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すき家復活、松屋も順調で吉野家一人負け 牛丼以外のメニューがないせいか?


 "落ちぶれた吉野家の迷走 安くても売れない、高くても売れない"という最初の投稿をしたのは、2013/1/28。その後、吉野家は復活して、すき家がダメになったイメージがあり、この古い投稿をどうしようか?と悩んでいました。

 ところが、今またすき家が再び良くなって、吉野家が低迷ということになっているそうです。栄枯盛衰ですね。最初にこの新しい話を追記します。(2017/04/11、2017/04/14)


●すき家復活、松屋も順調で吉野家一人負け

2017/04/11:吉野家ホールディングスが発表した2月の既存店売上高は前年同月比4.6%減。前年はうるう年で営業日数が1日多い点を加味しても2016年12月から続く減収基調が鮮明だといいます。

 これが牛丼チェーン店全体の傾向か?と言うと、実はそうではないようです。松屋は0.6%減と27カ月ぶり減ですが、前年のうるう年の影響で売り上げが3ポイントほど押し下げられたといい実質は約2%の増収だそうです。

 さらに、一時はかなりヤバイ印象のあった すき家にいたっては、1.3%増。おそらくすき家も同様にうるう年の影響があるはずですから、それを加味しなくてもプラスという、かなり良い状態なのだと思われます。
(吉野家 「牛丼一筋」モー限界? 2017/3/7付 日本経済新聞 朝刊 (小沼義和)より)


●牛丼以外のメニューがないせいか?

 この理由について、記事では、メニューの多様性の問題ではないかとしていました。松屋は2週間に1度は定食の新商品を出し、すき家も派生商品を充実させています。実際、吉野家の売上高に占める牛丼の比率は5割前後なのに対し松屋は2~3割とされており、はっきりと傾向が異なります。

 また、牛丼業界以外を見ても、日本マクドナルドは毎週のように新商品を出し業績を急回復させ、ファミリーレストラン大手も期間限定メニューで客を呼ぶ、としていました。

 ただ、吉野家もベジ丼、麦とろ御膳、豚丼、ご当地鍋といった新メニューを出しているとのこと。ヒットが長続きしていないと言いますから、新製品の開発力の問題なんですかね?

 単一の商品に力を入れるというのはメリットもあり、お店のメニューが一つで良い理由 iPhoneがかつて1種類しかなかったのとは別の狙いというのを書いています。そもそも吉野家というのがメニューを絞って成功した代表例でした。

 ただ、デメリットというのもあって、もともと書いていた話のBSEで吉野家がつまずいたというのも、この牛丼一筋の影響がでかかったです。


●不信の吉野家、「明日はホームラン」をやめる

2017/04/14:上記を書いた後に、別記事でもまた吉野家の話がありました。
(牛丼の吉野家がホームラン狙いをやめる理由 短期間で新商品を次々と投入する戦略に 東洋経済オンライン / 2017年4月13日 8時0分より)

 最初の部分で書こうかどうか迷ったのが、吉野家の「鍋」の話。検索してもどの商品だったかわからずに書けなかったものの、私には吉野家は「鍋」で復活したというイメージがあり、それなのになぜ?と不思議でした。

 この記事を見ると、私が思っていたのは「牛すき鍋膳」っぽいですね。従来、吉野家は半年に1回程度、「牛すき鍋膳」「麦とろ牛皿御膳」といった大型商品を投入する、いわば「ホームラン狙い」の戦略をしていて、両者はともに過去のヒット商品でした。

 ところが、この両ヒット商品が、どうも今シーズンはあまり効果がなかったようなのです。「牛すき鍋膳」「麦とろ牛皿御膳」はそれぞれ、導入4年目と2年目。お客さんも当初ほどありがたみを感じなくなったのかもしれません。

