2022/05/13追記:
●高校サッカーでコーチが暴行 監督は被害者の生徒らに謝罪させる
2022/05/26追記:
●体罰を行うと成績が良くなる?秀岳館高校サッカー部の場合は… 【NEW】
2013/1/17:
●サッカーで野球やバスケより体罰が少なくなった理由とは?
●体罰もビジネスも同じ…自由競争の推進が淘汰を起こす
2019/05/24:
●バレーボールの強豪校でも体罰常態化 失神部員の脇で試合継続
●強豪校の部活で体罰多いのは効果的だから?類似研究によると…
●高校サッカーでコーチが暴行 監督は被害者の生徒らに謝罪させる
2022/05/13追記:サッカーでは体罰が少ない…と言われていたものの、飽くまで「少ない」であり「ない」というわけではないのでしょう。実際、体罰的な問題はあるようで、熊本県八代市の私立、秀岳館高校でサッカー部の30代男性コーチが3年生部員に暴行して書類送検される問題が起きていました。
この暴行事件だけでももちろん大問題。ただ、私がいつも「不祥事が起きたときに大事」と言っている事後対応においても最悪の選択をしています。監督が被害者である生徒たちに謝罪させており、なおかつ監督がこれに関与したことを隠蔽していました。これが一番悪かったですね。
<「暴行動画」の後に生徒たちが謝罪した動画に、監督が関与していたという。
動画は、コーチとみられる男性が少年を殴ったり蹴ったりしている様子を撮影したもので、4月にSNSに投稿された。その後、同校サッカー部の公式ツイッターアカウントに、主将や暴行を受けた当事者を名乗る生徒らが「コーチを馬鹿にするような発言をしたのが今回の原因です」などと謝罪する動画が投稿された>
(
秀岳館高校サッカー部、生徒の謝罪に監督が関与 「暴行動画」めぐり:朝日新聞デジタル 杉浦奈実 2022年5月5日より)
<誤った情報が流れているため、監督が生徒に「ただした方がいい」と指示し、動画投稿に至ったとした。これを受け、段原監督が口を開いた>
<監督は「生徒たちに(動画撮影を)言われ、生徒たちと同じ気持ちだった。話し合いの中で、そういうこと(謝罪動画の撮影)が出てきたので、賛同した」と、あくまでも生徒主体の動きに賛同したと強調。当初は監督の関与を明かさなかったことには「僕が初めから知っていたらいけない。そう(生徒が)流れになった」とも釈明した。
また、生徒主導だったのか、監督の指示だったのか-。その焦点に、白井教頭は「生徒によって、受け取り方が違う」と、あいまいな回答に終始した>
(
秀岳館の段原一詞監督、生徒謝罪動画に関与を認める「生徒たちに言われ…賛同した」 - サッカー : 日刊スポーツより)
●体罰を行うと成績が良くなる?秀岳館高校サッカー部の場合は…
2022/05/26追記:そこは本質的な問題ではないのですが、暴行のあった秀岳館高校サッカー部が強かったかどうか興味があって確認。高校野球では学校名に聞き覚えがあった一方、サッカーでは聞いた覚えがなし。しかし、
Wikipediaでプロ入りした選手の人数を見ると逆で驚き。野球が12人で、サッカーが14人です。
ただし、サッカーのプロ選手では5人がカタカナの名前なので、留学生選手あるいは帰化選手なのかもしれません。ここらへんはちょっと特殊そう。また、沿革では、高校野球で全国ベスト4に何度もなっていることが書かれている一方で、サッカーの話はなし。やはりサッカーはあまり強くなさそうでした。
さらに、
全国高校サッカー・熊本(全成績)を見てみると、秀岳館高校の全国出場は1度だけで1回戦敗退。やはり熊本の全国大会常連校という強さじゃありませんね。過去10年では、通算18回出場で最近全国準優勝もした大津、5回出場のルーテル学院、3回出場の熊本国府が複数回、熊本県代表となっているようです。
●サッカーで野球やバスケより体罰が少なくなった理由とは?
