日本の餓死による死者数は年間2000人、4.2時間に1人が死亡は本当?生活保護との関係は?でも書いたんですけど、やはり餓死者数2053人は間違いのような気がします。
前回で見たように2053人という数字は、いくつかの項目を合わせた数字です。ところが、他の例を見るとこういう広範なカウントの仕方はしていません。
以前紹介していないものでは、下記の記事でもやはり年間数千人という算出方法は採用されていませんでした。
餓死者、バブル崩壊後急増 セーフティーネットの不備映す
2012.2.26 12:56 産経新聞
全国の餓死者はバブル崩壊後の平成7年に前年の約2.8倍の58人に急増、それ以降、高水準で推移していることが25日、分かった。22年までの30年間の餓死者数は1331人で、うち7年以降が8割以上を占めた。(中略)
厚生労働省の「人口動態統計」によると、死因が「食料の不足(餓死)」とされた死者は昭和56年から平成6年まで12~25人だったが、7年に58人、8年には80人を突破。それ以降、22年に36人となるまで毎年40人以上で推移し、過去30年間の最高は15年の93人だった。
50代の死者が多いのも特徴だ。22年までの16年間で50代の死者数は348人、60代が252人、40代が185人に上り、40~60代で全体(1084人)の72%を占めた。男女比は30年間で男性が女性の約4.5倍と圧倒的に多かった。
死亡場所は「家(庭)」が多く、59~85%(7~22年)を占める。このため、行政や地域社会のセーフティーネットから、何らかの理由でこぼれ落ちていた可能性も指摘されている。
貧困問題や生活保護に詳しい小久保哲郎弁護士は「餓死者の急増はバブル崩壊後、急速に景気が悪化した時期と重なっている。当時、雇用状況の悪化に伴ってリストラなどで失業者が増加した」と指摘する。
また、高齢者ではない「50代男性」の餓死者が多いことには、「稼働層といわれる働き手世代のうち、年齢的に再就職が難しいことから50代が突出したのではないか」と分析した。
女性よりも男性が多いことについては、「男性は自立できるはずという強い社会規範がある」とし、行政などから助けを受けることに心理的抵抗を感じている可能性があるとみている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120226/lcl12022612560000-n1.htm 日本の餓死による死者数は年間2000人、4.2時間に1人が死亡は本当?生活保護との関係は?で見たものは、2053人を採用していました。
しかし、私の見たWikipediaやその引用元である人口動態統計を念のため確認してみても45人であり、50分の1程度です。(2053人も人口動態統計が元ネタですけど、45人に他のもっと多い項目を加えています)
数十人だろうと多いことには変わりないではないか?とおっしゃるかもしれません。実際、産経新聞では、数十人であるというデータでも「すごく多い」という書き方でした。現代日本で餓死者がいるというだけで衝撃です。
ただ、数字をごまかす必要はなく、このことは全く正当化できません。
この50倍の数字を採用していたサイトは、生活保護の話と結びつけていたのですけど、どうも持論を有利にするために無理矢理に数字を多くしたのでは?という思いがあり、気持ち悪さがあるのです。
50分の1の数字であっても産経新聞は前述のような書き方であり、かつ"専門家はセーフティーネット(安全網)のあり方の見直しを呼びかけている"と同じような主張をしていました。わざわざ卑怯なやり方をしなくても、十分に生活保護の充実を訴えられるのです。
もしかすると、Wikipediaや産経新聞の算出方法がおかしく、2053人が正しいのかもしれません。その可能性までは否定しません。
ただそうじゃなかったとすれば、自分の主張のために亡くなった人たちを利用している形で、死者を冒涜する行為だと感じます。
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