前半は<風邪は「ひく」もの、インフルエンザは「かかる」もの この違いは?>という話。また、後半に同じ風邪関係ということで別で書いていた<「寒いと風邪を引く」「体温は頭から奪われていく」は迷信>という話をまとめています。こちらは風邪関係外の迷信も出てくる話でした。
●風邪は「ひく」もの、インフルエンザは「かかる」もの この違いは?
2013/1/17:日本経済新聞 で、<インフルエンザは「かかる」、風邪はなぜ「ひく」?>(2013/1/15 6:30 川鍋直彦)という記事が出ていました。日本経済新聞では、こういう言葉関係で語源を探る…などといった話でもときどき良いものがありますね。楽しみにしています。
<寒い日が続くこの時期、インフルエンザの予防にとマスクを着けていると逆に「かぜをひいたの?」と聞かれることが多い。(中略)そこでふと思ったのが、なぜ「かぜに罹(かか)る」と言わずに、「かぜをひく」なのか。語源を調べてみた>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDB08008_Y3A100C1000000/ 確かに言われてみれば、「インフルエンザをひく」とは決していいません。ちょっと不思議といえば、不思議かもしれません。記事では引っ張らずにすぐ答えが出ていました。
<かぜの語源を日本語源大辞典(小学館)で調べると、吹く風と同じだった。それによると、古代中国で風は大気の動きであるとともに、人の肉体に何らかの影響を与える原因としても考えられていたという。このことから吹く
風が運んでくる「邪気」を体の中に引き込んでしまうと、かぜという病になると考えられた。だから、「かぜをひく」というわけだ>
風邪は「風の影響」でしたが、実はインフルエンザはなんと「星の影響」だそうです。おもしろいですね。
<インフルエンザの語源はラテン語の「影響」に由来し、何の影響かといえば「星の影響」だ。16世紀に、イタリアではこの病気の原因が分からず、占星術師などが惑星の並びによって汚れた空気が広まって起こる病と考えたことによるそうだ>
●「風邪(かぜ)」という言葉が生まれたのは実は最近だった!
ただし、このインフルエンザが日本に伝わったのは、もちろんずっと後のことでした。では、かぜの方はいつから「風邪」という意味で使われだしたのか?と言うと「平安時代」のようです。それまではかぜは吹く風の意味しかありませんでした。
<竹取物語にはこんな場面がある。
「からうじて起き上がり給へるを見れば、かぜいと重きひとにて、腹いとふくれ、こなたかなたの目には、すももをふたつ付けたるやうなり」
かぜが病気として登場する箇所だ。これをみると、当時のかぜは、せきや寒気といった症状だけでなく、下痢、腹痛などの腹部症状、麻痺やてんかん発作などの神経症状まで含んでいたことがうかがえる>
これがさらに"鎌倉時代になると、からだに悪い影響をおよぼすことから風に「邪」の字をつけて、「風邪(ふうじゃ)」と"いうのも出てきます。そして、「風邪(ふうじゃ)」を「かぜ」と読むようになったのは明治時代だと言いますから、そんなに昔ではありませんね。
平安時代の「かぜ」はいろいろな病気を含んでいましたが、脳卒中の俗語である「中風」がまさに「風に中(あ)たる」であるなど、今でも"破傷風、風疹、痛風"など"風の字が付くケガや病名が多い"ようです。「風邪は万病の元」と言いますが、大昔は本当に「風が万病の元」だったんだなとよくわかる話です。
●「寒いと風邪を引く」「体温は頭から奪われていく」は迷信
2012/2/21:「寒いと風邪を引く」に関する話は前も書いたような気がして、ブログ内検索をかけたのですが見つかりませんでした。気のせいだったみたいですね。私が知ったのはWikipediaだったと思いましたが、今見ても見つからず。これも勘違いかな…。確か比較して研究した結果だったと思うんですけど…。
