マグロの話をまとめ。<大間はマグロ御殿だらけ?マグロ漁はおいしい商売なのか?>、<初セリの漁師、いたずら電話とやっかみの声に悩む>、<大間のマグロブランド、実は人為的に作られたものだった!>、<外国人参戦で変化…マグロ初競りはなぜ異常価格になったのか?>、<すしざんまいが一番にならなくなったのは漁師のためを思って?>などをまとめています。
冒頭に追記
2023/01/06追記:
●前年の2倍!久しぶりに大間マグロの初せりが高値…落札したのは? 【NEW】
初競りで有名な「すしざんまい」木村清さんの書籍
マグロ大王 木村清 ダメだと思った時が夜明け前

●前年の2倍!久しぶりに大間マグロの初せりが高値…落札したのは?
2023/01/06追記:一応恒例ですので新しい話も追加しておきます。2023年は久しぶりの高値だったようで、
大間マグロに3604万円 豊洲初競り、前年の2倍超:東京新聞 TOKYO Web(2023年1月5日 13時19分 (共同通信))という記事が出ていました。今年も一時高値を連発していた「すしざんまい」ではなく、別のところが最高値だったようです。
<東京都江東区の豊洲市場で5日、今年最初の取引となる「初競り」が開かれ、212キロの青森県大間産クロマグロがこの日最高値の3604万円で競り落とされた。前年の約2・1倍で、記録が残る1999年以降では6番目>
<仲卸の「やま幸」(江東区)と「鮨 銀座おのでら」などを運営する会社が共同で落札した。
最高値マグロは東京都渋谷区にある銀座おのでらの系列店で解体された。にぎりずしで8千貫分ほどになり国内外の13店舗で5日以降、数量限定で提供される>
仲卸の「やま幸」と「鮨 銀座おのでら」系というのは、前年もじゃなかったっけ?と思って過去の記述を読み直し。2022年は「オノデラグループ」と「やま幸」と書いており、やはり同じみたいですね。ちなみに2022年の価格は2021年より396万円低下した1688万円。2023年は過去3年で最も高い価格になりました。
●初セリで大間のマグロが高値に…ただし、税金などで半分に
2013/1/22:
報奨金や宝くじに当たった人の悲劇 嫌がらせ相次ぐ・浪費するも不幸になるばかりと似たような話。
1.5億マグロ釣った漁師 やっかみの声やいたずら電話に悩む(2013.01.20 07:00 女性セブン2013年1月31日号)という記事がありました。
2013年1月5日の東京・築地市場の初競りで、青森・大間産のクロマグロが1億5540万円の値をつけました。このマグロを釣り上げたのは、代々、大間で漁師をしている一家に生まれた竹内大輔さん(36才)。
1億5540万円のうち5.5%は荷受会社、4.0%が大間漁協、1.5%が青森県漁連に入る。残る約1億4000万円に最高税率40%の所得税がかかるので、大輔さんの手取りは8300万円ほど。
ただし、来年にはさらに住民税が10%、少なくとも1400万円が引かれることになるとのこと。このあとの計算はありませんでしたが、8300万円から1400万円が引かれるので6900万円くらいですね。半分以下になります。ただ、今は復興財源の分があるのでもっと減るのではと思ったんですけど、どうなんでしょう?
