21世紀に入って再び富士通が年功序列を廃止すると言い出して驚いたのですけど、一応、富士通は20世紀にも年功序列を廃止して成果主義にしていました。ただ、この成果主義がうまくいったのか?というとそうでもなくひどいものだったとされていました。
中身を見ると、全然成果主義にできていないところがあったようで、成果主義そのもののデメリットとは言えないようにも思えます。ところが、成果をきちんと反映できない…という問題は富士通に限らずよく起こりうることで、ありがちな話です。どうもなかなか正しく成果を反映できない…というのは、成果主義の大きな問題点のようでした。
2020/03/11:
●年功序列を撤廃した富士通が再び年功序列を撤廃すると発表?
2013/1/24:
●年功序列を廃止して成果主義を導入した富士通の悲惨な失敗例
●学力テストに成果主義を導入するのと同じ弊害が発生!
●富士通の惨状、「あの上司を殺したい」と言い出す社員まで登場
●富士通の失敗は管理職のせい?日本独特の成果主義に…
●成果主義のデメリット・問題点 正当な評価の難しさ・客観性のない基準
●年功序列を撤廃した富士通が再び年功序列を撤廃すると発表?
2020/03/11:<富士通が年功序列を撤廃、「営業」という名前もなくなる!>(ニュースイッチ2020年03月09日06時00分)という記事を見かけて、「あれあれあれ、どういうこと?」と戸惑いました。もともと書いていたように、富士通は過去に年功序列を撤廃したことになっています。
とりあえず、記事では「すでに廃止されたことがあった」という話は一切なし。富士通はデジタル変革(DX)を担うITサービス会社への転換に向けて、年功序列の撤廃など、電機メーカーとして培ってきた社内の仕組みや人事制度などをから順次刷新するとされていました。
まずは「営業」という組織名をなくし、客先との共創に軸足を置く「ビジネスプロデューサー」職に改めるとのこと。また、全社で課長職以上の幹部の報酬体系を見直し、2020年中にも年功序列を完全撤廃するとのことでした。
●年功序列を廃止して成果主義を導入した富士通の悲惨な失敗例
2013/1/24:えらく古い記事ですので、元記事は消滅。この頃私はどういう媒体なのかもわからずに読んでいた日刊ゲンダイの記事で、"最近はやりの「成果主義」の殺伐" (ゲンダイネット 2004年7月22日掲載記事 [ 2004年7月25日14時45分 ])というものを記録していました。
年功序列の名残を残すパターンもあると思うのですけど、ここでは成果主義について、"年功序列も諸手当も廃止し、結果のみを給与の査定基準にする"制度と説明。労働政策研究・研修機構によれば、従業員100人以上の企業の55.8%がすでに成果主義の導入を実施。さらに、今後3年以内に導入予定の企業も26.7%に上るとのこと。大企業がこぞって導入しつつあるという状態にあります。
しかし、93年に日本で最初に成果主義を導入した富士通社内は不満と嫉妬が渦巻き、社員はヘトヘトだというのです。内側から見た富士通」(光文社)の著者・富士通元人事部の城繁幸氏は「成果主義の導入は失敗だった」と断言していました。
城繁幸さんは、この前の
年功序列と終身雇用制度のデメリット 仕事に見合わない高い給料を貰う社員で出てきたばかりでしたので、名前を記憶していました。私はこのときの記事が初見と思っていましたが、8年以上前に名前を目にしたことがあったようです。
●学力テストに成果主義を導入するのと同じ弊害が発生!
富士通はどのようにして失敗したのか?という具体的な話。富士通では、各社員が直属の課長と面談し、自分の目標の評価を行います。SA、A……と5段階に分かれる評価がこの場で一応、確定。
なのですけど、課長も成果主義の枠内で働いているため、高評価の社員を抱えていた方がトクです。課長面談だけでは高評価の社員が続出してしまう…というまるで意味のないことになっていました。
ズルをしてでも良くしようとするというのは致命的な欠陥で、困ったことに学校の教師とテストの関係でも同様になります。どういうケースかと言うと、生徒の得点が良い方が教師が評価されるという場合、カンニングを指摘するはずの教師が見て見ぬふりをして、不正監視の役目を果たさないということが起きます。生徒にズルしてでも良い評価を出してもらった方が、先生にとっても良いのです。
そのため、学校に成果主義を導入して、学力テストを評価に加えたり、競争させたりするのは良くない…という意見が出ています。
●富士通の惨状、「あの上司を殺したい」と言い出す社員まで登場
で、上記のような成果主義の問題の対策として、富士通がどうしたかと言うと、こうしました。
<経営サイドは給与抑制のため、各評価の分布比率(SA10%、Aが20%など)をあらかじめ定めています。そこで部長同士が“談合”で最終評価を決めるのです。そのため評価の決定基準は部長間の序列。新任の部長などは部下数十人の評価ダウンを泣く泣くのまされます。こうしたデタラメ評価の“材料”を提供するのが人事部の仕事でした>
分布比率を決めるという部分では私がいた会社もたぶんそうでしたね。このやり方では相対的にしか見れませんが、そうしないとさっきのみんな高評価という成果主義の崩壊が起こってしまいます。
ただ、そもそも成果主義を維持するために上記のようなデタラメが起きているのですから、おかしな話には違いありません。これでは正当な評価からあぶれる社員が出るのは当然です。こうした鬱積から「あの上司を殺したい」と平気で口にする社員が多数いたといいます。
●富士通の失敗は管理職のせい?日本独特の成果主義に…
また皮肉なことに実力本位であるはずの成果主義は露骨な学歴差別ももたらした…というので驚き。どの部署にも一流大を出た“幹部候補生”がいるのですけど、彼らの育成が命題の上司は“成果”抜きで高評価をつけるため、ワリを食うのは決まって高専や高卒の社員ばかりだといいます。
結果、同じように働いて、同じような成果を上げても、低学歴組は昇給や出世に結びつかないことになります。当然、こうした状態で、「会社のために頑張るぞ」などとは思いませんよね。社員はやる気を失い、社内はギスギスしていったといいます。
まとめとして失敗の原因について、日本型の年功序列システムにドップリ漬かった管理職を残し、米国流の成果主義を導入したからでしょう、としていました。
●成果主義のデメリット・問題点 正当な評価の難しさ・客観性のない基準
富士通で問題だったのは正当な評価ができていないという点でしょう。正当な評価と認めざるを得ない場合には、なくなるとまでは言えないもののこうした不満は減ります。評価する側の能力不足でもありますし、そもそもその仕事は数値化して評価できる仕事なのか?という根本的な問題もあります。
なので、富士通特有の悩みとは言えない感じですね。
Wikipediaの「成果主義の欠点」においても、この問題は真っ先に載っていました。
<客観性のない基準>
成果は、売り上げ以外だと「品質向上の度合い」や「社員の技術力」など数値で表すことができず、客観性を見い出せないものも多い。査定者が人間である以上、査定者の基準次第で貢献量に対して成果が食い違うといったことになりがちである。査定者が社員に近いと、無意識に評価にバイアスがかかってしまう可能性もある。
また、査定基準の設定次第では「貢献したのに評価が下がった」「がんばっても評価が上がらない」という事態にもつながる。また、経営者側が単に「人件費抑制」のために成果主義を導入し、査定者が(個人的に)気に入らない従業員に対し、主観的・恣意的に悪い評価をつけ、従業員全体の人件費を抑えるケースも間々ある。
古い記事でしたが、これは成果主義の永遠の課題でしょうね。
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