上小阿仁村の歴代医師が辞めた理由について、村側の証言。次々と辞めた4人の前の医師や、さらにその前の長く続いた医師の話も出てきています。村側の証言でも一部いじめがあったことを認めているものの、辞めた医師の方がむしろ問題ある人物だったという主張が多くなっていました。
冒頭に追記
2022/03/20追記:
●副村長「一番いいのは辞職」…今度は歯医者が村と揉めて辞職に 【NEW】
●副村長「一番いいのは辞職」…今度は歯医者が村と揉めて辞職に
2022/03/20追記:今回は普通の医師ではなく歯医者の話。また、長く勤めた医師が辞めるというもので、「次々と変わって」というものではありません。ただ、
上小阿仁村の歯科医師が辞職届 「納得できないが、村民に迷惑掛けられない」|秋田魁新報電子版(2022年3月15日)ということで、トラブルによる辞職でした。
<秋田県上小阿仁村の上小阿仁国保診療所で歯科診療を担当する男性医師が14日、村に辞職届を提出し受理された。2022年度から歯科の診療体制を縮小するという村の計画に対し、「自分の意思に反して辞めさせようとしている」と反発していたが、村の意向に沿って辞職する形となった>
上記は有料記事で詳細は不明。同じく有料記事で詳細は不明なのですが、上記記事の前月には
13年勤務の歯科医師に「辞めないなら判例調べる。一番いいのは辞職」 上小阿仁副村長|秋田魁新報電子版(2022年2月23日)という記事も出ていました。
<男性医師は東北大歯学部卒業後、弘前大歯科口腔(こうくう)外科に入局。09年から村職員として雇用され、週5日診療所に勤務してきた。
男性医師によると、昨年夏ごろ、男性医師の退職を前提に22年度以降の歯科診療を週2、3日に減らし、弘前大から担当医師を派遣してもらうという村の方針を複数の住民から伝え聞いた>
●4人目の医師は僅か1ヶ月で辞任の上小阿仁村 健康問題が理由とされるが…
2013/1/15:
上小阿仁村医者嫌がらせの歴史 3年連続1年で医師が辞意、4人目は僅か1ヶ月の続き。前回の投稿を読んでもらって、経緯を踏まえていた方が一応わかりやすいとは思いますが、こちらの投稿だけでも読んでても大体内容はわかると思います。
まず、前回の数え方で4人目のお話から。加賀谷敏明副村長は「辞任理由は健康問題」としていました。実際に診察を受けた村民らの話では、F医師は村に来た当初から歩行が困難な様子だったとのこと。辞意を表明する直前、隣町の寿司店をF医師は訪れているが、店の店主も「確かに伝い歩きをするほど、歩くのがつらそうでした」と言っています。
ただし、F医師は就任直後からあるトラブルを訴えていたというのも事実だった模様。警察が出動するトラブルがあったのです。捜査をした北秋田警察署は「故意に何者かが壊したような形跡はなく、事件性はない」としているものの、これは医者いじめがあったのでは?と疑われてしまいそうな内容になっていました。
・10月18日(就任6日目) 早朝診療所裏の自宅(歴代医師が寝泊まりしている住居)の外で物音がするためF医師が窓の外を確認したところ、何者かが窓のすぐそばの柱によじ登って家の中をのぞこうとしていた。
・10月30日 自宅車庫のシャッターを一部破損させられるなどの被害を報告、村側が地元警察に被害届を提出している。
これらの話を伝えた
秋田県・上小阿仁村の“医者いじめ伝説”を追え! [2013年01月04日] 週プレNEWS コバタカヒトによると、F医師と交流のあった村民は「トラブル以降、F先生は夜も眠れなくなったと漏らしていた。でも村側は“狂言”と取り合わなかった」と証言しています。
●「マッドサイエンティスト」とされる4人目医師、訴えにも矛盾?
