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中国のレーダー照射問題、日本の対応も稚拙で国際ルール違反


★2013/2/7 中国、海自軍艦にレーダー照射、米軍哨戒機も追跡 挑発がエスカレート
★2013/2/9 中国政府≠人民解放軍=共産党 海自軍艦へのレーダー照射は本当に知らなかった?
★2013/2/15 中国のレーダー照射問題、日本の対応も稚拙で国際ルール違反
★2013/3/31 中国政府と共産党と人民解放軍の関係 委員会は軍人10人、他1人


★2013/2/7 中国、海自軍艦にレーダー照射、米軍哨戒機も追跡 挑発がエスカレート

 政権初期なのでもうちょっと安全運転するかな?と思っていた中国の習近平国家主席ですけど、全然大人しくありません。
中国海軍のレーダー照射 防衛相が緊急会見
< 2013年2月6日 1:01 > 日テレ

 小野寺防衛相は5日午後7時過ぎ、緊急に記者会見し、中国海軍の艦船が先月、海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」などに対して、射撃の際に使用するレーダーを照射していたと公表した。

 小野寺防衛相「いわゆる射撃用のレーダーを発出するということは大変異常なこと。これが一歩間違うと、大変危険な状況に陥る」「(Q軍事衝突の可能性もあったということですか)そこまでの衝突事案とは類推はしておりませんが、少なくとも現場には緊張感が走るそのような事態だったと思います」

 防衛省によると、先月30日、東シナ海の公海上で監視活動を行っていた海上自衛隊の護衛艦・ゆうだちに対し、約3キロ離れた場所にいた中国海軍の艦船が、射撃用のレーダーを数分間にわたり照射したという。

 さらに、先月19日には海上自衛隊のヘリコプターに対し、別の中国海軍の艦船が射撃用のレーダーを照射した疑いがあることも明らかになった。中国海軍の艦船はミサイルを発射する砲身を向けてはいなかったが、ヘリコプターでは警報音が鳴ったという。

 政府関係者によると、現場は沖縄本島と中国大陸の中間にある日中中間線付近で、沖縄・尖閣諸島からは100キロ以上離れた海域だった。

 小野寺防衛相は「よほどのことがない限り、このような事態にはならない。このような危険な行為については中国側に自制を求めていく」と中国海軍の行為を強く非難した。

 今回の事態に元海上自衛隊護衛艦隊司令官・金田英昭氏は、「ありえないことです。常識的に言えば、中国が常識を持ち合わせているのか、何か特別な意図があるのか、挑発の意図があるのかわからないけど、そういうことは禁じ手ということですね」と話している。
http://news24.jp/articles/2013/02/06/04222602.html

 このレーダー照射に関しては、見方が分かれています。
中国海軍レーダー照射、党の指示か 現場の独走か
2013/2/5 22:22 日経新聞

 【北京=島田学】危険な挑発の目的を巡っては2つの見方が浮上している。

 1つ目が共産党指導部が軍に指示を出し、尖閣諸島を巡る対立をあおる狙いだ。

 日本政府は中国の度重なる挑発にもかかわらず「領土問題は存在しない」との立場を崩していない。軍が意図的にレーダー照射を仕掛けて対立を激化させ、国際社会が「日中間に領土紛争が存在する」と誤解するよう仕向ける目的だ。

 日中の対立が激化すれば、東アジアの安定を望む国際社会が仲裁に乗り出す可能性がある。その場合は「領土を巡る紛争」が各国の共通認識となり、中国の主張が通りやすくなるとの読みだ。(中略)

 もう1つの見方が軍の現場の独走だ。中国外務省筋はあくまでも現場の軍人の判断によるものだとの認識を示唆した。尖閣諸島を巡る日中の対立は膠着状態に陥り、米国も日本支持に傾斜する。いら立つ軍部が強硬姿勢を強め、事態の打開を狙ったとの観測がある。

