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インフラ補修を新規公共事業が圧倒、笹子トンネル事故は利用されただけ?麻生太郎財務相がメンテナンス予算開示を渋る


 公共事業の話をまとめ。<メンテナンス・補修アピールした公共事業予算、一転して隠蔽の謎>、<維持管理じゃ利益が出ない…新設重視・維持軽視の中で大事故発生>、<事故原因が手抜き工事なら、むしろ公共事業増発は逆効果?>などをまとめています。

2024/03/13まとめ:
●維持管理じゃ利益が出ない…新設重視・維持軽視の中で大事故発生 【NEW】
2023/06/05まとめ:
●事故原因が手抜き工事なら、むしろ公共事業増発は逆効果?
2023/09/09まとめ:
●必要ない公共事業がたくさん必要な理由を考えると妙な話に…


●メンテナンス・補修アピールした公共事業予算、一転して隠蔽の謎

2023/02/20追記:公共事業の話をまとめながら、一部を見直しながら再投稿しています。以下は、<インフラ補修を新規公共事業が圧倒、笹子トンネル事故は利用されただけ?麻生太郎財務相がメンテナンス予算開示を渋る>という長いタイトルで書いていた話です。

2013/1/31:日経新聞の<「恫喝か」麻生財務相がぽろり、公共事業の補修費で 編集委員 土屋直也>(2013/1/28 7:00)という記事はタイトルが悪かったです。良い内容の記事なのに、タイトルのせいで「また失言叩き」といった感じの読まれ方しかしていませんでした。

<「恫喝(どうかつ)するのか」――麻生太郎副総理・財務・金融相がつい口を滑らせた。経済対策の中核、補正予算案を仕上げた後の18日の記者会見でのことだ。
 財務相が不穏当な発言で記者をけん制したのは、補正予算案に盛られた事業費ベースで4兆円を超えるといわれる公共事業のうち、既存インフラの補修に使われる費用の額の開示を求められた時だ。
 事務方に聞いてくれとかわす麻生財務相は、「財務相が開示を指示したということでいいですね」と念を押された。言質を取られては部下が苦労すると思ったのだろう、「恫喝」という発言が漏れた。財務省ホームページの会見録には載っていない>
http://www.nikkei.com/money/column/teiryu.aspx?g=DGXNMSFK25026_25012013000001

 これをしつこく聞いた記者が悪いというのは無理があります。以下のように、"そもそも、麻生財務相自身が会見で繰り返し強調してきた政策の目玉"だったのです。「メンテナンス、補修が大事!」と繰り返し強調していたんですよ。記者が麻生財務相がアピールしていた目玉案件はどうなったのか?と聞くのはむしろ当然です。

・就任直後(12月26日)
メンテナンス、補修をきちんとやらないといかん。手を抜けば笹子トンネルのような悲惨なことになる。公共事業は全部悪だと切った結果があれだ。
・年初(1月11日)
公共工事は悪という作られたイメージがあった。メンテナンスがおろそかになってきている。
・補正予算案閣議決定後(15日)
元セメント屋から言わせるとセメントがもつのは大体50年なんですよ。公共工事は減らしに減らして、メンテナンスが一番抜けた。国民の安心・安全を脅かすところまで来ている。

 このようにメンテナンス・補修を目玉にしていたはずなのに、18日になると急に補修・メンテナンスの金額開示を渋るんですから、記者が食い下がるのも無理は無いでしょう。これを「マスコミの失言探し」で片付けてしまうのは、それこそ粗探し、揚げ足取り。ここで重要な問題はなぜそうまでして予算を隠すか?ということです。

 記事であった<補修の金額がわからないというのでは、政策効果は測れない。効果を説明できない政策を目玉として訴えていたこと自体、補修を名目に新規の公共事業を増やしている「隠れみの作戦」なのではないか、と疑われかねないだろう>という説明の方が、記事批判よりよほど説得力があります。

 公共事業についてはうちでも過去に何度も書いてきました。私は補修・メンテナンスでは間に合わないものがあり、更新が必要なものが多数出てくることは想定しています。ただし、繰り返すように麻生太郎財務大臣が補修を売りにしていたわけですし、全くの新設設備を優先するとなれば説明はできません。内訳開示が必要となります。


 しかも、補修費用はかなり必要なようです。"総務省が市町村など基礎自治体向けに実施したアンケート調査による推計では、自治体管理分の補修費用だけで""年8兆円を超える負担"。"補正予算の公共事業費2兆円(事業ベースで4兆円)のすべてを補修・改修に回しても賄いきれるかどうかわからないほどの規模"であるそうです。

 もし本当に補修を重視しているなら隠すことはありません。痛くもない腹を探られていると感じるなら、さっさと公開すべきでしょう。隠すからこそ疑惑が生まれるのです。記事では既に以下のような話が書かれていました。

