<人間の最適な睡眠時間 8時間ではなく7時間が理想>という話なのですが、<最も能力を発揮する最適な睡眠時間は8時間半 寝不足は機能障害も>という話もやっています。要するに、諸説あるんですね。また、<そもそも個人差があるので全員に「最適な睡眠時間」はない!>という、全部台無しになる話もやっています。
その他、<アメリカでも睡眠時間が少ないことや長時間労働を自慢する人が多い>、<寝室の温度は高い方が良いのか?それとも低い方が良いのか?>、<実はやばい!睡眠時間を短くしよう…という試みがバカである理由>、<長時間睡眠で死亡リスク上がる謎 7時間が最適に見えるのは誤解か?>など、睡眠に関する話をいろいろとまとめました。
2023/02/07追記:
●長時間睡眠で死亡リスク上がる謎 7時間が最適に見えるのは誤解か? 【NEW】
●そもそも個人差があるので全員に「最適な睡眠時間」はない!
2013/1/23:「あれ?前から言っていなかったっけ?」と思った
8時間より7時間のほうが長生き 快眠の新常識"(2012/12/22付 日本経済新聞 中川内克行 日経プラスワン2012年12月22日付)という記事がありました。ただ、そうは言ってもこういうのは必ず個人差があります…とも書こうと思ったら、記事でも副題で「適正時間には個人差も」とちゃんと書いてあります。
「個人差があるので最適な睡眠時間は~時間」などと言えないというのは、大事なのに全然理解されていない話なんですよね。睡眠に限らず、個人差があり、個人によって最適な対処というのは異なるんですよ。「個人差があるので最適な睡眠時間は~時間」などと断言してしまっている人は、信頼できないと考えた方が良いくらいです。
ただ、一般的・平均的な対処法、自分にとって良い対処法というのを他人に押し付けたり、自分に合わないからといって科学的根拠のある方法を否定したり…といった困ったことを、医師や理系の大学を出た方でも言ってしまいがち。余計悪くする…ということになるので、個人差があるということは、よく理解しておかないといけません。
●人間の最適な睡眠時間 8時間ではなく7時間が理想…という説
記事の内容を全否定しまいかねない注意書きで長くなってしまいましたが、ここからがやっと本題。質の悪い睡眠や不眠に陥る恐れや、場合によっては慢性疾患や死亡のリスクを高めかねない誤解の代表と記事がしていたのが、「健康のためには1日8時間眠る必要がある」という説だそうです。
かつては8時間が適正な睡眠時間と考えられていたというのは本当だと、記事でも説明されていました。しかし、2000年代以降の種々の学術研究の結果、科学的根拠がないことが明らかになっているとしています。2000年代以降ですから、やはり結構前で、つい最近判明したというのものではありませんね。
2004年に名古屋大学大学院の玉腰暁子助教授(当時)らの研究グループが発表した「睡眠時間と死亡リスク」に関する大規模調査(日本人11万人を10年間追跡調査)の結果によると、調査期間中の死亡率が最も低かったのは男女とも、平日の睡眠時間が「7時間(6.5時間~7.4時間)」の人。米国での大規模調査でも、7時間睡眠の人の死亡率が最も低かったとされています。
ただ、これは私が釘を差した通り、「適正な睡眠時間は個人差が大きく、体格や体質、体調、加齢によって変わってくる。結論は『人それぞれ』で、自分が昼間にいきいきと生活できるような長さの睡眠時間を自分で見つけるしかない」(東京医科大学睡眠学講座の駒田陽子准教授)ということで、個人差があります。最後は自分の体に聞いてみるしかありません。7時間にして何だか調子悪いと思ったら、無理せずに変えてみてください。
●お肌のゴールデンタイム!深夜12時より早く寝るのは大事?
