●リチウムイオン電池爆発の危険性 異常発熱問題を抱えた結構危ない二次電池
2013/2/8:リチウムイオン電池の話は以前も書いていますが、今回は「爆発」という穏やかではない話です。なお、以下では「二次電池」という言葉が登場します。これは「充電して繰り返し使える電池」のことです。「リチウムイオン二次電池」は、一般に言う「リチウムイオン電池」と同じものと考えてください。
リチウムイオン二次電池の異常発熱問題
<リチウムイオン二次電池の異常発熱問題(リチウムイオンにじでんちのいじょうはつねつもんだい)とは、リチウムイオン二次電池を利用中に、異常発熱や発火に至る問題である。
上記は
ウィキペディアの説明です。このページでは「発熱や発火」ということで、「爆発」という刺激的な書き方はしていません。ただし、<一般に、他の二次電池に比べてリチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高いために、本来的に危険性が高い二次電池である>とは記載。比較的危険性の高い電池であることを明記しています。
しかも、記事によっては実際に「爆発」という語を用いていることもあります。以下は、
発火・爆発の心配がない新型リチウムイオン電池(2005.8.29 MON ワイアード)という記事の書き方。この記事は、タイトルからして「爆発」というワードが出てきています。
<ノートパソコンや携帯電話で広く使われているリチウムイオン電池は、材料の酸化コバルトの揮発性が高く、
爆発の危険性があることから自動車などでは使用されていない(中略)
化学的には単純なことだ。リチウムイオン電池は非常に強力なため、ノートパソコンや携帯電話で広く使用されているが、単位グラム当たりの発電量を大きくするために用いられる酸化コバルトは揮発性が高い。つまり命にかかわるような爆発を起こす危険性がきわめて高いので、たとえば自動車といった、大規模な用途には適さない>
「命にかかわるような爆発」までは行きませんが、携帯電話やノートパソコンなどのリチウムイオンバッテリーの発火事故は結構あるようです。先のWikipediaでは理由を以下のように説明しています。
<エネルギー密度の高さから軽量化が図れるために携帯機器に利用される事が多いが、こういった機器においては小型化や利便性の為に充放電条件や衝撃保護などがスペックぎりぎりで運用される事も多い。さらに、リチウムイオン二次電池は、水溶性電解液を使用するニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池などと異なり、有機溶媒を使用しているため高温で発火する危険性がある。このため、これらを見越した上でリチウムイオン二次電池には多重の安全対策が施されている。しかし、それでもなお、取り扱いの悪さや製造上の欠陥により発熱・発火に至る事例が後を絶たない>
この問題が大きく知れ渡ったのは、Wikipediaでは2006年の大型リコールだと書いていました。ただし、それ以降にも多数問題が起きており、問題が解決されたわけではありません。日本のメーカーが製造したバッテリーでも多数問題が起きていることがわかります。
<2007年3月2日、レノボが三洋製のバッテリーパック約20万個を回収するという、報道があった。アメリカ合衆国で4件、ヨーロッパで1件の事故が確認されている模様。(中略)
2007年8月14日、松下電器産業子会社の松下電池工業がノキアに供給したバッテリーパックBL-5C、 4600万個の交換にノキアが応じると報じられた。すでに100件前後の問題が市場で確認されており、充電することにより異常発熱・変形し携帯電話本体に装着できなくなったり、電話機が熱で破損したりする。(中略)
2008年8月19日、経済産業省は、アップルジャパンが発売したiPod nanoにリチウムイオン二次電池が原因と推定される過熱・焼損事故が複数発生している、として注意喚起を行なった。(中略)なお、この事故においてはバッテリーのメーカーは公表されていない。
2011年、BYD社が製造した電池を搭載した電気自動車BYD・e6、A123・システムズ社製の電池を搭載したフィスカー・カルマがそれぞれ個別で炎上する事件が発生。また、LG電子製の電池を搭載したシボレー・ボルトも衝突実験中に炎上する事件を起こした>
途中で使ったワイアードの記事は「発火・爆発の心配がない新型リチウムイオン電池」というタイトルでした。これは安全な自動車用のリチウムイオン電池を作った(米バレンス・テクノロジーズ社)という話であり、他社でもおそらく安全性に見通しをつけてリリースしているはずです。ただ、炎上事故自体は防げていないみたいですし、今後電気自動車が普及してくると事故件数も増えてくるかもしれませんね。
【関連投稿】
■
リチウムイオン電池の寿命を長持ちさせるのは、使い切って満充電?継ぎ足し充電? ■
携帯電話でリチウムイオンバッテリーの寿命を長持ちさせる メモリー効果と充電回数 ■
蓄電池と電気自動車(EV)と再生可能エネルギーの全量買取制度 ■
2011年日本企業が世界シェアトップは9品目 トヨタ自動車首位転落、リチウムイオン電池(パナソニック)1位浮上 ■
ディーゼル車はガソリンエンジン車より燃費が良く、二酸化炭素排出量も少ない ■
商品・サービス・技術についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|