科学的根拠ない血液型占い・性格診断で死者？輸血を間違えた理由

　血液型性格診断や血液型占いの他、血液型にまつわる話をまとめ。＜科学的根拠ない血液型占い・性格診断で死者？輸血を間違えた理由＞、＜科学的根拠ない血液型性格診断・占いは差別＞などの話をまとめています。

冒頭に追記
2022/07/22追記：
●科学的根拠ない血液型占い・性格診断で死者？輸血を間違えた理由　【NEW】


●科学的根拠ない血液型占い・性格診断で死者？輸血を間違えた理由

2022/07/22追記：政治家の丹羽兵助さんが1990年に統合失調症の男性に刺殺された事件。直接的な死因は刺されたためとされているのですが、丹羽兵助さんが嘘の血液型を公表していたため輸血を間違える事故が起きています。この嘘をついた理由が、血液型占いで得票を得るためだった…と予想されているそうです。

＜ヤトウ病院に搬送された際、秘書が申告した血液型と秘書が偶然持参していた国会便覧の血液型記載を信用し、通常は行われるクロスマッチテストが行われないまま、上記通りの血液が輸血された。しかし、実際の血液型とは異なる型の血液であると言う医療事故も重なった[21]。また、愛知医科大学病院でも不適合輸血が行われた[20]。司法解剖の結果、死因は頸部を切られたことによる失血死で、型違い輸血は死因に影響しないと判断されたと言われている[21]。
　なお、丹羽が実際の血液型と異なる血液型を記載していたのは、当時流行していた血液型占いのブームが原因であり、血液型による印象が得票数に繋がると考えたのではないかと推測されている[22]＞(丹羽兵助 - Wikipediaより)

　ということで、直接的な死因にはなっていないものの、血液型占いが人を殺した事例になりかねないものでした。こんな危険なものを広めてはいけません。とはいえ、選挙のために嘘をついちゃう政治家ってのも問題ですね。丹羽兵助さんと同じ自民党の安倍元首相なんかも、経歴詐称をしていたことがあります。

　丹羽兵助さんの場合、この刺殺事件の少し前には、妻と長男が現金20万円を25人に配るという選挙違反事件を起こしていました。ここでも嘘つきっぷりを発揮しており、隠蔽工作を依頼して選対幹部に呆れられています。選挙のためならなんでもやる！というのは、問題がありますね…。


●日本の「常識」血液型性格診断 B型は自己中心的、A型は神経質など

2013/1/18：血液型性格診断(血液型性格占い)に関してはブログ開始当初から書くつもりでいたんですけど、今まで全く書いていませんでした。何か多くの人を敵に回しそうで怖いんですよね…。「わかってやっているんだから空気読んで放っておいてよ」という方もいらっしゃるでしょうが、被害が出てしまう場合もございますので…というのが今回の話です。

　この血液型性格診断に関しては日本では基本的にほぼ常識となっており、普段の生活でもウェブ上でも特にその根拠は論じられずにその診断結果を肯定しているという前提で話がされることもあります。内心苦々しく思っていても敢えて言わないだけなのかもしれませんし、実際私も黙っていますが、日本ではそんな状態です。

　例えば、ヤフー知恵袋では、以下のようなB型は自己中心的だとする投稿が見られました。他に有名なものですと、A型は神経質といったものがあります。

＜何でB型の人ってあんなに自己中なんですかね？
自分の周りにも2人B型が居るけど、なんか自分を中心に世界が回っていると思い込んでいるような人なんですよ。
　大事な連絡もよこさなかったり、気分次第ではすぐ返事よこしたり、自分にイヤな事があると、自分は一番不幸な人間なんだとアピールしたりと、疲れます。
　あなたの周りのB型の人ってどんな感じでしょうか？＞


●専門家が書くサイトでも普通に血液型性格診断肯定記事

　ヤフー知恵袋は馬鹿の吹き溜まりみたいな言い方をされることもあるのであれですが、専門家が書いていることを売りにしているはずのオールアバウトでも普通に、B型の異性と上手につき合うには？(All About「恋愛」旧ガイド工藤 祐子)なんて記事を公開しちゃっています。

　この記事は「B型はむしろ魅力的よ」というものなんですけど、血液型性格判断を全面的に肯定した上で成り立つ話であることは同じです。なお、最初にB型の例を出したのは、性格を決めつけられて最も被害を受けているのがB型だろうと思ったためでしたので、恋人にしたくない血液型は何型？の1位がA型だったのは驚きでした。

