食中毒や食品添加物・化学物質などの話をまとめ。<最大の食品リスク 添加物・化学物質・放射性物質ではなく食中毒>、<発がん性のある保存料ソルビン酸、ウインナー何グラムで健康被害?>、<本当に一番やばいのはあの嗜好品 日本伝統のあの食品も実は極悪>などをまとめています。
その後、<老人ホームで4人死亡…学校給食で9千人発症など…食中毒の怖さ>、<食品添加物の量、無害な値の1/100をさらに少ない値をさらに…>、<防腐剤・添加物不使用を売りに安全性アピール → 食中毒発生>なども追記しました。
2023/10/05追記:
●食品添加物の量、無害な値の1/100をさらに少ない値をさらに…
2023/11/18追記:
●防腐剤・添加物不使用を売りに安全性アピール → 食中毒発生
2023/12/02追記:
●食中毒で騒ぎすぎ?最も危険な「死亡の原因になり得る」該当 【NEW】
●危険なものは食べたくない…リスクのない食品とはなにか?
2013/2/12:今回の話は、納得の行かない人が多いかもしれません。納得できないというのは、普段マスコミによる恐怖心を煽る報道が多いことも一員になているでしょう。こういうものこそマスゴミ!と批判するにふさわしいのですけど、なぜか皆さんこの手の報道は大好きですね。
で、今回はそもそもどういう話なのか?というと、
本当に怖いのは? 食品リスクの「大きさ」の考え方/(2013/1/11 6:30 日本経済新聞 有路昌彦)という記事の話です。「食品リスクの大きさ」がメインテーマでした。
食品リスクとは、飲んだり食べたりしたことで健康をどの程度害するかを平均した値のこと。「リスクのある食品とリスクのない食品とがある」と理解している人が多いでしょうが、これは事実ではありません。漠然と「これはリスクがある」、「あれはリスクがない」といったように、「ある」「なし」で判断できるものではないのです。
もっと言ってしまうと、リスクのない食品などこの世には存在しません。リスクゼロを目指すなら、何も口にしないようにするしかないのです。非現実的で不可能な考え方なんですね。なので、リスクゼロではなく、どれくらいリスクが高いかを見ていく…などの考え方にならざるを得ません。
●最大の食品リスク 添加物・化学物質・放射性物質ではなく食中毒
記事によると、食品リスクの中で圧倒的に大きいのは、不衛生による「食中毒」。腸管出血性大腸菌、ノロウィルス、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌など様々あり、どれも不衛生な状況で作られた食べ物によって発生します。
「そんなことはない、添加物が悪いんだ」ってお叱りを受けそうですけど、もっと怒る人がいそうな記述も。<この食中毒のリスクは、放射性物質で健康被害と比較すると30万倍くらい、BSEの5万倍くらい、といった感じです>と書かれていたんですよ。これは頻度との関係かな。ちょっとしっかり算出方法を出していませんので、わかりづらいところがありますけどね。
最初に書いた「リスクのある食品とリスクのない食品とがある」という理解が間違っている…というのが、さらに次の部分で出てきました。水・酸素・紫外線・野菜…本当はこれらもみんなリスクがあるという話です。
<よく昔から、どこどこの商品を食べたらガンになる、あの食品を食べたらガンになる、というような情報がちまたにあふれていますが、これはまず「ウソ」です。
多くの場合、発がん性のある物質が検出された、といったところから話が生まれます。でも、実際には空気も水も野菜も、私たちが口にするものの全てに発がん性があります>
この後、有路昌彦さんは私の「リスクのない食品などこの世には存在しません」以上に、過激なことを書いていました。
<つまり、外を歩くだけでも発がん性があるのです。もしある食品からの発がん性を気にするなら、水を飲むことも息をすることも、外を歩くこともできなくなります。
人が生きる上で不可欠な酸素も遺伝子を傷つけますし、紫外線も遺伝子を傷つけます。野菜にはシュウ酸がありますし、水にもヒ素や微量の金属類もあります>
●発がん性のある保存料ソルビン酸、ウインナー何グラムで健康被害?
もちろんこの知識をもとに、「外を歩くな」「水を飲むな」「空気を吸うな」という話にはなりませんよ。私が普段くどいほど書いている、濃度や量について考えるのがポイントとなってきます。
たとえばウインナーに使う保存料のソルビン酸は、食中毒のリスクを下げるために極めて有効に作用して、リスクの削減に大きな効果を発揮します。一方で、ソルビン酸には発がん性があるので危険と主張して稼いでいる人たちもいるわけです。で、こっちに説得力を感じちゃう人が多いんですね。
ただ、雰囲気ではなく、具体的な量を考えてこの危険性を考えてみましょう。記事によれば、ソルビン酸では、
1食につき60kgくらいそのウインナーを食べると健康被害を受けるレベルにはなることがわかっているとのこと。60グラムじゃないですよ。60キログラムです!