<ある財務官僚は、既存インフラの補修の比率はけっして大きくはないだろうと推測する。「伸びは大きいと思いますが、量では新規事業が圧倒的でしょう」と語る。
 公共インフラの補修は実は新規以上にノウハウが必要。地元工事を請け負う各地方の土木、建設業者にはほとんど回らないとみられる。これでは選挙の応援に駆り出した地元業者に仕事をつくれない。
 景気対策と同時に、実は12月の衆院選、7月の参院選対策でもある補正予算案。政治的な理由もあって新規事業が大きくなっているとみられるのだ>

 これが本当なら笹子トンネルの事故犠牲者は、自民党の選挙対策に利用されただけ…という悲惨なことになります。麻生太郎財務・金融相は、汚名返上のためにもメンテナンス・補修にどれくらいの予算を当てたのか開示すべきでしょう。


●維持管理じゃ利益が出ない…新設重視・維持軽視の中で大事故発生

2024/03/13まとめ:ここから<笹子トンネル事故はインフラ新設を肯定せず、むしろ否定する 国土強靭化計画の中身は大丈夫か?>というタイトルで、冒頭の話より前に書いていた話をまとめています。

2013/1/31:私は自民党政権の国土強靭化計画が、悲惨な笹子トンネル事故を利用して、自分たちの利益を拡大するために使われるのではないかと危惧。そのため、国土強靭化法案について、いくつか読んでおこうと思いました。

 そういった中でひとつ書いたのが、自民党、200兆円といわれる国土強靭化法案の概要 公共事業における優先順位の考え方は?です。今回は、土木学会の小野武彦会長へのインタビュー記事<笹子トンネル事故は「維持管理は非主流」を変えるか 土木学会の小野武彦会長にインフラ老朽化問題を聞く>(小平和良 2013年1月21日(月) 日経ビジネスオンライン)を読んでみました。

<昨年12月に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故は、高度成長期に整備された社会インフラの老朽化が深刻な状況になっていることを改めて浮き彫りにした。社会インフラの老朽化については、以前から言及されている。にもかかわらず、なかなか対策が進まないのはなぜか。土木学会の会長で清水建設元副社長の小野武彦氏に聞いた。 >
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130118/242461/?mlp&rt=nocnt

 当事者側ですので、もっとガンガンお金を使おうという方向に持っていく、強欲まみれな意見、自民党が喜ぶような意見が出るのでは?と思いましたが、意外なことにそうでもなかったんですよ。土木学会の小野武彦会長はまず、維持管理ではなかなか儲からない商売という話をしています。

土木学会の小野武彦会長
<笹子トンネルの事故はショックでした。建設から維持の時代と言われて、もう30年ほど経っています。みんな、その認識は持っていたんです。でも、ついね。予算の問題とか、各企業の利益の問題とかがあって…。(中略)
 どうしても維持管理に関わる仕事の受注額は小さいでしょ。それに、例えば清水建設に独自の技術があるからといって随意契約で特命発注することはないわけです。>

 小野武彦会長の清水建設は、橋脚などの補強に「かみ合わせ継手」というものを使う工法を開発しており、これが強みです。こうした工事で「数億円」をとれるのですけど、ゼネコン業界にとってはこれはたかが「数億円」。商売にならず、「苦しい」とされていました。

土木学会の小野武彦会長
<けれども、こうした工事でも数億円ですよ。(ゼネコンのような規模の)企業の収益として見ると厳しい。建築の場合、ビルのメンテナンスなどが(事業の)柱になっていると言いますが、関連会社でやっているケースも多い。今のままではどうしても(維持管理は)主流にはなり得ないのです。
 国交省も維持管理が大切だと言いながら、やはり日が当たらない。阪神大震災以降、だいぶ意識されるようになったけれども、十分ではない。そうしたところにきて、先日の事故が起きました。>

 こうした土木学会の小野武彦会長の説明から、維持管理は軽視されてきたことがわかります。ですから、私が繰り返し書いているように、自民党系の人が望む「どんどんと公共事業をやりましょう」では安全性の問題は全く解決できません。維持管理にお金を割かないといけないのです。


●事故原因が手抜き工事なら、むしろ公共事業増発は逆効果?

2023/06/05まとめ:ここから冒頭の話より前に書いていた<笹子トンネル事故の原因が手抜き工事の人災なら、公共事業増発は逆効果では?>というタイトルで書いていた話をまとめ。この投稿の後さらに調査が進み、笹子トンネル事故の原因が手抜き工事の人災である確率が高いことが判明しています。

2013/2/3:既に過去にいくつか書いてきたように私は笹子トンネル事故が、公共事業増発の理由として持ち出されることに違和感を覚えています。それどころか、笹子トンネル事故は新たな公共事業の増発を否定するものではないか?という、逆の可能性を考えてしまうんですよね。