 だが自衛隊関係者は「レーダー照射が数分間続いたことから考えると、現場の暴走と判断するのは難しい」との見方を示している。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0504Z_V00C13A2EA2000/

 「党の指示か、現場の独走か」ですけど、日経新聞は党の支持を匂わす流れで、他にもこういう見方がありました。

 とりあえず、中国は否定しています。
レーダー照射、軍の単独行動示唆 中国・外務省「状況把握せず」
2013/02/06 18:50 【共同通信】

 【北京共同】中国外務省の華春瑩副報道局長は6日の定例記者会見で、沖縄県・尖閣諸島周辺で中国海軍艦船が海上自衛隊の護衛艦にレーダーを照射したことについて「関連の報道で知った。(外務省としては)具体的な状況は把握していない」と述べ、軍の単独行動だったことを示唆した。

 習近平指導部が軍の行動を詳細に把握していたかどうかは不明だが、中国政府内で情報の共有が図られていなかった可能性が強い。
http://www.47news.jp/CN/201302/CN2013020601001767.html

 一方、「尖閣諸島を巡る対立をあおる」という方の挑発の狙いに関しては、以下のような日本の反応。
挑発的行為に乗らない~自民党・石破幹事長
< 2013年2月6日 17:31 > 日テレ

 海上自衛隊の護衛艦などが、中国海軍の艦船から射撃の際に使用するレーダーの照射を受けていた件について、自民党・石破幹事長は6日、記者団に対し、「いかなる挑発的な行為が行われても、我々はそれに乗ることもない」と述べた。

 石破幹事長は、中国側の狙いについて、「(中国の意図は)日本の反応、これを試すということもあるのかもしれない。あるいは、国際的にどういう反応が出るのかを試すということもあるのかもしれない」と述べた。また、現時点では中国政府の判断なのか、現場の判断なのかが断定できないとした上で、「いかなる挑発的な行為が行われても、我々はそれに乗ることもない」と強調した。
http://news24.jp/articles/2013/02/06/04222647.html

 野党だったら「弱腰だ!」と大騒ぎした癖に……と思わなくもないですけど、与党の立場で後先考えずに子供のようにはしゃがれても困りますから、妥当な発言かもしれません。


 また、「日本が舐められている!」という反応も見えましたが、中国が舐めているのは日本だけじゃありません。
米軍哨戒機を追跡=1月、挑発増す中国戦闘機-接触事故懸念も・東シナ海
(2013/02/06-16:07)時事ドットコム

 沖縄県・尖閣諸島がある東シナ海で1月、警戒監視に当たる米軍の哨戒機に中国軍の戦闘機が接近し、追跡していたことが6日、分かった。1月30日に起きた中国海軍による海上自衛隊護衛艦への射撃用のレーダー照射同様、エスカレートする中国側の挑発行為が不測の事態に発展することが日米間で懸念されている。

 日米政府筋によると、昨年9月の日本政府の尖閣国有化以降、東シナ海上空で警戒に当たる日米の哨戒機に対する中国軍機の緊急発進が目立つようになり、1月10日には米海軍のP3哨戒機などに対して中国軍戦闘機が接近、追跡したという。同日は中国戦闘機が日本の防空識別圏に入り、那覇基地のF15戦闘機が緊急発進していた。中国戦闘機はいずれも「殲10」とみられる。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013020600652

中国、米軍哨戒機を追尾 今月10日以降 自衛隊機にも執拗さ増す 2013.1.14 07:46

 中国軍の戦闘機が今月10日、東シナ海上空で米海軍のP3C哨戒機と空軍のC130輸送機に緊急発進(スクランブル)し執拗(しつよう)に追尾していたことが13日、分かった。同じ時期から自衛隊機に対するスクランブルも過剰になった。中国軍用機による日本領空への接近飛行を受け政府が対抗措置の強化を検討していることに反発し、中国側は対応をエスカレートさせているとみられる。

 P3CとC130はいずれも日中中間線付近を飛行していたところ、中国軍の戦闘機がスクランブル対処として接近・追尾した。米海軍は電子偵察機EP3も運用しており、中国側はEP3にも接近したとの情報もある。

