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プロスポーツの指導者、「教える」「叱る」より「褒めて伸ばす」 権藤博


●「教えてうまくなるやつはいない」というユニークな指導理論

2013/2/6:「教えないコーチ」から体罰をみると… 日経新聞 2013/2/5 7:00という記事は、直接的には体罰問題の絡みのものなのですけど、それ抜きでも興味深い話でした。「教えない」という指導法と体罰は正反対ではないかと、「教えない」が持論のコーチに話を聞いてみたというものです。

<「教えてうまくなるやつはいない」というユニークな指導理論を持ち、選手の自主性を引き出して成果を挙げてきたプロ野球中日の前コーチ、権藤博さん(74)。柔道をはじめ、全国で持ち上がっている体罰問題はそれと対極にある指導から生じたといえる。力ずくで「教え込もう」とする指導者をどうみるのか>

 書き出しで<毎年入団してくる若い人たちをみていて再認識したのはプロ野球に入ってくるような選手は体格も運動センスも恵まれた、特別な才能の持ち主ばかりだ>とあります。「だから、プロでトップを狙おうという選手に教えてうまくなるやつはいない」という論理だとのこと。なので、一般論ではなく、特殊な話なんですね。


●選手の精神が大事だが、根性論的な精神論が大事という意味ではない

 とりあえず、権藤博さんがコーチとして大事だと思っているというのは、精神面の手伝い。根性論的な意味での精神論ではなく、ケア的なものですね。もともとプロになるような選手はみな才能があるのだから、その才能を発揮させてあげられるかが、コーチにとって重要だという考え方のようです。

<実際には自分自身の才能に気付かなかったり、失敗を重ねて自分の長所を忘れてしまうなどの理由で伸び悩むケースが少なくない。そこでコーチの出番となるわけだが、一番大事なのは選手に自信を回復させ、前向きに進む勇気を持ってもらうこと。それがコーチの一番の仕事だと思っている>

 権藤博さんに、マラソンの渋井陽子選手らを指導する鈴木秀夫監督の話もしていました。鈴木秀夫監督の場合は、「褒めて育てるのが信条」というそこまで変わったタイプではありません。体罰・叱る路線以外では王道でしょう。ただ、力んでゲキを飛ばすことすらないというのは、すごいですね。ここまでの人はやはり珍しいでしょう。

<駅伝のゼッケンを渡すときも、とくに訓示はしない。「練習で全部教えているから、特にいうことはない」というのだ。練習ではこまごました指導をしているのかもしれないが、いざ選手を戦いの舞台にあげるにあたっては任せるしかない。私もまさに同じような考えで選手と向き合っていた。
 ちなみに鈴木さんは高橋尚子選手らを育てた小出義雄監督の教え子であり、小出さんもまたそういう指導者だったのではないだろうか>


●プロスポーツの指導者、「教える」「叱る」より「褒めて伸ばす」 権藤博

 権藤博さんも鈴木秀夫監督がやっているのと同じ「褒めて伸ばす」を推奨しています。<体罰を与えた方が伸びるか、褒めた方が伸びるか。これはもう褒めた方がいいに決まっている。それが私の40年あまりの指導経験による結論だ>としていました。また、体罰というか、「しかる」ということに関しての話もあります。

<自分はここで勝負する、それで生きていくしかないという核心的な部分で“駄目だし”をされたらどうだろう。スポーツの世界に限らず、自分のすべてが否定された気持ちになるのではないだろうか。負けることによって、一番悔しく焦っているのは当の本人だ。だから、そこを叱るときは本当に慎重にしないと選手の傷口に塩をすり込み、萎縮させるだけの結果に終わってしまう>

 萎縮するんじゃなくて、意固地になって言うことを聞かないというパターンもあるかもしれません。「体罰はいけない」という指摘に関する反発が、まさにそういうものじゃないかなぁ?人間ってなかなか間違いを指摘されても直せないんですよね。コメントの返事の仕方 相手を傷つけない方法は?では、"議論に負けても、その人の意見は変わらない"という話をやりました。正論や正しい指摘であっても、変わろうとしない人は変わりません。人をその気にさせるってのは相当難しいですね。

 権藤博さんは"「教えてうまくなるやつはいない」は言い方としては極端だ"と認めていますが、<(引用者注:体罰・暴力問題で)退任した柔道女子の園田隆二監督にとって指導とは「教えてうまくする」のが全てだったのではないか。一般的にはそれが当たり前だし「教えてうまくなるやつはいない」といっても、恐らく何を言っているのか、理解してもらえないだろう>としていました。なかなか人に伝わらない主張だろうと思います。


●体罰コーチが告白「体罰以外の指導法は考えられない。どうすりゃいいの?」

2021/04/26:新聞社の体罰賛成論「教師が怒っただけで体罰と言われるので生活指導できない」の方に追記しても良かったかな?という感じですが、体罰はダメ、ではどうすれば? 悩み闘う指導者たち:朝日新聞デジタル(2019年1月27日)という記事について。体操の日本女子代表候補だった宮川紗江選手への暴力行為を理由に、日本体操協会から無期限の登録抹消処分を受けた速見佑斗コーチは、取材に対して以下のように言っていたそうです。

<2010年に指導者生活に入った当初は、たたいてもいいと思っていました。自分は現役時代、バシーンとたたかれてシャキッとする感覚があったので、選手の気持ちを引き締める手段として使っていました。その後、そういう指導がはっきり否定される時代になり、「確かにこの方法は違う」とはわかっていても、では他にどうすればいいのかがわからないという壁に当たりました>

 「体罰はダメ、ではどうすれば? 悩み闘う指導者たち」というタイトルからすると、もっと悩ましい難しいケースの話なのだと思っていました。ただ、叩く以外に選手の気持ちをコントロールする術を知らない…というのは、あまりにも稚拙で驚き。体罰賛同者の人たちってこういうレベルだったんですかね…。「僕と同じように悩んでいる現場の指導者も実際に多くいます」ともおっしゃっていました。

 とりあえず、現在では、「メンタルトレーニングや心理学を勉強し、怒りの正体が何か、またどうすれば感情のコントロールができるようになるのかなど、多くのことを学んでいます」とのこと。一方で、「今はもう手を上げることは一切ありませんが、感情面でいろいろなものと戦っています」としていました。とりあえず、変わろうと努力しているようなので、それは応援したいところです。


【本文中でリンクした投稿】
  ■新聞社の体罰賛成論「教師が怒っただけで体罰と言われるので生活指導できない」
  ■コメントの返事の仕方 相手を傷つけない方法は?

【関連投稿】
  ■野球選手は体罰賛成83% しかし、同じ体育会系でも桑田真澄は反対で全否定
  ■スポーツは体罰なしで強くなる サッカーで体罰の少ない理由
  ■体罰経験者ほど体罰に賛成で未経験者の3倍「殴られなかったら逆に不安になる」「叩かれるのが普通」
  ■体罰のある学校の生徒の行動が悪いから体罰が必要は自己矛盾 桜宮高校の生徒が橋下徹市長に殺害予告や部落民ツイート
  ■人生・生活についての投稿まとめ

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