2013/2/13:
●Amazonが原価割れで売って日本の家電量販店潰し?
●Amazonのやり方は不当廉売・ダンピングに該当しそう…
●公正取引委員会課長「海外企業の取り締まりは難しい」
●深掘りしていくとアマゾン以外にも怪しい企業が…
●Amazonが原価割れで売って日本の家電量販店潰し?
2013/2/13:"家電量販、「アマゾン価格」に怒り"(中川 雅之 2012年11月20日(火) 日経ビジネスオンライン)では、米アマゾン・ドット・コムが日本国内で販売している家電製品の価格を巡り、家電販売の世界で波紋が広がっているとしていました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121116/239526
ただ、その理由は、一部の限られた商品ではあるものの、大手量販店でさえ追随できないような安値が恒常的に掲載されているからというもの。大手量販店よりネットの方が安いことに不思議はなく、この時点ではイチャモンではないかと思いました。
ところが、資料によって、アマゾンはあるDVDレコーダーについて、仕入れ値を下回る価格をサイト上で提示していることがわかりました。このDVDレコーダーの「赤字販売」は半年以上にわたるものであり、短期間のものでもありません。
このメーカーの関係者は「アマゾンと取引している製品のうち、価格競争が激しい売れ筋を中心としたおよそ2割の商品が、納入価格よりも低い値段で販売されている」と指摘。
別のメーカー社員は「家電量販店の仕入れ担当者から、『なぜ(アマゾンが)うちの仕入れより安くできるのか』と電話があるが、取引数量の多い大手量販よりアマゾンへの納入価格を低くすることは、あり得ない」と話し、アマゾンが原価割れで販売していることを示唆していました。
●Amazonのやり方は不当廉売・ダンピングに該当しそう…
こうなると、不当廉売という言葉が脳裏をよぎります。不当廉売については、過去に
不当廉売はなぜダメ?理由はある? 不当廉売になる事例とならない事例をやっています。
当時読んだ
Wikipediaによると、不当廉売(ふとうれんばい)は不当に安い価格で商品を販売すること。ダンピングとも言われます。
不当に安い価格で商品を販売することは、その時点では消費者に利益があるように見えます。ところが、長期的視野で考慮した場合、問題が出てくるんですね。
不当廉売を続けて我慢比べの消耗戦で体力の弱い他社を潰すことで、市場の健全な競争を阻害し、最終的には消費者の利益を害する可能性が高いとのこと。そのため独占禁止法ではこれを禁止し、公正取引委員会による是正措置の対象にしています。
実際記事でも、家電量販業界からは「アマゾンの価格は、不当廉売には当たらないのか」という怨嗟の声が上がっているとしていました。
●公正取引委員会課長「海外企業の取り締まりは難しい」
読み進めると、記事でも後から不当廉売の説明ありました。公正取引委員会経済取引局取引部の山田弘・取引企画課長は「個別の案件については答えられず、あくまで一般論」と前置きしたうえで、「継続的に仕入れ値を下回って販売するのは不当廉売の対象になり得る」と話していたとのこと。この「継続的に」というのもポイントです。
ただし、「ネットの場合、低価格販売がほかの事業者にどれほどの影響を与えたか算定しづらいため、公正な取引を阻害していると言いにくい」とも話し、今回のアマゾンのようなケースを取り締まることの難しさを挙げていたとのこと。
さらに、実際に取り締まる際には、アマゾンが米国に本拠を置き、国境を越えてネット通販を手がけている点もネックになる可能性があるといいます。
「カルテルなど、各国の姿勢がある程度共通している事柄であれば、国内法令を域外に適用するハードルは低いが、不当廉売はそうとは言い切れない」(山田課長)としていました。
ということで、なんとも頼りない感じ。不当廉売という考え方が日本独特ってわけではないでしょう。ダンピング(英語: dumping)という英語もあるんですしね。内弁慶で欧米に弱いのかな?とも思ってしまいます。
●深掘りしていくとアマゾン以外にも怪しい企業が…
ただ、アマゾンばかりを責めるのは筋違いかな?という話も、実を言うと、記事の途中でありました。これにはまず、前提となる知識として、アマゾンの価格決定方法について知る必要があります。アマゾン関係者によると、アマゾンは競合する主要サイトの価格を自動で定期的にチェックする仕組みを取り入れているとのこと。価格を機械的にほかのサイトに合わせるため、仕入れ値を大幅に下回る価格が出ることもあり得るという説明です。
さらにネット専門の家電販売事業者は「最安値ではなく2番目程度の価格を設定するのが彼ら(アマゾン)の手法」と指摘。アマゾン側の思惑を「自分たちは価格下落を主導しているのではなく、市場相場に対応しているだけだ、との立場を堅持しようとしているのではないか」と批判的でした。
記事ではこのようにアマゾンがずるいといったニュアンスで、「アマゾン側の思惑」と書いていました。ただ、2番手だということは実際にアマゾンより安くしている企業(日本企業かも)があることは間違いありません。アマゾンだけ目の敵…というのは、そっちの方がずるいでしょう。
記事の終盤でも、「ネット上では、圧倒的な安値を提示する事業者はアマゾンだけに限らない」と同じ指摘がありました。規模の小さな事業者がアマゾンよりもさらに低い値段を表示していることも多く、彼らの仕入れ経路や価格設定の手法は一層不透明な場合もあるとのこと。
そして、もっとややこしくなるのが、糾弾している側の家電量販店もあまり人のことは言えないということです。大手量販店もメーカーとの間でリベート(販売奨励金)を使用。高額のポイント付与も値引きとの線引きが難しいとも指摘。実態の見えにくいネット販売の増加や分かりにくい商慣習の存在が、不当廉売か否かの境界を曖昧にしている面もあるとされていました。
私は不当廉売が良くないという考え方は理解できるんですけど、こうやって実際の状況を見てみるとどうもすっきりしないところがありますね。ここらへん不当廉売の意味から改めて問い直して、何が悪くて何が許されるのかきちんと整理した方がいいと思います。
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