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寄付・補助金が悪い理由とは? エコポイント・エコカー減税・公共事業・スポーツチームへの税金投入など


 <寄付よりもっと役に立つ社会貢献 ソーシャルビジネスも利益を重視>や<補助金・寄付に頼る危険性 途切れると速やかに破綻 文楽、エコカー・エコポイント、公共事業>など、寄付や社会貢献に関する話をまとめています。


●素晴らしく見える企業の慈善事業…不況ですぐストップの現実

2010/1/23:こう書くと眉をひそめられるかもしれませんが、私は寄付のようなものはあまり好きではありません。これは企業による慈善事業のようなものでも同様です。一般に日本企業は欧米に比べて、社会貢献や利益還元が不充分であり、もっと欧米企業を見習っていくべきだと言われています。それを間違っていると真っ向から否定するわけではないのですが、違う方向性の貢献の方がより重要ではないかという考え方をしていました。

 すると、第8回 何かヘンだぞ、日本企業の社会貢献、日経ビジネスオンライン、武田斉紀、09/11/24という記事で、私の考え方に非常に近い意見が載っていました。著者はまず、企業が「国や地域、支援団体、NPOに寄付」、「スポーツチームを運営、支援」、「文化団体を運営、支援」といった、本業とは別の部分でのさまざまな社会貢献をCSR(企業の社会的責任)レポートに掲げていることを紹介しています。

 これらの活動が素晴らしいことであるのは間違いありません。ただ、同時に不況になると、真っ先に切り捨てられる活動でもあり、そのことに著者は疑問を呈していました。それマジで社会貢献なの?という感じですが、企業が慈善事業を切り捨てること自体はやむを得ないでしょう。しかし、これでは当初の目的を果たせず、問題があるのも確かです。


●企業できる「慈善事業・寄付よりもっと役に立つ社会貢献」

 なぜこのようなことが起こるのでしょう? それは「本業と関連していない」ためではないかと作者は見ています。どういうことか?と言うと、本業に関連して利益を出せている社会貢献事業であるのなら、不況でも持続的に社会貢献できるだろう…という話。利益を出しながら社会貢献するのがベストなのです。

 そんなの現実にできるの?と思うかもしれませんが、本業と関連している例としては、住友化学の「オリセット(R)ネット」というものが出ていました。この製品は、マラリア防除に効果があり、耐久性に優れた蚊帳(かや)です。多くの人がマラリアで亡くなっているアフリカでは、この製品は非常に役に立ちます。

 この蚊帳はWHO(世界保健機関)の推奨支援もあって、他の本業と遜色のない利益の上がる事業になりました。また、タンザニアの蚊帳メーカーに技術を無償供与し、生産の半分を託すことで新たな雇用も生み出したそうです。こうして、現地での住友化学の活動は、特に宣伝などしなくても、自然と多くの人々に感謝と尊敬をもって受け入れられているとのこと。商売をしつつ、社会貢献も行っているのです。


●持続的な貢献には利益が大切 ソーシャルビジネスも利益を重視

 この一連の活動について、住友化学の廣瀬博社長は、宣伝でも支援でもなく、事業の一環なのだと言っているようです。廣瀬社長が言うには、「CSRとは“事業活動を通じて社会の持続的発展に寄与していくこと”」だと、住友化学は考えており、この事業が「他の事業と遜色ない利益を上げていることが重要」だとしています。

 本業で得た利益の一部を寄付するのではなく、得意分野を生かした本業として社会貢献度の高いニーズに答えているからこそ意義があり、寄付だと果たせなかった継続もできるとのことでした。これは説得力があるでしょう。前述の通り、寄付型の慈善事業は不況になるとすぐ終わり…なわけですからね。

 また記事では他に、バングラデシュで貧しい人たちに融資するグラミン銀行のような、ソーシャルビジネスというものの紹介もありました。ソーシャルビジネスとは、(1)社会性、(2)事業性、(3)革新性、の三要素であり、「事業性がなくて継続しないということであればソーシャルビジネスとは呼べない」とされているそうです。

 つまり、継続することに意味があり、そのために“無償のボランティア”ではなく、“本業として利益を上げて有償で働く”のが、ソーシャルビジネスの前提だそうです。


●そもそも仕事というのは人の役に立って当然で社会貢献してるはず

 これらはある意味、「企業が寄付をすること」よりも、もっとハードルが高く、実現困難な理想論に過ぎないかもしれません。すでに出てきたように、住友化学やグラミン銀行のようなソーシャルビジネスの成功例があり、不可能ではないものの、なかなかこれを実現するのは難しいと思われそうです。

 しかし、私はもともと、誰かに必要とされる仕事をすれば、それ自体が社会のために役立つということだという考え方なんですよね。住友化学の例やグラミン銀行のようなソーシャルビジネスだけでなく、そもそもほとんど何の仕事であっても社会貢献しているだろうという話。これなら難しくありません。