あと、記事では、そもそも聞いたことのない迷信も否定されていました。睡眠に関するもう一つの誤解とされていたのが、「健康や美容のためには夜中の0時より前に、または0時をはさんで眠るのが望ましい」という説。特に午後10時から午前2時の間は「お肌のゴールデンタイム」とも呼ばれ、重要視する女性も多いとのことでした。
ということで、美容を気にする女性向けの迷信なんですかね。当然、科学的根拠はないのですが、この俗説「0時またぎ説」の理由とされていたのが、体の疲労回復や新陳代謝を促す「成長ホルモン」が睡眠中の0時前後に最も多く分泌されるというもの。ただし、そもそも今ピンから事実と異なるようです。
実際には、成長ホルモンは「入眠直後の熟睡期(健康な成人の場合、寝入ってから1~2時間後)にまとめて分泌される」(駒田さん)ことが分かっているとのこと。なので、何時に寝ると多く出るかという時刻の問題とは全然関係ありません。
なお、成長ホルモンは加齢とともに分泌量が減ります。そして、その確保には「深い睡眠」を安定的にとることが肝要となってきます。深くて質のよい睡眠をとるには、まず寝付きをよくする必要があるとのこと。時間より質が大切なんですね。
●規則正しい時間に寝る…も実は科学的根拠のない迷信だった!
また、この流れで「規則正しい就床」もいらないと書かれています。これは驚きますね。最近の研究の結果、眠くないのに床に就くと不必要に長く床で過ごすことになり、途中で何度も目が覚めてしまうなど、かえって睡眠が浅くなるとのこと。前述の睡眠の質が下がってしまうのです。
では、どうするか?と言うと、「30分寝付けなかったら、床から離れる」ことを勧めていました。でも、個人的には、寝っ転がっているだけでも疲れ取れる気がするんですけどね。私は実際に両方やってみて、一度起きるじゃない方が翌朝楽な気がしました。もう少し試してみましょうか。
…と下書きした後「寝付けなかったら、床から離れる」を試していたら、翌朝大寝坊で酷い目にあいました。個人的にはうまくいってくれないやり方です。その後は驚くほどうまく眠れるときもありましたので、たまにやっています。試行錯誤ですね…。
あと、起きたらすぐに太陽の光を浴びると、寝付きがよくなるという話もありました。これは俗説ではなく本当だとのこと。以前の
体内時計25時間は地球の自転24時間と矛盾 人間は火星から来た?で出てきた体内時計が理由です。そういえば以前はすぐカーテン開けるようにしていたんですけど、最近忘れていました。また心掛けます。
●8時間睡眠どころか9時間はほしい ただ活動時間がもっとほしい
2013/12/24:私は理想的な睡眠時間が8時間だと長年思っていましたが、最低9時間くらい寝たいというタイプ。でも、あまり寝過ぎると時間ないし…ということで何とか8時間に収めていました。ただ一方で、最近ではこの7時間より減らして5,6時間にできないかと試している最中なんですよね。
以前時間が取れなくてブログの投稿本数を減らそうかな?と迷ったときに、睡眠時間を削ろう…と思い立ったためです。二度寝してしまう場合が多い(以前からしますが特に)とか、この前非常に久しぶりに口内炎になったときに一時休んだとかあって、まだ習慣づいているということではないのですが…。
この口内炎は他に心当りがないので、たぶん睡眠不足のせいだと思います。なかなか治らなくて変だと思って考えて、思い当たった睡眠時間を元に戻すと治りました。
口内炎の原因と早く治す方法が関連する投稿。このことからすると、私にとって5.6時間は睡眠不足なのかもしれません。(後述するように、この試みは危険でした)
●アメリカでも睡眠時間が少ないことや長時間労働を自慢する人が多い
さて、今回見つけた記事は、
睡眠の質を高めるには―有能な人の睡眠時間は平均8時間36分 - WSJ.com(2013年 12月 20日 20:37 JST By TOM RATH)というタイトルでした。ただ、タイトルと違って、作者はむしろ逆に「睡眠時間は短い方が良い」という説を宗教的な感じで信奉している人だったそうです。
<1980年代に米中西部の労働者階級の家庭で育ったこともあり、私は睡眠が真っ先に削ぎ落とすべきコストであることを学んだ。私が若いころに尊敬していた人たちは決まって、ほんの数時間の睡眠しかとっていないことを自慢していた。これはまじめな労働倫理に基づくものだが、私は睡眠が必要だということを弱さの象徴とみなすようになった。そして今でも私は職場でこうした認識を持ち続けている>
私も起業家の睡眠時間の逸話を読んで刺激を受けて、もっと頑張ろうと思ったのが前述の挑戦のきっかけ。似たような感じですね。それは良いとして、<職場ではプロジェクトに携わり、夜遅くまでオフィスに残ることが名誉だとみなされている>ともありました。
