2013/1/21:
インテルが最も恐れるライバルは無名の存在
携帯向きの低消費電力がインテルの脅威に!
イギリスアーム社(ARMホールディングス)はインテルを倒すか?
ゲームの勝利条件の変化に気づかなかったインテルと日本家電メーカー
アーム社は自ら製造をしないファブレス企業
インテルとアーム社は取引もしている
2016/07/18:
日本のソフトバンクがまさかのアーム社買収!
●インテルが最も恐れるライバルは無名の存在
2013/1/21:
インテルと日本の家電が直面する「技術の崖」 編集委員 西條都夫に(日本経済新聞 2012/11/28 7:00)よると、私は聞いたことのない会社だったのですけど、アーム社というイギリスにすごい会社があるんだそうです。
記事でも「あまり有名ではない、でも、すごい」という感じで、「今のインテルが最も恐れるライバルは、おそらく多くの読者になじみのない無名の存在である」と説明していました。
社員数は2000人程度で10万人を擁するインテルの50分の1。今年7~9月期の売上高は2億2700万ドルで、やはりインテルの135億ドルに比べて60分の1。でも、注目なのです。
●携帯向きの低消費電力がインテルの脅威に!
アーム社はWikipediaだと
ARMホールディングスという項目名で載っています。以下のような説明。
"ARMホールディングス(ARM Holdings plc) はイギリスのケンブリッジに本社を置く持株会社。傘下の事業会社である"ARM Ltd."によるARMアーキテクチャ、RealView や KEIL というブランドのプログラミングツール、システムおよびプラットフォーム、System-on-a-chip基板とソフトウェアなどの開発で知られている。ケンブリッジ周辺のハイテク企業集積地(シリコンフェン)内では良く知られた企業である"
主力製品である"ARMアーキテクチャを採用したプロセッサは携帯機器への組み込みに適した低消費電力が特徴"であり、これがインテルを脅かしているとしていました。
●イギリスアーム社(ARMホールディングス)はインテルを倒すか?
日本経済新聞でも、アーム社の強みは成長著しいスマートフォンやタブレットのモバイル市場にあると説明。アーム社はいわゆるファブレス企業、自ら製造はしないというのも特徴。
この点は後で補足しますが、製造を行わない企業がダメというのはよくある誤解。アーム社は製造は行わなくても、省エネ設計のマイクロプロセッサー(超小型演算処理装置)を独自開発し、そのIP(知的財産権)を米クアルコムなどにライセンス供与しています。
アーム社の発表によると、こうしてライセンス生産されたアーム仕様のプロセッサーは世界のスマートフォンのなんと90%に搭載されているとのこと。タブレット端末でもシェアは高いようです。一方、パソコン市場を牛耳るインテルのプロセッサーはモバイル市場では弱いのです。
Wikipediaでも以下のように書いていました。インテルがやばいかも知れないというのは、こうしたモバイルでの出遅れです。
"32ビット組み込みCPUの75%以上がARMアーキテクチャに基づいたCPUが採用されており、特に低消費電力と同時に高い演算能力が求められる高機能携帯電話や携帯情報端末で顕著であり、32ビットとしては世界で最も普及しているマイクロプロセッサである"
●ゲームの勝利条件の変化に気づかなかったインテルと日本家電メーカー
日経新聞では、一分の隙もないように見えたインテルがモバイルに出遅れた理由は、いわゆる「破壊的技術革新」のコンセプトで説明できるのではないかとしていました。
インテルはこれまで「半導体の集積度は18カ月で倍になる」というムーアの法則をフルに生かして、より情報処理能力の高いプロセッサーを世界最先端の工場で量産し、世に送り出してきました。
ところが、電池で駆動するモバイル機器用プロセッサーは処理能力も大事ではあるものの、それ以上に省電力性能がモノをいいます。技術の方向性がパソコンとは大きく異なり、その点にアームの技術は一日の長があり、あえていえばインテルの死角があったという見方。いつの間にか勝利条件が異なっていたんですね。ビジネスではよくあることです。
記事ではこれを日本の家電メーカーの凋落と重ねあわせていますが、いつの間にか世界の中心が自分の得意としないところに移ってしまったというのは、確かにちょっと似ていますね。
ただし、作者は"十分な利益を出しているインテルと赤字の海に苦しむ日本メーカーを同列に論じることはできない"と断っていました。インテルはまだまだ元気です。
●アーム社は自ら製造をしないファブレス企業
なお、あまりこの記事の本論とは関係ありませんが、"同社はいわゆるファブレス企業で自ら製造はしない"のところを補足。
Wikipediaでは以下のようにありました。また、後に
意外に有名企業があるファブレス企業・メーカー 任天堂・ダイドードリンコ・やおきんなどという投稿もしています。
"米AMD社、米インテル社、米フリースケール・セミコンダクタ社、日ルネサス エレクトロニクス社といった企業のマイクロプロセッサとは異なり、ARM社は技術を知的財産権 (IP) として各社にライセンス提供するだけであり、自社でCPUを生産していない。そのため、ARMの設計に基づくプロセッサを製造している企業は数十社に及ぶ。インテル、フリースケール、ルネサス テクノロジはいずれもARMテクノロジーのライセンス供与を受けている"
●インテルとアーム社は取引もしている
あと、インテルとARM社という話では、ARMアーキテクチャの方の
Wikipediaページにこんな話がありました。
"最も成功した実装は、何億台もの携帯電話やゲームボーイアドバンスに搭載されたARM7TDMIであろう。ARMのビジネスは通常IP(知的財産)コアの売上によるものであり、そのライセンスを得てこのコアに基づいたマイクロコントローラが製造されている。
DEC(引用者注:ディジタル・イクイップメント・コーポレーション。アメリカの企業)は設計のライセンスを得てStrongARMを製造した。233MHzでStrongARMはほんの1Wの電力しか消費しない(最近のバージョンはさらに少ない)。この業績は後に訴訟の解決の一環としてインテルに移管され、インテルはこの機会を利用して古くなりつつあったi960をStrongARMで補強することにし、それ以降XScaleという名で知られる高性能の実装を開発した"
先にインテルもARMテクノロジーのライセンス供与を受けているとありましたけど、完全な敵ではなく関係は複雑で、直接・間接にいろいろな関連がありそうです。
●日本のソフトバンクがまさかのアーム社買収!
2016/07/18:といった話を書いていたら、日本のソフトバンクがまさかのARMホールディングスの買収! これには驚きました。
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投資不適格ソフトバンク、ARMホールディングス買収でさらに格下げ?シナジー効果も不明 ソフトバンクは失敗した買収も行っており、ARMホールディングスについてもピンとこないものではありましたが、上記で書いてきたように世界的な優良企業であることは確かです。
【本文中でリンクした投稿】
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