字は大嘘も良いところです。
●日本ではダムの「観光放流」で危うく人を殺しかける事故も
2017/07/05追記:
ダム放流、下流で親子が流される 事前連絡なし 新潟:朝日新聞デジタルによると、新潟県新発田市の滝谷森林公園で17日午後4時ごろ、加治川の中で水遊びをしていた男児(9)と母親(45)が流される水難事故がありました。
男児は流された直後に公園職員らが浮輪を投げるなどして救出したものの、母親は100メートルも流されており、死者が出ていてもおかしくなかった事故です。ダムの決壊ではないものの、鉄砲水の怖さを知ってもらう話として良いだろうと思って、ここに追加しました。
なお、このような事故がなぜ起きたのか?という理由にも、ひどいものがあります。約4・5キロ上流にある県管理の加治川治水ダムは、羽越水害50年の記念行事を行っていました。この際に行事の参加者に放流の様子を近くで見せる「観光放流」をしたそうです。
この「観光放流」のために、一時的に川の水位を下げてから、その後一気に上げるという騙し討ちのようなことを行いました。雨が降った後に川に近づくのは鉄砲水の危険性のためにすべきではないのですが、このケースはそもそもそうではないため全然予想できないもの。水害を「記念」する行事で人を殺しかけているんですから、めちゃくちゃですわ。
【本文中でリンクした投稿】
■
秦野市の先進行政は公共事業のお手本 安倍晋三首相も自民党も国土強靭化計画の参考に【その他関連投稿】
■
日本の公共事業は無駄で効果がない ■
安倍晋三のブレーン 浜田宏一 伊藤隆敏 高橋洋一VS藤井聡 三橋貴明 リフレ派・インフレターゲット論者と積極財政派 ■
その他の政治(全般)について書いた記事
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|