 牛すき鍋膳は野菜を増量し、持ち帰りもできるようにするなど工夫を凝らし、吉野家初となる地域別メニュー「ご当地鍋」を5種類も発売したものの、「(暖冬の影響で不振だった)2015年度の販売数を大きく上回ることはできなかった」(河村社長)というさんざんな結果となりました。

 これで思い出したのが、お菓子などである期間限定味の話。好評ならずっとやればいいのに…と思っていたのですが、最初のうちは売れても結局最後はレギュラー商品より売上が落ちてしまうとのこと。思った以上に、飽きない味の商品を作り出すのは、難しいのかもしれません。

 この問題の打開策として強調されていたのが、最初の記事と同じく新商品の投入。「たくさん手数を出す中で、これはというものがあれば、磨きをかけるやり方に切り替える。ヒットの延長がホームランになればいい」(河村社長)ということで、大型商品の投入ではなく、いろいろとやってあたりを探すスタイルになるようです。

 そういえば、昔、吉野家は「やったねパパ!明日はホームランだ!」というセリフがあるコマーシャルをやっていたそうです。その吉野家が「ホームラン狙いをやめる」というのは、何だか妙な感じがします。


↓検索したら出ました。私も初めて見ます。



●落ちぶれた吉野家の迷走 安くても売れない、高くても売れない

2013/1/28:若い人は別として、ある程度の年齢の人は未だに「牛丼といえば吉野家」という印象が強いでしょう。(なお、上記の話では、吉野家は他社より「牛丼しかない」というイメージが強く、それがむしろ足かせだとされていました)

 しかし、吉野家が牛丼ナンバーワンだったのはもうかなり昔の話になります。その後吉野家は四苦八苦していますが、以下の記事では特に価格設定に悩んできたとのことでした。
王者陥落、吉野家の迷い(ルポ迫真) 日経新聞 2013/1/24 3:30

 1月18日、都内のホテルで開かれた日本フードサービス協会の賀詞交歓会。すかいらーく創業一族の横川竟(75)はそばにいた吉野家ホールディングス(HD)会長の安部修仁(63)にこんな話を持ちかけた。「500円の和牛牛丼でも出してみたら」。牛丼(並)は380円、豆腐やしらたきを入れた牛鍋丼(同)は280円。横川の軽口に対する安部の返答は、「いや、今はもっと安値の方が必要かもしれない」と真剣そのもの。日々、突き詰める価格の話題だけに冗談では返せなかった。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF2000K_R20C13A1SHA000/

 「もっと安く」って意味かな?と最初思いましたが、500円は高すぎって意味でしょうね。
 コンビニエンスストアなどとの競合激化で日本マクドナルドHD、サイゼリヤ、吉野家HDなど、価格競争力のある外食大手も今や軒並み既存店はマイナスに陥った。もはや安ければ売れる時代でもない。横川が指摘するように価値で勝負するのも一手だが、相当な質を伴わない限り単価アップは命取りだ。

 記事では"吉野家ほど近年、価格設定に苦しんだ企業はない"としていますが、まずは安さで吉野家は名前を売っていました。2001年に400円の牛丼を280円にまで下げ、デフレの代表的な勝ち組として、名を上げました。


●アメリカのBSE問題で、牛丼一筋が災い

 ここらへんが吉野家の頂点だったというのは、Wikipediaの記述からもわかります。
2003年(平成15年)までは牛丼のみの単品販売が特徴的で、2001年(平成13年)夏にはコスト削減による体制を整えた上で外食大手の低価格競争に追随し、牛丼並盛一杯280円という低価格と他のファストフード店と比べても一線を画す配給スピード(築地店店長の盛り付け速度は、1杯あたり15秒)で人気を集めた。バブル崩壊以降、ミスタードーナツやマクドナルドなどと共に、低価格路線を採った外食産業における代表的なチェーン店のひとつであった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E9%87%8E%E5%AE%B6