2013/1/17:
サッカーで体罰がほぼ淘汰された理由 : footballnetというページがありました。ただ、「サッカーで体罰が少ない」ということに関しては、実際のデータないとそんなの信じられないし…と思いながら読んだものでもあります。
ところが、ここのコメント欄だとデータに触れている方もいたので確認できました。データ的な話は同日更新の別記事
スポーツ部活体罰ランキング 野球・サッカー・バレー・バスケのどれが多い?の方に。
こちらは本来の記事のメインであるサッカーで体罰が少ない理由について。体罰が少ないという前提で、その理由について、以下のように考察するコメントがありました。(体裁は変更しています)
<サッカーで体罰がほぼ淘汰された理由>
1,ライセンス制度が軌道に乗って腐った指導者どもが淘汰された
2,最高峰の大会が結構でかいリーグ戦勝ち抜けなければたどり着けなくなった
3,クラブユースが発達して選手の選択肢が増えた
それぞれについて補足があり、まず1については、以下のような感じです。
1,ライセンス制度が軌道に乗って腐った指導者どもが淘汰された
<指導法の体系化、合理化によって体罰など独自の指導法は完全に否定された。大元のメゾットがドイツからの導入のため、「人間教育」などという曖昧な者は排除された>
2,最高峰の大会が結構でかいリーグ戦勝ち抜けなければたどり着けなくなった
<最高峰の大会、高円宮杯は地域リーグで勝ち抜けなければ決勝ラウンドには絶対に進めない方式 一発勝負ではなく総合力が問われる形になったので精神力や根性よりもコンスタントに結果がでなければならない 早い話、根性じゃどうにもならない形になった>
●体罰もビジネスも同じ…自由競争の推進が淘汰を起こす
私が一番興味深いと思ったのは、3つ目です。
<3,クラブユースが発達して選手の選択肢が増えた>
クラブユース、街ユース、高校サッカーと多くの選択肢があるため選手集めが高校主導じゃなくなってる てか強豪高校はクラブユースからのおこぼれで勝てるサッカー部になる形 もしも体罰なんかしようものなら供給源は絶たれ、協会は指導者のライセンス剥奪に動く 結果、体罰なんかやっても良い事なくなる
以下のようなコメントもありました。
<子供の方に選択肢が多いのが最大の要因だろ
高校でもユースでも一箇所にこだわる理由がまったくないから
殴ったりしたら翌日にはもう来なくなる
殴らないと統率できない無能は簡単に淘汰されるようになった >
サッカーは強豪校というものがまだ存在するものの、かなり各校の実力が均衡化してきている上に、実力選手が部活以上に集まるようになったユースというプロチームの下部組織の存在もあります。選択肢が多くある中で、わざわざ評判の悪いところに行く理由がなくなってしまいました。
何かここらへんは市場原理みたいな話ですね。自由競争が正常に機能した方が良くなるということです。就活で言うと、売り手市場のためにブラック企業に人が行かなくなる…といった感じでしょう。独占状態ではなく競争が十分激しくなれば、自然と体罰コーチは淘汰されて減っていくのかもしれません。
●バレーボールの強豪校でも体罰常態化 失神部員の脇で試合継続
2019/05/24:最初のコメントの方は、「コンスタントに結果を出すために体罰ではない指導法をしなくてはいけなくなった」という見方のようでした。つまり、「体罰をしない方が強くなる」ということです。サッカー日本代表的にもそんな感じで、Jリーグ誕生前より強くなりましたね。
ただし、むしろ「体罰は効果的で強くなる!」というのは、体罰擁護論者の主な主張の一つ。一見これが正しいかのように見える情報はあります。強豪校で体罰が行われているという例が多く、そもそも自殺したバスケ部の高校がそうでした。高校野球のPL学園なんかもそうですね。
(関連:
高校野球で深刻な陰湿ないじめと体罰 名門PL学園は存続すら危機に)
そして、やはり強豪校である尼崎市立尼崎高校男子バレーボール部でも体罰が蔓延していたことがニュースになりました。未だにこんなことやっているのか?というかなりひどい体罰です。
・男性監督(51)は1990年に同校の男子バレー部監督に就任し、指導歴は30年に近い。兵庫県高校総合体育大会で10連覇を達成したほか、「春高バレー」で知られる全国大会に20年連続で出場させるなど、同校を全国屈指の強豪に育て上げた。
・市教委はコーチの男性臨時講師(28)の体罰が「常態化していた」と結論づけた。「試合に負けた後、部員を1人ずつビンタした」「練習でよくボールを選手にぶつけていた」など。
(
神戸新聞NEXT|総合|「敗戦後、部員1人ずつビンタ」強豪校の古い文化まん延 市尼崎高バレー部 2019/5/22 05:55より)
・コーチを務める男性臨時講師(28)から平手打ちされた部員がコート脇で意識を失い倒れていたにもかかわらず、同じコートで予定通り他校との練習試合が行われていた。
・コーチに呼ばれて駆けつけた監督も「呼びかけに反応があった」として救急搬送せず、部員を北館4階のエレベーターホールに運び、ベンチに寝かせた。その後も試合は続けられた。
(コーチ平手打ちでバレー部員失神、その脇で試合継続 2019年5月23日 20時5分 読売新聞オンラインより)
http://news.livedoor.com/article/detail/16502257/
●強豪校の部活で体罰多いのは効果的だから?類似研究によると…
尼崎市立尼崎高校の場合、以前から体罰が行われていたのかは不明ですけど、先程挙げた他の強豪校の例を見ると体罰が効果的である、と思ってしまう人が出てくるおそれがあります。ただし、最初の投稿であったように、サッカーは体罰がなくてむしろ強くなった感じですから、これだけでは根拠とはならないでしょう。
また、やはり最初の投稿であったように、選択肢の問題があります。体罰のあるなしに関わらず、選択肢が少ないと特定の高校に選手が集まり、強豪校になってしまうと考えられます。強豪校かどうかでは、効果的な指標にはなりません。こういった素人の推測より大切なのは研究論文のようなものですね。
で、論文関連だとスポーツの結果に関するものではないものの、
虐待未満の体罰でも家庭のしつけとしては逆効果 子供の問題行動が増加してしまうといった話をやっています。たとえ儲かるからと言ってブラック労働を許すことができないように、体罰に効果があっても許すことはできないのですけど、類似の研究結果からすると、スポーツにおける体罰にもポジティブな効果はないと想像されます。
【本文中でリンクした投稿】
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スポーツ部活体罰ランキング 野球・サッカー・バレー・バスケのどれが多い? ■
高校野球で深刻な陰湿ないじめと体罰 名門PL学園は存続すら危機に ■
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