一方、詳しく事情を知る村関係者や北秋田署の話を聞いた上で、実際に現場を見たものの、F医師の訴えは矛盾点が多すぎて、<はっきり言って彼の訴えは「人をおちょくってる」レベルの与太話の印象だ>としていました。これについて記事では、逆に「彼は村の人を困らせるような話をした」としています。つまり、医師の方が悪いということですね。
記事によると、F医師は元通産官僚で人間行動科学の研究者の顔も持っている異色の医師だったそうです。過去の彼の著作には、「公然と人を侮辱するとその相手はどう反応するか」といった内容のものもあるため、ネット住民からは「元官僚のマッドサイエンティストvsムラ社会の陰湿な住人」「陰湿な村民も音を上げるのではないか」と、注目を集めていたといいます。
ある村民は「楽しく話していたのに突然不機嫌になったり、同じ話を何度も繰り返したり」と、「確かにF先生は変な人でした」と話していました。ただ、「先生が村民の行動を研究するために演技をしていた可能性? いや、さすがにそれはないでしょう(苦笑)」と否定しています。
●過去には20年以上続いていた医師もいた 辞めた医師の方に問題
記事では、<総じて村側とF医師はうまくいってなかったのは間違いない>として、<健康問題がなかったとしても、彼は村には長くはいられなかったのではないか>とトラブル多き村という見方に賛同するような感じ。ただ、村人の反論も多く、村役場総務課長は以下のように弁護していました。
「まず、過去の診療所の医師についてお話しします。以前はずっと同じ先生がこの村の診療所にいたんです。20年以上の在任期間を経て、約10年前に65歳で定年退職。あの頃までは、今のようにコロコロと医師が代わっていなかったんですよ」
最初に辞めたB医師は、一般論として「小さな村の診療所にCTスキャンは必要ないもの」なのに、それを求めて拒否されたためだとされていました。「高額な医療費を購入したらメーカーからキックバックがあるから、B先生はそれを狙ってたんだ」ということです。このB医師は辞めた4人には入っていないようですから、その前みたいですね。次のC医師が続々と辞めた1人目の医師となります。直接的ではないですけど、やはり医師に問題があるようなことは匂わせた言い方をしていました。
「一方的ないじめはないけど、村民と仲良くはなかった。とにかくC先生はお薬を出さない方針でね(中略)薬をたくさん出してくれる先生はいい先生だと思っている人もいる(苦笑)。でもC先生は、薬は必要最低限でいいの一点張り。そこの部分でよ~く村の老人とトラブルを起こしてたっけ。
それに、小林前村長から『村民は貧しいので安価なジェネリック医薬品を処方して』と口出しされたこともあって、それにも不満があったみたい。薬を決めるのはオレなんだから素人が口出しするなと」
●「これだから女は…」女性医師はマジでいじめられていた模様
次に「いじめられた」と巷では断定されているD医師ですが、「D先生は本当に献身的に村のために頑張ってくれた方なんですよ。辞意表明をされたとき、村民から600以上の署名が集まり慰留されたほど」(村に住む60代女性)とのこと。村でも好評だったという説明です。
ただし、ネットの世界がそうであるように、声が大きい少数の困り者がいじめを行う構造が普通ですけどね。…などと書いていたら、こちらは以下のように「いじめがあった」と認めるコメントがありましたわ。男尊女卑が残る保守的な地域…という内容的にも、ネットのいじめと共通点を感じるものです。
「いじめをしていたのは5、6人らしいですが、先生は犯人が誰かを明かさなかったので、みんな真相を知らない。あといたずら電話も頻繁にあったみたいです。でも、辞めた後に『いじめくらいで辞めるなんて、これだから女は』という厳しい声もありました。この村は男尊女卑の激しい地域。女医というだけでやりづらかったと思います」(村に住む60代女性)
●3人目の医師は村長とのトラブルが原因
しかし、"現地で聞き取りをする限り、明確ないじめが確認できたのはこのケースのみ"とのこと。"後任のE医師のケースでもいじめはまったくなかったようだ"として、こう書いてありました。
「E先生は強いタイプだったし、実際に辞める際にも、『マスコミはまたいじめで医者が辞めるなんて騒ぎたてるかもしれないけど冗談じゃない! いじめなんてないし、むしろオレが村民をいじめたくらいだ!(苦笑)』と言っていたほど。辞めた理由はもっぱら今の村長とうまくいかなかったからとの話。実際に、診療所でふたりが言い争う姿も目撃されてるし、オレも本人から直接、コレ(親指を立てて)とうまくいかないから辞めると聞いてる。コレ(親指)は村長の隠語だよ」(村の事情通)
ただ、村長だって村民でしょ?村民と揉めているのは間違いありません。そして、そもそもいじめで辞めている人がいる時点で異常です。いじめ・嫌がらせは別としても田舎の陰湿さが出ているとは、言えるんじゃないでしょうか?
●田舎の人が異常性に気づいていないだけで?
私も田舎出身なのでわかりますが、利益度外視で診てくれている先生に対して、前述のエピソードと同じように薬の出し方で文句言う、陰口を叩くは当たり前にあります。(うちの田舎では次々と辞めてないですけど)
また、医者に限らない新規居住者に対して、生活に干渉する、派閥に入れる、加わらなければ陰口というのもあります。こういうのがもし同じようにあったのであれば、「いじめじゃない、合ってなかっただけ」というのは、身勝手な言い分だと感じます。
そして、実際に村民でも上記のようなことを言っている人がいます。
「村全体が差別的な目で見られるのは悲しいですが、ここまでくると村民ひとりひとりが意識改革する必要はあると思う。この村に生まれて、暮らしてきて思うことは、やはりここはどこか閉鎖的だし、
他人の噂話が大好きで根も葉もない誹謗中傷が飛び交うコトもある。人間関係も面倒なことだらけ。ある家庭に子供が生まれたとき、『あの子の本当の父親は違う』なんていうデマが流れたこともありました。そういうところはボク自身すごく嫌いです。だからお医者さんもいづらくなるんだと思います。……こんな話が雑誌に載ったら、『コイツは誰だ』って犯人探しが始まるかもしれない」(30代の村民の男性)
田舎の人が異常性に気づいていないだけで、それは普通の世界ではないのです。
●ネットで拡散された「また上小阿仁村で医師がやめた」はデマかも?
