以下のシリーズの関係です。
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国家公務員の給与の推移(人事院勧告改定率) ■
民間の給与の推移 賃金の上昇率(定昇込み) 人事院調べ 人事院勧告で出していたデータを見ても、国家公務員と民間の給料が連動しているように見えませんでした。(具体的には公務員の給料が上がらなすぎに見える)
で、Wikipediaを見てみることに。
給与決定の要素
国公法は職員の給与を決定する要素として、「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情」を挙げている(第64条第2項)。この規定により、人事院は毎年国民一般の標準的な生活費用(標準生計費)と民間賃金の調査を実施している。実際の給与勧告にあたっては、人事院が官民給与の比較を行い、両者の較差を算出し、職員の給与を民間給与にあわせること(民間準拠)を基本として、俸給表・手当の改定内容を決定する。
民間準拠原則を採用する理由について、人事院は「国家公務員も勤労者であり、勤務の対価として適正な給与を支給することが必要とされる中で、その給与は、民間企業とは異なり、市場原理による決定が困難であることから、その時々の経済・雇用情勢等を反映して労使交渉等によって決定される民間の給与に準拠して定めることが最も合理的であり、職員の理解と納得とともに広く国民の理解を得られる方法であると考えられることによる」と説明している。
なお、生計費は前出の国公法第64条の規定で給与決定の条件の一つに挙げられてはいるが、現在の勧告実務においては全体の給与水準を直接左右する要素としては扱われておらず、俸給表作成時に号俸の盛り付けの参考とされるにとどまっている。これは、生計費は民間給与の形成段階で既に織り込まれており、官民給与の比較をすれば同時に生計費への配慮を行ったことになるとする人事院の見解による(佐藤2009、pp.45-46)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E9%99%A2%E5%8B%A7%E5%91%8A 難しくってさっぱりですけど、どうやら民間準拠にしようという考え方はあるようです。
次にやや具体的な話。
民間準拠のためには、民間事業所の従業員の給与と、国家公務員の給与の実態を把握する必要がある、民間給与については、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や国税庁の「民間給与実態統計調査」など政府機関による様々な調査が行われているが、いずれも国家公務員給与と直接比較するための資料としては不十分である。そこで人事院は、官民給与比較に最適な独自の調査として「職種別民間給与実態調査」(通称「民調」)と「国家公務員給与等実態調査」を実施している。
「職種別民間給与実態調査」は、公務と類似する職種に従事する常雇従業員について個人別に4月分の月例給与等を調査する「従業員別調査」と、事業所別に給与改定や雇用調整等の状況、手当制度を調査する「事業所別調査」から成る。大規模な実地調査であるため、人事院が都道府県・政令市などの人事委員会と共同で行う。期間は例年、5月1日から50日間程度である。なお、特別給(賞与、ボーナス)は月例給とは別に「事業所別調査」で調査する。調査対象は企業規模50人以上で、かつ事業所規模50人以上の民間事業所であり、地域別に、産業、規模等により層化無作為抽出される。「従業員別調査」もその標本事業所の従業員が対象となる。
2009年の調査では、50232事業所を対象に、前述の基準で910層に層化し、うち11100事業所が無作為抽出された。「従業員別調査」の調査実人員は78職種に就く463712人であった。
調査対象事業所を事業所規模50人以上とする理由は「これによって、公務と同種・同等の者同士による月例給比較が可能であり、精緻な実地調査による調査の精確性を維持できる範囲で、民間企業の従業員の給与を広く把握し反映させることができ、民間企業の常雇従業員の六割強をカバーできるということに基づく」(佐藤2009、p.44)と説明されている。
一方、国家公務員の給与は「国家公務員給与実態調査」を通して把握される。こちらは人事院が全職員を対象に毎年4月1日における給与実態を調査する。両調査ともに職種、役職段階、年齢、学歴、勤務地域といった給与決定要素別に細かく給与を調査しており、官民給与の精密な比較を行うための基礎的統計となっている。
この前の主要企業とこれいっしょなんですかね?全然連動していなかったんですけど。
比較の項目。
公務・民間給与の比較方法
官民給与の比較は、民間、公務員の両実態調査を基に行われる。単純に平均値を比較するのではなく、仕事の種類、責任の度合い、年齢、学歴、勤務地域といった主な給与決定条件を同じくするグループごとに比較し、国家公務員の人員構成を基準としてラスパイレス算式で全体の官民較差を算出する。
税務、公安職等は民間に比較すべき職種がないため、比較から外されている。特別給も比較方法は一般給与と同じだが、単位に年間支給割合を用いる。
一方、こんな話も。
日本の賃金決定機構における機能
給与勧告は国家公務員の一般職非現業職員の給与を対象とするが、公務員の給与法制上、公共部門全体の給与水準がこれに連動し、また一部の民間給与にも逆作用するため、日本の賃金決定機構において重要な機能を持っている。高度経済成長期にあっては、春闘相場の設定自体に大きな影響を及ぼすこともあった。このため、マルクス経済学の立場から、人事院の給与勧告を「国家独占資本主義の段階における賃金決定過程への国家の直接的介入」「政府のイニシアティブによる賃金水準の統制」と規定する研究者もいる(神代1973、p.105)。また、大局的には、消費経済の動向に影響を与えることになる。
民間部門
給与勧告は民間給与を基に決められるが、これが直接または国、地方公共団体及び政府関係機関の職員の給与を媒介して民間給与にも一定度逆作用する。具体例としては、私立学校、私立病院、農業協同組合、(春闘に参加できない)中小企業等が挙げられている(早川1979)。中小企業の多くは給与勧告後の夏から秋にかけて賃金改定を行い、その中の一定数が勧告を基準としているとされる。
まあ、早い話お互いに影響しているということになります。
国家公務員の給与削減に反対していた自民党の西田昌司参院議員はこういう理由ですかね。ただ、西田昌司さんは「マクロ経済学」と当時言っていましたけど、こちらでは「マルクス経済学」となっています。
関連
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国家公務員給与を平均7.8%削減案に西田昌司造反と2ちゃんねるの好き嫌い マルクスってのは共産主義運動のマルクスさんですね。マクロ経済学はミクロ経済学と対応した名前ですけど、マルクス経済学もまたかなり違うようです。
ところで、国家公務員の給与は上記の説明を見ていると民間の給与にかなり強固に連動するように見えますが、国家公務員→民間の影響力は低いと思われます。
もし国家公務員→民間の影響力もガチガチだった場合は、ずっと同じ比率で変化し続けることになっちゃいますが、現実にはそんなことは起こっていません。
なお、調査対象を大きめの事業所に絞っているのは、個人的には理解しづらいと感じます。
私は公務員は仕事の内容的に民間企業の平均よりずっと多く貰っても構わないと思いますが、上記の決め方では世間の景気の反映が薄くなります。
景気が悪くなった場合を考えてみると、苦しい事業所は働いている人の数を減らすと考えられます。
そうすると、本当にうまくいっていない事業所は調査対象から外されるため、実際より給与の低下が少ないように見える気がします。
また、人が減りながらも調査対象に留まった事業所であっても、解雇された人の次の職が小さい事業所あるいは非正規雇用・パート・アルバイトだった場合の賃金低下分が反映されないのではないかとも思います。
これらは同様に解雇まで行かなくても退職者補充をやめて、外部委託で代用、非正規雇用・パート・アルバイトで代用といった形でもいっしょです。
次は
民間の給与の推移 賃金の上昇率(定昇込み) 人事院調べとは別の民間企業の給与推移についてです。
追加
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