 笹子トンネル事故に関しては、事故の原因の断定は早いだろうなと思ってそのことには触れず、私は危険なものを判別できていなかったことこそが大きな問題だとして書いてきました。この考えは変わらないんですけど、今回は加えて事故原因がそもそも公共事業増発の理由として不適当となる可能性についてです。

 まだ事故原因は確定じゃないでしょうから、不確かなところもありますが、とりあえず、現在の情報として、国交省調査について紹介。<笹子トンネル、ボルトの接着剤不足 国交省調査>(2013年02月01日05時08分 朝日新聞 真海喬生、村田悟)といった記事が出ていました。

<中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の上り線で、崩落した天井板をコンクリート壁に固定するボルトに十分な量の接着剤が使われていなかったことが、国土交通省の調べでわかった。接着剤はボルトをコンクリート壁に固定して強度を確保するためのもので、国交省はずさんな工事が大規模崩落の主要因だった可能性があると見ている。
 笹子トンネルは、コンクリート壁に長さ13センチのボルトを埋め込んで天井板をつり下げる構造だった。ボルトをコンクリート壁に固定するためには、接着剤や砂利などが入ったカプセルを穴に入れてからボルトを差し込むのが一般的な工法だ。カプセルが割れて接着剤が穴の奥に広がり、ボルト全体に行き渡って接着力が高まる。ボルトは荷重の3、4倍の重さに耐えられる設計だった。
 ところが、事故後に国交省が崩落現場でコンクリート壁から抜け落ちたボルトを調べると、接着剤はボルトの付け根付近にしか残っていなかった。崩落現場以外の抜け落ちなかったボルトも同様だった。
 業務上過失致死傷容疑で事故原因を調べている山梨県警の捜査で、抜け落ちたボルトに目立ったさびは見られず、コンクリートにも大きな問題は見つかっていない。国交省は、強度不足のボルトが抜け落ちてつり金具と天井板が崩落。この弾みでトンネルの両端に向かってボルトの抜け落ちが連鎖反応で起き、崩落が広がったとみている。
 笹子トンネルは1977年に完成。国交省は、上り線の広い範囲でずさんな工事が行われたと見ており、手抜き工事の疑いも視野に施工に関わった業者などを調べる。>
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301310512.html

 仮に手抜き工事が原因の一つとなっていた場合、工事の段階から問題だったということになるでしょう。朝日新聞は笹子トンネルの完成の時期を1977年としていますが、別所では1975年の記載もあります。いずれにしろ70年代ですね。実はこの時期は公共事業が極めて多かった時期でした。

<GDPに占める公的固定資本形成の割合をみると、1970年代には約10%で推移していたが、1980年代に入ってからは緩やかに低下し続け、バブル崩壊後には再び景気対策としての事業が進み、再びその比率は上昇した>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E4%BA%8B%E6%A5%AD

 これは公共事業を増やすことがむしろ事故を増やすのでは?と思わせる要素。もちろん業界全体に大量に発注されると必ず手抜き工事が起こる……といった風に断定することはできません。しかし、公共工事が増えすぎることによって、手抜き工事が起きる可能性は用意に想像できます。

 例えば、「ある会社において適切に対応できる工事量を上回ることで、工事の質が下がる」とか、「技量の高い会社が適切に対応できる範囲を上回り入札を見送ることで、質の低い会社にまで仕事が回る」とかいったもの。公共事業増発がむしろ安全性を低下させるパターンがあることにも目を向けなくてはいけません。


●必要ない公共事業がたくさん必要な理由を考えると妙な話に…

 一方、逆に工事が少なすぎることで事故が増えるような問題が起きるか?についても考えてみました。私が思いついたのは、「衰退産業のため優秀な人材が集まらず、技術が低下する」「独占・寡占状態のせいで競争が起きず、技術が向上しない」といったものです。
 
 前半の衰退産業の話は具体的なモデルがあります。原発です。「脱原発を行うと、原子力産業に人が集まらない」という脱原発反対理由があるんですよね。後者の独占もやはり電力業界の例が出せますね。東電の問題は独占企業ゆえのおごりによるもの……といった感じです。

 ただし、前述のとおり笹子トンネルの場合はむしろ大量に工事をやっていた時期ですので、「工事が少なすぎる場合」の問題は当てはまりません。また、「衰退産業のため優秀な人材が集まらず、技術が低下する」「独占・寡占状態のせいで競争が起きず、技術が向上しない」のために、税金を使って必要ない工事を増やすのも妙な気はしますね。

 手抜き工事そのものは別に大量の公共事業がなかったとしても起こり得ますから、いつの時代においても防止策を講じることが肝要でしょう。ただし、手抜き工事が原因の一つとなっていた可能性のある事故を、「大量の公共事業が必要だ」という主張に結びつけるというのは無理がありすぎでは?と思います。


【関連投稿】
  ■日本の公共事業が無駄で効果がないことは親自民党の学者が計算済み
  ■政治・政策・政党・政治家についての投稿まとめ

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