そして、1回の食事でウインナーを60キログラム食べる人なんていませんよね。なので、ソルビン酸による健康被害を気にする必要はありません。同じように水や空気のリスクも問題となるレベルではないと言えます。さらに、それを取り入れることで得られるメリットの方がはるかに大きいとも言えますね。
●本当に一番やばいのはあの嗜好品 日本伝統のあの食品も実は極悪
あと、食べ物じゃないんですけど、タバコの話がなぜかありました。これもタバコ好きの人が怒りそうな話になっちゃっています。
「ぶっちぎりの健康リスク1位は、食べ物ではないですが、タバコ」ということで、食品リスクの大きさランキングにタバコを加えてみると、ひどさがわかりやすくなるようです。2005年当時でBSEの460万倍、現在BSEのリスクがさらに下がったので、10億倍くらいとされていました。
これから見ると、食中毒はずっと下。ただ、純粋に食べ物に関するリスクとしては、最大なんですね。で、この後出てくるのが、これまたなぜかあまり問題視されず「日本の伝統」と守られている「モチや食べ物をのどに詰める窒息」が続きます。
さらに言えば、流通されている食品で放射性物質関連とBSEのリスクは、何万とノミネートされている食のリスクランキングの最下位あたり。つまり、食品リスクの全体を小さくするためには、比較的リスクの大きい食中毒をできるだけ避けることが有効だと結論付けられていました。
でも、「おいおい、お餅ってそんなにヤバイのかよ…」と思っちゃうようなランキングでしたね。
●老人ホームで4人死亡…学校給食で9千人発症など…食中毒の怖さ
2021/04/23:「注意すべきは食中毒」に関係する話が
O157、食中毒予防の注意点は? 野菜しっかり洗って:朝日新聞デジタル(2016年9月8日)でありました。記事の当時、老人ホームで腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒があり4人が亡くなったというのがひとつ。また、1996年には、堺市で学校給食が原因で9千人以上が発症する集団食中毒が起きたことも重大さが伝わりやすい情報でしょう。
O157は、牛など家畜の糞便(ふんべん)中に見つかり、菌に汚染された飲食物で感染します。記事タイトルにあった「野菜しっかり洗って」というのは、この菌が野菜についていることが多いためです。安井良則・国立感染症研究所・元主任研究官は、以下のように注意喚起していました。
「最近は化学肥料などを使わずに栽培される野菜が増え、野菜に肥料の牛のふんなどが付いていることもある。O157が付着したまま調理することがないよう、しっかり洗ってほしい」
「浅漬けなどを作る場合は、野菜をしっかりと洗うことが大切だ。そうでないと同じことがまた繰り返されてしまう」
●食品添加物の量、無害な値の1/100をさらに少ない値をさらに…
2023/10/05追記:「食品添加物が悪い」という話をしている人やサイトは、もうその時点で不安を煽って稼ぐ悪徳商法かつニセ科学だと思って良いでしょう。指標としてわかりやすいので、楽といえば楽ですね。商売や自分の承認欲求のためにデマを流しているので、もちろん全然良いことではないんですけど…。
ところで、この食品添加物の摂取許容量の決め方を以前どこかに書いたと思ったのですが、忘れてしまいました。で、今回、ここに追記しておくことに。この摂取許容量は、「食品添加物が悪い」と思っていなかった私ですら驚くほど、安全に安全を見て決められたものでした。
まず、当然ながら、食べ物に使うことのできる添加物の量は、ラットやマウスなどの動物実験で、食品安全委員会や国際的な機関が 無害と確かめた量(無毒性量)以下です。この時点で安全であり、騒ぐようなことはなにもないのですけど、ここで終わりじゃないのです。
安全性に対する考え方 | 日本食品添加物協会によると、なんとすでに無毒で無害とわかっている数値から、さらに通常1/100の量を、毎日食べつづけても安全な量(1日摂取許容量)としているとのこと。しかも、これですらまだ終わりじゃないんですよね。
もうやりすぎじゃないか?と思うのですけど、「無害な量の1/100の量を毎日食べても安全な量」よりずっと少なくなるように法律で使用基準がきめられているといいます。しかも、この数値ですら実際に使われる量よりにずっと少なく使われていることも確認されているそうです。
つまり、無害な量から、さらに安全を見て、そこからさらに安全を見た上に、実際に使われている量はさらに少ないということ。もうわけがかわらないですね。わけがわからないので、以下に軽くまとめてみます。これだけ配慮して決めた値以下のものを、猛毒のように言っている人たちは悪質ですね…。
