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体罰といじめとパワハラは似ている?「自分たちの若いころは当たり前」論など


体罰・いじめ・パワハラなどについてまとめ。<体罰といじめとパワハラは似ている?「自分たちの若いころは当たり前」論>などをまとめています。

2023/11/24追記:
●「子ども・若者4000人がいじめで意見」と政府宣伝も大嘘と判明 【NEW】


●バカな社員に「バカ」と言って何が悪い?実はパワハラのおそれ

2013/1/21:毎日新聞が社説で<パワハラ 軽く見てはいませんか>(2012年12月26日 02時30分)というものを書いていました。「自分たちの若いころは上司や先輩から怒鳴られるのは当たり前」の意識でやっていると、職場内での暴言やいじめで訴えられるケースがあることが指摘されています。

 「訴えられるからやらない」「訴えられないならやる」じゃ寂しいですね。本来ならそうではなく、パワハラ行為そのものがいけないと理解してほしいところです。ただ、これは理想論。倫理感のない人に人としてなすべき行動を説明しても無駄ですから、「訴えられるよ」という指摘の方が効果的かもしれません。

<「自分たちの若いころは上司や先輩から怒鳴られるのは当たり前、それに比べて近ごろの若い社員ときたら……」。そんな会話をよく聞く。たしかに、頼りない若者はいるが、職場内での暴言やいじめで訴訟になり、上司や会社が多額の賠償金支払いを命じられる例は増えている。労災が認定される例もある。古い職場慣行に縛られている中高年社員、特に管理職はご用心である。パワハラ(パワーハラスメント)について確かな認識を身につけないと思わぬ落とし穴が待っている>
<いくら熱意を込めた叱咤(しった)激励のつもりでも、相手との関係性や背景、状況、文脈によって言葉はまったく違う意味で受け止められることがある。容姿や学歴、家族など職務と無関係なことへの侮辱、「バカ」「アホ」などの人格攻撃は注意すべきだ。「いつでもクビにできるぞ」と解雇をちらつかせて精神的に追い込んだり、明らかに無理だと思われるような要求や1人だけ過重なノルマを与えたりすることもパワハラと認定される場合がある>
http://mainichi.jp/opinion/news/20121226k0000m070167000c.html

 バカな社員に「バカ」と言って何が悪い?と思う人は今でも多いでしょう。毎日新聞の社説でも<それでもパワハラされる側の落ち度や能力不足が問題と本音で思う人は多いかもしれない>として、こうした点に触れられていました。「自分たちの若いころは当たり前」と考える人は理解できないでしょう。

 ただ、社説ではこうした考え方の人たちが正しいと擁護しているわけではなく、むしろ逆方向な感じ。「上司のマネジメント能力や職場内の多様性のなさが原因と見られる傾向が強い」と指摘していたのです。無能だと思うなら最初から雇わなきゃ良いだけの話であり、雇用した側の責任なんですよね。社説では、時代の違いも指摘。こうしたものとしては景気の良いときは若手を育てる余裕、育つのを待つ余裕があったなんてことも言われます。


●体罰といじめとパワハラは似ている?「自分たちの若いころは当たり前」論など

 ところで、毎日新聞のこの社説で挙げられていたパワハラをする側の言い訳やパワハラの原因などが、通常のいじめによく似ているなぁと感じました。パワハラの定義について書いた話などを読んでみると、パワハラと職場いじめには厳密な区別はない感じなんですよね。また、今これを書いているときに問題となっている体罰賛成論とも似たものを感じてしまいました。

(1)以前は許されていたのだから、今も同じはずだという主張
パワハラ:自分たちの若いころは上司や先輩から怒鳴られるのは当たり前だった
体罰:「われわれはビンタとかバットで尻を叩かれるなど、他のしごきを含めて、このレベルじゃなかった」「正直、僕らの頃はもっと厳しかった」
(参考:体罰自殺で保護者が「親の責任」「先生を応援します」 長嶋一茂も「我々はこんなレベルじゃなかった」と擁護・賛成論)

(2)愛情・熱意があるから悪くないという主張
パワハラ:熱意を込めた叱咤激励
体罰:愛情のある体罰

(3)原因は相手側や他のところにあるという主張
パワハラ:パワハラされる側の落ち度や能力不足が問題
体罰:生徒のためにやっている 「(自殺したのが)あの子だけということは、あの子にも問題があった」「このレベルじゃなかったですけど、殴られながらもボクは愛情を感じていましたよ」「保護者にも責任がある」
(参考:戸塚ヨットスクールの戸塚宏、体罰自殺を語る「あの子だけということは、あの子にも問題があった」体罰自殺で保護者が「親の責任」「先生を応援します」 長嶋一茂も「我々はこんなレベルじゃなかった」と擁護・賛成論)

(4)本当の原因はパワハラ(体罰)を行う側の能力不足
パワハラ:本当の原因は、上司のマネジメント能力のなさ
体罰:体罰は指導者側の合意形成能力のなさの現れ
(参考:体罰賛成派の12の理論を完全論破って本当? 体罰は愛情か躾か暴力か)

 「パワハラされる側の落ち度や能力不足が問題」なんてのは、いじめっ子の常套句「いじめられる方にも問題がある」そのまんま。体罰も生徒のためにやっているのであって、体罰を愛情と受け取れない生徒に関しては、むしろその生徒の方に問題があるのだといった発言が出ています。

 私はこれだけ体罰賛成派が多い以上いきなり根絶というのは非現実的だと考えており、あまり体罰を攻撃しないように……と一応心掛けてきたんですが、こうして見ると体罰を擁護できるところはどこにもないと感じてしまいました。


