「食糧危機 日本」で検索すると、やはり刺激的なタイトルのページが見つかるんですけど、なんか「それは嘘だよ」みたいな記事を見けかました。
"マスメディアは、人口爆発によって深刻な食糧不足が遠からず起こると危機を煽"ります。ところが、"川島氏によればこれは因果関係が逆"なのだそうです。
どういうことなのかと言うと、"食糧の増産が可能になったからこそ人口が増加した"ということです。
ちょっと残酷な言い方をしますけど、確かに生まれたそばから死んでしまえば人口は増えようがありません。
食糧危機=アフリカのやせ衰えた子どもたちというイメージも誤魔化しがあるようで、データによれば「最貧国」とされる"エチオピア人の摂取カロリーは日本人を上回る"そうです。
やせ衰えた子どもたちがいないわけでも、エチオピアが豊かな国であるわけでもないんですけど、単純に捉えてしまうと間違えるようです。
エチオピアがたいへんなのは、"内乱や旱魃ですぐに飢饉が起きる"から…といった説明。"内戦などの政治的混乱から土地を追われ、農地が荒廃してしま"うと、食べるのに困る人が出てくるわけですね。
あと、よく「ウシの飼料を作るせいでに人が食べるものが作れないから、牛肉は食べてはいけない、なるべく他のものを食べよ」と啓蒙しているサイトがあります。
ところが、"牛肉と羊肉の生産量はあまり変わらないが"、"豚肉と鶏肉の生産量が大きく増え"たそうです。ウシの飼料がたくさん必要なのは本当なんですけど、その分増えづらいんですね。
実際には相対的に見て、牛肉は激増というほどではないようです。
また、牛肉の需要は将来的にもあまり増えないのでは?とされています。
食に対する好みはさまざまで、中国人は牛肉より豚肉を好み、ヒンドゥー教徒は牛肉を食べず、インドの富裕層は宗教上の理由からほとんどが菜食主義で、イスラム圏では豚肉は禁忌で鶏肉が好まれる。
このように、経済発展で食肉への需要が大幅に増えたとしても、牛肉の増産のために飼料の奪い合いが起こったりはしない。食肉需要による食糧危機説は、ステーキこそが最高の料理だという欧米人の偏見から生まれた妄想なのだ。
しかし、これはどうでしょうね?いわゆる欧米化が、食でも進むことはあり得ます。
日本だって菜食主義な生活だったのに、肉を普通に食べるようになりました。変化することもあるでしょう。
次の部分。
いわれてみれば当たり前なのだが、農産物が稀少で価格も高ければ、農業が経済的に成立しないという意味での「農業問題」は起こらない。農業問題というのは、穀類などの供給が過剰になり、売り先がなくなって価格が低下し、農家の収入が下がって生活が成り立たなくなることをいうからだ。
それに対して食糧問題とは、食料の需要に対して供給が過少になり、必要なひとが食料を手に入れられなくなることをいう。供給過剰(需要過少)による農業問題と、供給過少(需要過剰)による食糧問題は経済学的には正反対で、両者を同一のものとして語ったり、同時に解決することは原理的にできない。
それにもかかわらず日本国内の農業問題についての議論は、いまだに終戦直後の食料不足を前提としており、食料の過剰(作りすぎ)という現実を無視しているため、まったく意味のないものになっている。
だいぶ飛ばして、最後のまとめ。
川島氏は日本の農業の将来について、いくつかの提言をしている。
ひとつは、「食糧危機」や「食料自給率」などという荒唐無稽なつくり話で政策を論ずることをやめること。食料はあり余っており、いつまで経っても食糧危機はやって来ず、食料自給率は無意味だ。
ふたつめは、日本の農業に競争力があるとしたら、規模の経済が必要なコメづくりではなく、広い土地を必要としない畜産や野菜栽培だということ。オランダの食料自給率はわずか18%だが、トマトやチーズをEU諸国に輸出して大きな利益を上げている。日本の農業も、アメリカの大規模農業に対抗するのではなく、オランダのようなニッチ戦略に特化すれば、中国やアジア諸国への輸出を大きく伸ばせるだろう。そのためには、TPPにも早期に参加しなければならない。
三つめは、コメを自由化したとしても「競争力」が生まれたりはしないということ。新世界(北米やオセアニア)の大規模農業はあまりにも強力で、平地が少なく農地の権利関係が複雑な日本でははじめから相手にならない(競争上の優位性がないのだから競争しても仕方がない)。
そう考えれば、現実的には、コメを例外扱いにして農産物を自由化し、あとは政策で調整していくほかはないと川島氏はいう。強引なコメの自由化は農協などの強硬な反対を招き、輸出産業として育つ可能性のある畜産や野菜栽培の芽を摘んでしまうからだ(日本のコメ市場はアメリカにとって魅力的なものではなく、交渉はじゅうぶんに可能だという)。
TPPの話も出てきましたね。
アメリカは日本のTPP参加を望まない?日本の狙いどころは自動車業界では、コメだけじゃなくアメリカでは農業自体があまり盛り上がっていないと言われていました。
日本で"コメを自由化したとしても「競争力」が生まれたりはしない"って話は新鮮でした。TPP賛成側でこうやって言う人は記憶に無いです。
追加
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