こう書かれると、良くないことに見えますね。日本みたいな話ですが、実はこの作者が暮らしているアメリカですら「働きすぎ」と言われている国だと言われています。そういや、米ヤフーのマリッサ・メイヤー社長も睡眠時間が少ないことを売りにしている方でした。アメリカは日本に近い感じなのかもしれません。
●最も能力を発揮する最適な睡眠時間は8時間半 寝不足は機能障害も
で、アメリカ国民は実際にどれくらい寝ているかと言うと、平日の平均睡眠時間は6時間51分だとのこと。最適な睡眠時間とされる7時間説に極めて近い数字ですね。しかし、元記事のタイトルの通り、最も能力を発揮するのに必要な睡眠時間はもっと長いみたいなのです。
1時間睡眠時間を減らすと1時間多く働けるて、睡眠時間が短い人の方が能力を発揮しているように見えるため、これはおかしいと思うかもしれません。ただ、記事ではまず、1時間睡眠を減らすことが1時間の残業と釣り合いがとれない、という書き方でこれを否定しました。
どういうことかと言うと、睡眠が1時間減れば、翌日の満足度や生産性、健康、思考能力が低下するという話。1時間睡眠を減らすことで、減らす前の睡眠時間のときと同じ能力で1時間働けるわけではないのです。質が落ちてしまうために、効率の悪い1時間しか働けない…ということになります。
この効率が落ちるという指摘は理解できます。
寝る子は育つ?子どもの成績は何より睡眠時間が大事 肥満率も減少という話も前にやりました。この効率低下の影響はでかく、ハーバード・メディカル・スクールの調査によると、米国では睡眠不足のために失われた生産性のコストが年間630億ドル(約6兆5800億円)もあるそうです。
問題は睡眠を理由に人々が仕事を休んでしまうということだけではなく、人々が寝不足の状態で仕事をしているということ。ある科学者は、4時間の睡眠不足は缶ビール6本を飲んだのと同じくらいの機能障害を生じるとしているそうです。
そして、タイトルになっている「最適な睡眠時間は8時間半」の話。K・アンダース・エリクソン教授が実施した人間の能力に関する研究の1つでは、最も能力を発揮する人々は1日あたり8時間36分睡眠をとっていることがわかったといいます。これが最も決定的な研究ですね。
●寝室の温度は高い方が良いのか?それとも低い方が良いのか?
なお、今回の記事では、
体内時計25時間は地球の自転24時間と矛盾 人間は火星から来た?で出てきた記事と内容の話も出てきます。
通常の就寝時間の1時間前には電子機器の使用をすべて停止し、就寝前の数時間は明るい光を避けたほうがいいという話です。米国民の90%以上が就寝前の1時間に電子ツールを使用しています。しかし、こうした機器からの光だけで、睡眠にとって重要となるメラトニンの水準が最大20%も抑制されるそうです。
一方、初耳だったのは、1日中慣れている温度より数度低い部屋で眠るほうが容易であり、自然な体内時計のために夜中に目覚めることを回避できるという話。私は夏は寝る直前にクーラー書けますけど、今時期は逆に暖房をかけて温めてから寝ます。うーん、こっちの方がよく眠れる気がするんですけど、個人差でしょうか。
とりあえず、私は現在やっている「目指せ、睡眠時間5時間!」は、今後続けるかどうかもう一度考え直そうと思いました。
●実はやばい!睡眠時間を短くしよう…という試みがバカである理由
2019/08/24:ありゃ、睡眠時間を減らしてみた…のその後の話をやっていませんでしたね。書いていなかったのはまずかったです。実を言うと、睡眠時間を減らす実験は結局やめました。口内炎が治らなかった時点で察するべきであったのですけど、明らかに体に負担がかかっています。良くないことでした。
その後、上記の投稿の後、
睡眠不足は怖い…6時間睡眠ですら徹夜と同じ!それ以下だと…?という話をやっています。睡眠不足はたとえ少しであっても問題が起きる模様。皆さんに勧めていたわけではないのですけど、興味を持ってもらっちゃいけないものでした。申し訳ありません。
もう一つ見直していてまずいな…と思ったのが、後半では「個人差」の問題を強調していなかったこと。これを言い出すと7時間説も8時間半説も全部意味なくなっちゃうんですけど、個人差が大きいために最適な睡眠時間というのは人によって違います。実際試した感じだと、私はかなり長く必要なタイプのようです。
他の記事を読んでいると、睡眠時間が短くても大丈夫なショートスリーパーな方が実際にいる、というのは事実のようでした。ただ、個人差があるため訓練してショートスリーパーになれるわけではありません。そのため、「ショートスリーパーになろうとするのはバカ」といった勢いで否定されていました。私はバカなことをしていたわけです。
ある程度試さないと最適な睡眠時間もわからないのではないかと思いますけど、みなさんはあまり真似しないでください。
●長時間睡眠で死亡リスク上がる謎 7時間が最適に見えるのは誤解か?