●高値のマグロ漁師は「宝クジに当たったようなもの」との表現
検索すると、なんかもっと細かい計算もありました。まず、大間では、漁協の手数料は4%、県漁連が1.5%といわれるから、組合が621万6000円、県漁連が233万1000円を取る見込み。最終的に漁師の手元には、残りの89%、1億3830万6000円が渡ると推測。さらに、水産関係者が以下のように推測しています。
「漁師は氷代や燃料代などの経費を引いて、8割程度が実際の収入になる。ここから所得税の最高税率40%を引くと、純粋な利益は7000万円ぐらいでしょう。いずれにしても、大間のマグロはブランドといえども、通常は1キロ当たり4000~5000円の取引。今回のは1キロ70万円で、ケタが2つ違う」(水産関係者、落札価格 1億5540万円はどう分配されるのか- ゲンダイネット(2013年1月10日07時00分)より)
http://news.infoseek.co.jp/article/10gendainet000180822
住民税抜く前で既に7000万円ということですから、この計算だとさっきより減りそうです。燃料費などの分ですかね。あと、この方は、「漁師は宝クジに当たったようなものです」と言っていました。やはり以前の
報奨金や宝くじに当たった人の悲劇 嫌がらせ相次ぐ・浪費するも不幸になるばかりに近いイメージのようです。
●大間はマグロ御殿だらけ?マグロ漁はおいしい商売なのか?
ゲンダイは"大間には“マグロ御殿”がゴロゴロあるなんて噂もある"なんて無責任なこと書いていましたが、最初の記事によれば、"マグロ漁はただ儲かるだけの商売ではない"としていました。高値がついた竹内大輔さんは以下のように言っていました。
「釣れればいいけど、1か月全然釣れないときもある。それでも燃料代は毎日かかる。マグロで儲かるなんて大間違いだよ」
また別の大間の漁業関係者たちも、揃って厳しい現状を口にするとのこと。
「船を買うために数千万円も借金し、釣れなければ燃料代で借金ばかりがかさんでいく。燃料代は年々上がって、1回の漁で少なくとも5万円程度はかかる。それでもマグロを釣らないと収入はゼロだから、休むわけにはいかない。年間で数千万円の水揚げがある船がある一方で、300万~400万円しかない船もザラ。厳しい世界ですよ」
●初セリの漁師、いたずら電話とやっかみの声に悩む
ところで、"初競りの報道があってからというもの、大輔さんはやっかみの声やいたずら電話に悩まされているという"という話も記事にはありました。これは切ない話ですね。すごく残念です。
報奨金や宝くじに当たった人の悲劇 嫌がらせ相次ぐ・浪費するも不幸になるばかりのときには海外ではどうなんだろう?と書いて、宝くじの例を出していました。ただ、最近でも
100万ドルの宝くじ当選者、受け取り直後に死亡 最初は自然死と判断されて、後に毒殺と判明という事件が海外で起きています。
また、アメリカで以前あったウォール街を占拠せよという抗議運動も、金持ち憎しの影響が見られました。私はネットでよくある大企業叩きもそういった負の感情が混ざっているんじゃないかと思います。まあ、これは叩ければ誰でも良いみたいなところが大きいですけどね。
いずれにしろ、あまり美しくない話です。
2019/01/06追記:近年のネット上ではお金持ち叩きより、むしろ弱者・マイノリティ叩きの方が大きく盛り上がり、持続的に大きなムーブメントになっています。さらに美しくない話ですね。
●2013年の記録を大幅に更新する史上最高値が出た!
2019/01/06:初セリの記録更新ということで追記。2018年の初セリで、本マグロを最高値で落札した水産仲卸「やま幸(ゆき)」と、2017年まで6年続けて最高値で落札してきたすしチェーン「すしざんまい」の運営会社の喜代村が競り合って、どんどん値が釣り上がったようです。
結果、競り落としたのは、「すしざんまい」の運営会社の方。これまでの最高値は、2013年の初セリで同社が競り落とした222キロの大間産で、1億5540万円(1キロ70万円)だったとのことで、この最初の投稿のときの価格ですね。
今回は、青森県大間産の278キロの大物が史上最高値の3億3360万円(1キロ120万円)。1キロ単価も史上最高だったとのこと。やっかみの声や嫌がらせがないといいのですけど…。
(
大間のマグロ3億3360万円 豊洲初セリで史上最高値:朝日新聞デジタル 抜井規泰 2019年1月5日07時43分より)
●大間のマグロブランド、実は人為的に作られたものだった!
