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日本製の強み 産業空洞化せず日本の工場で作れる製品とは?


2013/1/28:
●製造業の国内回帰は不可能だし、できたとしても別に良くはない
●コストでは勝負にならなくなった日本、品質なら勝負できる?
●価値とスピードを追求するため、海外ではなく日本の工場が必要
●国内回帰で雇用者増は嘘…現実はごく少数の優秀な人だけ雇う
●日本製の強み 産業空洞化せず日本の工場で作れる製品とは?


●製造業の国内回帰は不可能だし、できたとしても別に良くはない

2013/1/28:一番やりたかったのは今回の話なのですけど、先にアメリカの話をと思って、後回しにしていたらずいぶん遅くなりました。先にやったというのは、と日本でもすでに起きていた製造業のリショアリング・国内回帰という投稿。

 どうも他の話を読んでいると、製造業の国内回帰は極めて難しく小規模なものしかできない感じです。それだけでなく、そもそも製造業の国内回帰が望ましいことであるということが、根拠のない妄想である可能性すらありそうでした。


●コストでは勝負にならなくなった日本、品質なら勝負できる?

 ただ、とりあえず、当初紹介したかったのは、日本でできる製造業はどんなものがあるか?という話。 今、「Made in Japan」にこだわる理由 製造の最適解を探せ(上)(2012/12/7 7:00 日本経済新聞 日経ものづくり 近岡裕・木崎健太郎)という記事についてです。

 記事によると、ズバリ国内で造るメーカーが追求しているのは、高い付加価値(V:Value)と、納期の短さ(S:Speed)だとしていました。よく「QCD(品質、コスト、納期)」といわれるが、単なる品質の安定(Q)や納期順守(D)では不十分。もっととび抜けた利便性(V)や、納品の速さ(S)こそが国内で造る意味になっているとのこと。

 かつての日本メーカーは、「QCD(品質、コスト、納期)」の全てを向上させるものづくりで成功を収めてきました。しかし、2000年前後から新興国メーカーが台頭し始めると、人件費の相対的な高さなどが要因となり、一部を除いて多くの日本メーカーが品質、コスト、納期のうちのコスト競争力を喪失。

 残ったのは品質の差…であり、これは日本人がよく誇りに思うところ。ところが、実際にはこの品質においても、新興国メーカーが急速に追い上げてきており、日本メーカーが敗れる例が出てきている…という状況だとのこと。

 その典型例が薄型テレビ。差はあるにはあるものの、ぱっと見ほとんど変わらないため、日本製が選ばれないということに。これがさらに高性能になってくると、もう人間の感覚だと差がわからんってことにもなりそうですね。


●価値とスピードを追求するため、海外ではなく日本の工場が必要

 今、もっと高性能のテレビを…なんてやっているメーカーもいますけど、では、日本はどうしたらいいか?というのが、この後の話です。

 記事によると、単なるスペックの向上ではなく、価値を高めることが大事という言い方がされていました。前述の薄型テレビみたいなわからない差ではなく、もっとわかりやすい「すごさ」が必要なんでしょうね。

 記事では、この価値とスピードを追求する場合、日本の工場が必須になるとしていました。まず、顧客ごとに異なる要望への対応とスピードを高い次元で両立するには、国内工場しかないという理由。

 さらに、価値の向上には、設計と生産の密な連携が不可欠であるということ。例えば、ソニーは長野県安曇野市の長野テクノロジーサイトに、パソコン事業の企画、設計、生産、品質保証の全部門を集結させています。このように価値ある製品を作るには、一箇所に集結させていた方が良いという説明は理解できます。


●国内回帰で雇用者増は嘘…現実はごく少数の優秀な人だけ雇う

 以上の説明はわかります。ただ、そもそも多くのユーザーがそのような高い価値を求めているのか?というのが疑問。ここのことを話さないと詐欺みたいな話になりかねません。実際、記事では、機能や性能よりもとにかく安価な製品を求める、というユーザーが多いとしており、これはやっぱり海外製だそう。

 そして、そうじゃない希少なユーザーを日本製でってことですね。全部日本に戻ってくると思うのは、やはり夢物語のようです。タイトルからしてそんな感じであり、意外ではありませんが、この記事も結局、海外工場が主体になることは、否定できていません。日本工場向きと海外工場向きがあるよという話です。

 一応、富士通の日本製なんかは、コスト面でも努力しているとされていました。ただし、100人以上の作業者が必要になるところを、島根富士通の生産ラインは20人以内でこなす、といった努力の仕方。つまり、労働者の数は増えづらいということで、日本に工場を戻して雇用がいっぱい増える…ということにはなりません。

 さらに言うと、増える雇用というのは、一部の優秀な人であり、優秀ではない大部分の人はいらない…つまり、作業者の技量も求められる可能性も高そうです。

 NECのケースでは、以下のように日本で作ることの優位性が語られていたものの、これは逆に言えば、日本の作業者には高い能力を求めることだと想像できます。簡単な仕事でたくさん働き口がある…というのは、夢のまた夢ですね。

<生産ラインで無理矢理に変種変量生産を行えば、製品によって作業員にかかる負荷が変動するだけでなく、部品の供給も難しい。結果、生産効率も良品率も下がる恐れがある。従って、「変種変量生産が前提なら、むしろ中国工場の方が高コストになるだろう」と、NEC PC生産事業部(ものづくり改革)グループマネージャーの須田修氏はみる>


●日本製の強み 産業空洞化せず日本の工場で作れる製品はどんなものか?

 記事で出ていた例で印象的だったのは、ブリヂストンの建設・鉱山車両に搭載する超大型タイヤ。これは、なんと「輸出比率が100%」。こちらは高額製品&受注生産というタイプだそうです。

 超大型タイヤは1本当たりの価格が数百万円もする高付加価値製品。しかも、顧客に応じて大きさはもちろん、路面に接触するゴム層=トレッドパターンやゴムの材質などまで変える必要があることから、受注生産で対応しています。

 日本で輸入の多い木材は、実は本来なら輸出入に向かない商品だと聞きました。なぜかと言うと、容積あたりの単価が安いためです。単純な話、同じ容積なら高いものを売る方が儲けになるでしょう。普通に飲む水道水や工場で使う工水を輸出なんて話は聞きませんが、付加価値のついたミネラルウォーターなら遠く離れたところでも売れます。

 ミネラルウォーターならライバルも多いですけど、このタイヤがすごいのは圧倒的に参入障壁が高いためライバルが少ないことです。実質的に、ブリヂストンと仏Michelin(ミシュラン)が世界の超大型タイヤのシェアを2分しているんだとか。

 ブリヂストン北九州工場工場長の吉崎聡さんは当時、あまりの難しさに次々と他社が去って行く状況を、逆に「当社はオンリーワンになるチャンスと捉えた」とのこと。まさにピンチはチャンスというエピソードですね。 


【本文中でリンクした投稿】
  ■日本でもすでに起きていた製造業のリショアリング・国内回帰

【関連投稿】
  ■円安で製造業国内回帰という幻想 トヨタ自動車は否定、キヤノンは無人工場の現実
  ■アメリカ製造業の空洞化 国内回帰で工場は戻ったが雇用は戻らず
  ■日本はもう製造業・ものづくりの国ではない 人件費が高いも嘘でアメリカなどより安い
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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