 政府高官は「自衛隊機だけでなく米軍機にもしつこくつきまとっている」と語る。中国軍の戦闘機は情報収集などにあたる自衛隊機の一部にもスクランブルで距離を詰めるなど過剰な対応をした。戦闘機はJ10(殲10)やJ7(殲7)とみられる。

 別の高官によると「中国側のスクランブルが過激になったのは10日から」という。中国軍が沖縄県・尖閣諸島北方の東シナ海上空に2種類の戦闘機を飛行させたのが10日。このとき、日本領空の外側に設けられた防空識別圏にも入り、航空自衛隊はスクランブルで対処した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130114/plc13011407520005-n1.htm

 現状世界最大の軍事力を持っているアメリカにまで危険な挑発行為を行なっているんですから、日本がどうのという問題じゃありません。


 しっかし、中国は気は確かなんですかね?

 裏にしたたかな計算があるのかもしれませんけど、本気で「不測の事態」を感じさせるところまで来ています。

 何かあったら中国も経済的な打撃が半端ないはずです。本当にちゃんと考えた上でやっているんでしょうか?

 週末という言葉すら検索不能!中国の南方週末社説差し替え事件の件では対応に稚拙さが見えたので、習近平さんはちょっと今までの人と違うのでは?と心配になってきます。


★2013/2/9 中国政府≠人民解放軍=共産党 海自軍艦へのレーダー照射は本当に知らなかった?

 海自軍艦へのレーダー照射の件は先に一つ"中国、海自軍艦にレーダー照射、米軍哨戒機も追跡 挑発がエスカレート"を書いています。そこではレーダー照射は軍の独断という説が一応載っていて、中国政府も「知らん」と言っているんだけど、日本のマスコミでは否定的な見解が主流のように見えました。

 今日の話はひょっとしたらマジで知らなかったんじゃないの?という話です。
レーダー照準は政治の空白を狙った軍の挑発か 解放軍は共産党のもの。政府は把握していない
福島 香織 2013年2月8日(金) 日経ビジネスオンライン

 これについて、外交部官僚および国務院政府がこの事件を日本が発表した5日の段階で知っていたか、というと私は知らなかったのではないかと見ている。

 根拠の1つは、私を含め中国で取材経験のある者は、過去に解放軍の動きを外交部が把握しておらず記者会見時に事実確認中としか答えられない状況に何度か遭遇している。外交官僚らからも、解放軍のことは本当に分からないんです、と内々に弁明を受けたこともある。中国の外交部は中国の外交のすべてを担当しているわけではなく、時に党中央の外交、軍の外交が外交部の頭越しに行われることはある。たとえば対北朝鮮外交などは外交部が把握していないものも結構あると聞く。ましてや1週間前の海上での解放軍海軍の軍事行動について外交部レベルにわざわざ知らされていたとは思えない。

 公式のコメントがすぐに出なかったのも、事実確認に時間が必要だったからだろう。中国の政治はすべてが党中央の指導が前提にあり、「国務院政府<人民解放軍≦党中央」、あるいは「国務院政府<党中央=人民解放軍」ぐらいの力関係だと思っておいた方がいい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130206/243421/?mlt

 これだと党中央部に政権トップがいるのかな?と思いますけど、福島香織さんは"現政権トップが把握していたかどうか"も"怪しいと思っている"そうです。
今の政権トップはまだ胡錦濤国家主席と温家宝首相である。昨年11月に党中央トップが交代し、総書記職と軍事中央委員会主席職は習近平氏が引き継いだが、国家の政権を正式に引き継ぐのは3月の全国人民代表大会(全人代=国会のようなもの)の場である。それまでは、胡錦濤、温家宝の両氏はロスタイム消化のような状態なのである。