　恋人にしたくない血液型は何型？の1位がA型だった…というのは、第22回　血液型「みんなの恋愛常識」goo 恋愛&結婚のランキング。こちらではA型への偏見がこれでもか！というほど見ることができます。

「細かすぎるのはともかく、 いつも冷めている雰囲気があるので、つき合える気がしない 」（B型24歳）
「細かすぎるところが苦手」（B型30歳）
「あれこれ細かいことを言われると疲れるし、精神的苦痛に陥りそうです」（B型35歳）
「B型に憧れると言いながら、どうでもいいことに、すごくこだわっていてこちらに求めてくる！ 」（B型37歳）
「意外とA型は空気を読まない人が多い」（B型23歳）
「A型とB型は相性が悪いと言われるから、いつも敬遠してしまう」（B型31歳）
「ケチで器ちっさくて、すぐくじける！」（32歳）

　ここで出ていた「A型とB型は相性が悪いと言われるから、いつも敬遠してしまう」ってのは、まさに血液型診断の悪い作用ですね。根拠がない思い込みのせいで、人間関係に悪影響を与えています。


●O型はデリカシーがない、AB型は二重人格など

　記事では他の血液型への不満点も載っており、これによってまた偏見を確認できます。

＜B型のこんなところが苦手＞
「Ｂ型の男は、なんでもいい加減。最初はその適当さに癒されたこともあったのですが、だんだんイライラ。もっときちんとしてほしい 」（A型32歳）
「空気を読め！こちらの気苦労が絶えません」（A型40歳）
「さんざん振り回されたあげく、不倫がいいと言われ、ポイされた経験がトラウマに… 」（O型35歳）
「機嫌の悪いときはなにをやっても舌打ちする。振り回されてつらい」（O型28歳）

＜O型のこんなところが苦手＞
「気が合わない…友だちではムリですー」（AB型25歳）
「デリカシーのなさがしんどい、もうちょっと相手の気持ちをくんでほしい」（AB型37歳）
「Ｏ型が苦手なのは同性異性を問わず、自己中のワンマン型だから！」（AB型48歳）
「本能のままで、動物っぽくてイヤ」（41歳）

＜AB型のこんなところが苦手＞
「なに考えてるか本当にわからない」（A型21歳）
「読めないところがイヤ…」（A型26歳）
「AB型は細かいし、イヤミっぽく冷たい」（A型30歳）
「ころころ変わるから、つき合いが面倒くさい」（A型18歳）
「AB型の男性は、いつまでもネチネチとしつこい」（B型31歳）
「二重人格の人は信用できない！」（O型50歳）


●血液型性格診断の偏見、研究の対象にも

　Wikipediaによると、"偏見やステレオタイプや認知のひずみといった問題を重要な研究テーマとしている"社会心理学において、次のような研究がされているとありました。

＜近年、血液型気質相関説を研究の題材として取り上げ、このような説が社会に流布する仕組みや、このような説が流布することによって人の認知にどのようなひずみが生じるのか、あるいは血液型相関説を「信じているように振舞う人の動機は何か」といった角度から研究されており、論文が多数書かれている＞

　上記のように血液型で決めつけて行動していることが、人間関係に良くない影響を与えているケースが多いと予想されます。


●どうも血液型ではO型が一番人気っぽい

　ところで、前述の"～型のこんなところが苦手"ではO型が嫌いという人が一番少なかったようです。

A　36％　B　27　O　17　AB　20

　逆に言うと、O型が一番人気の血液型なのでは？と言うと、やはりそのような調査結果があります。

もし生まれ変われるなら、どの血液型に変わりたいですか
[Business Media 誠]　 2010年06月22日 15時56分

　もし生まれ変われるなら、どの血液型に変わりたいですか？　20歳以上の男女に聞いたところ「O型」（37％）と答えた人が最も多く、次いで「AB型」（24％）、「B型」（21％）、「A型」（19％）であることが、ホームアドバイザーの調査で分かった。O型と答えた人に、その理由を聞いたところ「おおらかになりたい」（現在A型）、「人当たりがいい」（現在B型）、「楽天的」（現在AB型）といった声が多く、他の血液型からの変更としては唯一、すべてで10％を超えた。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1006/22/news064.html