 記事にあったように自社が利益を出せることに加えて、取引企業や消費者から搾取していないような仕事を行えば、社会に役立てていると胸を張れるだろうと思っています。逆に言うと、誰かに必要とされていると言えないとか、胸を張れないような仕事をやっているとか…という企業は、問題を感じますね。


●補助金頼りが悪い理由とは? 途切れると速やかに破綻するため

2013/2/2:これは様々なことに言えるんですけど、何か一つのことに頼ってしまった場合、その一つが途切れたときにはあっという間に崩れ去るということが起きます。橋下徹大阪市長で問題になった文楽の件もそういったものでした。補助金がないと存続できないという状態は非常に脆いということがわかります。

<結局、大阪市は文楽協会に対して3900万円の補助金を出すことになったという。しかし、橋下徹市長の伝統芸能の継承と公金からの補助金とはまったく別のモノであるという考えは正しい。
 伝統芸能は自らのチカラで継承の方法を考えるべきであり、補助金に頼るばかりの芸能は伝統芸能とは言えない。文楽が、いくら室町時代からの歴史があるとはいえ、府民や市民に受け入れられなければ、廃れるのもしかたがないことである。
 歌舞伎も戦前に危機的状況にあったことがある。松竹のバックアップもあったが、都民の支援で見事に再生した。文楽もまず閉鎖的な組織を切り崩して、もう一度市民に立ち向かうべきである>
(文楽補助金、橋下市長が正しい 2012-10-04 14:04:14 室町草人の「天空サーカス」より、改行は変更)
http://blog.goo.ne.jp/tencoo_circus/e/4fe685d6a56f00ae964cce43bd7991e2


●市の管弦楽団、スポールチーム、五輪強化にも税金投入

 上記ブログの方は仙台市にお住まいのようで、"仙台市も、仙台フィルハーモニー管弦楽団という「お荷物」を抱えている"としていました。仙台市は年間3億円の補助金を出し、ジュニアの指導料として1600万円あまりを支出。加えて、公演ごとに、独立行政法人の日本芸術振興会から年間5900万円の補助金が出ているとのことです。

 しかし、定期演奏会の入場者は、ほとんどが常連メンバーで、新規に聴きに来る市民はほとんどいない、とされていました。これについて、"「補助金への甘えの構造」がある"といった厳しい言い方をされています。「甘え」の有無は別として、自治体や国頼りの事業というのはよくありますよね。

 たとえば、スポーツチームなんかも自治体や企業の支援がないとやっていけないところがありますよね。これは本来不健全です。また、国のスポーツ予算で五輪でメダル獲って国威高揚!って中国じゃんなどで書いているように、オリンピック関連の税金投入に関しても私は批判的です。


●エコポイントとエコカー減税・公共事業でも問題発生

 それから、エコカー・エコポイントもそうですね。一時的には良いことに見えるものの、不自然に作り出した利益の反動で一気に苦しくなることがあります。これは、エコポイントとエコカー減税は失敗 需要の先食い・バラマキ・成長産業潰しで書きました。

 また、公共事業を過度に増やすのもやはりよくありません。公共事業を減らしたら建設業界が苦しくなるという批判がありますが、そうなると常に同じ量になるように公共投資を続けなくてはいけないということになります。

 この論理で行けば、一時的に公共事業を増やすのもダメですよ。ピークに合わせて大きくすると、その後必ず「減って苦しくなった」と言いますからね。ドーピングなしだと結果の出ないスポーツ選手みたいなもので、本来実力に伴わないものを無理やり維持しているためかなりいびつな形になります。


●寄付で病院運営…で大量の死者が出かねない理由

 で、タイトルでもう一つ挙げた寄付の話。寄付が悪いことだとは言いません。ところが、これもある意味危険なのです。元は削除されちゃったそうなので、孫引きですけど、こんな話がありました。
[マクロ経済] カンボジア医療視察報告  2012.03.28
http://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20120328_1305.html

3月11日~17日の期間、NGO日本医療開発機構が主催するカンボジア医療視察ツアーに参加し、アジアの中で最貧国に属するカンボジアの医療実情を見聞する貴重な機会を得た。

⑥ NGO運営私立病院の事例として、ジュレマイヤーズホープ病院とシハヌーク病院の2つを訪問した。

両病院に共通して言えることは、海外のスポンサーからの寄付で運営されているため、寄付が削減されればその分だけ必然的に医療機能も縮小してしまう点である。

(中略)同病院は、(中略)毎年200万USドルの寄付を受けることにより2010年までは24時間診療体制ができていた。しかし、(中略)寄付が止まったため、日中のみの診療になっている。

⑦ NGO運営私立病院の診療体制は劣悪と言わざるを得ない。両病院とも医療機器は海外からの中古品の寄付に依存しており、故障した場合に修理ができないために使われなくなった医療機器がたくさん放置されていた。ジュレマイヤーズホープ病院では、外来患者が炎天下で受付の順番を待つことを余儀なくされていた。

シハヌーク病院は、HIV(エイズウイルス)と結核の感染患者の外来に注力しているが、驚いたことにHIV感染者と結核患者が同じ場所で診察を待っていた。これを見て私は、1980年代に米国の連邦刑務所で起きたパニックを思い出した。