 解放軍の総帥権は党中央軍事委主席=党中央総書記である。解放軍は国軍ではなく(事実上は国軍だが)、共産党の私兵という立ち位置にある。今の解放軍の行動と、国務院政府とはほとんど無関係である。もちろん新しい中央軍事委の面々は胡錦濤派の人脈も多く、非公式に情報を得ているかもしれないが、建前は「知らない」で通せる立場だ。解放軍の今回の行動を日本への挑発とすれば、いわば中国政治の空白時期を狙って行われた挑発と言っていいだろう。

 でも、何だ、政権トップというのは習近平さんのことではないのか。じゃあ、私が前回中国、海自軍艦にレーダー照射、米軍哨戒機も追跡 挑発がエスカレートで書いた習近平さんの指揮の危うさは否定されませんね。

 また、軍の方にも強硬派がいるようで、やはり今後暴走する可能性も考えておいた方がいいかもしれません。
 ちなみに海軍司令の呉勝利上将は、比較的穏健メンバーがそろったと言われる党中央軍事委員の中では強硬派とされる。一応日本にも訪れ、日本との軍事外交の場にも立った人物だが、基本的には江沢民派人脈で、相当な野心家と言われ、2007年当時、時のキーティング米海軍司令に「ハワイを起点とした米中太平洋分割管理構想を持ちかけた」のは呉司令だったと言われている。米側は当時、「冗談かと思った」そうだが、解放軍が半分以上本気なのは、その後の空母建設や海洋国家プロパガンダをみれば、推察がつくだろう。

 軍自体も一枚岩ではない。対外強硬派から融和派までおれば、軍区ごとの独立意識も強い。権力闘争の激しさは党中央以上である。ただ軍の当面の戦略目標が「釣魚島奪還」であることは確かだし、これを想定して作戦を練るのも軍人の本分なのだから当然だろう。彼らは戦争の準備をするために存在している。

 しかし3月に正式に党と政府の両方の権力を掌握する習近平政権が、どこまで本気で軍事衝突の可能性を想定しているかは不明である。年初から、解放軍総参謀部が全軍に戦闘準備せよ、と指示を出し、テレビなどメディアで軍事プロパガンダが強化されているのは間違いない。それが国内の不満を外へ逸らす、あるいはガス抜き効果を期待するもので、軍事衝突は絶対避けねばならないと思っているのか、あるいは口実があれば、軍事衝突も辞さないと思っているのか。

 もし、この「レーダー照射事件」が習近平氏の指示でないならば、政治空白期の「挑発」は日本の安倍政権の出方を見るだけでなく、来る習政権の本気度を試している、と見えなくもない。

 私は正直習近平さんの指示なら軽率だったと思っており、危うさだと書きました。正気なら政府が本気で戦争するようなことはしないと思っていましたが、アメリカにも挑発をしており度が過ぎています。

 昨今中国が発展しているのは間違いないんですけど、どうも自信つけすぎて力関係を見誤っている人がいるんじゃないですかね?一部の勘違い軍人が増長して暴発ってことはあり得るかもしれません。


 習近平さんには、年始の南方週末社説差し替え事件でも危うさを感じました。ただ、南方週末事件にしても、日米への挑発にしても、まだ政権について間もない習近平さんのコントロール不足だと考えても一応説明できます。コントロールできていないのでしたら、どっちにしたって危ないんですけど。(むしろ危険?)


 しかし、福島香織さんはこれは日米相手というよりは、中国国内向けに利用されているのでは?としています。
 中国の大衆が抱えるさまざまな鬱屈は、反日デモ暴動のような破壊行動や内資・外資の企業で連発するストライキ・暴動などで小規模に爆発しているが、この種の不満を対外戦争期待に誘導することで、党への求心力強化に利用しようという意図があるのではないか、と思っている。同時に、その国内世論の盛り上がりを対日外交圧力に使うというのも、中国の旧来のやり方だ。

 ただ、私が心配するのは以下の部分です。
 戦争というのは、大体において、緊張状態の中の疑心暗鬼や偶発的な事件で発生する。日中双方が本音では戦争をするつもりがなくとも、油断すると何が起きるかわからない。