●なぜO型の血液ばかりがいつも不足してるのか？

　しかし、血液型分類の本来の目的であり、最も役に立つ輸血という観点から見ると、O型は良い血液型(？)とは言えないようです。

●●●ヒトの血液型●●●　コーギー専門ブリーダー、フライングパレット犬舍

血液型の最大の研究目的は輸血を安全に行うことです。血液型は赤血球の表面にある抗原というもので決まります。(中略)

ABO型の輸血

輸血できる血液型 同じ血液型	A型	B型	AB型	O型
	↓	↓	↓	↓
輸血を受ける本人の血液型	A型	B型	AB型	O型
	↑	↑	↑	↑
血液型が異なっていても 輸血して異常反応の 出ない血液型	O型	O型	O型 A型 B型	なし

ABO型からみた輸血法の表です。実際は青で塗られた範囲の同じ型の血液の輸血しかしません。しかし異なった血液型でも黄色の範囲のような組み合わせで輸血は可能です。O型のヒトは万能供血者（誰にでも血液をあげられるひと）、AB型のヒトは万能受血者（誰からでも血液をもらえるひと）と言われます。
http://www15.ocn.ne.jp/~anne999/wan-blood1.html

　万能供血者なんて言うとすごく良いことのようですし、実際、他の血液型にも使えるということなので便利です。ただ、この万能性が仇となり、O型の人自身には困った事態になる可能性がありそうでした。

なぜO型の血液ばかりがいつも不足してるのか　2008年4月23日 00時00分　エキサイトビットコネタ

東京都赤十字血液センターのウェブサイトを見ると、「血液型天気予報（400ml、200ml）」という項目があり、4月13日〜19日の状況では、A型とB型、AB型が晴れマーク（何とか間に合いそう）で、O型のみが傘マーク（かなり足りなくなりそう）だった。

O型はやっぱり慢性的に不足してるの？　同センターの広報担当者に聞いてみた。
「年間通して見ると、献血をしている人数も使われている血液の量も、だいたい人口に占める割合（A型4、O型3、B型2、AB型1）に落ち着くんです。でも、確かに、O型の需要は3割よりちょっと多く、常に不足している状況ではありますね」
O型の人に献血する人が少ないなどの事実はなく、実際には、O型が輸血の現場で多く使われやすいという理由もあるのだとか。
「輸血の際は、大前提として同じ血液型を使用しますが、交通事故などの緊急時に血液型がわからない場合や、検査できない場合などに、きわめてまれですが、O型を暫定的に使用する場合があるんです。O型は全型に輸血できるという理由からです」
実際には血液型がわかり次第、同じ血液型に切り替えるそうだが、こうしたわずかなケースも含めてO型の慢性的不足が起こっているのだとか。
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091208736052.html

　しかも、上の表を見てわかるように、O型は他の血液型の血液は一切受け付けません。O型じゃないとダメなのです。実際には合う血液型がない！って事態はあまりないんじゃないかと思いますが、ちょっと皮肉な話だなと思ってしまいました。


●科学的根拠ない血液型性格診断・占いは差別

2018/10/07；血液型性格診断の疑似科学性について補足。後に血液型診断の祖・古川竹二の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題というのをやっているように、血液型性格診断は、子供のできの悪い自由研究レベルで「科学」とは言い難いものでした。

　また、現代においても普通に否定されています。この関係だと、血液型性格診断に科学的根拠なし 九州大縄田健悟講師が発表が該当する投稿です。

　それから、差別になっている事例としては、面接で科学的根拠のない血液型を元に合否を決めているところが日本に存在するといったことを、血液型も面接のタブーな質問？で書いています。放置するとこうなっちゃうので、大目に見ることなく、徹底的に潰していった方が良いでしょう。


【本文中でリンクした投稿】
　　■血液型診断の祖・古川竹二の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題
　　■血液型も面接のタブーな質問？
　　■血液型性格診断に科学的根拠なし 九州大縄田健悟講師が発表

【関連投稿】
　　■脳内革命、100匹目の猿
　　■現代にはびこる疑似科学　～マイナスイオン、血液型性格診断、コラーゲン、胎教、ゲルマニウム、デトックス、タキオン、飲尿など～
　　■超音波犯罪というものがあるそうです
　　■スティーブ・ジョブズ、すい臓がん、スピリチュアル、マクロバイオティック
　　■Oリングテストの普及度とやり方　～一人で、二人で～
　　■科学・疑似科学についての投稿まとめ