(1) 食品安全委員会や国際的な機関が 無害と確かめた量(無毒性量)を決める。
(2) (1)の1/100の量を、毎日食べつづけても安全な量(1日摂取許容量)として決める。
(3) さらに、(2)の量よりずっと少なくなるように法律で使用基準を決める。
(4) 実際に使われている食品添加物の量は、(3)の量よりずっと少ない。
●防腐剤・添加物不使用を売りに安全性アピール → 食中毒発生
2023/11/18追記:「食品添加物より食中毒の方がよっぽどヤバイ」というテーマにぴったりな事件が2023年に発生。防腐剤・添加物不使用を売りにするお店が全く食中毒対策をとらずに販売したマフィンが、異臭だけでなく「具材が糸を引いている」という、ある意味わかりやすい食中毒騒動になっていました。
<11、12日に開催されたアジア最大級のアートイベント「デザインフェスタ」に出店した東京・目黒区にある焼き菓子店「Honey×Honey xoxo」(ハニーハニーキス)が販売したマフィンは、購入者がSNSで腹痛など体調不良を訴えたほか、異臭や「具材が糸を引いている」などと指摘する声が相次いだ。同店は食中毒が発生したとして14日までにSNSなどで公表。謝罪し、保健所から指導を受けているという。
同店は「全て防腐剤、添加物不使用で市販の焼き菓子の半分以下のお砂糖の量で作っており、離乳食完了期のお子様より安心してお召し上がりいただけます」などと無添加や乳幼児向けと「安全」をPRしていたが、今回の騒動を受けSNSで「5日間ずっと製造しないと間に合わない」と告白。さらに「保管場所は18℃以下を保っていましたが、外気温が高かったため何個か傷んでしまった可能性がございます」と説明したことで、常温で保管していた可能性も浮上している。>
上記は、
料理研究家・リュウジ氏 マフィン食中毒騒動に「無添加だから安全、オーガニックだから安全は幻想」(スポニチ) | 毎日新聞2023/11/15 11:55(最終更新 11/15 11:55という記事からでした。
料理研究家だというリュウジさんは、「食品添加物は『積極的に使え』とは言わないけど衛生的観点から『適切に使った方が下手な無添加食品より安全』という認識は広がった方が良いと思う」「無添加だから安全、オーガニックだから安全は幻想です」と投稿していたそうです。
●食中毒で騒ぎすぎ?最も危険な「死亡の原因になり得る」該当
2023/12/02追記:前回書いた食中毒マフィンは、デスマフィンなどとも言われ、SNSでさんざん叩かれ、これを踏まえて「叩かれすぎ」と苦言を呈するコメントも登場。この懸念はわからなくもなく、SNSでの袋叩きは確かにどうかと思いますが、ニュースで取り扱われること自体は当然だと思われます。
苦言コメントは「個人経営なのに」というものでしたが、食中毒事件は結構小さくても報じられるもの。さらに、今回はイベント出店であり、この時点でニュースバリューが急上昇します。しかも、小さいイベントではなく単独でウィキペディアが存在する有名なイベント。大きく報じられて当然です。
また、食に関する記事は、日本だと反応が大きくなりやすいもの。さらに、そもそも食中毒事件というのは、重大であり、「これくらいで」という話ではないこと。甘く見すぎでしょう。食中毒を起こした業者もそもそも食中毒を甘く見ていたからこうなったわけで、大きく報じられた方がむしろ良いのではないかと思います。
今回の重大性に関して言えば、続報で出た<デザフェス販売のマフィン3000個が回収対象、厚労省「重篤な健康被害、死亡原因になる可能性」>(11/16(木) 0:04配信 弁護士ドットコムニュース)によると、厚生労働省も最悪レベルと認定。騒がれすぎということでもないと思われます。
<都内で開催されていたアートイベント「デザインフェスタ」(通称:デザフェス)に出店していた焼き菓子店(東京都目黒区)が販売したマフィンが、「納豆みたいなにおいがする」などと購入者から指摘を受けていた問題で、厚労省は販売されたマフィン約3000個について、健康への被害が最も高い「CLASS Ⅰ」(クラス1)のリコール対象とした。>
<厚労省ではリコール食品のクラスを3つに分類しており、今回は最も危険度の高い「CLASS Ⅰ」で、「喫食による重篤な健康被害または死亡の原因になり得る可能性が高い場合」とされる。>
https://news.yahoo.co.jp/articles/be756bd7ae6e81462c202cd082864e06b4001305
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