 あまり軍事的な挑発を軽々しくやり続けていると、うまく制御しているつもりがやりすぎて取り返しがつかなくなることもありそうで怖いです。


★2013/2/15 中国のレーダー照射問題、日本の対応も稚拙で国際ルール違反

 レーダー照射の話。過去にも書いていますけど、以前は主に中国の話でした。今回読んだものは日中双方の話。中国がおかしいのはわかりきった話ですし、以前も書きましたので、そこらへんはごそっと抜きます。ただ、軽く書いておくと、私の二つ目で心配したような軍の独走を匂わしていました。

 日本の対応に関してですけど、こちらも稚拙で国際ルール違反なんだとか。「えー、そうなの?」と思わなくもないんですけど、他にない指摘なのでメモ。
2013年2月14日 山田厚史 [ジャーナリスト 元朝日新聞編集委員]
揺らぐ日中の「文民統制」レーダー照射の背景に透ける危うい構図

 日本側には「防衛省の突出」があった。外務省を飛び越え「中国の暴挙」を国際社会に訴えた。微妙な外交問題は、騒げば解決するほど単純ではない。「3手先まで読み、手を打つ」という外交鉄則を踏み外した。

 日中双方に共通する「文民統制の欠落」と「政治の弱体化」。これが問題解決を困難にし、危機を煽っているのではないか。
http://diamond.jp/articles/-/31927

 ここから中国の話が続いて、日本は終わり頃です。
 今回、防衛省はヘリコプターへの照射は十分な裏付けがとれなかった。30日の護衛艦へのケースは事実確認に6日かかり、小野寺防衛相に報告したのは2月5日だった。危機一髪の事態でありながら、官邸や外務省に報告されていなかった。

 本来なら外交ルートを通じて中国側に憂慮を伝え、善処を求めて公表の可否を検討することが筋だろう。場合によっては中国側の面子に配慮する懐の深さがあってもいい。

 ところが報告を受けた防衛相はすぐに官邸に走り、安倍首相は中国に事実を公表せよ、と指示した。その時点で初めて知り、夕方、公表するという慌ただしさだ。公表する前に相手国に事実関係を知らせ抗議するのが、国際ルールになっている。公表されたときに自国の立場を説明する用意が必要だからである。外務省は抗議する相手をそれから捜す、というてんてこ舞いで、本来は大使を呼んで抗議する事案であるのに、課長級を夕方つかまえて、抗議を伝えるというドタバタ劇だった。

 一応具体的に書かれていますし、筋も通っています。

「中国はこんな国だ」と国際社会に訴えたことに、自民党内では「安倍さんらしい英断」を讃える声が少なくない。レーダー照射はこれまで、小泉首相が靖国神社を参拝して緊張が走ったころもあったが、「日中関係の悪化に配慮して公表されなかった」とも言われている。

 民主党政権でもうんぬんという話があったんですけど、もっと前からって話もあるんですね。
 安倍首相になって毅然たる対応に変わった、という評価もある。だが気分がスッキリすることと外交が前進することとは関係がない。むしろ国内世論の高揚で外交が後退することが多い。尖閣国有化で中国に反日暴動が起き、中国では気分がスッキリした人が多かっただろう。

 軍事的緊張を背景とした小競り合いは、相手の出方を探ったり、不快感の表明であったり、理由はさまざまだが、一触即発の危機を孕む。自衛隊や防衛省で抱え込む問題ではない。文民のトップに冷静な判断が求められるが、首相がその力量を備えているとは限らない。関係機関が対応を検討する時間や体制の整備が必要だろう。

 首相と防衛相があたふたと公表を決めた今回の手法に「政治的は未熟さが露わになった」という声もある。

 尖閣諸島問題だけでなく、韓国大統領の竹島訪問などもそうですけど、外交問題でありながら国内への対策の比重が強いです。基本的にみんな内向きなんですね。


★2013/3/31 中国政府と共産党と人民解放軍の関係 委員会は軍人10人、他1人

 中国政府と共産党と人民解放軍の関係についての記事を紹介。
膨張する軍に3つの暴走リスク 中国、レーダー照射
張 勇祥 2013年2月18日(月) 日経ビジネスオンライン

