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SFみたいな少し不思議な話 歯を目に移植して視力回復など


 「SF」というのは、本来サイエンスフィクションの略です。もともとは科学小説を意味していましたが、未来的なものや宇宙的なもの、または奇異なものの総称として使われるようになり、今は小説に限りません。また、藤子・F・不二雄さんは自身の作品のSFを「すこしふしぎ」の略と表現していたのも、印象に残っていました。

 一方で、科学技術が発達した現在では、現実の出来事にまるでSFの空想物語のような不思議さを感じることもあります。このページでは、以前書いていたSFっぽさを感じる話、少し不思議な話をまとめてみようかな…と思いました。

 例えば、「歯を目に移植して視力回復させる技術」、「世界初の歴史的快挙!ブタの心臓をヒトに移植することに成功する」「ブタの心臓を移植してもらった人、半殺しで有罪の凶悪犯だった」、「むしろ絵は下手くそだったのに…脳の損傷で手術後、突然画才開花」などの話をまとめています。

2023/06/25追記:
●薬を投与して歯を生やす…「歯生え薬」を日本のチームが開発中 【NEW】

変身 (講談社文庫) 文庫  東野 圭吾 (著)



●SFみたいな少し不思議な話 歯を目に移植して視力回復させる技術

2009/10/5:記事のタイトルは”自分の歯を目に移植、失明から視力回復 米女性(2009/9/17、AFPBB News)”だったのですが、私はこれを読んでもピンと来ませんでした。「歯で目が見えるってどういうこと?」と思ちゃったんですよね。米マイアミ大学バスコム・パルマー眼研究所の医師が約9年前に失明した米国人女性(60)の手術を行い、歯を用いた人工角膜の移植によって視力を回復したというニュースでした。

 この技術はもともとイタリアで開発されたもの。アメリカでは今回が初の実施ということで、ニュースになりました。この手法は患者本人の歯を使用するため、角膜移植への拒絶反応がある人でも可能ということで、角膜移植や一般的な人工角膜は拒絶反応があった患者にとっては最適の手法だったのかもしれません。

 やり方としては、まず患者の犬歯を周囲の骨ごと取り出し、形を整えたのち、穴を開けてそこに光学レンズをはめ込みます。そして、レンズをはめた歯を患者のほおまたは肩の皮下に移植し、歯とレンズがしっかり結合するまで2か月間放置します。そうしてできあがった人工角膜に細かい処置を施した後、目の中心に移植するとのことです。

 記事の写真(閲覧注意)を見ると、レンズは中心に小さく見えるだけで、目の大部分は肌のようなものに見えます。奇異に思う人もいるかもしれませんが、こういった手法が広く認知されれば理解してもらえるでしょう。月並な感想ですが、医学の発展は目覚しいと驚きました。


●忌み嫌われている食品添加物で脊髄治療…ただし副作用で青くなる

2009/8/4:一部の人に忌み嫌われている食品添加物で人を救う…という話。副作用は「青い身体」:食用色素で脊髄損傷を治療(Wired Vision,2009/7/29)によると、『FD&C Blue No.1』(「ブリリアント・ブルーFCF」、通称「青色1号」)という食品添加物が、神経の炎症を引き起こす主要プロセスを遮断するために実験室で作り出された化合物に驚くほど類似していることがわかったそうです。

 脊髄損傷を受けたラットにこの青色1号を投与すると、投与されなかったラットよりはるかに早く回復することがわかりました。しかも、青色1号は既に広く使われていて、毒性がないことが証明されていおり、副作用としては肌が青く染まることだけだそうです。それも嫌じゃん!って話なのですが、たぶんこれはそういうツッコミを期待して書いているんでしょうね。

 青色一号-はてなキーワード(表記は青色1号が正のよう)を見てみると、この食品添加物は「EUで禁止されているというデマがネット上で大きく流れた」ようですがそのような事実は無いとのこと。本当、皆さん食品添加物嫌いですね。ブリリアントブルーFCF-Wikipediaを読むと逆に「日本、EUや米国を始め、多くの国で使用が認められている」とあります。また、Wikipediaには複数の検査機関で発がん性を確認できていないとも書かれていました。