 しかし、栄光は長くは続きません。2003年にアメリカでBSE(牛海綿状脳症)が発生し、こだわっていた米国産牛肉の仕入れが激減すると、価格競争力を失いました。豪州産牛肉を使い価格戦争を仕掛けたすき家に08年に店舗数で抜かれてしまいます。
牛丼を休止した理由として「米国産牛肉でなければ吉野家の牛丼の味が出せない」「米国産牛肉以外だったらタレの構成配分を変えなければいけない」「別の(肉をメインに使用した)牛丼を出したら『これ違う』と客から文句が出るに違いない」「長期的視野で間違いの少ない選択をするため」との見解を示している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E9%87%8E%E5%AE%B6

 アメリカ産にこだわったのもありますが、メニューを少なく同じもの多量にというスタイル自体が、こういう脆さを抱えているんだなと当時感じました。「長期的視野で間違いの少ない選択」のつもりでしたが、今に至るまでその結果は出ていません。
他の牛丼店と同様、原料である牛肉のほとんどがアメリカ合衆国からの輸入であるため、2003年(平成15年)にワシントン州でBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認され米国からの輸入が停止されると牛肉の調達が不能になり、一時牛丼販売の休止に追い込まれ、営業の縮小や、牛カレー丼、豚丼などの代替商品の緊急投入を余儀なくされた。以降は多メニュー展開を行い、牛丼販売再開後も継続している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E9%87%8E%E5%AE%B6

●付加価値路線をやったものの失敗した吉野家

 価格に関しては、2012年に転機が訪れました。
 12年秋に開いた480円の牛焼肉丼の発表会で一つの方向性を示した。「ディスカウントしないで新商品を投入する方向に考えが変わっている」。専務の門脇純孝(51)はこう強調し、付加価値路線にカジを切った。その後も390円の焼鳥つくね丼を投入し、消費者に価格よりも価値を訴えた。

 さて、これで復活……となれば冒頭のような会話にはならないわけで、これが全然売れなかったのです。「コストは上がるが、消費者の節約志向は続く」というどうしようもない状態で、"吉野家HDの12年3~11月期は最終赤字"です。

 Wikipediaではこういう話もあったんですけど、これもどうなるかわかりませんね。
米国産牛肉の輸入再開後、牛丼は販売休止以前よりも高い並盛380円で販売を再開したが、原材料コスト高や採算性のなどの理由で、牛丼の通常価格は値下げしない方針としている。

 既に期間限定では上記方針を崩しています。こういうのも価格設定の迷いの表れでしょう。
2000年代後期に発生した牛丼低価格競争では、キャンペーンによる牛丼の期間限定値下げや低価格メニューの投入で対応している。

 ところが、こういったキャンペーンが長期的に見て、自分たちの首を絞めているのでは?という話をマクドナルドの原田社長は言っていました。

  ■ビッグマックのキャンペーン、本当は失敗 王者マクドナルドの曲がり角

 日経新聞では、"2月1日、米国産牛肉の輸入規制が緩和される"という話がありましたけど、"ポストデフレ時代"ともあるようにデフレスタイルの商法自体が通用しなくなる可能性もあります。

 既に行き詰っていた吉野家は別としても、円安によって企業の栄枯盛衰が激しくなるかもしれません。

(2017/04/11追記:と書いていた通り、すき家がコケましたが、また復活しているというのが最初の話でした)


【本文中でリンクした投稿】
  ■お店のメニューが一つで良い理由 iPhoneがかつて1種類しかなかったのとは別の狙い
  ■ビッグマックのキャンペーン、本当は失敗 王者マクドナルドの曲がり角

【その他関連投稿】
  ■すき家の労働は本当にブラックなのか?日経新聞記者が企業に突撃
  ■介護・宅配+居酒屋のワタミ成長鈍化の危機 渡辺美樹会長は東京都知事選どころではなかった
  ■スターバックスこっそりコーヒーを減量 問われて初めて「いっぱいだとこぼれる」と説明
  ■25期連続増収増益のニトリは不景気とリスクが好き
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