2020/12/21:
マグロ「初競り」はなぜ異常価格になるか、誇りを賭けた闘いの軌跡(中原 一歩) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)(中原 一歩 ノンフィクション作家)という記事が2020年1月4日に出ていました。『
マグロの最高峰 (NHK出版新書)
』という書籍も出しているそうです。
船の甲板を「板」と呼ぶそうですが、マグロ漁師は「板子一枚下は地獄」と言うとのこと。これはマグロ漁が危険なためでした。船は霙(みぞれ)まじりの寒風に容赦なく煽られます。それだけでなく、そんな荒海で一本の釣り糸(テグス)を介して、時に300kgものマグロと対峙する漁師は、マグロ釣りは命がけの「博打」と口を揃えるとされていました。
このマグロの初競りは以前から高額だったわけではありません。中原 一歩さんによると、かつては祝儀と言っても、マグロの価格は平時の2割増しになる程度で、少し前まではそれがニュースになる理由はとくになかったそうです。しかし2001年、当時のマグロの価格としては最高値の「2020万円」が飛び出したことで事態は一変。高額マグロが年始の風物詩となりました。これにはテレビ効果があったとされています。
<実は時を同じくして、マグロに限らず、食材が生産される現場の地名を冠した’’ブランド主義’’が日本の飲食シーンを大きく変化させていた。(中略)当然、2020万円ものマグロの産地にも注目が集まった。それが、今やマグロの聖地とも呼ばれる青森県下北郡の「大間町」だ。実は前年、NHKの朝ドラ「私の青空」の舞台が、たまたま大間町だったこともあり、津軽海峡に面した本州最北端の漁村は、一夜にして「日本一のマグロの町」として、全国のお茶の間に知れ渡ることになる。これが「大間マグロ」というブランド誕生の契機だった>
<「大間」という名前が浸透するにつれ、真冬の津軽海峡に繰り出し、巨大なマグロと壮絶な戦いを演じるマグロ漁師を主人公にしたテレビ番組が続々と制作されるようになる。
中でも2007年、俳優の渡哲也が200キロ超のマグロを実際に釣り上げて話題を呼んだ、テレビ朝日系列の連続正月ドラマ「マグロ」は決定打となった。同番組は、大間漁協、大間町商工会、大間町役場が全面協力し、10億円という映画並みの制作費が投じられる異例の企画となった>
●外国人参戦で変化…マグロ初競りはなぜ異常価格になったのか?
「テレビはオワコン」という声がネットでは大きいものの、上記はテレビの影響力の強さを感じさせる話でした。ただ、この理由だけで初競りのマグロが億超え…とはなりません。数百万円台の年が続いて「2020万円」の記録がそう簡単には破られることはなかったときに、億超えまで伸びるきっかけを作ったのは、外国人だったといいます。
<地殻変動の予兆が見えたのが2008年。彗星のごとく現れた香港人がいた。人気鮨チェーン店「板前寿司」代表のリッキー・チェン氏だ。彼はこの年、外国人として初めて一番マグロを「672万円」で手に入れた(実際に競り落としたのは、リッキー氏の依頼を受けたマグロ専門の仲卸「やま幸」だった)。これがきっかけでリッキー氏は「香港の寿司王」と呼ばれるようになる>
<そしてその後、のちに「マグロ大王」の異名をとるあの男が、初競り一番マグロの争奪戦に参戦を表明する。それが、やはり人気寿司チェーン店「すしざんまい」を率いる木村清氏だ。2008年以降、4年連続で初競りを制していたリッキー氏だったが、2012年の正月、突如として現れた木村氏に競り負けることになる。この時の価格は「5649万円」>
競りというのがそもそもそういうものであるように、ライバルがいると一気に高騰しますね。その後は、パリやハワイ、ニューヨークなど世界を舞台に高級鮨店を展開してきた「鮨 銀座おのでら」の小野寺裕司さんが前述の「やま幸」と組んで登場し、再び価格の高騰に繋がりました。
ただ、競り合うと値上がりするというのはわかる一方で、なぜ法外な価格を出してまで初競り一番マグロを購入するか…という説明はなく理由がわかりませn。数百万円台ですら高かったのに、今はそれより高いのには理由があるはずです。これは一般的には「宣伝になるから」ということでしょう。とはいえ、もう宣伝による費用対効果を超えて、意地や趣味の領域に入ってきている可能性もありそうでした。
●すしざんまい木村清社長クロマグロ初競りに敗れる 勝ったのは?