とりあえず、今回読んだ記事は
実は間違っている5つの健康神話 / 寒いから風邪をひくなど- ロケットニュース24(2012年2月20日10時00分)というもの。「5つの健康神話」は風邪の話ばかりというものではなく、ひとつだけでした。ただ、「体温は頭から奪われていく」に関しては、風邪のときには頭を冷やすのが良いとよく言われているので、セットにしています。
迷信(1) 寒いから風邪をひく
<「暖かくしてないと風邪ひくわよ」未だに母親から言われるこの神話。大前提として風邪もインフルエンザも菌によってかかる病気。大抵は誰かのくしゃみから、あるいは知らない内にウイルスに触れたりして、あなたのもとへやってくるのだ。人と握手をする時ウイルスを拾ってくることが一番多いので要注意>
迷信(5) 体温は頭から奪われていく
<結論から言うと、体のどの部分であっても外にさらされている部分が多い箇所から熱は失っていく。「40%から50%の体の熱は頭から失われていく」という神話は、1970年代のアメリカの軍隊から生まれたものだ。顔や頭は温度の変動を感知しやすいだけなのだそう>
●「太ると不健康」「痩せると健康」「低脂肪は健康」すべて迷信
一方、私が一番紹介したいと思ったのは、2番の迷信「太ると不健康になる」でした。以前、
太る方法1 ~痩せすぎだから太りたい~んど、太る方法シリーズを書いていたので、触れておこうかなと思ったんですよね…。他の2つの迷信とセットで一気に紹介しておきます。ただ、太ると関係する「低脂肪の食べ物を食べると健康になる」があったので、順番は入れ替えていあmす。
迷信(2) 太ると不健康になる
<もちろん、一目見て病的に肥満の人は実際に健康に難あり。ところが痩せ過ぎると、栄養不足やビタミン不足になっていくので、少しだけ太っている方が病気に対する抵抗力が高いのも事実。問題は食事の質や生活習慣で、痩せてる太ってるという短絡的な見方では振り分けられないよう>
迷信(4) 低脂肪の食べ物を食べると健康になる
<低脂肪食品と健康食品は同じではない。低脂肪食品は脂肪分を驚く程カットしている代わりに、ものすごい量の砂糖を使用している場合が多い。よく体重を気にして、低脂肪の食事ばかりしている人がいるが、あれでは痩せない>
迷信(3) 放射能はがんを引き起こす
<現在、日本人の3人に1人はがんで亡くなっている。その上、がんの原因の約30%は喫煙だ。100ミリ・シーベルト以上の放射線が健康へ害をもたらす、と言われているが、それでもがんの危険性はわずか0.5%増えるだけなのだ>
放射能ネタは発狂しそうな方がいるのでスルー…しようかと思いましたが、ちょっと補足。放射線を多く浴びると、がんのリスクが高まるというのは本当なので、「放射能はがんを引き起こす」は間違いでもないですね。がんのリスクが大きく上がるほど放射線を浴びることはほぼなく、他のリスクを注意した方が良いと言いたかったようです。
で、低脂肪の件です。これは低脂肪が悪いと言うよりは、その分「砂糖を使用している」という話みたいですね。ただ、この脂肪にしても、砂糖にしても、結局はバランスの問題。現代人が容易に過剰摂取してしまいやすいというだけで、それ自体が摂取してはいけない毒物というわけではありません。健康に関するものでしつこく書いているように、重要なのは量や濃度といったものです。(あんまり触れたくないですけど放射線も同じ考え方です)
水中毒とは ~水の摂り過ぎで死亡~でやった水や塩のように、たとえ身体に必要なものであっても摂り過ぎれば健康被害を及ぼすのは当然ですし、「毒物」とされるものであっても一定量以下であれば害はなく、摂取を控えることに神経をすり減らすことは無意味です。不安を煽ることで売上を増やす不安商法的なものがあふれていますが、そっちの方が身体に毒な気がします。
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