2019/09/26:
●日本など世界で苦戦のネットTV、中国のマンゴーTVは黒字に
●日本の10倍以上…成功したのは単純に中国の人口が多いから?
●保守的どころか超革新的!利益を捨ててチャレンジ、若者起用など
●ネット専業企業よりもネット企業らしい考え方をする従来型テレビ局
●日本など世界で苦戦のネットTV、中国のマンゴーTVは黒字に
2019/09/26:
AbemaTVはなぜ赤字?先行投資説・税金対策説・普通にヤバイ説などという話をやっていたので、「黒字」というワードが入っていた
黒字の「中国版AbemaTV」、マンゴーTVに学ぶべきもの:日経ビジネス電子版(藤井 直毅 2019年7月30日)という記事が気になりました。黒字のことはメインじゃない可能性もありそうですが、読んでみます。
AbemaTVでわかるように、日本のテレビ局が運営に関わるネットTVは苦戦。収益を出せていません。記事によると、そもそも動画ビジネスはインフラやコンテンツコストが莫大で、インターネットビジネスの中でも世界的に収益化が非常に難しい分野のひとつだとされていました。
一方、中国にはテレビ局が運営し、黒字を確保しているネットテレビが存在。しかも巨大資本であるBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)を背景にしたネットテレビ3社のすぐ後ろの業界4位につけ、年内にも3位の座を奪う勢いだとされていました。中国で最も有力なテレビ局の1つ湖南衛視系のネットテレビ局「マンゴー(芒果)TV」です。
●日本の10倍以上…成功したのは単純に中国の人口が多いから?
この時点で思ったのは、単純に人口の違い。例えば、国の人口の1%の人が見る番組の場合、日本は120万人、中国は1400万人。どちらが高い広告料を取れるか?と言うと、当然中国です。単純すぎて話がすぐ終わってしまうので、たぶん記事はそういう話じゃないと思うのですけど…。
記事によると、現在4位のマンゴーTV のユーザー数は、トップの愛奇芸(アイチーイー)の7分の1程度。規模で言うと、上位企業の方が収益化しやすいように思えますが、なんとトップ3はいずれもまだ赤字のまま運営。マンゴーTVは、他社がずっと巨額の赤字を続ける中、開局から3年で黒字化に成功し、5年経った今も続行中。私が予想した人口の問題ではないようです。
当初は赤字でも先を見据えてやるというのも優れた手段であり、利益優先で保守的に運営し、将来に繋がる規模拡大を逃して、未来では負けるのでは?といった可能性も考えました。ところが、どうもそういう保守的な企業でもない…というのが、記事を読み進めていくとわかりました。
●保守的どころか超革新的!利益を捨ててチャレンジ、若者起用など
この記事は、マンゴーTVの総裁助理、プラットフォーム運営及び広告セールス部門の副総裁でもある方菲(ファン・フェイ)さんにインタビューした…というものでした。
彼によると、湖南衛視は昔からコンテンツ力に定評があったテレビ局。バラエティのようなエンターテインメント系で中国の草分け的な存在であったようです。そして、そのコンテンツ力から他の大手動画サイトやネットテレビ局にそのコンテンツを売るというビジネスで大きな収益を上げていました。自社のネットTVがない状態で成功していたのです。
ところが、この既に大きな収益を上げていた番組外販を捨ててマンゴーTVを設立した…というのが設立の経緯だというので驚き。単純に収益重視で、保守的にやっているというわけではなく、むしろ逆に収益を上げていたものを捨てて新たなチャレンジをした上に、そちらでも速攻で収益化してきたということ。想像以上にものすごい話でした。
初めての自社制作の番組に8000万元以上を投入、非常に若く大プロジェクト未経験の若いプロデューサーを起用して成功など、ここらへんのチャレンジ具合には半端ない勢いがあります。日本では到底考えられそうにありません。
エンターテインメント系で中国の草分けであったというのもそうなのですけど、どうもイノベーションやチャレンジを推奨する社風みたいですね。従来型であるテレビ局は保守的になるのが普通なのに、そうではないタイプの模様。日本にはない感じのキレッキレな従来型テレビ局です。
●ネット専業企業よりもネット企業らしい考え方をする従来型テレビ局
後半の
「中国版Abema」マンゴーTV、番組作りはデータ使い内製で:日経ビジネス電子版では、コスト面の話がありました。番組作りが外部委託ではなく、主に内部でやっているというのが他社と違うところで、これがコスト削減に繋がっているとのこと。加えて番組制作のプロであり、内部なので好みも把握しているのが強みだとしていました。
ネット企業においても内製にするか、外部委託にするか?といった議論があります。一見たいへんなようでも、外部委託せずに内部で技術者を雇った方が対応が早いなどの理由で良いという主張が優勢な感じです。ただ、ネットTVの番組制作においては逆にネット企業が外部委託して苦戦し、従来型テレビ局が内製という逆の構図なんですね。というか、日本のテレビ局の場合はそもそも外部委託が多いんじゃないかと思うのですけど、どうなんでしょうね。
また、データ活用という本来ネット企業が得意な部分も、マンゴーTVは重視。社内であれば裏側のデータを共有できるということで、予想外に反応が良かった部分など様々なデータを内部で共有して番組作りに生かしているとのこと。ネット専業企業よりよほどネット企業的で、最先端の考え方をしています。すごい企業ですわ。
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