2013/1/23:
浜田宏一氏「人口減がデフレの要因と言う経済学者はまともじゃない」
浜田宏一内閣官房参与の日銀批判の流れ弾がクルーグマン教授に?
クルーグマン教授「日本の経済成長は人口減少で低下する」
2018/11/07:
高橋洋一氏「デフレは人口減少が理由だと言う奴(笑)」
日銀の原田泰氏も「日本は人口減少でむしろ豊かになる」
●浜田宏一氏「人口減がデフレの要因と言う経済学者はまともじゃない」
2013/1/23:安倍晋三首相の金融政策のブレーンとして内閣官房参与に就任した、浜田宏一・米イェール大学名誉教授が日本外国特派員協会でスピーチで、「人口減がデフレの要因であると言った人は、まともな経済学者では存在しない」とおっしゃったそうです。
「これまでずっと、金融緩和政策によりインフレをわずかに起こすことが(デフレ脱却にとって)重要と説いてきたが、なかなか理解してもらえなかった。一方で人口増が経済成長には必要なのは間違いないが、
人口減がデフレの要因であると言った人は、まともな経済学者では存在しない。しかし、日銀の白川方明総裁までその話に乗ってしまった」
(
為替は1ドル100円くらいがちょうどいい 安倍首相のブレーン・浜田教授が講演 野村 明弘 :東洋経済 記者 2013年01月18日 東洋経済オンラインより)
●浜田宏一内閣官房参与の日銀批判の流れ弾がクルーグマン教授に?
しかし、日本のリフレ派が崇める
クルーグマン、アベノミクスは評価、安倍晋三首相は酷評などで書いたノーベル賞受賞者のクルーグマンさんも、人口減の影響については言っているのでは?という指摘があったのが気になりました。
原文では「クルッグマン」という日本語表記を採用していますけど、この指摘があったのは、
浜田宏一・米イェール大学名誉教授がノーベル賞経済学者クルッグマンをマトモでは無いと断罪(2013年1月20日日曜日 ニュースの社会科学的な裏側 uncorrelated )というページ。以下の部分が該当部です。
さて、人口学者の予測では、来世代の人口はいまの世代の人口より小さくなると予測されたとしよう。だから労働力も、そして(労働の需要が弾性的だとして)土地の実質価格も下がる。もしそうなら、土地はプラスの限界生産を持つけれど、土地への投資の期待収益は、原理的にマイナスになり得る。
これはかなり様式化した例で、いろいろ課題は残している。でも、生産的な投資プロジェクトがあっても流動性トラップ(引用者注:流動性の罠、通常の金融政策が効力を失うこと)が生じ得るということを少なくとも原理的には証明できている。
((PDF) 復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲 ポール・クルーグマンy 山形浩生z 訳 原著1998 年、翻訳期間2001 年8 月29 日-9 月9 日Ver.1.0.1より)
私は「人口減も原因の一つにはなりうる」みたいな薄い言い方を誇張した可能性も予想しながら読んだのですけど、以下のように人口減はここの考え方では必須。誇張ではなさそうでした。
1.人口が減る
2.労働力が減少する
3.土地の実質価格も下がる
4.土地への投資の期待収益もマイナスになり得る
なお、ここの考え方については元ページのuncorrelatedさんが、「実際には大きな減価償却が起きないとマイナスにもならないと思われている」という注釈をつけていますが、「人口減少が実質金利の低下をもたらす所までは、そう奇妙な議論では無い」としていました。
●クルーグマン教授「日本の経済成長は人口減少で低下する」
また、これ以外のところでもクルーグマン教授は経済が縮小する場合について、以下のように書いていました。
"一つの可能性としては、エクイティプレミアムに関するものがある。もう一つの可能性は人口に関するものだ"
"確実なのは、日本の長期的な成長は完全雇用のもとであっても、人口要因で低下せざるを得ないということだ(中略)こうした人口減少の見通しは、ほかのものさえ等しければ、将来のq (引用者注:おそらく地価のこと)の期待を引き下げて、したがって現在の投資も引き下げることになるはずだ"
人口減少は経済停滞の唯一の原因ではないですけど、クルーグマン教授が理由の一つとして考えているというのは間違いなさそうです。
●高橋洋一氏「デフレは人口減少が理由だと言う奴(笑)」
2018/11/07:
人口減少の何が悪い?危機をあおるウソを高橋洋一氏が「未来年表」でバッサリ 日刊SPA! / 2018年11月6日 15時52分というタイトルを見て、この投稿の話を思い出しました。高橋洋一さんは、代表的な日本のリフレ派のため。以下のようなことをおっしゃっていました。
「人口の減少は、予想通りのこと。大した問題じゃない。労働人口が減る? 別にいいじゃないですか。社会保障制度の破綻? ない、ない(笑)」
「そもそも、なんで人口減少を危機と捉える風潮があるのか、私にはまったく理解できない。正直、人口が減ると困る人たちが、意図的に扇動しているとしか思えませんね」
「人口が減少すれば、GDPも減るのは当たり前。GDPは平たく言えば、『みんなの平均給与×総人口』。つまり、大事なのは1人当たりのGDP(平均給与)だから『人口が減ったところで、どうなの?』という話に過ぎない。実際、人口増減率と1人当たりGDP成長率との相関関係を調べてみても、世界全体では、人口減少率が高いほど貧しくなる傾向があるけど、先進国に絞ると、そこに関係性は見当たりません」
「少子化対策なんていくら考えたところで、結局は『男女がやるか、やらないか』の話」
上記の最後の少子化対策の話はひどいですね。下品というのもありますけど、海外では成功している少子化対策の例があるのに、ご存じないのでしょうか。あと、デフレ絡みの話もちょっと出ていました。
「いわゆるコメンテーターにも、こういった風潮を煽る輩が多い。何でも人口減少が原因と言っておけば済む。ちょっと前にも、デフレは人口減少が理由だと煽る本が売れて、いろんなコメンテーターがこの内容を支持した。デフレに限らず、何でも人口減少のためと言っておけば、誰も傷つかないので、これはいい方便(笑)」
●日銀の原田泰氏も「日本は人口減少でむしろ豊かになる」
日本のリフレ派と海外のリフレ派では言ってることが違うということがあるのですけど、日本の代表的なリフレ派としては、原田泰・日本銀行政策委員会審議委員も人口減少は問題ないと主張していました。
"労働人口が減少すれば、それだけ成長率は低下する。しかし、労働人口当たりの成長率は、むしろ高くなる可能性がある。労働力人口の減少が圧力となって、これまで実現できなかった構造改革が進むからだ"
"先進諸国の労働力人口増加率と労働生産性伸び率との関係を見てみると、労働力人口増加率の低い国あるいは減少している国ほど労働生産性の伸び率が高くなっている"
(
日本の人口減少・少子化の利点・メリット むしろ豊かになる部分も?より)
読み直してみると、先進国の労働生産性伸び率が気になりました。高橋洋一さんも、似たような「人口増減率と1人当たりGDP成長率は無関係」という主張をしていました。で、労働生産性伸び率の国際比較が見たいと思って検索してみたものの見つからず。なにか見つかれば追記します。
【本文中でリンクした投稿】
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クルーグマン、アベノミクスは評価、安倍晋三首相は酷評 ■
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