●いじめられた子を長期間隔離、職員も暴行 市が隠蔽していた

2022/05/22追記:<1年半「別室隔離」のいじめ被害児童 大阪市教委の職員から「暴行」されていた…「非常勤嘱託」理由に公表されず>(2022/5/20(金) 20:35配信 関西テレビ)は、ひどい話の情報量が多すぎて頭が追いつけない話。「自分たちの若いころは当たり前」論も出ていました。

<大阪市の小学校で、児童が1年半にわたって別の教室に隔離されていた問題。この児童が教育委員会の職員から暴行を受けていたにも関わらず、市が公表していなかったことが、関西テレビの取材で新たに分かりました。
 問題となっているのは、大阪市立の小学校に通う6年生の児童を巡る対応。児童は2年生のときから、同級生によるいじめで精神的に不安定な状態が続いていました。
 学校はこれを理由に、保護者の同意を得ることなく、4年生のときから1年半にわたり児童を別室に隔離し、個別で指導していたことが判明したのです>
<さらに、関西テレビの取材で、同じ児童に対して別の不適切な行為があったことが新たに分かりました。教育委員会の職員からの暴行です。
 3年前、当時小学3年生だった児童に対し、市教委から学習支援のために派遣されていた60代の非常勤職員が、暴行を加えたというのです。
 教育委員会などによると、暴行が行われたのは多くの教師がいる職員室。当時、児童は教頭に悩みを相談していました。そこに、他の生徒とトラブルを起こしたと勘違いした職員が、児童を問いただしにやってきます。
 児童は否定しましたが、職員はそのまま椅子ごと倒し、馬乗りになって両腕を押さえつけました。その後も校長や教頭の静止を聞き入れず、職員は5分ほどにわたり馬乗りを続けたといいます>
https://news.yahoo.co.jp/articles/852cd9ad161467a2938a3828e80e12cc5b533f48


●「自分が教えていた時代では当たり前」と謝罪せずに終わる

 児童は「『離して』って振り払おうとしても、振り払われへんかった。ちょっとでも、隙間できた瞬間に息したり」と話しており、呼吸すらままならぬ危険な状態だった模様。また、職員からは謝罪等はなく、自分がやったことは正しい行為で、「自分が教えていた時代では当たり前のことだ」と親は聞かされたといいます。

 これは体罰容認論とも考えられます。大阪は右派が人気ある地域で、橋下徹元市長が以前肯定派だったなど、右派に体罰肯定派が多いです。この職員はこのまま謝罪することなく、馬乗りを正当化したまま、自主退職しており、反省ゼロ。さらにこれを大阪市が隠蔽したのですから、めちゃくちゃです。

<【大阪市教育委員会 担当者】
「非常勤嘱託職員というのはいわゆる「契約社員」ということで、そもそも処分の概念がない。すなわち公表の対象でもない」>
<大阪市教育委員会は、5月19日になってこの説明を訂正。「『契約社員なので処分の概念がない』という説明は間違っていた」としました。
 一方で、元職員が不起訴となっていることなどを理由に、“公表しなかったこと自体に問題はない”という立場は崩していません>


●「子ども・若者4000人がいじめで意見」と政府宣伝も大嘘と判明

2023/11/24追記:いじめや自殺などの政策に関し、子どもや若者の意見を集めて政策に反映する「こども若者★いけんぷらす」。こども家庭庁が何度もアピールする目玉プロジェクトだったのですけど、これが大嘘の宣伝をしていたというひどい話。右派の読売新聞が問題を指摘する事態になっています。

・こども家庭庁が「子ども・若者4000人が参画」とPRの看板政策、実際は最大533人にとどまる…政府関係者「かけ離れている」 : 読売新聞 2023/11/06 01:00
<名前や住所などの「基礎情報」の登録者は約4000人。ただ、意見を表明するには、保険証や学生証などの写しを提出する「本人確認」が必要となる。その手続きを終えた人は8月1日時点で533人だった。(中略)
 だが、この取り組みは同庁の看板政策の一つで、10月3日の記者会見で加藤少子化相が「子どもや若者の視点に立った政策作りに向け、4000人を超える皆様に参画いただいている」と述べるなど、同庁は登録者数を何度もアピールしている。
 ある政府関係者は「実際に声を聞ける人の数が4000人とかけ離れている。手続きを簡易にしたり、本人確認への協力を求めたりして、多くの人が意見できるように改善すべきだ」と指摘している。>
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231105-OYT1T50171/

 こども家庭庁の担当者は「政策に反映するからには、身元がはっきりした人から意見を募る必要がある。回答できない登録者がいても問題はない」と説明。ただ、本人確認の是非はともかく、「子ども・若者4000人が参画」は嘘で詐欺的でしょう。民間なら消費者庁に誇大広告と言われるようなやり方です。

 なお、一見もっともらしい「政策に反映するからには、身元がはっきりした人から意見を募る必要がある」も、実は怪しいのではないか?と思います。これについては、もう少しまとめてから書きたいので、次回書く予定です。


【関連投稿】
  ■体罰自殺で保護者が「親の責任」「先生を応援します」 長嶋一茂も「我々はこんなレベルじゃなかった」と擁護・賛成論
  ■戸塚ヨットスクールの戸塚宏、体罰自殺を語る「あの子だけということは、あの子にも問題があった」
  ■体罰賛成派の12の理論を完全論破って本当? 体罰は愛情か躾か暴力か
  ■職場での上司のパワハラ 社内相談窓口は全く利用されていない
  ■学校・教育・子どもについての投稿まとめ

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