シハヌーク病院ではそのようなリスクがあることを理解していても医療資源に余裕がないのだと思われた。ちなみに、同病院のICU(重症患者の病床がある部屋)には感染症患者隔離室も併設されていた。この隔離室は、室外に病原菌が漏れないようにするための陰圧機能が付いているとは到底思われなかった。
http://wmdata.main.jp/jittai-2/sihanouk.html

 上記は削除されているため内容に問題があったのかもしれません。仮にそうであったとしても、寄付に頼った病院があり、その寄付が止まった場合をシミュレートしたと考えてみるだけで価値のある話。その不安定さがよくわかると思います。

 無論、寄付に頼らない運営をするという方が難しいのは確かなのですけど、いざ危機となったときに対処のしようがないというのは以上のように事実。「目指すべきものは自立」という認識は、常に持っていてほしいと思います。


●福島第一原発事故の賠償金、仕事をすると損するしくみに

2012/3/26:これは絶対に必要というものなのですけど、同様の問題があったのが、東日本大震災で起きた福島第一原発事故での東電による損害賠償のしくみです。働かないほど賠償金が増える異常なしくみだったというのです。

 なぜそういう話になるのか?と言うと、被災企業は、事業を再開できなければ、東電に損害賠償金として震災前の利益を請求できるというやり方のため。早く仕事を始めた方が損というしくみになってしまったのです。

 しかし、いち早く事業を再開した楢葉町で建設機械向けのエンジン部品を製造していたという東信工業の志田五郎会長は「一生懸命働くほどお金がもらえなくなるなんて本当にバカな話。だけど賠償金が切れた後、ほかの会社はどうするつもりなんだろう。取引業者だって離れちゃうよ」と指摘していました。
(流れ込むマネー、被災地もう一つの断面(要登録 日経新聞 2012/3/12 7:00)より)

 上記までの話と同じく、賠償金が入っているうちは良いものの、賠償金に頼りきりになってしまうがために、その後事業が成り立たなくなる危険性があります。この働かないことに慣れてしまう危険性は、義捐金頼りになってしまった個人の問題にもなり、頭が痛い話です。


●人助けでありやめるべきではないが、復興特需に頼ることも危険

 寄付以上に素晴らしいことであり、やめるべきという話ではないのですけど、復興に携わる人や被災者のために泊まる場所を提供した旅館にも同様の危険性がありました。
 いわき市では原発事故の風評被害で観光業も深刻な打撃を被ったが、いわき湯本温泉は多くの旅館で「満室状態」が続く。

 盛況の理由は、復旧工事や原発事故対応に携わる大手企業が旅館を借り切り、現場作業員の宿舎に使っているからだ。旅館協同組合に加盟する27軒のうち、20軒近くが作業員中心か、作業員専用に部屋を提供。一般観光客向けは5軒だけになったという。

 観光客の誘致活動も料理や風呂の演出も必要ない。営業努力をしなくても、平日も週末も満室で、きちんと宿泊代が入ってくる。だがこんな状態が長く続くはずがない。復興が進めば、現場作業員は離れ、常連客が離れた温泉街にはいずれ黄昏が忍び寄る。

 観光客が離れた温泉街はどうなるか。現実にこんな例もある。

 福島市郊外の山あいに広がる土湯温泉。(中略)震災前に16軒あった旅館のうち、半数近い6軒が休廃業に追い込まれたという。(中略)

 震災直後に休廃業に追い込まれた旅館は3軒。福島県内の温泉地が風評被害による観光客離れに苦しむなか、土湯温泉は原発周辺地域から避難した浪江町などの住民約960人を受け入れ、それ以外の旅館は何とか経営を維持できた。だが11年夏以降、仮設住宅の建設が進むと様相が変わる。

 実は福島市の市街地に比べ、土湯温泉の放射線量ははるかに低い。だが避難者の宿泊を優先させた結果、一般観光客の誘致が後手に回った。避難者が徐々に仮設住宅に移るなか、夏の観光シーズンも観光客は戻らなかった。秋に入り、さらに3軒の旅館が廃業したのはこのためだ。

 記事では理由を断定しすぎな気がしますが、仮に他の温泉地との比較して廃業が多いとすれば、理由の1つとして考えられそうです。もちろん避難者の受け入れをしたことは素晴らしいことであり、それだけにやるせないことです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■国のスポーツ予算で五輪でメダル獲って国威高揚!って中国じゃん
  ■エコポイントとエコカー減税は失敗 需要の先食い・バラマキ・成長産業潰し

【関連投稿】
  ■人道援助のNGO団体の商売・寄付ビジネス 四肢切断の経済的合理性
  ■スポーツとナショナリズム ヒトラーの「ナチ・オリンピック」が最高傑作
  ■ロンドンオリンピックのメダル 人口・GDPあたりの獲得数ランキング
  ■ビジネス・仕事・就活・経済についての投稿まとめ

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