 「(中国艦艇によるレーダー照射は)報道で知った」「当該部署に聞いてほしい」。2月6日、中国外務省の記者会見。華春瑩・副報道局長の表情はこわばっていた。

(中略)偶発的な武力衝突を招きかねない重大な事態だけに注目されたが、華氏は明確な答えを持ち合わせていないかのような受け答えに終始した。

 政府のスポークスマンが隣国との軍事的な緊張の高まりについて何らコメントできない。もしくは、国家首脳が軍部の行動を把握しきれていない。先進国では考えられないが、中国では決して珍しくない。

 陸海空軍を持つ人民解放軍は2011年1月にもロバート・ゲーツ米国防長官(当時)の訪中に合わせるかのように次世代ステルス機の試験飛行を実施。ゲーツ氏と会談した胡錦濤・前総書記がそれを知らなかったという前例もある。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130214/243731/?mlt

 前回のものではなかった「次世代ステルス機の試験飛行」という実例が載っていました。わかりやすいですね。

 以下は前回と重なる人民解放軍への影響力。
人民解放軍は国家の軍隊ではなく、共産党の軍隊である。中国共産党規約には「中国共産党は人民解放軍及びその他の武装力に対する指導を堅持する」(総綱)とされ、軍は党の指揮下にあることが明記されている。国防法などにも同様の記述がある。

 一方、通常ならば国家戦略の前面に立つ政府は軍への指揮権を持たない。外務省や国防省などの政府組織は「実務面を担う官僚組織でしかない。軍の情報が上がってこなくても不思議はない」(霞山会の阿部純一理事)。中国では政府に権限があまりなく、共産党がすべてを統治しているのが実態だ。

 ここまでは前回といっしょです。

 しかし、こちらではさらに共産党であっても、影響力がそれほど確かではないことを示しています。
 だが、その党も軍への統治力が十分でない可能性があるのだ。「習近平総書記が軍の最高権力者だが、『一定程度の行動』は事後報告でよいとする了解がある」。ある日本政府関係者はこう話す。そして、今回のレーダー照射も、「一定程度」に含まれるのだと言う。

 習氏は解放軍の最高意思決定機関、中国共産党中央軍事委員会の主席を務める。中央軍事委員会弁公庁の秘書から政治家としてのキャリアを踏み出した経歴を持つが、事務官の経験はあっても習氏自身が実際に軍の部隊に配属されていたわけではない。

 中央軍事委員会は11人で構成され、習氏を除く他の10人はすべて軍人。習氏に一定の配慮が求められ、結果、発言力は限られるとの指摘が強い。

 レーダー照射が「一定程度の行動」というのはとんでもない話ですけど、中国ならあり得ると思えてしまうのが困ってしまう話です。

 また、共産党の"統治力が十分でない"というのは、先の「次世代ステルス機の試験飛行」の件もそうです。

 今回のレーダー照射は党の最高指導者交代の時期に当たり、総書記が習近平さん、国家主席(でいいのかな?)が胡錦濤さんと分かれていましたが、次世代ステルス機の2011年1月はそういう時期ではなく、権力移行時期による混乱という説明はできません。

 本当、参ってしまう話です。


 作者の張勇祥さんは"軍を巡る3つのリスクを浮かび上がらせた"としています。

 その3つとは以下です。

・軍への統治力の限界
・際限ない国防費の膨張
・日本への強硬姿勢を批判しにくい空気

 "今の状態のままでは、仮に軍が暴走し始めたら、誰がそれを止めるのかが見えにくい"としていますが、以前も書いたように中国政府がたとえ戦争を望まなくても一歩間違えれば……というケースは空想とも言いきれなくなってきた感があります。


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