2013/1/27:
●ドラえもんなどの日本アニメも韓流に劣勢、中国では時代遅れに
●中国では国産アニメが人気、ゲームでも日本離れが進行
●日本より中国重視!インドネシアなどで知日派が減少し親日度も以下
●アジアの成長で憧れではなくなった日本が復活するには?
2021/06/03:
●「スラムダンク」「聖闘士星矢」などは中国人にとっても大切な思い出 【NEW】
●日本アニメ業界「別に中国人に日本アニメを見てと頼んでいない」 【NEW
●中国企業代理社長「日本にはアニメの天才がいるが中国にはいない」 【NEW
●ドラえもんなどの日本アニメも韓流に劣勢、中国では時代遅れに
2013/1/27:数年前に書いた
アジアのドラえもん人気 シンガポールは天使化で苦情、タイは葬儀ではドラえもん人気のすごさを感じました。しかし、
ドラえもんの嘆き 「もっと日本ファンを」(2013/1/10付 日経新聞)によると、日本アニメ全般の地位は低下中だそうです。
<文化の魅力は他国との距離を縮める力となる。日本のアニメは長年アジアで人気を誇ってきたが、2000年代に強烈なライバルが登場する。「韓流」だ。サムスンなど韓国企業の躍進と歩調を合わせるようにアジアの若者を魅了する>
あと、以前中国でも新しい世代は日本アニメを見ないという、ショックな話も読みました。
<中国人に親しまれている日本のコンテンツというと、世界の「ドラえもん」や、訴訟沙汰が話題になった「クレヨンしんちゃん」などのアニメを思い浮かべる読者は多いだろう。だが中国のいまどきの子どもは日本の子ども向けアニメは見ない。「ドラえもん」すら、キャラクターとして認知されている程度にしか知られていない。
「いやいや中国の若者はアニメを見るだろう、アニメ好きが転じて日本に興味を持ってくれているのだろう」という読者もいよう。ごもっとも。たしかに中学生・高校生以上の年齢層に「NARUTO」や「ワンピース」などのアニメは人気があるが、一方で多くのひとケタ年齢の子ども達たちにとって、日本のアニメに触れる機会はほとんどない。ちなみにアニメで日本に興味を持つのは、ざっくりいえば、「けいおん!」などの日本の深夜アニメを中国の動画サイトで見る層で、数でいうとアニメを見る若者の中のほんの一握りだ>
(
「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」はもう古い!?アニメもゲームも“日本離れ”する中国の子どもたち 2011年10月26日 山谷剛史 [フリーランスライター] ダイヤモンド・オンラインより)
●中国では国産アニメが人気、ゲームでも日本離れが進行
中国では今、国産アニメが主流で、男の子向けには、「ウルトラマン」に取って代わる正義のヒーローが主役のコンテンツ「鎧甲勇士」が、女の子向けの「セーラームーン」の座には、闘う女の子が主役のコンテンツ「巴拉拉小魔仙」が登場しているとのこと。
中国の子ども向けアニメコンテンツが勢いを増す中で、子どもが起きている時間にドラえもんのアニメを見ることはなく、またおもちゃ売り場ではドラえもんグッズもほとんど見かけることはないそうです。いまどきの中国の子どもは中国産コンテンツに浸って育つといった状況になっています。
アニメだけでなくゲームでも日本離れが進行。「中国」で「ゲーム」とくれば「海賊版」のイメージを持つ読者が多いのではないだろうかとしていましたが、これもまた古い認識。数年前まで家庭用テレビゲームの海賊版が問題視されていたのに、今やわざわざ家庭用テレビゲームの海賊版を利用する子どもや、利用させようとする親は少ないとのこと。
これ自体は良いことなのですけど、同時に、数年前までは見かけた、ニンテンドーDSで遊ぶ子どもたちはめっきり見なくなったといいます。じゃあ何をやっているのか?と言うと、中国でゲームといえばオンラインゲームなんだそうな。これは日本がむしろ苦手な分野でもあるでしょう。
●日本より中国重視!インドネシアなどで知日派が減少し親日度も以下
最初の日経新聞に戻って、今度はコンテンツではなく人の話に。タイの国立中学・高校の第2外国語の履修者は中国語が32万人と、日本語の5万人強を圧倒。この状況に各国の“知日派”から日本の影響力低下を憂う声があがっているといいます。
例えば、「かつて日本は親友だったが、今はトモダチ止まり」とは、インドネシアのメディア最大手、グローバル・メディアコム会長のロサノ・バラク(59)さんの弁。
また、台湾での問題は知日派の後継が手薄なこと。(国民党前副主席の江丙坤(80)は「日本語世代という遺産に頼り、日台とも人材を育てなかった」と語っていました。
●アジアの成長で憧れではなくなった日本が復活するには?