 「単独で使われることはまれで、黄色や赤色など他の色素と併用することで緑色やぶどう色、チョコレート色として使用される」そうですが、ペプシブルー、ポーションなどこれでもかと言うほどモロに青い飲料にも使われているようで、写真などを見ると、非常にきれいな色をしています。全然おいしそうには見えませんけどね。

 しかし、何でこんなのを治療に使おうと思ったのでしょう? 研究を行っているロチェスター大学医療センターの神経科学者Maiken Nedergaard氏は、「これを今まで誰も試みなかった原因の1つは、食品科学と神経科学がまるで分断されていることにある」と言っていますが、そりゃまあ普通は考えません。よく見つけたものです。

 でも、研究者が意識していれば、また治療に使える食品添加物が見つかることもあるかもしれません。良い見本になるといいですね。ただ食品添加物であることがマイナスになる点もあるようで、「青色1号が非常に安価なので、臨床試験を支援する製薬会社が見つけられそうもない」とのことでした。


●世界初の歴史的快挙!ブタの心臓をヒトに移植することに成功する

2022/01/17追記:ブタの心臓をヒトに移植したという、このページのテーマにちょうど合いそうな、クレイジーな感じのニュースがありました。日本ではなく海外の例ですね。<ブタの心臓をヒトに移植、米で「歴史的」快挙>(AFPBB News / 2022年1月11日 13時19分)という記事が出ています。

<米メリーランド大学医学部(University of Maryland Medical School)の医療チームが、遺伝子操作されたブタの心臓をヒトに移植する手術に成功した。(中略)ブタの心臓のヒトへの移植は世界初で、慢性的な移植用臓器不足の解消につながることが期待される>

 手術を受けた57歳の方(デービッドさんという名前なのでたぶん男性)は、ヒトの臓器を用いる従来の移植には適さないと考えられていたそうです。こうした判断は、レシピエント(臓器提供を受ける患者)の健康状態が非常に悪い場合に下されることが多いとのこと。それで「ブタの心臓を」ということになったようです。

 なぜヒトの臓器ではダメで、ブタだといいのか、もうちょっと詳しく知りたかったのですが、これ以上の話はなし。私が想像したのは、ヒトの心臓の場合は脳死した人からの移植のため時間がかかってしまい、死後すぐの最も良い状態の心臓を移植できないためかな?といったことでした。

 また、今回移植されたのは、遺伝子編集されたブタの心臓で、ブタの臓器をヒトに移植した際に拒絶反応の原因となる三つの遺伝子や、ブタの心臓組織を過剰に増殖する遺伝子が不活性化されているとのこと。ただ、移植された臓器の機能については経過観察が続けられているとのことで、今後問題が出る可能性も残ってはいそうです。


●ブタの心臓を移植してもらった人、半殺しで有罪の凶悪犯だった

2022/02/17追記:前回書いたブタの心臓を移植された人の話が、このページのテーマとは別な方向性で奇妙な話になってきました。なんと人をメッタ刺しにして半身不随にするという凶悪犯罪をおかして、過去に有罪判決を受けた犯罪者だったんだそうです。予想外な方向で、すごい話になってきました。

 このとき被害にあったのは男性であり、その男性の姉は、娘からの携帯電話のメッセージでこのニュースを知ったとのことです。ただし、最初は見出しを見て「科学の進歩はなんて素晴らしいのだろう」と思っただけでした。この時点では、まだ本文は読んでいなかったんでしょうね。

 しかし、続けて来た娘から「男性の名前を見て」という新たなメッセージに従って記事を読んでみて驚愕しました。医学の歴史に名を刻んだともてはやされている男性の名前は、彼女の弟を7回刺して半身不随にし、有罪判決を受けた男と全く同じだったそうです。同姓同名ではなく、記事では同一人物としていますね。