2017/11/13:「また上小阿仁村で医師がやめた」と最近話題になっていました。これが事実であったとしても、前回辞めたのが2012年だったので、今回は5年持ったということ。それほど早いわけではなく、異常を感じるものではありません。これくらいなら他の地域でもよくあることでしょう。
また、そもそもデマではないか?という疑いがあります。検索してみたものの、上小阿仁村で辞めたという記事は、ネットメディアですら見つからず、まとめサイトの情報のみ。そして、そのまとめサイトの情報というのは、2012年に掲載された求人情報と全く同じでした。
【医師求人情報】
診療科名 内科 常勤医1名
採用条件 75歳以下
待 遇 診療所長職(身分は地方公務員になります。)
給与等については村規定による(年収2,000万円以内)
赴任手当を村規定により支給いたします。
委細面談
勤務時間 8時30分から17時15分まで
週半日、特別養護老人ホーム診察
休 日 土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始12月29日~1月3日
当 直 なし
休 暇 年次休暇:20日、夏季休暇:3日
医師住宅 月額5,000円ただし電気、水道、電話料等は自己負担です。
住宅概要 車庫付一戸建て住宅(平成15年2月建築)
1階:居間1室、和室1室、台所、洗面所、ユニットバス、トイレ
129.18㎡(39.0坪)※車庫12坪含
2階:寝室1室、和室1室、洗面所、トイレ、納戸
91.09㎡(27.5坪)
※ 全室冷暖房完備(1階居間台所床暖房)
診療所まで徒歩1分(診療所の裏手に医師住宅があります。)
リンク切れ
http://www.vill.kamikoani.akita.jp/forms/info/info.aspx?info_id=26807
(
秋田県上小阿仁村、医者が消える村 - NAVER まとめ 更新日: 2012年11月08日より)
同じ条件で募集のためコピペしたという可能性はあります。しかし、まとめサイトではソースすらないものが大半。一部URLの記載があるサイトもあるものの、村のトップページであり、求人情報の直接のURL記載ではありません。村のサイト内も見てみたものの、最近の情報に求人はありません。
私の探し方が悪いだけ…という可能性はあるものの、そもそもソースを明記していない時点で問題があり、信頼できないとみなされて当然です。より確かな情報が出てくるまでは、懐疑的に見ておいた方が良いでしょう。今のところ、「また上小阿仁村で医師がやめた」はデマの可能性が高いと判断せざるを得ません。
●上小阿仁村の医師、1年以内の辞任は4人連続ではなく5人連続だった
なお、私は2012年以来誰も辞めていないのだと思っていたら、翌年も1年持たずに辞めていました。なので、5人連続1年以内だった模様です。よりひどかった…ということになりますね。イメージがさらに悪化します。ただし、こちらは以下を読んでように緊急的なものだったので、ちょっと特殊ケースかもしれません。
<2012年(平成24年)11月22日、前北秋田市長の岸部陞が所長に就任し、診療を再開した。村は後任が決まるまで当分の間、診療を続けてもらう方針であると発表した。しかし、2013年4月30日付けで岸部も退職することが判明、後任については4月26日現在未定で、後任が決まるまで週1回泌尿器科の診察にあたっている医師が臨時で所長に就任し、岸部が担当していた内科・外科については週1回外部から招聘した医師が診察にあたるとしていた>
(
上小阿仁村 - Wikipediaより)
上記の方の後は、2013年8月19日、かつて診療所の前身に当たる施設で勤務した経験のある内科医の柳一雄さんが、常勤医師として着任しています。そして、現在、
- 秋田県北秋田郡上小阿仁村 - 村立上小阿仁国保診療所では、「担当医師」に「栁所長」という記載がありますので、この方は4年くらい続いているようです。今回は以上のような感じ。前述のように、私も田舎の人たちに問題がある可能性を考えているのですが、確認できる事実と確認できない疑わしいものは、きちんと分けていかないといけません。
●ここ数十年、秋田県が全国一の人口減少率 上小阿仁村の場合は?
2021/07/16追記:お医者さんは関係ないのですが、人口減少に関する話題で上小阿仁村の名前を見たので。
国勢調査速報値の人口、全国38番目 減少率6・2%で最大|秋田魁新報電子版(2021年6月27日 )というタイトルの記事で、まず、秋田県が全都道府県で最も人口が減っているという話がありました。近年はずっと秋田県の人口減少率が全国一みたいですね。
<総務省が公表した国勢調査速報値によると、2020年10月1日時点の秋田県人口は、96万113人で全国38番目だった。15年の前回調査より6万3006人減り、減少率は6・2%と5回連続で全国最大となった。減少率は00年の2・0%から拡大を続けており、人口減少が加速していることが改めて浮かび上がった>
2位も東北で、岩手、青森両県の5・3%。ただ、秋田県は6・2%でしたから、差のある1位です。また、全国最悪である秋田県内での減少率が最大だったのは藤里町で13・7%(461人)。上小阿仁村は県内ナンバーワンではなかったものの、2位である13・1%(312人)でした。特に減少率の高い自治体ではあるようです。
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