先に見ておこうということで書いた国土強靭化法案は
自民党、200兆円といわれる国土強靭化法案の概要 公共事業における優先順位の考え方は?。
その他公共投資関連。
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公共事業による建設は作って終わりではない 老朽化したダムは殺人兵器、東日本大震災でも死者 ■
秦野市の先進行政は公共事業のお手本 安倍晋三首相も自民党も国土強靭化計画の参考に 今回の記事は、土木学会の小野武彦会長へのインタビューです。
当事者側ですので、もっとガンガンお金を使おうという方向に持っていく、強欲まみれな意見が出るのでは?と思いましたが、意外なことにそうでもありません。
まずは維持管理が儲からない商売という話。
――昨年12月、中央自動車道笹子トンネルで天井崩落事故が起こり、改めて社会インフラの老朽化の実態が浮き彫りになりました。
小野:笹子トンネルの事故はショックでした。建設から維持の時代と言われて、もう30年ほど経っています。みんな、その認識は持っていたんです。でも、ついね。予算の問題とか、各企業の利益の問題とかがあって…。(中略)
どうしても維持管理に関わる仕事の受注額は小さいでしょ。それに、例えば清水建設に独自の技術があるからといって随意契約で特命発注することはないわけです。そのような発注制度の仕組みもあって、商売という意味では苦しかった。
例えば、うち(清水建設)は阪神・淡路大震災で高速道路が大きな被害を受けた後に、橋脚などの補強に「かみ合わせ継手」というものを使う工法を開発して、これはかなり普及しました。(中略)
けれども、こうした工事でも数億円ですよ。(ゼネコンのような規模の)企業の収益として見ると厳しい。建築の場合、ビルのメンテナンスなどが(事業の)柱になっていると言いますが、関連会社でやっているケースも多い。今のままではどうしても(維持管理は)主流にはなり得ないのです。
国交省も維持管理が大切だと言いながら、やはり日が当たらない。阪神大震災以降、だいぶ意識されるようになったけれども、十分ではない。そうしたところにきて、先日の事故が起きました。
維持管理は軽視されていたのです。ですから、私が繰り返し書いているように、どんどんと公共事業をやりましょうでは安全性の問題は全く解決できません。
また、私が
自民党、200兆円といわれる国土強靭化法案の概要 公共事業における優先順位の考え方は?で書いたような評価の問題。
小野:新設を主体とした社会インフラ整備とは異なる組織のあり方やマネジメント手法、人材育成や技術開発、予算を含めた制度の改善などです。コンクリート構造物や鋼構造物は人間の体と一緒で、早く手当てをすれば長持ちするし、コストも安く済む。手遅れになればなるほど、寿命は短くなるし、お金もかかる。
ただ、今回の事故は構造物本体ではなく、そこに吊り下がった付属物が原因で、そこは盲点だった。
危険性を評価できていないというのは、財政の大小以前の問題です。
この後の部分は私とほとんど同じ考え方で、業界側の利益優先じゃなかったので驚いたところです。
――国や自治体の財政状況を考えると、インフラを更新するのは簡単ではなさそうですね。そうすると、点検と補修で寿命を延ばすことが中心になるのでしょうか。
小野:コンクリート構造物の寿命は、変化の度合いにもよりますが、一般的に50年から60年です。戦後に造られたものがちょうどそれぐらいになるわけです。50年も60年も経っているのだから、補修では間に合わないので造り替えるという判断もあるわけです。ですから、幅広い知見が必要になります。
例えば、補修しても寿命が10年しか持たないのであれば、更新するものも出てくる。今回の事故を受けて、早期補修による長寿命化と更新を同じ土俵で検討するということがさらに重要になってくると思います。あるいは廃棄にするという選択肢もありますが。
――とはいえ、財政の問題は深刻です。
小野:そうですね。そのためには診断をして、優先順位をつけていくことが必要でしょうね。造り替えた方がはるかに効果的だという場合には、そういう判断が当然あると思いますよ。
――例えば、首都高速道路のように多くの人が利用している社会インフラの場合、大規模更新は厳しいと思うのですが。
小野:厳しいかもしれませんが、例えば、時には思い切って止めるという勇気も必要かもしれません。何がなんでも供用しながらということにこだわると、大きな制約を受けますから。そこは総合的な判断が必要ですよね。
付け加えて言えば、無駄なものは造らないということも重要です。今まで建設してきた社会インフラをどう判断して、どう長寿命化を図るのかはもちろん大切です。また、景気浮揚策としての公共投資は必要ですし、これをきっかけに経済を好転させることも大事です。でも造ったものにはお金がかかると認識することも必要なことでしょう。
更新しないわけにはいかないものが多いのは確かで、公共事業で作り直すものは必ず出てきます。
でも、だからこそ優先順位をつけるというのが大切なのです。
差し迫ったものがある中で新しいものに手をつけるとなれば、それはもう安全軽視といって良いでしょう。
追加
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