 この話があった記事は、あの世界初のブタ心臓移植を受けた患者は、私の弟を「半殺し」にした前科者です。 | 弟をメッタ刺しにした男に、姉がいま思うこと | クーリエ・ジャポン(2022.2.15)というもの。会員登録が必要なので、上記以降の部分は読んでおらず、どういうスタンスなのかはわかりませんでした。

 ただ、一般論で言うと、刑期を終えた人は犯罪者として扱うべきではないので、叩くべきではないでしょうね。他のマスコミがこの前科を伝えなかったのも、罪ではないと思います。また、最近の事件でもなく、34年前である1988年の事件。被害者らの気持ちは複雑だというのも、理解できますけどね。私も複雑な思いです。

 もう少し情報がないかと、はてなブックマークも見てみると、民事訴訟の賠償命令に対応していない人だったとのこと。うーん、更生に失敗した感じですね。そうじゃなくても一生恨んで良いのですが、これだと余計被害者らは嫌な思いするでしょう。彼の話が美談的に報じられることで、犯罪被害者がさらに苦しむという地獄絵図になっているようでした。

 なお、この記事を紹介していたあるアンテナサイトでは、軽い調子で「人体実験として前科者が選ばれたんじゃないの」といったことを書いていましたが、無理がある考え方。リスクがあっても手術を受けられる時点で、ブタの心臓の男性は利益を得ているというのがひとつ。また、被害者らとしても「加害者が良い対応されている」と考えてしまうのはやむを得ないでしょう。


●カメラに存在しない架空の映像を見せる技術が開発されてしまう…

2022/10/04追記:カメラに「存在しないもの」を見せるサイバー攻撃 離れた場所から電波を送信 成功率は99%:Innovative Tech - ITmedia NEWS(2022年10月03日 08時00分 [山下裕毅,ITmedia])というまたSFチックなニュースが出ていました。心霊写真も思いのままですが、悪用される可能性があり、やばいですね。

<英オックスフォード大学の研究チームが発表した論文「Signal Injection Attacks against CCD Image Sensors」は、電波を使い、画像認識システムをだまして存在しないものを見せる手法を提案した研究報告だ。任意の文字や画像などを離れた場所からカメラシステムに電波を送信することで、例えば真っ黒であるカメラフレームに文字を浮かび上がらせることもできる>

 解説によれば、CCDイメージセンサーは、2つある主流のイメージセンサーのひとつ。優れた測光性能と高速移動中でも幾何学的ゆがみのないフレームをキャプチャーする能力が魅力です。その応用分野は、天文学から顕微鏡、工業オートメーション、軍事監視・防衛システムまで多岐にわたるといいます。

 しかし、このCCDイメージセンサーが、今回、研究者らの「標的」となりました。意図的な電磁波干渉(EMI)を利用することで、CCDイメージセンサーに微細な摂動を与える攻撃できるというのです。製造業や物流で多用される自動バーコードスキャナーの読み取りを妨害できる他、以下のように騙し画像も作れるといいます。

<まず、任意の入力画像から各画素の輝度を計算して送信する信号を抽出する。次に、抽出した信号を補間して異なるサンプルレートが一致するようにする。最後に、補間した信号を搬送波に変調して無線で送信する。
 (中略)実験では、攻撃の可能性を示すためにRGB画像の形式でデータを注入した。その結果、(中略)バナー画像の文字が読めるレベルのきめ細かな制御ができることが確認された>

 研究チームは、CCDイメージセンサーがその構造上、電磁波を用いた攻撃に対して脆弱だと指摘。基本的な構造に起因するものであり、個々の設計にかかわらず存在するとも指摘しています。一方で、もうひとつの主流であるCMOS構造で作られたデバイスには存在しない問題だとしていました。

 ただ、記事に寄せられたコメントでは、「CCD単体では脆弱かもしれないが、スキャナ等のケースやレンズ/ガラスで電波の遮断は比較的容易に可能と思います。 というか既に、市販機器は電波放射対策が施されてるので外部からの電波の影響も受け難く設計されてると思います」という反論が出ています。