しかし、チャンスはまだあります。タイの泰日工業大学では、3千人超が在籍し、卒業生の半数は日系企業に就職するといいます。
07年の同大設立はもともと70年代、タイの元日本留学生が技術移転を進めようと日本人講師を招いてセミナーを始めたのがきっかけ。かつての知日派が新しい知日派を育てるという好循環が広がれば日本の存在感は再び浮上すると日経新聞は書いていました。
先のダイヤモンド・オンラインの方でも、ちゃんと前向きな話はありました。
<中高生以上向けはさておき、小学生以下の子どもたちに日本のコンテンツに触れてもらうことは不可能なのか。いや、ベネッセの「こどもちゃれんじ」の中国語版「楽智小天地」は、子ども向け無料学習ゲームや、教育用アニメをDVDで販売することで人気を博している。結局のところ反日や愛国主義などは関係なく、日系企業が時代と消費者のニーズに合ったサービスを提供すれば、親は子に日本のコンテンツを見せるのだ>
アジア諸国は成長し、日本は低下傾向、相対的な差は縮まっています。そうすると、当然今までより高いレベルのものじゃないと感心されません。日本への憧れもかつてほどではないと想像できます。「日本すごい!アジアは遅れている」といった認識で過去の栄光に浸るのではなく、このままではアジアに負けかねないと危機感を持って本気にならなければ、ますます親日度は低下していくでしょうね。
●「スラムダンク」「聖闘士星矢」などは中国人にとっても大切な思い出
2021/06/03:上記までの話が古い記事であったことでわかるように、最近になって急激に変化したということではないと思うのですが、関連しそうな
日本のアニメが「中国で負ける日」が来る。「天才に頼らない」戦略が、圧倒的な差を覆そうとしている | ハフポスト(2021年06月02日 07時29分)という記事が出ていました。
記事ではまず「スラムダンク」「聖闘士星矢」「ドラえもん」は日本人だけでなく中国人にとっても、「国民的」な存在で子供時代の思い出だと説明しています。ただし、日本のソフトパワーを象徴するアニメが今、中国で存在感を失いつつあると指摘。「待っていればチャイナマネーが入ってくる」時代の終わりが見えてきたとしていました。
東京都町田市にあり、中国IT大手・テンセントが出資する中国発のアニメ制作会社「カラードペンシル」(本社:中国重慶市)では、日本のアニメ業界関係者を「これを中国が作ったのか」と驚かせる技術の高い作品を作成。制作側の技量が向上し、中国産の原作も増え、日本アニメが徐々に淘汰されつつあるとされていました。
「カラードペンシル」の瞿史偉(く・しい)代理社長は、「日本アニメが急に無くなることはありません。ただ中国人消費者にとって、より面白いものを作れるのは中国人クリエイターです」と説明。私はよく日本流より現地化が大事としているように、地域により好みが異なりますからね。説得力ある説明です。
●日本アニメ業界「別に中国人に日本アニメを見てと頼んでいない」
実際、中国が放映権を購入するアニメは、2018年には年間192作品が配信されていたのに対し、2019年は178作品。2020年は169作品と減少傾向だといいます。また現地メディアによると、日本のサブカルチャー好きが特に多く集まる「bilibili」でも、日本アニメの視聴数は2019年に中国産に追い抜かれました。
中国の海賊版対策に第一線で関わってきた弁護士・分部悠介(わけべ・ゆうすけ)さんも「ここ5年ほどで、中国アニメ産業が底上げされていると感じます。日本アニメ産業はもう少しこの市場を真剣に見ておくべきでした」と危機感。記事ではありませんでしたが、中国が違法アニメの海賊版ばかりという認識も確か今だと事実ではなかったはずです。
一方、「別に中国人に日本アニメを見てと頼んでいない」といった声もあるとのこと。分部悠介弁護士も「それも一理あります。中国に進出する・しないは企業の戦略次第です」とその意見には理解を示しています。ただ、前述のように前置きしたうえで、「日本の市場はシュリンク(縮小)していきます」とも指摘していました。
なお、2021年4月から、ネット配信される海外産アニメへの検閲も強化されたという事情もあるとのこと。せっかく日本から作品を買い取っても、検閲終了までに時間がかかるか、最悪検閲を通過しない可能性もあるために買わないという理由もあると説明されていました。ただ、日本アニメ減少は2021年以前からですので、その理由を説明できていません。
●中国企業代理社長「日本にはアニメの天才がいるが中国にはいない」
また、私がタイトルを見た時点で気になっていたのが、人材に対する扱い。カラードペンシルでは、日本人と中国人、それにベトナム人などの国際的なメンバーがアニメ制作。給与は突出して高くないものの、日本では15%しかいない正社員が半分でさらに増やそうといしているという安定性が特徴となっています。
これはアメリカ流のビジネスモデルのため。「ネットフリックスやアマゾンのように、いい作品は予算を出して購入してくれます。受注件数や金額を予測しやすいのです。ここは日本と大きく異なる点だと思います」と瞿史偉代理社長は説明していました。この安定性のため、アニメ業界を一度諦めてから戻ってきた日本人もいるそうです。
<かつて、日本の制作会社で働いていたが「経済的な理由で脱落した」と退職。介護関係の仕事に就いていたが、去年6月に正社員として「カラード」に入社した。「普通に働いて普通にお金がもらえる。業界全体でも片手で数えるくらいです」と話す>
記事タイトルであった「天才」も気になっていたのですが、これは瞿史偉代理社長の「日本には『天才』がいます。(中略)そういう存在は中国にはまだいません。トップ層は日本の方が全然強いのです。ただ天才は相応の給料をもらっていても、その下の人たちは(生活も)大変だと思います。天才たちの栄光を頼りにするのは限度があるのではないでしょうか」という発言からでした。
また、「天才に頼らない」戦略というのは以下も踏まえている感じ。日本アニメへの思い入れを随所に滲ませる瞿史偉代理社長は日本アニメ業界の魅力を語りつつ、「若い世代が必要。そのためにはきちんとお金を出さないと。根性や愛情で頑張ろう、には限度があります。業界全体で1つのチームとなって欲しいです」とエールを送っていたそうです。
【本文中でリンクした投稿】
■
アジアのドラえもん人気 シンガポールは天使化で苦情、タイは葬儀【関連投稿】
■
アンパンマンがアメリカで放映できない理由 ■
ジャイ子に本名がない理由は本当にいい話なのか? ■
しあわせトランプ ~恐ろしいドラえもんのひみつ道具~ ■
天野喜孝作品集 ~パズル・DVD・やさいのようせいなど~ ■
漫画スキャンが良いのなら、海賊版DVDも良いの? ■
文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|