2023/02/07追記:もともと書いていたように、最適な睡眠時間は個人によって異なっており、「~時間が最適」とは言えません。ただ、睡眠時間7時間最適説がまかり通っているように、データだけを見ると、7時間が最も良いように見えてしまうのはなぜか?という記事を今回読みました。
その記事は、
第103回 長く眠る人の死亡リスクが高いという謎 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト(三島和夫 秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授)というタイトル。以下のように睡眠時間が長い人も死亡リスクが高まることが知られていたといいます。ただし、このデータの時点で、そこまで極端な差ではないとも個人的には思う数字でした。
<気になる睡眠時間と死亡率との関連だが、これも米国で1982年から1988年にかけて110万人以上を対象にして行われたコホート調査で「U字型」の関係が確認されている。それによれば、睡眠時間が7時間台の男性/女性に対して3時間台の死亡リスクは1.19/1.33倍、4時間台は1.17/1.11倍。そして、9時間台では1.17/1.23倍、10時間を超えると1.34/1.41倍になり、短時間睡眠とほぼ同等かそれ以上に長時間睡眠での死亡リスクが高かった>
繰り返すように、個人差があるので、睡眠時間が短くて大丈夫な人はいます。ただ、睡眠不足のデメリットは多数あり、睡眠時間が短すぎる人に問題が起きるのは当然。このように睡眠時間が短い人の死亡リスクが高い理由はいくらでも説明できるものの、睡眠時間が長い人で死亡リスクが高くなっている理由は「謎」だったといいます。
ただし、大まかな理由は想像可能な形になっているみたいですね。睡眠時間が長いと死亡リスクが高くなるのではなく、死亡リスクが高い人の睡眠時間が長い…ということで、順番が逆ではないかという話。要するに、睡眠時間が長い人が死亡リスクが高いというのはデータの見間違いじゃないかという推測でした。
<この種の調査の参加者は40代以降の中高年が多数を占める。参加者の中には、病院を受診するほどではない程度の身体的な衰えや、軽いうつ状態などの精神的な不活発さ、経済的な事情によるごろ寝や運動不足など、「長時間睡眠」をもたらす要因とその悪影響を抱えている人も一定数いるだろう。
そのため、長時間睡眠がさまざまな健康リスクに関連しているように見えるのは、睡眠それ自体ではなく、むしろ長時間睡眠に陥るその他の要因との関連であって、長睡眠時間はその「影」を見ているに過ぎないのではないかと指摘する研究者もいる。また、先の各種疾患がしっかりと発症する前に、長時間睡眠が“前駆症状”として出現している可能性もある。例えば、うつ病では不眠のほか過眠(強い眠気)を伴うことがあり、長時間睡眠はうつ病発症に先立つ過眠症状を反映している可能性もある>
ただし、こうしたうつ病などの影響を除外する努力をした研究でも同様の結果になっており、やはり長時間睡眠と死亡リスクに関係が見られるとのこと。一方で、三島和夫教授は別の可能性も推測しています。それは、きちんと眠れていない時間を睡眠時間に入れているために、睡眠時間が長い人の死亡リスクが高く出る可能性でした。
例えば、なかなか寝付けないままに布団に入っている時間や、眠りが浅くて夜中に何度か目が覚めている時間も睡眠時間に入れてアンケートに答えている人がいるのでは?という話。睡眠研究者は睡眠の質が何より大事としており、こういう質の低い睡眠の人が長時間睡眠グループに入っている可能性は確かにありそうです。
<鍵となるのは、睡眠時間の客観的な評価だろう。これまでの大型コホート調査ではコストや実施可能性の観点から主観的な睡眠時間を聴き取っているものが大部分である。「睡眠時間」の中には寝つきにかかる時間や中途覚醒時間はもちろんのこと、読書、TV視聴、性生活、ごろ寝なども含まれている、つまり単に「寝床にいる時間」も「睡眠時間」に計上されているのかもしれない>
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