 はてなブックマークでも専門的なコメントがないか?と見てみました。しかし、こちらは、「民生用の一般的なカメラは現在ほぼCMOSセンサー」という指摘がある程度。「攻殻機動隊やEDENの世界だ」などといった、うちで言う「SFみたいな話ですごい」といった感想が主流でした。


●むしろ絵は下手くそだったのに…脳の損傷で手術後、突然画才開花

2022/07/13追記:ここからしばらくは、以前「脳の損傷で画才開花」というタイトルで書いていた話をまとめ。脳の動脈瘤(りゅう)の発作に襲われたイングランドのアラン・ブラウンさん(49)が手術を受けた後、全く才能のなかったアートに目覚めた!という話です。こんなこともあるんだ!と驚きました。

2009/6/13:集中治療室で2カ月間過ごしていた際に絵を描くことを勧められ、犬の写真を模写したところ、今までは全く不得手だった絵がすらすらと描け、出来栄えも周囲が驚くほどに。退院後は大学で美術を本格的に学び、ギャラリーを開くまでに至ったそうです(※1)。これについて、「眞田クリニック」の眞田祥一院長は次のように説明しています。

「脳には、ある機能に対して、それを抑制する機能が備わっています。例えば、凶暴性に対しては、凶暴性を抑制するストッパー機能がある。潜在的な才能が何らかの理由で抑制されていた場合、そのストッパーが前大脳の動脈瘤の手術がきっかけで外れ、一気に才能が目覚めることは理論上あり得ます」(※2)

 ただし、このようなケースはごく稀のようで、記事でも次のように書かれていました。

「脳手術は、圧倒的に後遺症の方が多い。もっとも、機能が飛躍的に良くなって病院に行くことはまれだから、こういうケースが見落とされている可能性は否定できませんが……」(脳神経内科が専門の医学博士・米山公啓氏、※2)
「脳の損傷の後遺症は大半が機能マヒ。まれに新たな技術や才能が発見されることがあるが、どういった経緯で起こるのか、完全には解明されていない」(脳損傷者団体関係者、※1)

 こういう話はまさに作り話のようですが、本当にあるものなんだなぁと驚き。内容は違いますし悪くなるケースですが、脳移植手術で性格が変わっていく東野圭吾の「変身」や精神外科のロボトミー手術による副作用などを思い出しました。

※1 脳手術後「ミケランジェロ」に?=生死さまよい、画才開花-英男性(時事ドットコム)
※2 脳手術でいきなり天才画家?どういう仕組みで起こるのか(ゲンダイネット)

変身 (講談社文庫) 文庫  東野 圭吾 (著)



●薬を投与して歯を生やす…「歯生え薬」を日本のチームが開発中

2023/06/25追記:世界初の「歯生え薬」治験へ 乳歯、永久歯に次ぐ“第3の歯”とは | 毎日新聞(毎日新聞 2023/6/4 16:00)という記事が出ていました。こういった試みは結構実現しないことも多い…と書いてから本文読んでみると、すでに動物実験では成功。動物実験と人間とは違うということもあるものの、思ったより実現性が高そうです。

<世界初の「歯生え薬」の実用化に向けた研究が、日本のチームによって進められている。先天的に永久歯の数が少ない人に対し、薬を投与して歯を生やすことを目指した治験を2024年7月から始め、30年の実用化を目標とする。動物実験の段階だが、この薬を使って乳歯、永久歯に次ぐ「第3の歯」を生やすことにも成功した。歯生え薬は、歯の再生という新たな歯科治療を切り開くのか。>

 研究を主導するのは、大阪市北区にある北野病院の高橋克・歯科口腔(こうくう)外科主任部長。研究を始めた1990年代であり、30年もやっているみたいですね。91年に京都大大学院に入って「分子生物学」を学び、大学院修了後は、米国に留学。帰国後してまた京都大で研究したそうです。

変身 (講談社文庫) 文庫  東野 圭吾 (著)



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