2022/01/06追記:テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では2022年1月5日、東京・江東区の豊洲市場で行われた新春恒例の「初競り」を報道。「すしざんまい」を運営する「喜代村」の木村清社長を取材していました。「頑張って明るく元気に吹っ飛ばしていきましょう」と意気込みを語り、競りに参加していたそうです。
しかし、競り終了後、木村社長は「値段は2番目かな」と明かしており、1番にはなれませんでした。2022年の価格は1688万円です。3年前は278キロのマグロが史上最高の3億3360万円でしたが、これは異常値。とはいえ、前年の2021年も2084万円ですから、今年はそれよりも396万円下落しています。
では、落札したのはどこか?と言うと、銀座で寿司店などを経営する「オノデラグループ」と水産仲卸業者「やま幸」でした。前回の追記では「鮨 銀座おのでら」の小野寺裕司さんという紹介でしたが、同じ「おのでら」ですし、おそらく以前と同じコンビでしょう。しばらくこの2者の競り合いとなりそうです。
(「すしざんまい」木村社長、クロマグロ初競りに敗れる「値段は2番目かな」 スポーツ報知 / 2022年1月5日 8時26分より)
https://news.infoseek.co.jp/article/hochi_20220105-OHT1T51011/
●すしざんまいが一番にならなくなったのは漁師のためを思って?
2022/01/18追記:信頼できない辛坊治郎さんが言っていた話なので、本当かいな?という話なのですが、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」の内容を載せた
豊洲 マグロの初競り 「すしざんまい」の名前が出てこなくなったわけ ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年1月5日 21時11分という記事が出ていました。
辛坊治郎さんは、「1,688万円でも、寿司屋でトロ一貫1万円で売っても採算が取れないらしいですよ。だから、ご祝儀相場ですね」との説明。ただ、宣伝効果で高くても落札する…ということが今でも続いています。一方で、すしざんまいは、こうした宣伝手法を改めた…との説明でした。
<初競りというやつは、5つある仲卸の会社が「これがうちがおすすめのいちばんですよ」とい言って5本並ぶんですが、いちばん最終的にキロあたりの値段が重かったものが「一番いマグロ」といってニュースになるのだけれども、実はその隣のやつをすしざんまいは落札しているのです。すしざんまいは、絶対にいちばん高く落札するという方針だったのだけれど、どうも最近、経営戦略というか広告戦略もだと思うのですが、それをやめているみたいなのです。なので、もともとの初競りの値段に戻ったかなという、そんな感じです>
辛坊治郎さんによると、釣った人としては、「頼むからすしざんまいも参加して3億円にしてくれ!」という気持ちがあるとのこと。しかし、これによって、リスクをかけて漁師が漁に出るからやめたのではないか?との説明でした。ただ、ここらへんは以下のように「思います」という言い方だったんですよね。憶測で「いい話」にしている感じでした。
<これをやりすぎて、1発狙いで危険な漁に出る漁師さんが年末年始に出始めて、「これは命に関わる」という事態に近年なっていたということもあって、億円単位のことはやめようじゃないかという話が広がったあとでこの値段なのだと思います>
初競りで有名な「すしざんまい」木村清さんの書籍
マグロ大王 木村清 ダメだと思った時が夜明け前

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